あじさい 短編集(外伝)

二色燕𠀋

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雨音

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 ランチが終わって俺と光也が休憩、真里が上がりの時間になった。ちょうどいいから三人でタバコを吸いがてら、話す機会が出来た。

「今日はなんか、すみませんでしたマジで。志摩さん…もなんか色々やってくれたみたいで」
「まぁ実はめちゃくちゃやり残して城田しろたに全部ぶん投げてやったんだけどね」

 流石光也。そーゆーとこ空気読めるよなぁ。

「え、マジっすか」
「うん。だって柏原さんはあいつにやっとけって言ったんだし。まぁあまりにも酷かったんで途中、修正も兼ねてやったけどね。最初から俺がやればよかったわ」
「えー、なにそれー」
「てか柏原さんさ、見ないうちに厨房ちょっとオリジナルアレンジしすぎじゃね?最早あれ場所わかんねぇから」

 そんなこと言われても。効率悪いの直しただけなんだけどな。なんか気付いたら自分が使いやすいように場所とかめちゃくちゃ変えちゃうんだよな。

「慣れてくれよ!」

 とか真里に言えば、「元が分かんないから大丈夫です」とか言われた。

「てかあれで大丈夫なの?」
「ん?大丈夫っしょ」
「テキトーだなぁ。まぁ確かにさ、柏原さんに言われて逆らおうって奴あんまいないだろうね。だってタチ悪いもん」
「それさっきこいつにも言われた」
「うわ、言っちゃったの!?すげぇ!俺この人にやっと最近こんだけ言えるようになったのに!」
「確かに最初はお前小鳥みたいだったよな」

 もうそりゃなんでもはいはい聞いちゃって。先輩に無理強いされようとなにしようと全部引き受けちゃって。
 俺が意地悪で試しに言ってみたことすらやろうとしちゃって。俺が折れて謝ったもんな。

「小鳥ってなんだよー」
「あまりにもバカだから謝ったもんな俺」
「え?いつ?」
「それすら覚えてないのかお前」

 さばさばしてんのかバカなのか。嫌いじゃないが好きではないな。なんか捨て身感があって。

 タバコを吸い終えて昼飯を済ませてから事務所に三人で戻った。もうその頃には朝の事件の話は忘れていた。

 事務所に戻ったとき、城田がパソコンに向かっていた。多分シフトを作ってるんだろう。振り返って俺たちに気が付くと一瞬だけ嫌そうな顔をしてまた向き直った。

「志摩くん、ちょっとお願いあるんだけど」
「はい?」

 そして暫く二人でシフトについて話していた。

「いや来週テストなんっすよ」
「何時からテスト?オープンいけない?」
「オープンだって見た限り人いるように見えますが?」
「いやだからね、要らない人材入れても仕方ないでしょ。だったら使える人入れたいわけよ」
「は?いやワケわかりませんね。だから、俺無理で、元々入れてるここ二人は何?入れないってこと?やめてくださいよ俺そんな万能じゃないから」

 なんか雲行きが怪しそうな会話をしてるので「どれどれ」と割り込み。

「いや、あんたはいいから」

 シフト表を見るとなるほど、新人ほぼカットで、特に真里と長谷川さんがまるまるいらないと。あとまぁちょこちょこカットしてるが要するに気に入らない奴は入れないシフトな訳だ。
 そんな無茶シフトには、古株投入というわけね。俺もあり得ないくらい労働してるしなこれ。

「まずこれ実現させたいならあんた労基法通りで帰れないねー。だったらいけるんじゃね?光也、大丈夫大丈夫。お前は卒業出来なかったら洒落にならないから勉強しなさーい」

 光也も小さく頷いて下がった。
 あとは俺の鬼のような詰問タイムに耐えきれなくなり、シフトは通常通り作られた。
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