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CRAVING【短編】
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「楽しかった」
「ちょっと俺、君のセンスなら絶対にピストルズくるかなって身構えてたよ」
「あ俺も~」とドラムから。
「違いわかんねぇや俺。
つぅか文杜全部後で訳してつかボーカル変わってたまに」
「やだね。俺はあまちゃんの唄がいーの」
「いや上手いっす。でもそれわかるかもっす」
「でしょ~?ガッスガスで声出てないのもまた堪んないのさ」
「文杜気持ちわるーい」
「いいですー」
「ははー。なんだろ、楽しかったなぁ…」
久しぶりだよ。マジで。
「…シド・ヴィシャスよかカート・コーバンも、まぁいいでしょ。あんたら観てたらみんな、ほーんと、でも、まぁ、いいんじゃない?ウチ、あんたらよか全然だけど」
「いや、」
んなこと。
「俺実はピストルズよりニルヴァーナのが好きなんで」
「うわっ」
栗村さんが笑って、エルグラのメンバーを見やる。
サイトウさんと共にいつの間にやら缶酎ハイを広げていた。
「あんた、わりと有名だからよそで言わん方が良いぞ、それ」
金髪ドラムが言う。
なにが?
「へ?」
「ピストルズでエッレ入ったの」
「え、マジすか」
「そりゃぁ太田おしゃべりだもん」
タカさんが酒飲みながら言う。
そうだったのか。
「まぁピストルズ持ってきてたら却下だったよね~。だってシド・ヴィシャスなんて、」
「ミッシェルなら即OKじゃね?」
「どれにしても誰か死んでる系バンドだな」
ふと、金髪ドラムが言うと、あまちゃんと栗村さん、顔を見合わせる。
言われてみれば、そうだ。
「え、俺別に良かったけど。
だってウチのシド・ヴィシャス所詮それやん」
そしてあまちゃんがそれに、栗村さんを指しぽかんとして言った。
それを聴いた栗村さん、一瞬ぽかんとしたが、何故かナトリさんが、
「ちょっと待て真樹、俺酒入ってる。そのド天然、色々考えると一周回って殴りたいを越えて泣きそう」
とか言って目頭をわざとらしく押さえる。
「この~!真樹め~!
あぁそうね、俺の中ではニルヴァーナもちょっとアウトだったけど俺唄っちゃったしぃ、俺のカート・コーバン所詮お前だわ!」
そう言って俺を無視して栗村さん、あまちゃんに抱きつきに行って。
なんか頭とか撫でくって最早恋人にしか見えない感じで、「きょーのセトリはあれか、彼のためのワガママかこのアホ!」と笑顔すぎる優しい笑顔で、しかし慈悲深ーく頭ぐしゃぐしゃにしてる栗村さんの腹を、ついにあまちゃん、ぶっとばす。
「痛っ、」と猫背が曲がり、俺思わずちょっと退く。
「ちげーよ狂犬ん。ちと前に家で聴いたやんかバカ!」
「でも急だったよなチビ」
「うるせぇハゲ。死ねカス」
「素直じゃないなぁ」
えなんだろ。
「んな急に変えてあれ出来るなんてあんたらやべぇな」
タカさんが感心した。
ノリトさん、あまりに喋らんと思ったら寝ていた。
「よくあることですよ」
「ウチのカート、まぁお宅の高慢ちきほどじゃありませんがそこそこのワガママなんで」
「まぁウチの弦次もワガママは慣れてるんで」
「はっは~!ぴったし」
「あ、そうだ名前はぁ?」
チビがすげぇ興味深そうに、栗村さんから俺を覗いて言う。
今更かよ。
「奥田弦次です」
「げんちゃんだ。字は?」
「ギターの弦の弦に、次」
「マジか!もう選ばれしやん!
やっぱげんちゃんだねっ、決定!
俺あまあきまき」
「天崎真樹ね。いま呂律がちょっとアレだから。
俺はシド・ヴィシャス」
「殺し屋ベースの栗村文杜な。そいついま酒入ってるから。文に木に土。
俺はX国木田ナトリ。独歩の国木田」
やべぇ。
全員やべぇ。
「はい、はい」
「頭おかしめバンド、僕が苛めたエレクトリック・レインボーだよぉ!」
突然喋りだしてハイテンションなサイトウ、ニコニコ。
やべぇ。
総じてやべぇ。エキセントリック。
しかし、まぁ。
「はぁい、はい、頑張り…まぁす」
渇望は見え。
一歩、踏み出せたような気はした。
少なくともだって、初めて出会ったタイプの人たちだから。
「ちょっと俺、君のセンスなら絶対にピストルズくるかなって身構えてたよ」
「あ俺も~」とドラムから。
「違いわかんねぇや俺。
つぅか文杜全部後で訳してつかボーカル変わってたまに」
「やだね。俺はあまちゃんの唄がいーの」
「いや上手いっす。でもそれわかるかもっす」
「でしょ~?ガッスガスで声出てないのもまた堪んないのさ」
「文杜気持ちわるーい」
「いいですー」
「ははー。なんだろ、楽しかったなぁ…」
久しぶりだよ。マジで。
「…シド・ヴィシャスよかカート・コーバンも、まぁいいでしょ。あんたら観てたらみんな、ほーんと、でも、まぁ、いいんじゃない?ウチ、あんたらよか全然だけど」
「いや、」
んなこと。
「俺実はピストルズよりニルヴァーナのが好きなんで」
「うわっ」
栗村さんが笑って、エルグラのメンバーを見やる。
サイトウさんと共にいつの間にやら缶酎ハイを広げていた。
「あんた、わりと有名だからよそで言わん方が良いぞ、それ」
金髪ドラムが言う。
なにが?
「へ?」
「ピストルズでエッレ入ったの」
「え、マジすか」
「そりゃぁ太田おしゃべりだもん」
タカさんが酒飲みながら言う。
そうだったのか。
「まぁピストルズ持ってきてたら却下だったよね~。だってシド・ヴィシャスなんて、」
「ミッシェルなら即OKじゃね?」
「どれにしても誰か死んでる系バンドだな」
ふと、金髪ドラムが言うと、あまちゃんと栗村さん、顔を見合わせる。
言われてみれば、そうだ。
「え、俺別に良かったけど。
だってウチのシド・ヴィシャス所詮それやん」
そしてあまちゃんがそれに、栗村さんを指しぽかんとして言った。
それを聴いた栗村さん、一瞬ぽかんとしたが、何故かナトリさんが、
「ちょっと待て真樹、俺酒入ってる。そのド天然、色々考えると一周回って殴りたいを越えて泣きそう」
とか言って目頭をわざとらしく押さえる。
「この~!真樹め~!
あぁそうね、俺の中ではニルヴァーナもちょっとアウトだったけど俺唄っちゃったしぃ、俺のカート・コーバン所詮お前だわ!」
そう言って俺を無視して栗村さん、あまちゃんに抱きつきに行って。
なんか頭とか撫でくって最早恋人にしか見えない感じで、「きょーのセトリはあれか、彼のためのワガママかこのアホ!」と笑顔すぎる優しい笑顔で、しかし慈悲深ーく頭ぐしゃぐしゃにしてる栗村さんの腹を、ついにあまちゃん、ぶっとばす。
「痛っ、」と猫背が曲がり、俺思わずちょっと退く。
「ちげーよ狂犬ん。ちと前に家で聴いたやんかバカ!」
「でも急だったよなチビ」
「うるせぇハゲ。死ねカス」
「素直じゃないなぁ」
えなんだろ。
「んな急に変えてあれ出来るなんてあんたらやべぇな」
タカさんが感心した。
ノリトさん、あまりに喋らんと思ったら寝ていた。
「よくあることですよ」
「ウチのカート、まぁお宅の高慢ちきほどじゃありませんがそこそこのワガママなんで」
「まぁウチの弦次もワガママは慣れてるんで」
「はっは~!ぴったし」
「あ、そうだ名前はぁ?」
チビがすげぇ興味深そうに、栗村さんから俺を覗いて言う。
今更かよ。
「奥田弦次です」
「げんちゃんだ。字は?」
「ギターの弦の弦に、次」
「マジか!もう選ばれしやん!
やっぱげんちゃんだねっ、決定!
俺あまあきまき」
「天崎真樹ね。いま呂律がちょっとアレだから。
俺はシド・ヴィシャス」
「殺し屋ベースの栗村文杜な。そいついま酒入ってるから。文に木に土。
俺はX国木田ナトリ。独歩の国木田」
やべぇ。
全員やべぇ。
「はい、はい」
「頭おかしめバンド、僕が苛めたエレクトリック・レインボーだよぉ!」
突然喋りだしてハイテンションなサイトウ、ニコニコ。
やべぇ。
総じてやべぇ。エキセントリック。
しかし、まぁ。
「はぁい、はい、頑張り…まぁす」
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少なくともだって、初めて出会ったタイプの人たちだから。
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