手の届く存在~Daughters~

スカーレット

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友達

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父と母が出会ってから、私が生まれるまでに十二年。
そして私が生まれてからは十六年。
私は、女神と人間……厳密には女神のハーフとの間に生まれた。

普通の子どもの様に十月十日を経て生まれたのではなく、女神である母の力によって、私は三ヶ月ほどで生まれ出ることとなった。
……単に母がつわりとかに耐えられなくて、女神の力を使ったのだと聞いたときは頭が痛くなったものだ。

母や、女神になった時の父と私には、決定的な違いがある。
それは、背中の羽と右腕。
二人が持つ翼は、黒いものとピンクがかった様な、綺麗なもの。
一方で私は悪魔の様な禍々しいもので、爪なんかが生えてる。
しかも、右側にだけ生えている、言わば片翼。

右腕も、まさしく悪魔の様な腕だった。
指先は鋭く、引き裂けないものは無い、とでも主張したげなトゲトゲしたもの。
髪の毛には黒いものだけでなく赤いものが混じっている。

右目の瞳にも、何か刻印の様なものがあって、右目の周りにも何か赤い刺青の様なものがあった。
まだ赤ん坊だった私の右腕と翼に、母は封印を施した。
私の意志に呼応して解除できるというものらしいが、今のところ用事がない為にここ数年はその翼も右腕も見ていない。

封印がされている間は右腕も普通の人間と遜色ないもので、誰が見ても悪魔の右腕には見えないだろう。
神力の行使に当たって、その二つの悪魔が邪魔になることはなかった。
私は本当はこの二人の子ではないのではないか、などと考えたこともある。

しかし、私の顔は母そっくりで、髪色や髪質は父のそれを受け継いでいて、誰がどう見てもこの二人の子以外ありえないと言われる。
二人は、事あるごとに言った。

乃愛のあ、君は望まれて生まれてきたんだよ。翼やその右腕が、何の為にその形をしているのかはわからない。だけど、私とお父さんが愛し合って生まれた子であることには違いない」

そう言ってくれる両親の気持ちは嬉しい。
だけど。

「でも、お父さん他にも女いるよね?」
「…………」

何と父は、私の母以外にもあと八人、女がいる。
しかも母とは籍を入れているわけではない。
もちろん他の女とも籍を入れていないが、子どもはそれぞれ一人ずつ設けたらしい。

一体どういう神経をしていれば、そういうことになるのか。
更に、他の八人はその関係を苦にしてないというから意味がわからない。
ただ、朋美おばさんだけは昔、ちょっと荒れたと聞いているが。
おばさんて呼ぶと、物凄く怖い顔をするから本人には言えないけど。

「乃愛、君はもう十五になったね。これから生きる世界を、自分で決めるんだ」

父はこんなことを言う。
一つは父や母のハーレムが過ごした地球という星。
おじいちゃんやおばあちゃんにも、ここで何度か顔を合わせている。

もう一つは、母が一時悪役として跋扈していた、ロキおじさんが作ったという星。
魔物が今も普通にその辺にいるらしい。
そんなものを今も放置しているなんて、やっぱりあのおじさんは母が嫌うだけある。

もう一つは神界。
神として生まれた時点で、居住権はもうあると聞いている。
悪魔の様な羽があって、悪魔の様な右腕を持っていても、感じるオーラは女神のものと判断された様だった。

まぁ、これにも一つ裏話があって、母が大分暴れたと聞いている。
もちろん公にはそんなことがあったなんて話は伝わっていない。
父や、おばさんたちから聞いたのだ。

主神と呼ばれるオーディン様を相手に、大立ち回りをやらかしたらしい。
見た目だけで何がわかるのか、と食って掛かり、ガチのケンカが始まったのだとか。
かつてヘイムダルおじさんが母とガチのバトルをやらかした時とは比較にならないほどのバトルが展開され、神界は大きく揺れたのだという。 

ノルンおばさんが私のオーラを探って、見た目と違って穏やかなオーラが流れているということを発見するまでの三日ほど、地球にも少なからず影響が出たという。
近年稀に見る異常気象に地球は震え、冬にも関わらず気温が三十度を超えたり、台風がいっぺんに四個も到来したりと、本当に迷惑なことだ。

そんなことがあって、私はオーディン様から女神であると認められて、でも私は神界には行かない。
どうせなら退屈しない世界がいいと思った。

とは言っても魔物が跋扈する様な星で暮らすとなるとこれはなかなか面倒だと考える。
お金を稼いだりというのは幾分やりやすいのかもしれない。
魔物の持ち物等を売っていれば生活には困らないと説明を受けたので、これならと一瞬は考える。
ロキおじさんの作った世界の、英雄がかつて救った世界。

ある時期まではドラゴンなんていう突拍子も無い存在が支配していたとされるが、それを元凶ごと打ち破った英雄たちは今も魔物の討伐等はするらしいが平和に暮らしているらしい。
トイレなどに関しても処理の必要がないというのは魅力的だった。

しかし、いちいち売ったりする場合何処で売るのが一番高いとか、そういうのをいちいち調べたりするのが正直に言っちゃうとかったるい。
魔物そのものは私にとっておそらく脅威にならないだろうが、私はそもそも煩わしいのがあまり好きではないのだ。

そうなると消去法で、母たちがかつて暮らしていた地球での生活となる。
戦闘が頻繁に行われる様な場所ではないので、お金を稼ぐには自分できちんと労働をする必要がある。
学校にだって通う必要がある。

戦いという意味では自分との戦いが多いと聞いた。
甘やかせばキリがなく、堕落していくだけだと。
これは愛美おばさんの言っていたことだった。
経験者は語るだな、とか父が言ってぶん殴られていたっけ。

そんなわけで私は母たちが暮らしていたマンションへ身を寄せ、母が通っていたという高校に入ることとなった。
中学の卒業に関しては履歴を捏造した。
……こんなことして大丈夫なのだろうか。

もちろんやったのは母だ。
破天荒で、いつもハチャメチャなことばっかりしていた母。
それは昔から変わらなかった様だ。
一日限定のアイドルをやっていたとか、そういう話も聞いている。
その後のクリスマスにおける下らない騒動の話も聞いたし、父はあれ以降いかがわしい動画を見なくなったというが、そんな話を何故娘にするのか。


「宇堂さん、お昼一緒に食べない?」

クラスメイトの女の子から声がかかる。
何だかほわほわしていて、私とは相容れないタイプに見えた。
別に人間の生態なんか興味はないし、誰かと仲良くなりたいという願望もない。

そんな私は、いつからかクラスで浮いた存在になっていた。
人を寄せ付けない、というよりは、近寄んなオーラがもりもり出ていて、私に話しかけようとする人間はほぼ皆無と思っていた矢先のことだ。

「何で一緒に食べる必要があるの」
「何でって……誰かと食べた方が、ご飯って美味しいでしょ?」
「味なんか何処で誰と食べても同じだよ。雰囲気だの愛情だのでプラス、なんてのはただの精神論でしょうが。それこそ便所飯でも私は気にならないね」

そう言い捨てて私は教室を出た。
一人になる為に、屋上へ向かう。
あれだけ言っておけば、着いて来たりはしないだろう。

「ふぅ……」

煩わしいことが嫌い。
人と話すことも、愛想を振りまくのも煩わしい。
もちろん、愛想など振りまいたことはない。

それをすることでバカな男子生徒にでも勘違いされたらそれこそ面倒だ。
朝のうちに買っておいたパンの包みを開けて、かじる。

「いつもここで食べてるの?鍵って閉まってなかったっけ」
「!?」

先ほどの女子生徒だった。
着いてきたのかよ……。
名前、何て言ったっけ。

「入学式からずっと気になってたんだぁ。私、佐々木千春って言うの。よろしくね、宇堂さん」

ニコニコと笑って挨拶をしてくる彼女は、私から見たら何だか無理して笑ってる様に見える。
疲れたりしないのだろうか。

「ご丁寧にどうも。けど、私はあんたと仲良くなるつもりはない」
「つれないなぁ。そんなこと言わないでよ。……ぼっち同士なんだし」

ぼっち言うな。
まぁ、事実上ぼっちだけど私はそれを苦にしてはいないし、寧ろほっとかれる方が快適と言える。
何しろ家に帰ればあのやかましい空間に戻ることになるのだから。

「あんた、ぼっちなんだ?私は生憎家に帰れば賑やかなんでね」
「そうなの?羨ましいなぁ。ご家族、楽しい人なんだね」

そう言って佐々木は表情を暗くする。
ホラ見ろ。
やっぱり影がある。
まぁ、百パーセント笑顔でいられる人間なんか多分いないんだろうけど。

「私の家、ちょっと特殊で……だから友達もできなくて」
「特殊な家だと友達って出来ないもんなのか?そりゃ初耳だわ」
「え?」
「特殊な家の人間だって、友達の一人や二人作ってると思うけど?それでも出来ないって言うのであれば、それは家のせいじゃなくあんたの努力不足」

ちょっと言い過ぎたかな、なんて思うが、訂正したりはしない。

「そっか……そうだよね。ごめんね、私思い違いしてた」
「気づけてよかったじゃないか。ま、私以外の人間とせいぜい頑張って友達に……」
「ううん、私宇堂さんと友達になりたい」
「は?」

何言ってるんだろう、この子。
頭の中がお花畑っぽいとは思ってたけど、これは真性だろうか。

「宇堂さん、私と友達になってください!」

随分昔の番組で、ずっと決めてました!とか言いながら男が手を差し伸べて、それが女から受け入れられればカップル成立、みたいなのがあった。
それを彷彿とさせる様な、佐々木の哀願。

「あのさ、友達ってそういう風にしてなるもんなの?友達なんかいたことなかったから私にはわからないんだけど」

はっとして慌てて手を引っ込める佐々木。

「気の合う者同士とかでつるんで、気づいたら友達になってる、みたいなのだと思ってたんだけど、私の思い違いかな」
「そ、そう……かも……」

目に見えてしゅんとしていて、少しだけ可哀想なことをしたかという気持ちになってくる。
しかし、ここで甘やかして面倒なことになっても嫌だ。
私は何よりも、自分の時間を大事にする。

まぁ、やることなんて本読むかバイトするか、くらいなものなんだけど。
お友達と楽しくお喋り、なんてよく言うが何が楽しいのか、未だにわからない。

「あの、私じゃ……ダメかな……」
「ダメ。だって、私にメリットないもの」
「メリットって……友達にそういうの、求めるのは……」
「自由ではあるでしょ?押し付けはしないし。それでダメだと感じたら解消すればいいだけのことなんだし。それに、メリット求めてる人間なんか沢山いるでしょ。こいつと居ればこういういいことがある、とかさ」
「宇堂さん、何でそんなに怯えてるの?強そうなのに、友達を作るってことに恐怖を感じてる様に見える」
「…………」

こいつは本当に、何を言っているのだろうか。
私が友達を作ることを、怖がってる?
そんなバカな話があってたまるか。

私は何も恐れたりしない。
恐れることがあるとすれば、私自身の力の暴走くらいだ。

「でも、何を言われても私は宇堂さんとお友達になりたい。甘いって言われてもいいよ」
「甘い。私は別に恐怖なんか感じてない。必要性もね」

食べ終えたパンの包みを丸めてポケットにねじ込んで、私は一人教室に戻った。

その後、午後の授業を受けて放課後になる。
季節は夏が近いことを知らせる様に、空に入道雲が見えたりする。
これからの時期は、梅雨とかいう鬱陶しい時期に入るんだっけか。
さて、帰ろうかと思い鞄を手にしたところで、佐々木が走り寄ってきた。

「う、宇堂さん……」
「ダメ」
「まだ何も言って無いよ?」
「一緒に帰ろう、でしょ?わかるわ、さすがに」
「いいじゃん、帰ろうよぉ……」
「もー……うるさいな、勝手にしろよ……」

こういうのが嫌で友達を作らないのに、何なのか本当に。
学校を出たところで、佐々木がやたら嬉しそうな顔をしている。

「何ニヤニヤしてんの?気持ち悪い」
「き、気持ち悪いってひどいよ……」
「本当のことだからね。私、結構ズバズバ言っちゃう方だから、あんたみたいな甘っちょろい女にはきついんじゃない?」
「と、友達ってそういうの……言い合えるものだと思うから……」
「へぇ。でもあんた、遠慮ばっかして何も言ってこないじゃん。私にムカついたりしないわけ?」
「そ、そりゃきついなとは、確かに思うけど……」
「それだけ?あんたマゾなの?本気で気持ち悪いわぁ」
「そ、そんなんじゃないよ……」

この女が何処まで耐えられるのか、ちょっと試してみたくなった。
私なんかといても辛いだけだってことを、少し理解してもらうのもいいかもしれない。
そうすれば噂も瞬く間に広まって、私は高校の三年間を静かに過ごすことが出来る。

「いいよ、じゃああんたの言うお友達ってやつ、なってあげる」

私は実に十二年ぶりくらいに、友達を作ってみた。
どうせこの子は耐えられない。

「い、いいの?」
「ああ、いいよ。けどあたしは態度変えたりしないし、それでもいいなら、って条件付だけどね」
「い、いいよそれで。変わっちゃったら宇堂さんじゃなくなっちゃう!」
「んで?友達って何するの?帰る?」
「何でいきなり帰宅なの?あ、宇堂さんの家に行ってもいいってこと?」
「は?いきなり我が家に来ようっていうの?それはちょっと引く」
「ええ?いいじゃん!」
「嫌だよ私は……。まぁいいや、何か軽く食べてく?それならお友達っぽいでしょ」

少し身長が低めの彼女は、喜び勇んで私にちょこちょこと着いて来る。
私が一七〇センチくらいで、この子は多分一五〇少々と言ったところか。
歩幅も大分違う。

「乃愛ちゃんって呼んでいい?」
「ちゃんはやめろ。寒気がするから」
「ええ、何で?可愛いじゃない。それに顔だって可愛いのに」

可愛い、ねぇ。
確かに母譲りのこの顔は、今は可愛く見えるのかもしれない。
だが、それも全ては封印のおかげだ。
封印が解ければこの顔は禍々しいものに変貌するし、この子はそれを見てもそんなことを言ってられるのだろうか。
まぁ、嫌われるのは慣れてるしこの子が何と思おうと私は特に気にしないんだが。

「ちゃんつけなければ別に何て呼んでもいいよ。ああ、うんことかゲロとか呼んだら殴るけど」
「そんなあだ名つけるとか、ただのいじめじゃない……」
「あんたは何て呼ばれたい?下僕?パシリ?」
「え!?私乃愛さんの下僕なの!?」
「冗談だよ。千春っていうんだっけ。じゃあそれでいいよな」

私は駅前にあるファーストフード店の前で足を止めた。
梅雨にちなんだ梅雨メニューとかいうのが始まっている、と看板が出ている。

「乃愛さん、これに興味あるの?」
「え?ああ……旨そうかなって」
「じゃあ、これにしよ?」
「いいのかよ、あんたん家、晩飯とかは?」
「たまにはね。毎日だと怒られちゃうかもだけど」

まぁ、うちも多分毎日だと母がいい顔しないかもしれない。
あの破天荒な母でもちゃんと晩飯は用意してくれるし、作ったものは美味しい。
二人で注文を済ませて、トレーを持って客席に行く。
二階にある客席へ行き、窓際の席へ行くと少し高いところから街を見渡せる。

「乃愛さん、高いところ好きだよね」
「え?」
「さっきも屋上でご飯食べてたし」
「あー……そうかもな。何でかはわからないけど」
「私も高いところは好き。人の目から逃れることができる気がして」

注文したメニューを食べながら、千春は少し寂しそうな顔をしていた。
表情がコロコロと変わる、変な女だと思った。
私なんかと友達になりたいとか言ってる時点で、十分変な女ではあるのだが。

「私のこと、聞かないの?」
「は?聞いてほしいの?そういう時はちゃんと聞いてください乃愛様、って言わないと私は聞いたりしないぞ」
「さ、様?」
「冗談だっての。何?めんどくさい話ならお断りだけどね」
「め、めんどくさい、か……でも、女の子って大概めんどくさい生き物だったりしない?」

まぁ、わかる気はする。
力だって抑えてなかったら色々壊しちゃったりするし、生理になったら蒸れるし臭いしイライラするし。

おりもので尿道塞がった時なんか……いや、こういうことじゃないんだろうけど。
力云々は完全に私たち女神特有の悩みだ。

「まぁ、そう言われればそうかもしれないね。私だって、傍から見たらかなりめんどくさいんだろうな、って自覚はあるから」
「は、話してもいい?私のこと……」
「壁にでも話してろよ、なんてことはさすがに言わないけどね。でも聞いたからって、私がちゃんとそれに対してアクションするかは別だからな」
「わ、わかってる。聞いてもらったら少しすっきりするかも、って言う程度だから」

すっきりしたかったらマスターベーションでもしてればいいのに。
あれは自己満足だけど、意外とすっきりした気分にしてくれる。

千春の家は、両親が離婚していて父が千春を引き取った家だった。
離婚したのは千春が中二の頃で、それから一年ほどして父は知らない女を家に連れてくる様になった。
現在の継母ままははというやつで、まだ二十代らしいが事実上の母親になる。

元の母親も、他の男と籍を入れて完全に他人になったという。
元の母に会いに行くことは、現在の家庭において邪魔をすることにしかならない、と彼女なりに考えて、会いに行くのは控えているらしい。
現継母は、そんな千春を疎ましく思っているらしく、表面上は可愛がっている風を装っているが、家で二人で居る時などは会話など皆無。

それどころか、夕飯も敢えて千春の好まないものを出してくる等、密かな嫌がらせに近いことをしてくる様になった。
それを見た父は、千春が苦手を克服したのだと勘違いして喜んだという。
そんな父の喜びを無にしない為に、千春は嫌いなものを頑張って食べているのだとか。

そして、今年に入って継母は自らの子を身篭った。
今でこそ安定期に入っているが、つわりがひどかった時などはそれはもう荒れて大変だったと語る。

「具合が悪そうだから、私が代わりにご飯作ったりしようとしたら、台所に入るな、って。だったら、って課題とかやってたら、何でこんなに具合が悪いのに手伝い一つしないのか、って」
「何だそれ、理不尽だな。女ってのはそんなもんか?」
「えっと……多分私が気に入らないだけなんだと思う。いい子を演じてる、みたいにお父さんに告げ口されたこともあって……お父さんとも、最近まともに会話してないかな」
「なぁ、何でそれで甘んじてるわけ?あんたの家はあんたの家なんだろ?今のままじゃ、本当に居場所なくなっちまわないか?」
「養われてる身ではあるから……」
「つっても、十八までは親には扶養義務があんだろ?勝手に作っておいて、それ放棄するとかありえないでしょ」
「放棄はしてないよ、多分……その辺は多分わかってるんだろうから。お小遣いもそれなりにくれてるし」
「小遣いって……あんた、金さえもらえれば満足なわけ?」

明るく話しているつもりだったのであろう彼女の顔が曇り、次第に俯き加減になっていく。
もちろん、そんなことを言ってるのではないことはわかっている。

「そうじゃ、ないよ。正直な話、どうしたら良いのかはわからない。友達とか煩わしいから家に連れてこないで、ってお母さんが言ったときはさすがに傷ついたけど……」

煩わしい、か。
私が常に思っていることだが、人から聞かされると少し違ったニュアンスに聞こえる。
そして、少しイラっとした。

「あんた、寂しいんだ?」
「え?」
「だってさ、家に帰っても事実上一人じゃん。その上今の継母が子ども生んだらもうマジで居場所ないんじゃね?」
「……そうだね」
「居場所ってのは、誰かが用意してくれるもんじゃないよ。自分で作り出してこその居場所だろ」
「…………」

唖然とした表情で千春は私を見る。
まぁ、こんな偉そうなことを言いながら、私の今の居場所は間違いなく親が与えてくれたものだ。

しかし、そこを自分の居場所だと思えてるのは、自分の意思があるからだと私は考える。
彼女はおそらくそのことを見失っている。
だから、気づかせてあげようなんて……お節介もいいところだ。

「あんたは、どうすれば満足なんだ?父親に構ってもらえる様になることか?継母に受け入れられることか?」
「……わからない」
「何で?自分のことだろ?」
「そうだけど……」
「だったら想像しろよ。自分が家族に受け入れられて円満な様子を。楽しく過ごせている様子を。それができなくて私に歩み寄ってきたあんたが、今私に……その、受け入れられて、どうなんだよ?」
「何で照れてるの……」
「う、うるさいな。いいから想像してみろっての」

私は残ったポテトをコーヒーで流し込んで、千春を見守った。

「何か、いいかも」
「そう思えるんだったら、そこはあんたの居場所候補なんじゃないの?あくまで候補だけど」
「なのかなぁ」
「確かに普通の家庭と違って、母親はあんたと歳が比較的近いけど、逆にそれって、会話に事欠かないってことにもなるだろ。話題は沢山あるわけだ。父親は元々の血縁なわけだし」
「…………」
「変わった環境だから、って諦めるならそれも一つの手段だろうとは思うけどね。それで前に進めるならそれでもいいんじゃない?」
「乃愛さん、すごいね」
「何がよ。私は別に凄くなんか……」
「人の環境なのに、そこまで想像できるって。私、そういうのなかなかできないから……」
「人の環境だろうが、自分の環境だろうが、ただの妄想みたいなもんだよ。それが少しでもいいって思えたなら、あとは自分で動くしかないんじゃないのか?」
「そ、そうかな。でも、拒絶されたらって考えると……」
「そしたらそれはその時考えたらいいじゃん。今から弱腰でどうするんだ?前に進まないままで消極的になってても、私はあんたの家族になってやることはできないんだ」

千春の少し大きめの目がはっとして見開かれる。
多分この子は私に家族の様な、深い友達付き合いを期待していたのだろう。
しかしそれは仮初めの関係で、本物とは呼べない。

彼女の逃げ道にしかなっていない。
彼女の悩みを、根本から解決できる手段にはなりえない。

「あんたが私に望んだのは、友達だろ?今日知り合ったばっかりの人間に、家族になってくれったってそりゃさすがに無理だよ」
「本当、ズバズバくるね……」
「それは前置いてあったはずだけどね。きついか?」
「ううん……逆に清清しい。怖がってても成長はできないもんね」

少しだけ、彼女の表情が明るくなった。
こんな私の言葉でも、得るものがあったのだろうか。
自分が望むことを、相手に伝えるということ。

それを押し付けるのではなく、お互いの妥協点を見つけること。
それがいかに難しいか、なんてのは私には本の中の出来事でしか知らないからわからない。
だけど、現在彼女は岐路に立たされている。
そこからちゃんとした道筋を見つけられるかは彼女次第なのだ。

「まぁ、何かするって言うなら手伝うくらいは出来る。友達でもな」
「うん、ありがとう。でも、これは私自身がやらないといけないって思うから。じゃ、帰ろうか。こんな暗い話、聞いてくれてありがとう」

そう言って彼女はトレーを手にして立ち上がる。
私もトレーと鞄を持って、後に続いた。
果たして上手く行くのだろうか。

随分と無責任なことを言った気もする。
こじれたりしなければ良いが……。


「ほー、乃愛ちゃんにお友達かぁ」

母がニヤニヤと腹の立つ顔をしながら、私を見る。
嬉しそうにも見えないことはないが、やはり何かムカつく。

「何?悪いの?」
「いやいや、嬉しいんだって。あの時から乃愛ちゃん心を閉ざしてる感じだったからさ。やっと心開ける相手が見つかったんだと思って」
「別にそういうんじゃない。あんまりにも友達になってくれってしつこいから、じゃあ根性でも試してやろう、って思っただけ」
「へぇ……それにしては割と真剣に相談に乗ってあげてたみたいだけど」
「見てたの!?趣味悪いよほんと」
「ごめんね、娘が学校生活ちゃんとやれてるか心配だったから、ついね」
「…………」

別に、見たければ勝手に見たらいい。
それで何が変わるというわけでもないんだから。

「あの子はきっと、乃愛ちゃんにとってかけがえのない友達になるね」
「……うっざ、そういうのいいから」
「つれないなぁ」
「あいつと同じこと言うのやめてくれる?マジでうざいから」

特別反抗期というわけでもないが、こういう構われ方をするとイラっとしてしまう。

「乃愛ちゃん、私とかパパはいいけど……まさかあの子にもそんな接し方なの?」
「見てたんでしょ?あのまんまだよ。それで何処まで着いてこれるかを見てるんだから」

残念そうな顔をしているが、心配はしていない。
そんな顔だった。
早めの夕飯を済ませてしまった私は、さっさと風呂に入って明日の学校の支度をする。

そういえば連絡先を交換してない。
まぁ、メールとか鬼みたいに送られても面倒だし、なんて思って読みかけの本を開いた。

翌朝、学校に行く途中でコンビニに寄って昼食を調達する。
そういえば千春はいつも昼どうやって用意してるんだろうか。
学食だってバカみたいに混むし、あそこで買ってるんだったらちょっと可哀想かな。
つい甘さが出て、余計かなと思いながらも彼女の分も買ってしまう。

学校に着いて、教室に入ると異変に気づいた。

「お前、その顔……」
「あ、乃愛さん」

千春が寄って来る。
その顔には、片目を覆う様に包帯が巻かれていた。

「それ、どうしたの?」
「あはは、ちょっと……」

軽く笑う彼女だったが、目は笑っていない。
まさかとは思うが、継母にやられたんじゃないだろうか。

「あとで、話すから……」

そう言って彼女は自分の席へ行く。
私は痛々しい姿の千春から目が離せなかった。

千春は先生にも心配されていたが、大丈夫の一点張りだった。
どう見ても大丈夫じゃない。
もちろん、突如中二病にでも目覚めたとかなら話は別だが、私の嗅覚は彼女の血の匂いを捉えていた。


「んとね……失敗、しちゃったんだ」

昼休み、チャイムが鳴ると同時に私は千春を連れて屋上にきた。
鍵が向こうから開かない様に施錠して、話が漏れない様に配慮する。

「失敗って……何しようとしたんだ?」

継母のことに違いないが、一体何をしたらこういう結末になるのか。

「昨日ね、あの後ケーキを買って帰ったの。私とお母さんとお父さんの分」
「ああ」
「でね、みんなで食べようと思って、帰ってすぐお母さんに渡そうとしたんだけど」

その時、折り悪く母は機嫌が悪かったらしい。
そんなもの、と母は千春を突き飛ばした。
その時、テーブルに置いてあった酒瓶が落下して、床で割れた。

そして、運悪くその割れたガラスの上に、彼女は倒れてしまったのだ。
軽く悲鳴を上げて彼女は呻いていたそうだが、母は何とそのまま千春を踏みつけた。
やめてくれと何度も言ったが、母はそれをやめなかった。

やがて出血量が尋常でないことに気づいて、母は慌てて暴行をやめて救急車を呼んだ。
幸い眼球には傷がつかなかった様だが、目の上を四針縫う大怪我だった様だ。

「……ごめん、私が無責任なこと言った」
「ちょっと、違うよ。私がっていうか、タイミングが悪かっただけだから」
「違う。もっと、慎重に考えるべきだった。なのに楽観してた私に非がある。ほんとに、ごめん……」

何でそういう可能性に、思い至らなかったのか。
顔は女にとって、命と言われるものなのに。
それを傷つける様な結果を生んだのは、私の提案だ。
それに従って動いた彼女に責任はない。

「乃愛さん、本当大丈夫だから。仕方なかったんだよ」
「仕方ないことなんかあるか!お前、何でそんな目に遭ってまでヘラヘラ笑ってんだよ!」
「だって、それでも乃愛さんは友達でいてくれるから」
「その友達の提案で、そんな目に遭ったのにか!?そんな目に遭ってまで、私なんかと友達でいたいのかよ!」
「そうだよ!!だって、あんなに親身になって話を聞いてくれたじゃない!!あんなに真剣にアドバイスくれたじゃない!!なのに恨むなんて、できないよ!!」
「恨めよ!!私がいなかったら、お前は今そんなことになんかなってないんだぞ!!」
「そんなことない!!乃愛さんがいなくても、いつかはきっと同じことになってた!!」

見た目と違って、千春は割と頑固だった。
私がいくら突き放そうと、怒鳴りつけようと、絶対離れるとは言わない。
こんな目に遭ったのに、それでも一歩踏み出せた、と言う。
どうかしてる。

「私、もう逃げるのやめたの。乃愛さんが、勇気をくれたから。だから私は自分の居場所を、自分で見つけるんだもん」
「ほんと、バカじゃないの?私のことなんかほっとけよ……」

私はそれ以上千春を見ていられなくて、朝買った彼女の分の昼飯を手渡して教室に一人で戻った。
追ってくる様なことはなかったが、私は諦めないと、開いている方の目が言っていた。

放課後、私は彼女に監視の力を使った。
神の力で人間の目には見えない追跡する生物を生み出して、彼女の行動を見守ることにしたのだ。
今のまま彼女が、継母に関わろうとするのは危険だと考えた。

昨夜の今日で、継母の精神状態は普通でない可能性がある。
そうなると、最悪命の危険があるかもしれない。
私の発言が招いた事態なら、私の手で終わらせる。
何もなければ、それで良い。
だが、何かあると、私の中の何かが告げていた。

幸か不幸か、今日は一緒に帰ろうと千春は言わなかった。
彼女なりにきっと、継母と関わる手段を考えているのだろうと思う。
帰りに性懲りもなくケーキを買ってるあたり、確かに諦めてはいないのだろう。

昨日ダメになっちゃったから、と思ってるのかもしれない。
私はと言えば、自室で本を読みながら様子を探っていたが、本の内容など一向に頭に入ってこない。

「荒れてるね。そんなにお友達、心配なんだ?」
「うるさい。私が無責任なこと言ったせいでああなったんだ、私が責任取るのなんか普通だよ」
「だけど、乃愛ちゃんがああ言わなかったら、あの子は今もきっとお母さんの影に怯えてたんだよ?」
「それと怪我するのは、イコールである必要がないだろ。それにあいつは女だ。女が顔に傷を負うってことが……」
「わかるよ。なら乃愛ちゃん、ちゃんと見守ってあげてね。いざとなったら、助けてあげるんだよ?」
「言われるまでもないよ。集中したいから、出てって」

母は本当にお節介だ。
私のお節介はきっと、あの両親の遺伝に違いない。
と思った、その時だった。

千春が継母に話しかけているのが見えた。
料理を作っていた継母は、包丁を握っている。
声が届いてこないのがもどかしい。

継母は体を震わせて何かを千春に訴えかけている様だ。
千春は笑って、それに対して何かを言っている。
そして、継母が包丁を再度手にした。
これはまずい。

気づくと私は封印を解除して、千春の家にワープしていた。
この際、正体がバレるとか言ってる場合じゃない。

「何よ、誰なのよあんた!!」

継母からいきなり矛先を向けられ、包丁が振りかざされる。

「の、乃愛さん!?」
「千春、下がって!」

私は右腕で包丁を受け止めた。
私の右腕に触れた瞬間、包丁が砕けて霧散する。

「!?」
「あんた、それでも母親なのか……」
「の、乃愛さん……」
「千春が、どんな思いであんたに歩み寄ろうとしたのか、考えたのか?」
「考えたわよ!それでも、この子と仲良く出来る気がしなかった!!」
「それは、あんたの勝手だろう……千春は、こんな目に遭ってもあんたと家族であることを選んだ。あんたと父親の子を家族として迎えようとしていたんだ!!」
「だったら何なのよ!!こんな……」

継母がテーブルに置かれたケーキの箱を、掴んで投げようとした。
その手首を掴み、私は捻り上げた。
痛みに呻いて、恨みの篭った目で私を見る継母。
その目は常軌を逸している様に見える。

「乃愛さん、大丈夫だから……」
「お前、殺されるかもしれなかったんだぞ……何でそんな顔してんだよ……」

千春は今朝と違って、心から嬉しそうな顔で笑う。
その目を直視していられなくて、私は継母に視線を移す。
何やらぶつぶつと呟いて、今にも暴れだしそうに見える。

「あんたは、やっちゃならないことをしたんだ。その罪を悔いろ。自分の子どもに顔向けできる様にな」
「あんたに何がわかるのよ!!私のせいで、この子はこんな傷を……」
「そう思うんだったら、ちゃんと償う方法を考えるんだな。夜も眠れないほどに思い悩むくらいなら、いずれは見つかるだろうよ」

私は力を使い、継母の意識を奪った。
目の下に刻まれた隈が、先ほどの言葉を裏付けている。
こんな形でも眠らせてやることで、もしかしたら落ち着きを取り戻すかもしれない。

それに、この女の腹には子どももいる。
ここで命を奪うことはできないと思った。

「乃愛さん、その姿……」
「……怖いか?」
「……かっこいい」
「は?」

予想もしていなかった返しに、思わず間抜けな声が出る。
こんな悪魔みたいなカッコ、怖がらないやつがいるのが驚きだ。

「乃愛さん、それ、どういう原理で動いてるの?」
「原理って……まぁいいや、とりあえず母親をベッドに運ぶぞ。寝室はあっちか?」
「あ、うん」

継母をベッドに寝かせ、寝室を出る。
こんなカッコだが、千春は怖がるどころか私を見回してため息をついていた。

「うちは、普通の家庭じゃないんだ。というか、両親も私も、人間じゃない」
「コスプレ、とかじゃないんだよね?」
「殴るぞ、お前」
「ご、ごめん……これ以上痛いのはちょっと……」
「…………」

昨日のことがあって、千春はある種のトラウマを抱えたことだろうと思う。

「これが、本来の姿なんだよ。お前ら人間が不思議と思える様なことも、沢山できる。さっき包丁を消滅させたみたいにな」
「あれ、すごかった」
「凄かった、じゃないっての。お前、何であんな無茶したんだよ」
「だって、お母さん昨夜、ずっと悩んでたみたいだったから……」
「それにしたって、本当に下手したら死んでたんだ。危ないと思わなかったのか?」
「それでお母さんの気が晴れるなら、って思った」
「バカか。それで継母が殺人犯になって、あのお腹の子どもはどうなる?娘と妻と両方失ったお前の父親は?お前一人がすっきりしたらそれでよかったのか?」
「……ごめんなさい」
「私に謝っても仕方ないだろ」
「……それより、何で私が危ないってわかったの?」
「それも、私の力の一つだよ。お前の様子をリアルタイムに探ってた。もう解除したけどな」
「そっかぁ……心配かけて、ごめん」
「し、心配っていうか……私の無責任が招いた事態なんだ。責任取るのは普通だよ」
「だから、乃愛さんのせいじゃなくて、乃愛さんのおかげで私は一歩踏み出せたんだよ」
「お前、おかしいよ。私なら絶対恨む」
「私は感謝してるもん」

千春はお茶をいれてくれた。
その茶を飲み、やはりこの右腕だと不便だしあとでまた封印してもらおうなどと考えた。

「千春、お前が望むなら、その傷……跡も残さないで治してやれるぞ」
「大丈夫。前髪で隠すし……それに、この傷がなくなったら私はきっと、同じこと繰り返しちゃうから……できるなら、お母さんが落ち着ける様なこと、できないかな?」
「そんなことでいいのかよ。お前自身のトラウマとかも、消してやれるんだぞ?」
「だって、それも私が生きてるって証だもん。一つでも消されたくない。乃愛さんが導いてくれたって証だもん」
「お前、すごいよ。はぁ、負けた負けた。私の負けだ」
「何が?何か勝負してたの?」
「何でもない。私は、お前の友達でいていいんだな?」
「当たり前だよ。いきなりいなくなったり、しないでね?」
「するかよ。お前こそ、私の正体見てビビッてないわけ?」

千春の願いでもあるので、私は継母の頭に手をかざして不安を取り除く様力を行使する。
気を失って尚強張っていたその表情が、少しずつ柔らかくなっていった。

リビングに戻る時に姿見に映る自分の姿を見て、やはりこんなのは人間じゃないと思う。
こんなのが友達なんて……。

「乃愛さん、姿とか育ちとか、関係ないよ。私の友達はちょっと変わってる、ってくらいの認識だから、私」
「お前の方が断然変わってるよ。普通、こんなの見たら深いこと聞きたくならないのか?」
「なるけど、触れてほしくないんじゃない?聞きたくなったら聞くし、答える気になったら答えてくれるんでしょ?」

やはりこいつにはちょっと敵わない。
連絡先を交換するのを思い出し、私は携帯を探したが部屋に置いてきたことを思い出した。
明日また交換しようと約束をする。
ひとまず千春は大丈夫だろうと私は自宅にワープして、母に封印を施してもらう。


「やっと、少し友達っていうのがわかってきた?」
「べっつに。ただめんどくさいだけだよ。この姿見ても怖がらなかったのは意外だったけど」
「まぁ、見た目で友達作るわけじゃないからね。それに、乃愛ちゃんはもうわかってると思うけどな」
「……何が?」
「あれだけ一生懸命……いや、わかってるなら、いいや」

そう言って封印を完了して、母は夕飯の準備に戻った。
友達、案外悪くないものなのか?
見た目や印象、過去を排除して尚一緒にいられる関係があるのであれば、私はそれに少しだけ賭けても良いのかもしれない、と思い始めていた。
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