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D/1993 F2
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「…えっと…。
なかなかやっぱり、見分けつかなくて、ごめんね」
「よく言われるから、大丈夫だよ」
「…はるちゃん、可愛いけど、」
「ありがとう」
「いや、うん、
…はるちゃん、昨日思ったけど、バレーとかやってた?肩とか」
「…撫で肩な方みたいなんだよね」
黙った。
にやっときっと笑えた。けどここで切な気に下を向く。これは陽がやって来たのを見たことがあるやつ。そうやれば大人も子供も大抵は気に掛けていたんだ。
「あ、いや…」
胸だろ?俺は女を抱くから身体の差異くらいわかっている。ハルにはわからないだろう知識だ。
…信じ込めば生まれて13年の子供にはわからない。いや、疑いもしないと照井はこれで研究成果を出した。
実質は、ハルはもっと外になんて触れない、8歳以下の子供なのだから。
本物の陽なら、どうだろうか。
なんとも言い難い間を作ってやる。
加藤は気まずそうに少し俯くが、「加藤くん」と追い討ちを掛けようと思う。
「その…」とどもる情けない加藤はほっといて「確かめて」と、上目遣いをしてみる。
「え゛っ」
「そしたらわかるでしょ」
「え、いや、は、は?」
「勿論こんなところじゃ…」
「え…。
本気で言ってるの?」
「…『まぢだから』って、言われたから、その…」
「んんん?」
「まぢじゃなかった…のかな?」
「いや、ちょっと急すぎて」
「…そっか」
確かに雑だけど。男の最終ゴールなんてそれだろ、じゃなきゃ彼氏持ち女子なんて、
というかその背徳俺にくれよ童貞野郎。
と喉から出かかって「…じゃ、」と立ち上がり去ろうとしたら軽く目眩がしてふらついちまった。
「あぁあ、ちょっと、」と戸惑いながら手を貸そうとする加藤くんに「やめて、」と言ってみる。
「ごめんなさい。お兄ちゃんが怖くて…、その、あまり…触らせちゃだめって言われてるの」
「あ、ごめん、えっと…なんだろ、」
「…最後までって決めた人だけって…」
「それは…えっと…」
「ねぇ、加藤くん」
いい加減ゲロいな。もういいよ俺が男でも、お前が男でも、ハルがなんでも。俺に任せろよめんどくせぇな死ね。
つーか、自慢じゃないけど女より断然いいし、俺ならイケそうってどんだけ野郎に言わせたと思ってんだよ。こんなんハルはやってくれないからな。やらせねーし。
「…ダメ?」
太陽のような笑顔で言ってやる。
「は、」
「お兄ちゃんには黙ってる…」
「いや、まぁ…」
「私をどうにかして欲しいの。ちょっと、男の子みたいだって言われてきたから…」
「……相当マジで言ってる?」
「…うん」
「確かにはるちゃんは、でも可愛いと思うけど…」
いけるね。
だって俺にも言ったもん、こいつ。どう考えても若干素質ありだもんって、男は誰でも持ってるロマンチックにつけこむ。
無理だろうが流されちまえばこっちのもんだよ。
「…まぁ、その…」
「いや、そこまで言うなら…」
「ホントに?」
バーカ。やったな。
「え、うんまぁ、兄貴じゃないなら…。宝塚かアイドルグループかの違いだし」
「あ、え!やった、ホントに?」
「え」
「じゃぁ…」
手を掴む。なんかよくわかんねぇけど。
ポイント、緩めに掴む。加藤は手に汗握っててホントにキモかった。
「…カラオケ行かない?」
「おっ…、」
戸惑う加藤に「声」と言いながらあまり目立たないだろう喉仏を指して撹乱させてみる。多分、俺って声、高いんだよね。おかげで「入れ替わり」しても言い逃れが出来ている、気がしてる。
「あ、あぁ、ね…」
「ありがとう!」
照れさせた。
はっはっは、バーカ。
再起不能にしてやる。お前は二度と女に触るな童貞。
なかなかやっぱり、見分けつかなくて、ごめんね」
「よく言われるから、大丈夫だよ」
「…はるちゃん、可愛いけど、」
「ありがとう」
「いや、うん、
…はるちゃん、昨日思ったけど、バレーとかやってた?肩とか」
「…撫で肩な方みたいなんだよね」
黙った。
にやっときっと笑えた。けどここで切な気に下を向く。これは陽がやって来たのを見たことがあるやつ。そうやれば大人も子供も大抵は気に掛けていたんだ。
「あ、いや…」
胸だろ?俺は女を抱くから身体の差異くらいわかっている。ハルにはわからないだろう知識だ。
…信じ込めば生まれて13年の子供にはわからない。いや、疑いもしないと照井はこれで研究成果を出した。
実質は、ハルはもっと外になんて触れない、8歳以下の子供なのだから。
本物の陽なら、どうだろうか。
なんとも言い難い間を作ってやる。
加藤は気まずそうに少し俯くが、「加藤くん」と追い討ちを掛けようと思う。
「その…」とどもる情けない加藤はほっといて「確かめて」と、上目遣いをしてみる。
「え゛っ」
「そしたらわかるでしょ」
「え、いや、は、は?」
「勿論こんなところじゃ…」
「え…。
本気で言ってるの?」
「…『まぢだから』って、言われたから、その…」
「んんん?」
「まぢじゃなかった…のかな?」
「いや、ちょっと急すぎて」
「…そっか」
確かに雑だけど。男の最終ゴールなんてそれだろ、じゃなきゃ彼氏持ち女子なんて、
というかその背徳俺にくれよ童貞野郎。
と喉から出かかって「…じゃ、」と立ち上がり去ろうとしたら軽く目眩がしてふらついちまった。
「あぁあ、ちょっと、」と戸惑いながら手を貸そうとする加藤くんに「やめて、」と言ってみる。
「ごめんなさい。お兄ちゃんが怖くて…、その、あまり…触らせちゃだめって言われてるの」
「あ、ごめん、えっと…なんだろ、」
「…最後までって決めた人だけって…」
「それは…えっと…」
「ねぇ、加藤くん」
いい加減ゲロいな。もういいよ俺が男でも、お前が男でも、ハルがなんでも。俺に任せろよめんどくせぇな死ね。
つーか、自慢じゃないけど女より断然いいし、俺ならイケそうってどんだけ野郎に言わせたと思ってんだよ。こんなんハルはやってくれないからな。やらせねーし。
「…ダメ?」
太陽のような笑顔で言ってやる。
「は、」
「お兄ちゃんには黙ってる…」
「いや、まぁ…」
「私をどうにかして欲しいの。ちょっと、男の子みたいだって言われてきたから…」
「……相当マジで言ってる?」
「…うん」
「確かにはるちゃんは、でも可愛いと思うけど…」
いけるね。
だって俺にも言ったもん、こいつ。どう考えても若干素質ありだもんって、男は誰でも持ってるロマンチックにつけこむ。
無理だろうが流されちまえばこっちのもんだよ。
「…まぁ、その…」
「いや、そこまで言うなら…」
「ホントに?」
バーカ。やったな。
「え、うんまぁ、兄貴じゃないなら…。宝塚かアイドルグループかの違いだし」
「あ、え!やった、ホントに?」
「え」
「じゃぁ…」
手を掴む。なんかよくわかんねぇけど。
ポイント、緩めに掴む。加藤は手に汗握っててホントにキモかった。
「…カラオケ行かない?」
「おっ…、」
戸惑う加藤に「声」と言いながらあまり目立たないだろう喉仏を指して撹乱させてみる。多分、俺って声、高いんだよね。おかげで「入れ替わり」しても言い逃れが出来ている、気がしてる。
「あ、あぁ、ね…」
「ありがとう!」
照れさせた。
はっはっは、バーカ。
再起不能にしてやる。お前は二度と女に触るな童貞。
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