婚約拒否のために私は引きこもりになる!

たろ

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第1章

先に言っておいてほしい

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逃げられなかったよ。私には人質ならぬ本質ほんじちがいる。絶版となってない本であってもすぐそばにあるならば見過ごすことはできない。まあそれを失くしていたのも私だけれど。なのでおずおずとうなづくしかなかった。まさかあのまま尻尾巻いて逃げられるわけもなく、彼が先行くのを着いていく。わざわざ逃げないようにかガレックスさんが私の後ろからついてくる形だ。そこまでされたら逆に逃げたくなるわよ!

そしてこれから私は何をされるのだろうか…はっまさかシルヴィア・クローバットだと気づかれた?いやいやこの人生では私の姿を彼が見ることなんてなかった筈だし、正体が分かってたら図書館に来るかわからない中待ってたりすることなく直接屋敷を訪れるだろう…わからない。本棚の間をいくつも通り抜けて、図書館の中でも本棚に囲まれていて、出入りが一箇所しかない隅っこの椅子と机が置かれた読書スペースへ連れてこられた。

あーら、なんか秘密のお話しするにはもってこいの場所じゃないの。でも素晴らしいわ。本当読書をするにはぴったりとも言える場所。これこそ穴場だわ。

「お前も座れ」

カタンと音を立てて彼が椅子に座る。ガレックスさんは唯一の出口を塞ぐ。いや、少しって言いましたよね…そしてあなたこんな強引に物事を進める人でしたか?

「…結構です」

彼はむっと眉間にしわを作るが、私は折れるつもりはない。

「少しって言ったじゃないですか、わた…僕にだって用事があるんです。素早くお願いします。」

「…まあいい。見てくれ」

ツンと私がそっぽ向けば、納得したようには見えないが彼が折れたようだ。ばさっと机に置かれたのは重厚な作りをした何冊かの本だった。題名からして子供向けとは言えないけれど…ただの本よね?

「お前、読めるか?」

…馬鹿にされているのかしら?確かに10歳くらいには少し難しいかもしれないけれど私は読めますからね!

「馬鹿にしないでください!少しお待ちを。」

そう言って立ったまま一つを手に取り読み始める。少し変わった装丁で表紙の肌触りも不思議。…確かに題名は難しいものだけれど中身は意外とわかりやすい。私が手に取ったものは国際貿易の発展と歴史について書かれた本だった。これなら以前にも学んだ内容だったし、本質ほんじちとなっている小説を楽しむのに活かせる内容だから親しみやすかった。中身は奥まで突っ込んだ内容じゃなくて表面を辿るような感じで専門書と言うには少し物足りない。それに図や絵ばっかりでそこまで文字数が多いわけじゃなくすぐに読み終わってしまった。

ぱたんと閉じて机に置く。

「終わりました」

読み終わるのが早すぎたか彼はびっくりした顔でこちらを見ていた。

「読めたのか?」

「はい。」

彼はこちらをみつめて、再度聞いてくる。

「本当に読めたのか?」

かちん。侮りすぎです!

「ええ!この本はちゃんと読ませていただきました。ですがこの手の題材にしては希薄すぎじゃありませんか?文字数も少ないようですし。貿易の発展についてもアダトルの方からの視点だけかつ図も商人たちの申告のみのものなんて信用性が薄いですわ。国際貿易系のものでしたらこちらのものよりもアミール・ゾラと言う方が書かれた…」

「違う!この本はアダトルから輸入されたものなんだ」

なるほど。だからアダトル視点の描写が重いのか。確かにそれは仕方がない。流石にそれは読み取れなかった。…だからなんだと言うのだ?まさか暗号でも隠されていたんだ!なんて言いたいわけじゃないだろうし。分かっていないような私に彼はじれったく言いよる。

「俺が言いたいのはこの本はアダトル語でと言うことだ!!」

…?………あっ

「お前はどうしてアダトル語が読めるんだ?」

やっやられた!!!
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