Eccentric Late Show

二色燕𠀋

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「さぁて、こりゃぁセトリも変更だね」
「うん、そゆこと」
「わかりました。何曲?」
「ミニアルバム出す」

 メンバーは唖然とした顔をする。しかし間の後に笑っていた。

「はいはい。元気になったね。じゃぁ俺は看護師さんに言ってくるね」

 そう言ってふみとは再び出て行った。

「ハゲ…、」

 そしてあまちゃんは、少し照れ臭そうに、上目遣いに国木田に言う。
 国木田も、こうなってしまえばなんとなく気まずそうに「…なんだ」とあまちゃんを見た。

「そーまっち、ゆー…?」
「は?」
「んー」

 何かを伝えようとしてジェスチャーと言うか、行き場がなさそうに手をパタパタしている。それを見た国木田は溜め息をひとつ吐いた。

麻吉マッチ、使い方間違ってますよ真樹さん。だって俺サナトリウムですから」
「あっ」

 国木田がそう言うとあまちゃんはげんちゃんを見た。げんちゃんは知らん顔をしている。

「まぁどっちでもいいんですけどね」
「うーん。はい」

 そしてすぐに病室の扉が空いた。ふみとが、「さて退院だよ」と、看護師を連れて微笑む。

「真樹」
「あい」

 だから俺は呼んでみる。
 少し越えた壁の向こうを。

「帰るよ。今日は何食いたい?」

 真樹は驚いた顔をした。そして言う、「いいの?」と。

「合鍵持ってるしギブソンあるから」

 そう言うと少し硬直し、間を持ってから初めて、泣きそうに一瞬顔を見せた気がしたがそれから微笑んで「ほぅだった」と、突然の舌足らずさで言った。

「もんじゃ焼き」
「作れねぇよ食いに行こうか」
「あい」

 取り敢えず問題はまだありそうだが、希望だけは忘れたくない、そう、ぼんやりと思った。
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