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76話 赤い宝石の秘密
しおりを挟むヴィクトリアがネックレスに付いた赤い宝石に触れると僅かに発光し始めた。
「お、おい!何をしている!!」
ジェフリーが異変に気付いて慌ててヴィクトリアに向かって大声を上げた。
しかし、ヴィクトリアはすでに魔法陣の中だ、迂闊に入れば自分も巻き込まれてしまう恐れがある為、ヴィクトリアの行動を制止することができずにいた。
一方、ヴィクトリアが触れた赤い宝石の光はますます強くなりやがて側にいる者達が目を開けられない状態になると《ポンッ!!》という音共に光が消えた。しかし、光が消えた同時に姿を現したものがいた。
『きゅううう、きゅきゅ~~~~い!!』
(リュウさまの、さんじょ~~だあ!!)
「リュウ!助けに来てくれたのね!!」
『きゅ!!きゅきゅきゅう~い!!』
(もちろんだよ!!あんじゅとあれくにやくそくしたもんね!!)
リュウは自慢げに器用に手を腰に当てている。
アンジュ御祖母様から頂いたネックレスの赤い宝石には秘密があった。それは召喚石といってテイムした魔物を呼び出すことができる石なのだ。召喚を使えるのは一回きりだが、身の危険が迫ったときに使えるように普段から肌身離さず、身に着けるようにと言われていた。
「くっははは!!何かと思えば子供の竜ではないか!!古代竜と比べるまでもない!!お前ら早く儀式の続きをしろ!!!」
突然のリュウの出現に驚いていたジェフリーだったが、リュウの姿が小サイズだった為に馬鹿にしたように魔術師たちに指示を飛ばした。
「リュウ、とりあえずここから出るわよ!この縄を切ることできる?」
『キュッ!!』
(できる!!)
リュウはそう言って手の爪で器用に縄を切った。
「お、お前ら勝手なことをするな!!そのままそこで大人しくしていろ!!!」
ジェフリーは予想外の事態に混乱しているようだ。
「生贄になるってわかっているのにこの魔法陣の中にいるわけにいかないじゃない。」
ヴィクトリアは魔法陣の外へと出た。
「クソッ!!こうなったら多少痛めつけてから魔法陣へと放り込んでやる!!!」
ジェフリーが手を挙げると、木々の影から鎧を着た兵士達が出てきて、私とリュウの周りを囲んだ。
「ハハハッ!!大人しく魔法陣に入るのなら痛い目に合わなくて済むぞ。」
さっきとは打って変わってジェフリーは余裕の表情を浮かべている。
「……まったく、これくらい人数で私達に勝てると思っているのかしら、ねえ?リュウ。」
『きゅきゅ~う!!』
(らくしょ~う!!)
「最近、鬱憤が溜まっていたのよねえ~、あなた達には悪いけど私のストレス解消に付き合ってもらうわ!リュウ、いくわよ!!」
『きゅ~!!』
(お~!!)
それからはヴィクトリアとリュウの独壇場だった。あっという間に十数人いただろう兵士たちが地面で伸びている。
「これで形成逆転ね。さて、最後に残っているのは貴方とそこにいる魔術師達だけどどうする?」
ヴィクトリアは手についた汚れをパンパンと叩いて落した。その隣に並んでいるリュウは威嚇するようにファーファーと口から小さい炎を出している。
「ま、待て!落ち着け、話し合おうではないか!!」
さっきとは逆に魔法陣へとジェフリーは追い詰められていた。
「今すぐ、儀式を中断させなさい!さもないと……。」
「待て!!それはできない。一度、儀式を始めたら止められないんだ!!」
「それはどういうことなのよっ!?」
「言葉通りさ、一度発動したら止めることはできない。魔術師達の意志は関係なく続けられる。儀式が終わるまではどうすることもできない。」
その場にへたり込むように座り込んだジェフリーが弱弱しく話し出した。
「そして生贄を捧げなければ、魔力が補充されるまでそこら中の魔物や人間を関係なく捕食するらしい……。」
「なんて馬鹿な事しでかしたの……。」
止めることができないなんてどうすればいいのかしら。
とにかく何とかしないと。
パカッパカッ
ふと馬の蹄の音が近づいてきているのに気付いた。
「ヴィクトリア!!無事か!?」
そこに現れたのは、馬に乗ったアレクとクララだった。
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こちらは作者からのお知らせになっております。
別の作品になりますがこの度ファンタジー大賞にエントリー致しました。
かなり癖のある男主人公です(笑)もしよろしければそちらもお読みいただけたら嬉しいです。
タイトル【後方彼氏面の王子ですが、何か?】です。
お読みいただいて面白いと思われましたら投票の方をお願いします!
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