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D.N.A(die noise amazing)
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封筒の中身を開けて目につくタイトル。
『第一段 某ロックアーティストの性事情』
中身は読まなくてもわかる。だが、モザイクと伏せ字だがどう頑張ってもあまちゃんだ。
あまちゃんは淡々と読み進め、ご丁寧に俺に読み終わったのをぺいっと投げるように渡してきたので読んでみれば、まぁわりと赤裸々、しかし嘘もわりと書いてありそうな微妙なラインのネタが記されていた。
というかハメ撮り載ってますけどまさかそのA4?
「で、これがその写真」
サイトウ氏に渡され、それをあまちゃんは慎重に取り出して見る。
「うわぁ…」
もう大変。
どう考えても社長が撮ったその写真、実に15枚ほどをあまちゃんは一枚一枚淡々と見ている。
俺はといえばそんなメンタルはない。ちょっと過激すぎる。
実に3パターンに分けられた。
レイプっぽいパターン、わりとノっちゃってるパターン、あまちゃん気絶パターン。メンタルないけどチラチラ見ちゃった結果こんな感じ。
もう、一言。
「なんだこれは…!」
許せん。
「スバルくん」
「これ、新柴が?」
「まぁ、はい」
「動かぬ証拠っすねぇ…いつ撮られたかなぁ」
「じゃねぇよ、おい!」
「いやスバルくん、」
「こんなことしてなんになるんだあいつはぁ、あ?」
「戻ってきて欲しいって、あまちゃん」
「はぁ?」
「へぇ…。
まぁ、サイトウ氏見たっしょ?嫌だよー。流したきゃ流せば?いーよハメ撮りくらいいくらでもやるやる」
「はぁ?バカじゃねぇのかお前こんな…」
頭来て一枚手に取った。
わりとノっちゃってる騎乗位の、目ぇラリってるけど淡々としたあまちゃん。あぁこの髪の毛の掻き上げてる仕草、ライブでやってたとか思うと凄く悲しい。
なんなの。多分これってあんま覚えてないんだろうなとか、こんな時、なに考えてんだろうやっぱ死にてぇのかなとか、ライブじゃ見えなかった手首のケロイド、これ見せつけてんのかなとか。あぁ考えたら凄く泣きそう。でも嫌だ悔しい。
てか、ん?
「あれ?」
「ん?」
「真樹、この…腹の」
ケロイド。
これ、切った跡だよなぁ。
「あぁ、そうね。
俺ちっちゃい頃胃に穴開いちゃって。色々ダメになっちゃったとき切ったの」
「あ、え、」
「ほら、まぁ怒ってるとき言うのもなんだけど、しゃちょーだからね、なんか、この辺触んのスッゴい好きだった。そんな感じするでしょこの写真。なんかでも、そんな時はっ、ふっ、すっ、すっごくぅ、こぅ、うぅ、ふっ、」
急に泣き出してしまったから「うぉぉぉマジか!」焦って背を擦ると、「あぁぁ、ちょっと待ってあまちゃん。まだまだ…」とサイトウ氏は言いにくそうに言う。
「いや、あまちゃんがそれについてはなんとなくそう言うだろうってのはわかってた、うん」
「へ?」
顔を上げるあまちゃん。
なんだなんだ。どう言うことだ。
「いやぁやめてよ~、僕だってパニックのなか頑張って筋立ててこう、話す順番とかね、頑張ってんだからー。まさかそのネタでくると思わなかったよスバルくん~!」
え俺?
「あまちゃん…その、こっちの方が凄く言いにくいんだけど…残りのやつ。今のは、これ記事にするけど?っていう段階ね。まだ世に出てない。恐らくもっと書かれるよ。
そっちはまだなんてか記事の元ネタ」
言われてみてあまちゃんは恐る恐る封筒に手を伸ばした。そして、引っ張り出す。
「…っあ、」
最初の見出しの段階であまちゃんはそれを手ですっ飛ばして頭を抱えてしまった。思わずサイトウ氏も立ち上がり、あまちゃんの側に寄る。
なんだ?
俺が、あまちゃんがすっ飛ばした封筒を取ろうとすると「見ないでぇぇ!」と叫ぶ。
それを見てサイトウ氏は、あまちゃんを抱き締めながら、「事実か」と耳元で囁いた。
その瞬間あまちゃんは硬直し、項垂れた。
「僕は何も知らない、あまちゃん」
「…はっ、ふ、」
過呼吸になっていくあまちゃんを見てサイトウ氏に、「スバルくん」と呼ばれ、「はい、」と変な返事をしてしまった。
「…お水を持ってきてあげてくれないかい?」
慌てて俺はミネラルウォーターをコップに注ぎ、俺もあまちゃんに寄り、「はい、息吸って、ね、」と宥める。
サイトウ氏と目が合い、頷くと、サイトウ氏は優しく笑った気がして、それからソファに戻った。
少しづつ呼吸が戻り、水を飲ませる。
虚ろな目で俺を見たあまちゃんは、「スバルくん、」と言って俺の眼鏡を外した。
「なんで泣くの」
「はぁ…?」
気付かなかった。
しかし気付けた。しっかりせねば。
萌え袖で涙を吹いてくれるので取り敢えずその手は掴み、眼鏡も奪い、掛けてサイトウ氏を睨んでしまった。
「…僕は、どうしてあげるのが一番いいんですか」
「…はい?」
「…あまちゃんが戻らなければこれを世間に広めると言われました。話し合ったんですけど。
そもそもこれは新柴社長のことも、書いてるじゃないかと言ったらそれは別にいいんだと。ただ彼はあまちゃんが手元にいればいいって。
しかしあまちゃんはこれくらいじゃきっとあんたのところには戻らないと言ったら、これなら戻るだろうと。
そこにはあまちゃんの、家族のことが、書いてあります、きっと。
僕は、タイトルからして読みませんでした。きっと、知られたくないだろう、僕がそれを知ってしまったら、「知らないから事実じゃない」と、逃げて守ることが出来なくなってしまう。
しかし、それが良いのか悪いのかわからないんですよスバルくん。教えてください」
「サイトウさん…」
「あまちゃん、それは、僕や世間に、知られたくない事情なのかな?」
「サイトウさん、俺が、…決めます。
嘘かも、しれない、だから、でも。
怖い、怖いんです」
「わかりました。
スバルくん…。コーヒーはあの棚ですね?お水はミネラルウォーターでした。コンビニは近くにどこにありますか」
「え?」
「…きっと君がいいんです。なので、それだけ教えてください。僕の仕事はそれなんです。僕はほら、世界に、音楽を届けるコンサルタントを生業にしていますから」
そう言ってサイトウ氏は笑った。
信じたい。そう思って、取り敢えずコンビニの場所を教えた。
『第一段 某ロックアーティストの性事情』
中身は読まなくてもわかる。だが、モザイクと伏せ字だがどう頑張ってもあまちゃんだ。
あまちゃんは淡々と読み進め、ご丁寧に俺に読み終わったのをぺいっと投げるように渡してきたので読んでみれば、まぁわりと赤裸々、しかし嘘もわりと書いてありそうな微妙なラインのネタが記されていた。
というかハメ撮り載ってますけどまさかそのA4?
「で、これがその写真」
サイトウ氏に渡され、それをあまちゃんは慎重に取り出して見る。
「うわぁ…」
もう大変。
どう考えても社長が撮ったその写真、実に15枚ほどをあまちゃんは一枚一枚淡々と見ている。
俺はといえばそんなメンタルはない。ちょっと過激すぎる。
実に3パターンに分けられた。
レイプっぽいパターン、わりとノっちゃってるパターン、あまちゃん気絶パターン。メンタルないけどチラチラ見ちゃった結果こんな感じ。
もう、一言。
「なんだこれは…!」
許せん。
「スバルくん」
「これ、新柴が?」
「まぁ、はい」
「動かぬ証拠っすねぇ…いつ撮られたかなぁ」
「じゃねぇよ、おい!」
「いやスバルくん、」
「こんなことしてなんになるんだあいつはぁ、あ?」
「戻ってきて欲しいって、あまちゃん」
「はぁ?」
「へぇ…。
まぁ、サイトウ氏見たっしょ?嫌だよー。流したきゃ流せば?いーよハメ撮りくらいいくらでもやるやる」
「はぁ?バカじゃねぇのかお前こんな…」
頭来て一枚手に取った。
わりとノっちゃってる騎乗位の、目ぇラリってるけど淡々としたあまちゃん。あぁこの髪の毛の掻き上げてる仕草、ライブでやってたとか思うと凄く悲しい。
なんなの。多分これってあんま覚えてないんだろうなとか、こんな時、なに考えてんだろうやっぱ死にてぇのかなとか、ライブじゃ見えなかった手首のケロイド、これ見せつけてんのかなとか。あぁ考えたら凄く泣きそう。でも嫌だ悔しい。
てか、ん?
「あれ?」
「ん?」
「真樹、この…腹の」
ケロイド。
これ、切った跡だよなぁ。
「あぁ、そうね。
俺ちっちゃい頃胃に穴開いちゃって。色々ダメになっちゃったとき切ったの」
「あ、え、」
「ほら、まぁ怒ってるとき言うのもなんだけど、しゃちょーだからね、なんか、この辺触んのスッゴい好きだった。そんな感じするでしょこの写真。なんかでも、そんな時はっ、ふっ、すっ、すっごくぅ、こぅ、うぅ、ふっ、」
急に泣き出してしまったから「うぉぉぉマジか!」焦って背を擦ると、「あぁぁ、ちょっと待ってあまちゃん。まだまだ…」とサイトウ氏は言いにくそうに言う。
「いや、あまちゃんがそれについてはなんとなくそう言うだろうってのはわかってた、うん」
「へ?」
顔を上げるあまちゃん。
なんだなんだ。どう言うことだ。
「いやぁやめてよ~、僕だってパニックのなか頑張って筋立ててこう、話す順番とかね、頑張ってんだからー。まさかそのネタでくると思わなかったよスバルくん~!」
え俺?
「あまちゃん…その、こっちの方が凄く言いにくいんだけど…残りのやつ。今のは、これ記事にするけど?っていう段階ね。まだ世に出てない。恐らくもっと書かれるよ。
そっちはまだなんてか記事の元ネタ」
言われてみてあまちゃんは恐る恐る封筒に手を伸ばした。そして、引っ張り出す。
「…っあ、」
最初の見出しの段階であまちゃんはそれを手ですっ飛ばして頭を抱えてしまった。思わずサイトウ氏も立ち上がり、あまちゃんの側に寄る。
なんだ?
俺が、あまちゃんがすっ飛ばした封筒を取ろうとすると「見ないでぇぇ!」と叫ぶ。
それを見てサイトウ氏は、あまちゃんを抱き締めながら、「事実か」と耳元で囁いた。
その瞬間あまちゃんは硬直し、項垂れた。
「僕は何も知らない、あまちゃん」
「…はっ、ふ、」
過呼吸になっていくあまちゃんを見てサイトウ氏に、「スバルくん」と呼ばれ、「はい、」と変な返事をしてしまった。
「…お水を持ってきてあげてくれないかい?」
慌てて俺はミネラルウォーターをコップに注ぎ、俺もあまちゃんに寄り、「はい、息吸って、ね、」と宥める。
サイトウ氏と目が合い、頷くと、サイトウ氏は優しく笑った気がして、それからソファに戻った。
少しづつ呼吸が戻り、水を飲ませる。
虚ろな目で俺を見たあまちゃんは、「スバルくん、」と言って俺の眼鏡を外した。
「なんで泣くの」
「はぁ…?」
気付かなかった。
しかし気付けた。しっかりせねば。
萌え袖で涙を吹いてくれるので取り敢えずその手は掴み、眼鏡も奪い、掛けてサイトウ氏を睨んでしまった。
「…僕は、どうしてあげるのが一番いいんですか」
「…はい?」
「…あまちゃんが戻らなければこれを世間に広めると言われました。話し合ったんですけど。
そもそもこれは新柴社長のことも、書いてるじゃないかと言ったらそれは別にいいんだと。ただ彼はあまちゃんが手元にいればいいって。
しかしあまちゃんはこれくらいじゃきっとあんたのところには戻らないと言ったら、これなら戻るだろうと。
そこにはあまちゃんの、家族のことが、書いてあります、きっと。
僕は、タイトルからして読みませんでした。きっと、知られたくないだろう、僕がそれを知ってしまったら、「知らないから事実じゃない」と、逃げて守ることが出来なくなってしまう。
しかし、それが良いのか悪いのかわからないんですよスバルくん。教えてください」
「サイトウさん…」
「あまちゃん、それは、僕や世間に、知られたくない事情なのかな?」
「サイトウさん、俺が、…決めます。
嘘かも、しれない、だから、でも。
怖い、怖いんです」
「わかりました。
スバルくん…。コーヒーはあの棚ですね?お水はミネラルウォーターでした。コンビニは近くにどこにありますか」
「え?」
「…きっと君がいいんです。なので、それだけ教えてください。僕の仕事はそれなんです。僕はほら、世界に、音楽を届けるコンサルタントを生業にしていますから」
そう言ってサイトウ氏は笑った。
信じたい。そう思って、取り敢えずコンビニの場所を教えた。
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