今日も、由井くんに憑けられています…!

碧月あめり

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6.君のためならなんでもできます。

7

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「何言ってるの、アキちゃん。正気に戻ってよ。アキちゃんは、里桜先輩と付き合ってるんだよ」

「衣奈が、俺と付き合ってくれるなら、今の彼女とは別れるよ。だって、のことが好きだから……」

 アキちゃんが……、おそらく自分の意志に反して、わたしに顔を近付けてくる。

 そうしながら、そっと目を伏せるアキちゃんを見て、わたしは心臓が縮みあがりそうになった。

 わたしの脳裏に浮かぶのは、数日前に見たアキちゃんと里桜先輩のキスシーン。

 今からそれが、わたし相手に再現されようとしているのがわかって、めちゃくちゃに焦る。

 こんなの、絶対だめでしょ。

 由井くんに操作されて、アキちゃんとわたしが……、なんて。

 だめ、だめ、だめ……!


「ちょっと待って……!」

 拒絶するわたしの肩を抱き寄せようとするアキちゃんに抵抗して、彼の唇を手のひらで塞ぐ。


「由井くん、止めて!」

 迫ってくるアキちゃんを押さえながら必死に叫んだそのとき。


「やっぱり、だめだ……」

 今にも泣き出しそうな由井くんの声が聞こえて、わたしとアキちゃんのあいだにぶわーっと強い風が吹いた。

 その風がわたしとアキちゃんを引き離し、意識を失ったアキちゃんの身体からガクンと力が抜ける。

 そのまま倒れそうになるアキちゃんの身体をなんとか支えると、よたよたしながら、なんとか地面に寝かせる。

 目を閉じたアキちゃんの鼻のあたりに手をやると、ふつうに呼吸をしていて。苦しそうなところも、痛そうなところもない。

 アキちゃんが目を覚ますまでは油断できないけど、とりあえずは大丈夫そうで、ほっとする。

 だけど、どうして急にこんなことに……。

 突然、こんなワケのわからないことをした由井くんを問い詰めないと。

 そう思って、倒れているアキちゃんの向こうに視線を向ける。

 だけど猛抗議してやるつもりだった由井くんは、少し離れたところで、ドヨーンとした暗いオーラを纏いながら膝を抱えて丸まっていて。


「ど、どうしたの……?」

 わたしはつい、由井くんを心配するような言葉をかけてしまった。
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