婚約破棄された私の就職先はワケあり騎士様のメイド?!

逢坂莉未

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25話 ヒロインちゃん!それ、闇堕ちエンドだよ!?

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「それより、アレク様。少々、というかだいぶやっかいな事態になっておりましてその話をするため伺った次第でございます。」

「やっかいな事とはなんだ?」

「まずは1つ目、王弟―― 大公のザカリー様が大神官と共に昨夜、陛下の元へ訪れたそうです。『クララ嬢はまがうことなき聖女である』とおっしゃられたそうです。」

「は? なんだと?」

「光の魔法を使う少女は希少なのは周知されておりますが、その中でもよりその魔力が強いクララ嬢は聖女に違いないのだとおっしゃられたそうです。そのうえで、先日の件で第二王子がクララ嬢と思いあっているのならばマーガレット嬢の婚約をなかったものにし、クララ嬢との婚約を進めてはどうかと……。」

「なにそれ!」

あまりにも自分たちの勝手すぎる。

「いや、しかしそれはおかしいぞ。キャンベルは男爵だ、いくらクララ嬢が聖女だとしても王位継承権を持つ者の婚約者としては身分が離れすぎている。」

「それが、クレイグ侯爵がクララ嬢を養女にしたいと申し出ているそうです。」

「なんだって?」

確かに侯爵の身分になれば、第二王子との婚約も問題は無くなるだろう。でも、だからってこれじゃああまりにもマーガレット様がおかわいそうだわ…。馬車の中では、強がってらっしゃったけどやっぱりアルフレッド様の事、好きなんじゃないかと思う。

「陛下はあまりにも性急すぎるし、第二王子の意思も確認したいが今は病に伏している為、少し待てと申したそうです。」



何か。

何かが、引っかかる。これはあの乙女ゲームの中でも似たような話がなかったっけ?

思い出せない。



「しかし、王弟がでてきたとなると…。これはまた一波乱ひとはらん起こりそうです。陛下も随分と悩んでおられました。」

「…………。」

アレクは難しそうな顔で何かを考えている。


待って、王弟?
私はひとつ思い出したことがあった。

「ああ!! もしかして闇堕ちエンド!?」

「「は?」」

「あのひとつ思い出したことがあって、あの乙女ゲームでも同じようなストーリーがあるの ――。」

そう言って私はストーリーの内容を二人に話した。



******************************

逆ハールートは攻略者が全員【ベタ惚れ】状態にならないと真のハッピーエンドにならない。特に第二王子がベタ惚れじゃなくて【好き】止まりだった場合、断罪は行われるがその後は王様が何故か結婚の許可をしてくれない。(真のハッピーエンドの場合は快諾する)
で、第二王子と引き離されて途方に暮れているヒロインに声をかけたのが王弟だった。最初はヒロインも怪しむが第二王子との仲を取り持つとの言葉にすがってしまう。
そうして彼女は王弟とのやり取りをしていくうちにその年上の包容力にどんどん惹かれて行ってしまう。(美形オジサマだからね)
あるときヒロインは王弟がクーデターを起こそうとしていることを知った。ヒロインは思い悩むがそれがきっかけで自分が王弟の事が好きなのだと自覚しともに歩むことを王弟の前で誓う。それが悪の花道でも。

******************************



「はあ? なんだその話はくそすぎて突っ込む気にもなれんぞ!! 第一、ヒロインは第二王子の事が好きだったのではないのか?」

アレクが顔を真っ赤にさせて怒鳴っている。セバスチャンも頭が痛いようで眉間に指をぐりぐりさせていた。

まあ、気持ちはわかるけどさ。
オジサマ好きの方々には好評だったんだよ。一応、バッドエンドの種類にはなるけどわざとそのルートへ行く攻略方法とかもサイトにあったし。

「アレク様のおっしゃることもわかるのですが、そういうものが好きな方もいらっしゃるのですよ。」

「それで、その後はどうなるのだ?」

「クーデターは成功しますよ。王弟が王様にヒロインが王妃になって終わりです。」

「はあ? もっと詳しく! だいたいお…… 今の国王がそんなに簡単にクーデターなんか起こさせるものか、第一王子だっているんだぞ。」

「あーあの病弱の? どのルートでも病死ってなっていましたけど…。」

「病死……。」

なぜかアレクがショックを受けている。

「?」

「まあまあ、なんとなく話はわかりました。お嬢様のいう『闇堕ちエンド』というのに現在なっているのなら変えればよいのです。それに王弟がクーデターを起こすかもしれないと分かった時点でいろいろ策はうてます。」

セバスチャンが間に入って話をまとめた。

「ところで、旦那様の昨夜の魔力暴走ですが…、あれはきっと何かしらの精神干渉があったのではないかと私は推察致します。いくらヴィクトリアお嬢様の事とはいえ、昨夜の旦那様の暴走は異常でございます。」

「やはりか。俺も長い間、奴と付き合いがあるがあのようにいきなり人に攻撃をしかけるような男ではない。それに、あの暴走前の一瞬だけあいつの周りに異様なの様なものを見た。それが何かルイスに影響したかもしれぬ。」

「そうでございましたか。やはり、急がねばなりませんな。―― 実は陛下にはもう一つ許可していただいたことがございます。」

「それは何だ?」


「はい。これより私と旦那様は領地にいる母上達に会いに行こうと思っております。」


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