4 / 25
第3話
しおりを挟む
「よし。…完了っと」
パソコンを目の前に俺は仕上げた計画表やその他諸々のデータを保存した。
そう、やっと今月末に行く社員旅行の計画が立て終わったのだ。よく頑張ったよ俺~。
俺は大きく伸びをして小さく息を吐いた。
今は、定時をとっくにすぎたサービス残業をしているところだ。残念ながら、計画を立てるのに残業手当は出ないらしい。悔しい。
ふと、スマホを見ると着信があったようで通知が来ていた。
誰からなのかを確認すると、小林からだった。
メールじゃなくて電話を掛けてくるなんて珍しい。何か急用だったのだろうか。
俺は取り敢えず掛け直してみる事にした。
───おかけになった電話番号はおでになりません。
おい。嘘だろ。上司の電話を無視か…?
と思ったら今考えると深夜に着信があっても起きていない限り出れない筈だ。
俺はスマホを置き、冷えきったコーヒーを飲み干した。
そして、急いで会社を後にした。
その足のまま俺はゲイバーmomoへ向かった。
久しぶりにマスターと話そうかな。それにこの時間帯は人がほとんど帰っていく時間だ。
momoの建物の前に立つと少し重ためなドアを引き中に入る。
「ん?あっ、涼太じゃん。久しぶりだね。」
中に入るとここのオーナーである桃瀬がいた。彼は基本的に、バーには来ないが時々こうやって顔を出しては気に入った客と飲んでいる。
しかし、今日は1人で飲んでいたようだ。
「なんだ、珍しく顔を出しにきたのか?」
「そう。久々に飲みに来たの。案外この時間は静かなんだね。僕、今度からこの時間に来ようかな。」
ふわふわした雰囲気の桃瀬だが酒が抜けると、しっかりとした男らしい性格になる。
桃瀬とは俺がここの常連になった頃から一緒に呑み出した友人?だ。
「そんな寂しいこと言うなって。以外と常連の中にはお前に会いに来てるやつもいるだろ。」
「はは。それは嬉しいなぁ。僕って人気者ー?」
「そうかもな。」
そう言ってやれば大分酔っているのだろう、にへぇと笑って突っ伏してしまった。
「あーあ。……マスターおまかせでカクテル一つ。」
取り敢えず自分の酒を頼み、自分のスーツのジャケットを桃瀬に掛けてやった。
すると桃瀬は顔だけを横に向けて俺の方を見た。
「もぉ。そういう所がモテるんだよ。そろそろ僕のものになってよ。涼太ぁー。」
「それは、前にも言ったけど俺は恋人は作らない。それに、タチ同士では付き合ってもセックスがソフトしか出来ないから。嫌だ。」
そうキッパリと答えると桃瀬は不貞腐れてしまった。
桃瀬と飲み出してからよく、彼に恋人になってと告白され続けた。その度に俺は断っている。1度はOKしそうになったが、いざ向き合うと言えなかった。
そんなこんなで、桃瀬と話しているとカクテルが出来た。
俺はそれを一口のみ息を吐いた。
すると、携帯の着信音が甲高くなった。表示を見てバーから一旦外に出た。
「はーい。」
『先輩。なんですか、こんな夜中に。』
相手は小林だった。寝起きのいつもより低音で少しガラッとした声がエロい。だが、やけに不機嫌そうだ。
「何って、お前が電話してきたんでしょーが。なんか急用だったらヤバいと思って掛け直したんだけど?」
『あぁ。それなら大丈夫です。自分で何とか出来ました。ではおやすみなさい。』
「えぇ。…って切れた…。」
相変わらず冷たいな。まぁ、いいや。
俺は胸ポケットに入れて置いたシートガムを口に入れた。レモンの風味が鼻に抜ける。
「寒っ。中入ろ。」
肩をさすりながら中に入ると桃瀬はもう帰るようで支度をしていた。
「帰るの?」
「うん。好きな人に振られたから。」
「ははは。そりゃ悪かったな。」
そう言いながら桃瀬は案外、しっかりとした足取りで帰って行った。
バーに残された俺はマスターと久々に話した。
「久しぶりに2人だね。マスター?」
「えぇ。そうですね。」
俺よりも少し上の年代のマスターは俺よりも幾分落ち着いている。
マスターはノンケでバツイチらしい。離婚してさまよってたところを桃瀬に拾われた。と前に言っていた。
「ねぇ。マスター。」
「はい。」
「俺さ今月末に社員旅行があるんだよね。京都と奈良の観光。」
「良いですね。紅葉が綺麗ですよ。」
「へぇ。そうなんだ。ちょっと楽しみかも。お土産買ってくるねー。」
「はい。楽しみに待っておきます。」
そんな包容力ある雰囲気に包まれて俺は少しの間その場を楽しんだ。
翌日、連日の早朝出勤から元の出勤時刻に戻した。
デスクに着くと小林が珍しく会社に来てなかった。休みの時とかはだいたい俺に連絡が入るから、恐らく遅めの出社だろう。
「課長~。社員旅行の計画表です。最終確認をパパっとやって貰ってもいいですかー?」
俺は昨日出来た資料と一緒に課長に丸投げをして、新しい企画の原案を考え始めた。
それから数時間後には小林が出社してきた。
「やっと来た。おはよー小林くん。」
「おはようございます。相変わらず気の抜けた人ですね。」
「朝からズバズバしてんのな~。」
いつものように挨拶を済ませて、小林も仕事に取り掛かった。
「暁くん!ちょっといいかな?」
「はーい。今行きます…!」
コピー機の前で寝不足でぼーっとしていると、同期のたなゆいさんこと田中 結子さんに呼ばれた。彼女も社内の男を十分釘付け出来るほどの美貌を持っている。
あ、ほら。俺が呼ばれただけで周りの空気がピリついた。大丈夫。俺は女には興味無い。もはや同性と同じ感覚だから。
「どうしました…?」
「ごめんね忙しいのに。ちょっとこの資料のここの計算が曖昧でどうしたらいいのか教えて貰ってもいい?」
「あぁ。いいですよ。えっと、ここは…」
今の計算は俺も最初は意味わかんなかった。それに凄く凡ミスして怒られた記憶があるな。
彼女に教えて、給湯室にコーヒーを注ぎに行くと小林がいた。
「相変わらずですね。」
「えー?何が?」
いつものように、へらへらと笑って聞き返すとその態度が気に食わないようで小林は眉をしかめてため息を小さくついた。
「貴方のその態度ですよ。…はぁ、俺。仕事に戻ります。」
何だろう。最近、小林がおかしい。何がおかしいかと言われたら具体的には言えないがなんかおかしい。まぁ。大丈夫だろう。多分…
それに来週末には社員旅行だし今週は頑張らないとな~。
「さてと。気合い入れ直しますか。」
パソコンを目の前に俺は仕上げた計画表やその他諸々のデータを保存した。
そう、やっと今月末に行く社員旅行の計画が立て終わったのだ。よく頑張ったよ俺~。
俺は大きく伸びをして小さく息を吐いた。
今は、定時をとっくにすぎたサービス残業をしているところだ。残念ながら、計画を立てるのに残業手当は出ないらしい。悔しい。
ふと、スマホを見ると着信があったようで通知が来ていた。
誰からなのかを確認すると、小林からだった。
メールじゃなくて電話を掛けてくるなんて珍しい。何か急用だったのだろうか。
俺は取り敢えず掛け直してみる事にした。
───おかけになった電話番号はおでになりません。
おい。嘘だろ。上司の電話を無視か…?
と思ったら今考えると深夜に着信があっても起きていない限り出れない筈だ。
俺はスマホを置き、冷えきったコーヒーを飲み干した。
そして、急いで会社を後にした。
その足のまま俺はゲイバーmomoへ向かった。
久しぶりにマスターと話そうかな。それにこの時間帯は人がほとんど帰っていく時間だ。
momoの建物の前に立つと少し重ためなドアを引き中に入る。
「ん?あっ、涼太じゃん。久しぶりだね。」
中に入るとここのオーナーである桃瀬がいた。彼は基本的に、バーには来ないが時々こうやって顔を出しては気に入った客と飲んでいる。
しかし、今日は1人で飲んでいたようだ。
「なんだ、珍しく顔を出しにきたのか?」
「そう。久々に飲みに来たの。案外この時間は静かなんだね。僕、今度からこの時間に来ようかな。」
ふわふわした雰囲気の桃瀬だが酒が抜けると、しっかりとした男らしい性格になる。
桃瀬とは俺がここの常連になった頃から一緒に呑み出した友人?だ。
「そんな寂しいこと言うなって。以外と常連の中にはお前に会いに来てるやつもいるだろ。」
「はは。それは嬉しいなぁ。僕って人気者ー?」
「そうかもな。」
そう言ってやれば大分酔っているのだろう、にへぇと笑って突っ伏してしまった。
「あーあ。……マスターおまかせでカクテル一つ。」
取り敢えず自分の酒を頼み、自分のスーツのジャケットを桃瀬に掛けてやった。
すると桃瀬は顔だけを横に向けて俺の方を見た。
「もぉ。そういう所がモテるんだよ。そろそろ僕のものになってよ。涼太ぁー。」
「それは、前にも言ったけど俺は恋人は作らない。それに、タチ同士では付き合ってもセックスがソフトしか出来ないから。嫌だ。」
そうキッパリと答えると桃瀬は不貞腐れてしまった。
桃瀬と飲み出してからよく、彼に恋人になってと告白され続けた。その度に俺は断っている。1度はOKしそうになったが、いざ向き合うと言えなかった。
そんなこんなで、桃瀬と話しているとカクテルが出来た。
俺はそれを一口のみ息を吐いた。
すると、携帯の着信音が甲高くなった。表示を見てバーから一旦外に出た。
「はーい。」
『先輩。なんですか、こんな夜中に。』
相手は小林だった。寝起きのいつもより低音で少しガラッとした声がエロい。だが、やけに不機嫌そうだ。
「何って、お前が電話してきたんでしょーが。なんか急用だったらヤバいと思って掛け直したんだけど?」
『あぁ。それなら大丈夫です。自分で何とか出来ました。ではおやすみなさい。』
「えぇ。…って切れた…。」
相変わらず冷たいな。まぁ、いいや。
俺は胸ポケットに入れて置いたシートガムを口に入れた。レモンの風味が鼻に抜ける。
「寒っ。中入ろ。」
肩をさすりながら中に入ると桃瀬はもう帰るようで支度をしていた。
「帰るの?」
「うん。好きな人に振られたから。」
「ははは。そりゃ悪かったな。」
そう言いながら桃瀬は案外、しっかりとした足取りで帰って行った。
バーに残された俺はマスターと久々に話した。
「久しぶりに2人だね。マスター?」
「えぇ。そうですね。」
俺よりも少し上の年代のマスターは俺よりも幾分落ち着いている。
マスターはノンケでバツイチらしい。離婚してさまよってたところを桃瀬に拾われた。と前に言っていた。
「ねぇ。マスター。」
「はい。」
「俺さ今月末に社員旅行があるんだよね。京都と奈良の観光。」
「良いですね。紅葉が綺麗ですよ。」
「へぇ。そうなんだ。ちょっと楽しみかも。お土産買ってくるねー。」
「はい。楽しみに待っておきます。」
そんな包容力ある雰囲気に包まれて俺は少しの間その場を楽しんだ。
翌日、連日の早朝出勤から元の出勤時刻に戻した。
デスクに着くと小林が珍しく会社に来てなかった。休みの時とかはだいたい俺に連絡が入るから、恐らく遅めの出社だろう。
「課長~。社員旅行の計画表です。最終確認をパパっとやって貰ってもいいですかー?」
俺は昨日出来た資料と一緒に課長に丸投げをして、新しい企画の原案を考え始めた。
それから数時間後には小林が出社してきた。
「やっと来た。おはよー小林くん。」
「おはようございます。相変わらず気の抜けた人ですね。」
「朝からズバズバしてんのな~。」
いつものように挨拶を済ませて、小林も仕事に取り掛かった。
「暁くん!ちょっといいかな?」
「はーい。今行きます…!」
コピー機の前で寝不足でぼーっとしていると、同期のたなゆいさんこと田中 結子さんに呼ばれた。彼女も社内の男を十分釘付け出来るほどの美貌を持っている。
あ、ほら。俺が呼ばれただけで周りの空気がピリついた。大丈夫。俺は女には興味無い。もはや同性と同じ感覚だから。
「どうしました…?」
「ごめんね忙しいのに。ちょっとこの資料のここの計算が曖昧でどうしたらいいのか教えて貰ってもいい?」
「あぁ。いいですよ。えっと、ここは…」
今の計算は俺も最初は意味わかんなかった。それに凄く凡ミスして怒られた記憶があるな。
彼女に教えて、給湯室にコーヒーを注ぎに行くと小林がいた。
「相変わらずですね。」
「えー?何が?」
いつものように、へらへらと笑って聞き返すとその態度が気に食わないようで小林は眉をしかめてため息を小さくついた。
「貴方のその態度ですよ。…はぁ、俺。仕事に戻ります。」
何だろう。最近、小林がおかしい。何がおかしいかと言われたら具体的には言えないがなんかおかしい。まぁ。大丈夫だろう。多分…
それに来週末には社員旅行だし今週は頑張らないとな~。
「さてと。気合い入れ直しますか。」
11
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
透明色のコントラスト
叶けい
BL
東京から遠く離れた小さな島の、夏祭りの夜。
和食屋を一人で切り盛りしている若き店主・由良響也は、島の小学校で教師をしている年上の幼馴染・手嶋一樹と二人で縁日に遊びに来ていた。
東京から来た大学生達が運営する焼きそばの屋台でバイトしていた青年・矢代賢知は、屋台を訪れた響也に一目惚れしてしまう。
後日、偶然響也の店を訪れた賢知は、その穏やかな微笑みと優しい雰囲気にますます惹かれていくが…。
「いいよ。そんなにしたいなら、する?」
「別に初めてじゃないから、君の好きなようにしなよ」
軽く笑ってそう言った響也の声には、ほんの少し、震えが混じっていた。
幼馴染に恋をした過去。
誰にも見せられなかった本当の気持ち。
拗らせすぎた優しさと、誰かに触れてほしかった夜。
夏の終わり、誰にも言えない苦しい恋が始まる。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結】取り柄は顔が良い事だけです
pino
BL
昔から顔だけは良い夏川伊吹は、高級デートクラブでバイトをするフリーター。25歳で美しい顔だけを頼りに様々な女性と仕事でデートを繰り返して何とか生計を立てている伊吹はたまに同性からもデートを申し込まれていた。お小遣い欲しさにいつも年上だけを相手にしていたけど、たまには若い子と触れ合って、ターゲット層を広げようと20歳の大学生とデートをする事に。
そこで出会った男に気に入られ、高額なプレゼントをされていい気になる伊吹だったが、相手は年下だしまだ学生だしと罪悪感を抱く。
そんな中もう一人の20歳の大学生の男からもデートを申し込まれ、更に同業でただの同僚だと思っていた23歳の男からも言い寄られて?
ノンケの伊吹と伊吹を落とそうと奮闘する三人の若者が巻き起こすラブコメディ!
BLです。
性的表現有り。
伊吹視点のお話になります。
題名に※が付いてるお話は他の登場人物の視点になります。
表紙は伊吹です。
わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される
水ノ瀬 あおい
BL
若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。
昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。
年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。
リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる