消えていく君のカケラと、進まない僕の時間

碧月あめり

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スパークル

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 花火が全部なくなると、みんなで火の始末をして公園を出た。

 わたしと大晴、涼晴は同じマンションに住んでいるけど、蒼月だけは途中で帰る方向が違う。

「じゃあ、また」

 手を振って別れ道を別の方向に帰ろうとする蒼月に、

「次の八月七日の撮影では、ラストに使うシーンを海で撮るから。できれば覚えといて」
「八月七日……?」

 大晴が確認するように声をかけると、蒼月がわたしのほうにちらっと視線を向けてきた。

 映画のラストで、ヒロインと幽霊の恋人が海にデートに行くシーンがあるのだ。

 公園で花火をしたときに、彼から『もうこの世にはいない』と言われたが、ヒロインはその言葉を信じていない。

 事故後に病院で目を覚ましてから、彼と一緒に恋人同士のような時間を過ごしてきたヒロインは、よく考えてみると彼から告白を受けていないことに気付く。

 もしかしたら、彼は自分が事故で部分的に記憶をなくしているから、優しくしてくれているだけなのかもしれない。だから彼は自分が『この世にはいない』なんてウソをついたんじゃないか。そんなふうに思い悩むけれど、ヒロインは彼を好きな気持ちは止められない。

 彼の気持ちを確かめたいと思ったヒロインは、彼を海でのデートに誘う。夕方まで遊んだあと、彼に「好き」だと告白をするヒロイン。そのまま彼に抱きつこうとした瞬間、今まで触れることができたはずの彼がヒロインの腕からすり抜ける。悲しそうに見つめる幽霊の恋人。そのまなざしを見つめ返すヒロインの頭の中で忘れていた記憶が蘇る――。

 それが、映画の後半のストーリー。

 この映画の一番の見せ場になるラストシーンを、大晴は絶対に本物の海をバックに撮りたいらしい。

 絶対にはずせないラストシーンは、全員で集まって撮影をしたいというのも大晴の希望だ。

 わたし達の住む街から、撮影に使えそうな海がある場所までは電車を乗り継いで一時間以上。移動も含めたら、一日がかりの遠出になる。

 映画撮影メンバーの部活や塾の予定を照らし合わせると、全員が集まれそうなのは八月七日しかなかった。

 だから、台風でも来ない限り、撮影はこの日に決行。わたし達映画撮影メンバーは、海での撮影日に絶対他の予定を入れないようにと大晴にしつこく言われている。

 ちなみに八月七日はわたしの誕生日で、部活が休みだから、お母さんと買い物に行っておいしいランチでも食べようと約束をしていた。でも、映画撮影を優先したほうが良さそうなので、残念ながらお母さんとの約束はキャンセルだ。

 海での撮影日は、全員で集まって決めたから蒼月だって、当然知っているはず。そう思っていたのに……。

「海、行くんだ……?」

 大晴の話に、蒼月が驚いたように目を見開いた。まるで、海での撮影の話を初めて聞いたみたいな反応だった。
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