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対乙女ゲーム令嬢 案件
文化省の合同調査依頼
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私とタロウが魔法省に戻ると、課長が心配そうに出迎えた。無表情だから表情には出ていないがどこかソワソワしている。
「おお、帰ったのか。リンデンからの苦情があった上に、タロウからお前が落ち込んでいたとの情報が入ったので、少し心配していたんだ。今回はそんなにも大変だったのか?」
「課長、大丈夫です。無事案件を解決することができました。」
「そ、そうか。タロウが心配して物凄い勢いで世界へ飛んで行ったのを見たもので、まさかとは思ったが……杞憂に終わったようでなによりだ」
「あ、タロウさん本当に飛んできてくれたんですね」
「な?! 俺は飛んで行ってない!」
タロウは目を見開くと、即座にフイッと目を逸らす。別に否定しなくてもいいのに。
そんな私達の横で、課長は早くも報告の処理をするべく、カードを用意し始めた。私の胸のバッジとカードが共鳴して光り、報告がなされる。同時に課長にも内容がシェアされたらしい。
「なるほど、これは大変だったのだな。一度挫折しているようにも見える。お、リンデンの苦情の原因はこれか」
あ、リンちゃん……課長に報告してたんだ。怖かったんだねごめんよ。
「しかし、無事解決できたらしいな。最後は想定外だったらしいが、結果オーライといったところか」
本当に結果オーライだったと思う。正直、最後に隠しルートに進まなければ、危ないところだった。ここまで運命の強制力が強いと思ってなかったからだ。あのままではノン悪疑惑の令嬢の救済から、悪役令嬢の救済という厄介に発展する恐れがあった。
しかし、別の受け取り方をすれば、努力は報われるということが証明されたようにも感じる。運命に抗うように必死に努力した結果、別の方法ではあるが開花することができたのだ。これはきっと私達が運命を切り開くことが出来たと言っても過言ではない。
「はい、万事解決です!」
自信満々で返事してやった。
「ふむ、それは良かった。お、なんだ。途中でタロウと接触しているのか」
「そんなことまで記録されるのか?!」
急に焦り出すタロウ。
ーーそうなのだ、このカードによる報告は手間が省ける一方で、細かい所まで機械的に報告されてしまうため扱いは要注意なのだ。
「ほう、タロウも意外と一役買ったらしいな」
とても恥ずかしそうに、頭を掻きむしっているタロウ。まさかばれるとは……っという感じだろうが、別に悪いことではない。
むしろ正直、途中でタロウから元気をもらったことは私の中では大きい。誇るべきところだ。
「タロウさん、あの時助言ありがとうございました。おかけで気持ちを切り替えることが出来ました。」
「いや、あれはその、視界に入ったからであって……」
「タロウさんって、意外にも優しい方だったんですね」
「意外って……いや、その……」
目線を合わすことなく、片言に話すタロウ。頭をかきむしると、こちらをちらっと一瞥していった。
「まあ、今回は無事に終わってよかったんじゃん」
少し耳が赤い。照れているのかな?
目を合わせることはないが、「お疲れ様」と言ってくれた。
そんなタロウを課長と私でほほえましく見ていると……
ーー直後、来客を示すベルが鳴り響いた。
「……お客様でしょうか?」
「あのぅ、悪役令嬢おたすけ課はここでしょうか?」
「はいそうですが……」
「私、魔法省文化局の者なのですが、お願いしたいことがあるのです」
水色のおさげ髪にワントーン明るい水色の目、丸縁眼鏡の可愛らしい少女が立っていた。
少女はローリン。文化省文化維持局、儀式・祭事部、鑑査課の魔法少女だ。文化省の知的さを現す紺色の制服に、白のリボン。祭事系の鑑査課を現すのかロウソク柄のバッジがついている。
ーー私と課長と、何故かタロウも加わって話を聞いた。
「実は、私の管轄している案件で、悪役令嬢おたすけ課の事案と思われるものを発見したのです。本来なら令嬢本人の依頼が無ければ関わらないべきなのではあるかと思いますが、私の担当している案件と直結する事態となっていて、共に行動する必要性を感じました。」
ローリンは、儀式・祭事関連の鑑査の職務を行っている。今回の案件はとある世界での占いの信憑性について調査するものだった。ある女性の行う占いが当たりすぎるらしい。
この女性は既に占いの信憑性から世界に信望があり、後に世界に与える影響がさらに大きくなるだろう懸念があった。そのため、事前に世界を動かすに値する存在なのかを調査することになったのだ。
ローリンが調査を進めていくと、次第にその占い師に関して不審な点がいくつか浮上してきたらしい。
なんと、この占い師はただの占い師かと思いきや、その信憑性を利用して、その世界で自分の意のままに周りを翻弄しているようなのだ。
特に被害を受けたのは、今回悪役おたすけ課案件に繋がる令嬢だ。元々この国の王妃候補だったのだが、見目麗しい王子に惹かれた占い師が令嬢についての悪評を周りに吹き込み、立場を乗っ取ろうとし始めたせいで、悪役令嬢にされつつあるらしい。
占いで世界を救うと思いきや、自分の欲のままに周りを巻き込む占い師の姿にさすがに堪忍袋の緒が切れたローリンは、女性の本性を明かし、ノン悪令嬢を救うため、私達に協力を申し出てきたとのこと。
「では、ノン悪令嬢を救いつつ、その占いの捜査に協力すれば良いという訳ですね」
「はい、突然のお願いではありますが、引き受けてもらえませんでしょうか?」
私は課長を見た。課長は目が合うと頷く。
「うむ、他の部署との連携は今後のためにも経験しておくべきであろう。君に新しい案件を言いつける」
「かしこまりました。ではお受けします」
「ありがとうございます……!」
「まて、俺も一緒に向かう」
「え、タロウさんも?」
「ああ、何かが引っ掛かる。俺個人的に少し見ておきたい」
「……? 分かりしました」
タロウの魂胆が分からないが、拒む理由も無いため同意しておく。
「幹部候補生の前だなんて……緊張します」
ローリンは少し困ったように笑った。
「俺のことはただの壁だと思ってください」
「よくしゃべる壁ですね」
「君は黙っておけ、エミリー」
◇◇◇◇◇◇
私達は再び異世界転移用の扉の前に来た。ぎょろっとした目が開き、本人確認と異世界への接続が行われる。
「俺の我儘で……ローリンさん、お手数おかけします」
「いえいえ、いいのよ。そういえばあなた、周りからはヴィンセントって呼ばれているらしいけど、タロウでいいの?」
「いえ、あの馬鹿が俺の話を聞かずに勝手に呼んでいるだけです。是非ともヴィンセントとお呼びください」
「あら、そうなの。分かったわヴィンセント」
2人の会話を聞いて子首を傾げる私。ん?タロウが敬語を話してる? さらっと馬鹿と聞こえたが、会話の方が気になる。
「あれ、ローリンさんってタロウさんの先輩なのですか?」
「あら、貴方知らないのね。私幹部候補生は仕事柄覚えているのだけど、ヴィンセントはあなたの5つ上程度の年の差よ。だから、この世界の基準ではあなたとさほど変わらないわね」
なに?! タロウは結構上の先輩であると思っていたのに……実は年が近かったのか?なんて貫禄のある同世代。
いやむしろ落ち着きすぎだろ。
「その顔、信じられないって顔だな。同世代なのは知ってたぞ。なんならお前が落ち着きがないだけだ」
「え、だって明らかに先輩風吹かして……」
「いや先輩だけどな、そこまで離れてないだけだ」
「ちなみに、私は10上になるわね」
「御見それしました……」
魔法少女なので年齢が外見に出ないため知らなかったが、ローリンは上だったらしい。少し可愛いと思ってすみませんでした。
「ほら、行くぞ」
私が驚いていると、扉が開かれたのだった。
「おお、帰ったのか。リンデンからの苦情があった上に、タロウからお前が落ち込んでいたとの情報が入ったので、少し心配していたんだ。今回はそんなにも大変だったのか?」
「課長、大丈夫です。無事案件を解決することができました。」
「そ、そうか。タロウが心配して物凄い勢いで世界へ飛んで行ったのを見たもので、まさかとは思ったが……杞憂に終わったようでなによりだ」
「あ、タロウさん本当に飛んできてくれたんですね」
「な?! 俺は飛んで行ってない!」
タロウは目を見開くと、即座にフイッと目を逸らす。別に否定しなくてもいいのに。
そんな私達の横で、課長は早くも報告の処理をするべく、カードを用意し始めた。私の胸のバッジとカードが共鳴して光り、報告がなされる。同時に課長にも内容がシェアされたらしい。
「なるほど、これは大変だったのだな。一度挫折しているようにも見える。お、リンデンの苦情の原因はこれか」
あ、リンちゃん……課長に報告してたんだ。怖かったんだねごめんよ。
「しかし、無事解決できたらしいな。最後は想定外だったらしいが、結果オーライといったところか」
本当に結果オーライだったと思う。正直、最後に隠しルートに進まなければ、危ないところだった。ここまで運命の強制力が強いと思ってなかったからだ。あのままではノン悪疑惑の令嬢の救済から、悪役令嬢の救済という厄介に発展する恐れがあった。
しかし、別の受け取り方をすれば、努力は報われるということが証明されたようにも感じる。運命に抗うように必死に努力した結果、別の方法ではあるが開花することができたのだ。これはきっと私達が運命を切り開くことが出来たと言っても過言ではない。
「はい、万事解決です!」
自信満々で返事してやった。
「ふむ、それは良かった。お、なんだ。途中でタロウと接触しているのか」
「そんなことまで記録されるのか?!」
急に焦り出すタロウ。
ーーそうなのだ、このカードによる報告は手間が省ける一方で、細かい所まで機械的に報告されてしまうため扱いは要注意なのだ。
「ほう、タロウも意外と一役買ったらしいな」
とても恥ずかしそうに、頭を掻きむしっているタロウ。まさかばれるとは……っという感じだろうが、別に悪いことではない。
むしろ正直、途中でタロウから元気をもらったことは私の中では大きい。誇るべきところだ。
「タロウさん、あの時助言ありがとうございました。おかけで気持ちを切り替えることが出来ました。」
「いや、あれはその、視界に入ったからであって……」
「タロウさんって、意外にも優しい方だったんですね」
「意外って……いや、その……」
目線を合わすことなく、片言に話すタロウ。頭をかきむしると、こちらをちらっと一瞥していった。
「まあ、今回は無事に終わってよかったんじゃん」
少し耳が赤い。照れているのかな?
目を合わせることはないが、「お疲れ様」と言ってくれた。
そんなタロウを課長と私でほほえましく見ていると……
ーー直後、来客を示すベルが鳴り響いた。
「……お客様でしょうか?」
「あのぅ、悪役令嬢おたすけ課はここでしょうか?」
「はいそうですが……」
「私、魔法省文化局の者なのですが、お願いしたいことがあるのです」
水色のおさげ髪にワントーン明るい水色の目、丸縁眼鏡の可愛らしい少女が立っていた。
少女はローリン。文化省文化維持局、儀式・祭事部、鑑査課の魔法少女だ。文化省の知的さを現す紺色の制服に、白のリボン。祭事系の鑑査課を現すのかロウソク柄のバッジがついている。
ーー私と課長と、何故かタロウも加わって話を聞いた。
「実は、私の管轄している案件で、悪役令嬢おたすけ課の事案と思われるものを発見したのです。本来なら令嬢本人の依頼が無ければ関わらないべきなのではあるかと思いますが、私の担当している案件と直結する事態となっていて、共に行動する必要性を感じました。」
ローリンは、儀式・祭事関連の鑑査の職務を行っている。今回の案件はとある世界での占いの信憑性について調査するものだった。ある女性の行う占いが当たりすぎるらしい。
この女性は既に占いの信憑性から世界に信望があり、後に世界に与える影響がさらに大きくなるだろう懸念があった。そのため、事前に世界を動かすに値する存在なのかを調査することになったのだ。
ローリンが調査を進めていくと、次第にその占い師に関して不審な点がいくつか浮上してきたらしい。
なんと、この占い師はただの占い師かと思いきや、その信憑性を利用して、その世界で自分の意のままに周りを翻弄しているようなのだ。
特に被害を受けたのは、今回悪役おたすけ課案件に繋がる令嬢だ。元々この国の王妃候補だったのだが、見目麗しい王子に惹かれた占い師が令嬢についての悪評を周りに吹き込み、立場を乗っ取ろうとし始めたせいで、悪役令嬢にされつつあるらしい。
占いで世界を救うと思いきや、自分の欲のままに周りを巻き込む占い師の姿にさすがに堪忍袋の緒が切れたローリンは、女性の本性を明かし、ノン悪令嬢を救うため、私達に協力を申し出てきたとのこと。
「では、ノン悪令嬢を救いつつ、その占いの捜査に協力すれば良いという訳ですね」
「はい、突然のお願いではありますが、引き受けてもらえませんでしょうか?」
私は課長を見た。課長は目が合うと頷く。
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「ありがとうございます……!」
「まて、俺も一緒に向かう」
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「ああ、何かが引っ掛かる。俺個人的に少し見ておきたい」
「……? 分かりしました」
タロウの魂胆が分からないが、拒む理由も無いため同意しておく。
「幹部候補生の前だなんて……緊張します」
ローリンは少し困ったように笑った。
「俺のことはただの壁だと思ってください」
「よくしゃべる壁ですね」
「君は黙っておけ、エミリー」
◇◇◇◇◇◇
私達は再び異世界転移用の扉の前に来た。ぎょろっとした目が開き、本人確認と異世界への接続が行われる。
「俺の我儘で……ローリンさん、お手数おかけします」
「いえいえ、いいのよ。そういえばあなた、周りからはヴィンセントって呼ばれているらしいけど、タロウでいいの?」
「いえ、あの馬鹿が俺の話を聞かずに勝手に呼んでいるだけです。是非ともヴィンセントとお呼びください」
「あら、そうなの。分かったわヴィンセント」
2人の会話を聞いて子首を傾げる私。ん?タロウが敬語を話してる? さらっと馬鹿と聞こえたが、会話の方が気になる。
「あれ、ローリンさんってタロウさんの先輩なのですか?」
「あら、貴方知らないのね。私幹部候補生は仕事柄覚えているのだけど、ヴィンセントはあなたの5つ上程度の年の差よ。だから、この世界の基準ではあなたとさほど変わらないわね」
なに?! タロウは結構上の先輩であると思っていたのに……実は年が近かったのか?なんて貫禄のある同世代。
いやむしろ落ち着きすぎだろ。
「その顔、信じられないって顔だな。同世代なのは知ってたぞ。なんならお前が落ち着きがないだけだ」
「え、だって明らかに先輩風吹かして……」
「いや先輩だけどな、そこまで離れてないだけだ」
「ちなみに、私は10上になるわね」
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