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負け犬じゃねぇか【短編】
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はっと気付いたのですが。
彼、サンフランシスコの時間で深夜1時くらいになるところでした。
少なくとも俺が見ている前で、酒は何かカクテルを2、3杯飲んでいたでしょうか。
つまみだとか、飯だとか、そんなものすらなく、まぁ飲んだくれのような飲み方をしていることに気が付きました。しかしながらペースはスロー。俺ですらせめてもとピーナッツくらい齧っているわけなのに。この人、多分俺と違って1軒目だろうに。
フラッと訪れた、そんな雰囲気でもない。俺なんかに遠慮とか、しているのだろうか。
「ごめん、気付かんかったんだけど、君、なんか食いました?」
「いや。まぁ飲んでるし」
「それは医師としてどうなんですか」
「医者ねぇ…。まぁ医師として言うなら君、飲みすぎじゃねぇかな。
まだ20だろ。流石にあかんと思う。よく吐かねぇな。てか、」
「ん?」
「手、震えてねぇか?」
あぁ。
それは少し、着火点ですねぇ。
「…まぁあれっすよ。後遺症ってやつです。ほら、わりと俺ジャンキーだから」
「…そうか」
それだけ言う彼は言葉のあっさりさとは裏腹に、なんだかとても、微妙な、物悲しさやら憐れみやら、なんだかそれに近いのだろう、言い表せない表情で俺を見る。それがやはり俺には気に入らないのです。
この男やはり好きじゃない。
「…そんな目で見んなよ、いまは、」
「…金上くん」
「何?」
しかしどうやら彼のそれはもう少し、そう、純粋で。はっきり名前は呼んだくせに続ける言葉は「これから家来る?まぁ飲み直そう」と消え入りそうに言われてしまいまして。
「てか、金ないんだろ、よっちゃん」
それにもイラッとして。
何故野郎の家などに夜中、てか一晩泊まるのかと思うと断ってしまいたかったのですが、ふと半にやけで前に滑らされた灰皿が吸殻と灰まみれで。
全てマルボロ。
それを見てテーブルに出されたパッケージに手を伸ばして一本出そうとすれば軽く、一本もなくてまたイラッとするも、はっと彼のポケットから出されたマイセン。残り2本。
これは俺の中のスモーカースイッチ、とっくに切れている。タバコを切らした俺が言うことでもないのですが。
てゆうか、マイセン。なんなのこのオシャレJTクソ野郎。一本引き抜いてからぶん投げるように返して差し上げました。
それを見た一之江、楽しそうに、残り一本、テーブルに飛び出てしまったやつを拾って口元に運んでいました。
その時に俺は見つけたのでした。
右手の細い中指に、吐きダコを。
何故吐きダコだと解ったのか。それは俺も、後遺症と呼べるほどではありませんがまぁ、そういう方特有のクセやらなんやら精神的なそれで、一時期その症状には悩みましたから。
「たまにはいいだろ、マイセン」
気付けば。
挑発的でした。彼の目付きが非常に。なんと言うか、目は煌々と笑ってなどいない、しかし口元はにやりとしてるんです。恐らくは、俺がそれに気付いたことに、気が付いての態度なんでしょうが。
「…こっちには売ってないでしょ」
「少し買い置きがあってな。君ほど吸うわけでもまぁ、ないし。免税店とかな」
「なるほどね」
正直このタバコはあまり好きではないのです。湿気ちまった味がして仕方ない。日本ではやけにまぁ、そう。なんとなくこういう大学デビューみてぇなやつが吸ってそうな勝手なるイメージ。と言うか俺はJT、案外好きじゃないのです。セブンスター吸うくらいならラッキーストライクを吸います、みたいな。それくらいに被れてますよ。それくらいあの町が、あの国が、あの場所が嫌いなんです。
フィルターギリギリまでスッカスカのよくわからん味のした煙を味わって灰皿に捨てれば彼は、頬杖ついてとっくに吸い終わっていて。
俺が吸い終わりますと漸く「さぁ、行くか」とダルそうに立ち上がり。
なんだかその動作に非情に眠くなってしまった。それくらいになんだか、スローリーな気がして、ゆったりでゆとりを感じる優雅さ。
あぁ俺にはない。ホント、すましていやがるなぁ嫌味なほどにと、嘲笑なんだか微笑みなんだか、アルコール漬けの頭にはわからずただ欠伸を噛み殺すのに使って。
だが彼が俺に向けた表情は、昔ながら、高校時代のような、無感情さだったのでした。
あまりに見つめてくるのでこちらがキョトンとしてしまえば、「あいや、立ち眩み」と、素っ気なく返して先にレジへ歩き出してしまって。
なんだいそれは。
仕方ない。背中を追いかけて支払いを黙って見つめてやりました。
彼は、店員にすら無感情に事を済ませてホント、金を置いて去って行く、こんな感じでした。
俺はここに彼の少しの、何かを感じました。
まぁついてこい、こんな感じなんでしょう。ライブバンド感覚なんでしょうか。いいだろ、見たるわ、そんな感覚でわりと酒飲んじゃったしいいかと、行っちゃったわけです。
行っちゃったあとの後悔ったらなかったわけです。
彼、サンフランシスコの時間で深夜1時くらいになるところでした。
少なくとも俺が見ている前で、酒は何かカクテルを2、3杯飲んでいたでしょうか。
つまみだとか、飯だとか、そんなものすらなく、まぁ飲んだくれのような飲み方をしていることに気が付きました。しかしながらペースはスロー。俺ですらせめてもとピーナッツくらい齧っているわけなのに。この人、多分俺と違って1軒目だろうに。
フラッと訪れた、そんな雰囲気でもない。俺なんかに遠慮とか、しているのだろうか。
「ごめん、気付かんかったんだけど、君、なんか食いました?」
「いや。まぁ飲んでるし」
「それは医師としてどうなんですか」
「医者ねぇ…。まぁ医師として言うなら君、飲みすぎじゃねぇかな。
まだ20だろ。流石にあかんと思う。よく吐かねぇな。てか、」
「ん?」
「手、震えてねぇか?」
あぁ。
それは少し、着火点ですねぇ。
「…まぁあれっすよ。後遺症ってやつです。ほら、わりと俺ジャンキーだから」
「…そうか」
それだけ言う彼は言葉のあっさりさとは裏腹に、なんだかとても、微妙な、物悲しさやら憐れみやら、なんだかそれに近いのだろう、言い表せない表情で俺を見る。それがやはり俺には気に入らないのです。
この男やはり好きじゃない。
「…そんな目で見んなよ、いまは、」
「…金上くん」
「何?」
しかしどうやら彼のそれはもう少し、そう、純粋で。はっきり名前は呼んだくせに続ける言葉は「これから家来る?まぁ飲み直そう」と消え入りそうに言われてしまいまして。
「てか、金ないんだろ、よっちゃん」
それにもイラッとして。
何故野郎の家などに夜中、てか一晩泊まるのかと思うと断ってしまいたかったのですが、ふと半にやけで前に滑らされた灰皿が吸殻と灰まみれで。
全てマルボロ。
それを見てテーブルに出されたパッケージに手を伸ばして一本出そうとすれば軽く、一本もなくてまたイラッとするも、はっと彼のポケットから出されたマイセン。残り2本。
これは俺の中のスモーカースイッチ、とっくに切れている。タバコを切らした俺が言うことでもないのですが。
てゆうか、マイセン。なんなのこのオシャレJTクソ野郎。一本引き抜いてからぶん投げるように返して差し上げました。
それを見た一之江、楽しそうに、残り一本、テーブルに飛び出てしまったやつを拾って口元に運んでいました。
その時に俺は見つけたのでした。
右手の細い中指に、吐きダコを。
何故吐きダコだと解ったのか。それは俺も、後遺症と呼べるほどではありませんがまぁ、そういう方特有のクセやらなんやら精神的なそれで、一時期その症状には悩みましたから。
「たまにはいいだろ、マイセン」
気付けば。
挑発的でした。彼の目付きが非常に。なんと言うか、目は煌々と笑ってなどいない、しかし口元はにやりとしてるんです。恐らくは、俺がそれに気付いたことに、気が付いての態度なんでしょうが。
「…こっちには売ってないでしょ」
「少し買い置きがあってな。君ほど吸うわけでもまぁ、ないし。免税店とかな」
「なるほどね」
正直このタバコはあまり好きではないのです。湿気ちまった味がして仕方ない。日本ではやけにまぁ、そう。なんとなくこういう大学デビューみてぇなやつが吸ってそうな勝手なるイメージ。と言うか俺はJT、案外好きじゃないのです。セブンスター吸うくらいならラッキーストライクを吸います、みたいな。それくらいに被れてますよ。それくらいあの町が、あの国が、あの場所が嫌いなんです。
フィルターギリギリまでスッカスカのよくわからん味のした煙を味わって灰皿に捨てれば彼は、頬杖ついてとっくに吸い終わっていて。
俺が吸い終わりますと漸く「さぁ、行くか」とダルそうに立ち上がり。
なんだかその動作に非情に眠くなってしまった。それくらいになんだか、スローリーな気がして、ゆったりでゆとりを感じる優雅さ。
あぁ俺にはない。ホント、すましていやがるなぁ嫌味なほどにと、嘲笑なんだか微笑みなんだか、アルコール漬けの頭にはわからずただ欠伸を噛み殺すのに使って。
だが彼が俺に向けた表情は、昔ながら、高校時代のような、無感情さだったのでした。
あまりに見つめてくるのでこちらがキョトンとしてしまえば、「あいや、立ち眩み」と、素っ気なく返して先にレジへ歩き出してしまって。
なんだいそれは。
仕方ない。背中を追いかけて支払いを黙って見つめてやりました。
彼は、店員にすら無感情に事を済ませてホント、金を置いて去って行く、こんな感じでした。
俺はここに彼の少しの、何かを感じました。
まぁついてこい、こんな感じなんでしょう。ライブバンド感覚なんでしょうか。いいだろ、見たるわ、そんな感覚でわりと酒飲んじゃったしいいかと、行っちゃったわけです。
行っちゃったあとの後悔ったらなかったわけです。
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