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第1章 スズメの上京
第11話 東風亭
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「カフェというと、あのカフェか?」
羽佐間剛は、同郷の級友、長谷川幸太郎の紹介で神保町にある喫茶店『東風亭』に下宿することが決まっていた。
「いいや、女給はいないし、静かな店だ。神田辺りは美人の女給の店が主流だが、神田にはただ純粋にコーヒーが好きで、本が好きな奴が集まる店が多い」
幸太郎は、スーツのポケットから煙草を取り出し、マッチを擦って火をつける。剛は歩きながら器用にやるものだと感心しながら東京という街のせわしなさが、このようなことを可能にするのだと、妙に納得をしていた・
「なるほど、最近いうところの『純喫茶』というやつか」
「ほう、良く知っているな」
二人は酔ってはいたが、足取りはしっかりとしていたし、どうにもまだ話したりないということもあり、下宿先まで神田から神保町まで歩くことにした。
陽はすっかり暮れているが、街の灯りはまだついたばかりである。程よい夜風が、剛には心地良く感じられた。田舎とは違う、街の夜風である。
「田舎暮らしでも新聞で得られる知識はある。しかし、実際この目で見てみない事にはわからないものさ。だいたいこっちじゃコーヒーを飲む人だって少ない」
"こっち"と言ってしまうあたり、自分はまだ田舎の人間だと剛は自分を哂ったが、それを聴いた幸太郎は、更に大きな声で笑った。
「そりゃ、俺たちの故郷、静岡はお茶どころだからな。なんといっても鎌倉時代か続く歴史がある。それにコーヒーは日本では作れないし、輸入に頼っていては、なかなか普及もしないというものだ。まぁ、日本でもコーヒノキは育つそうだが、豆はいかんそうだからなぁ」
剛は感心した。
「幸太郎は随分と詳しいのだな。コーヒーには」
「なぁに、受け売りだ。このコーヒーのブームに乗って、俺も一儲けできないかと、人に相談したのだが……」
煙草を一ふかしして、ため息をついた。
「静岡でお茶ができるのであれば、コーヒーもできるのではないかと思ったのだが、霜は豆の大敵らしくてな。それでその相談をした人と言うのが、お前がこれからお世話になる下宿先の亡くなったご主人というわけさ」
つまり、剛がこれから世話になる人と言うのは、幸太郎が世話になった主人の未亡人ということになる。知っていたこととはいえ、どうにも剛にはそれが心苦しかった。それを悟ってか、幸太郎は剛の背中を大きな手で叩きながら語気を強めて言う。
「俺が思うに、剛が下宿するのにこれほど優良な物件は他にないと思うがな。別に未亡人と一つ屋根の下で暮らすというわけではないのだから、何も気にすることはないだろう」
剛は確認のための、もう一度詳しく、下宿先のことを聞くことにした。本人を目の前にして話せないということもある。
「ご主人は確か、一年前に亡くなられたのだったな」
「ああ、流行病でな。亡くなったのは2月だったから、一周忌はもう済んでいる」
「一人娘がいると聞いたが」
「ああ、器量のいい娘だ。店を手伝いながら、役者の勉強をしている。俺たちの二つ下になるな」
「店は二階建てで、二階に住まわせてもらうと聞いている。それでその二人は店から少し離れたところに住んでいるとか」
「ああ、だからお前さんはふたりが帰った後、コーヒー泥棒が来ないように住み込みで店を守るのが言わば仕事となる」
剛は頭をかいた。
「どうも若い娘は苦手でね。特に妹くらいの年下の娘はどうもいかん」
「相変わらずだな。しかしここは東京だ。妹のことは気にするな」
剛は意を決して一番確認したいことを聞いた。
「そういう問題じゃないのだがな。まぁ、それもよしとして、幸太郎、まさかとは思うが、お前、どちらかに入れ込んだりはしていないのだろうな」
「ないな。俺は世話になった恩を返したいだけだ。そして友人の力になりたいだけだ。そのために一番いい方法を思いついた。こんな便利な時代になっても、女だけというのは物騒だからな。お前さんみたいな優男でも、いるといないでは大違いだ」
幸太郎の言っていることは全て事実なのだろう。しかしそれが剛には問題だった。
「だから、そこなのだが、正直に言う。俺が勇ましいのは名前だけであって、優男のほうがまだ役に立つほど、その手のことにはまるで期待に応えられる気がしないのだが、それでいいのか」
幸太郎はさらに大きな声で笑う。
「心配はない。腕っ節なら夫人も娘さんも大したものだ。ついでに肝っ玉の据わり方もモダンな男子に比べたら、それこそ幽霊坂を怖がるところか、面白がるようなふたりだからな」
剛はそこで、どうやら合点がいった。
「なるほど、だからこそ引き止め役が必用と言うことか」
「まぁ、そういうことだ。好奇心旺盛なのは良い事なのだが、危なっかしくて見ておれんのだ」
「それはお前がその二人に、さっきの話を吹き込んだからだろう? 幸太郎よ」
「それを言うな。俺も反省している。だからお前に来てもらったのだ。いけないか」
言い返す言葉を探す間に、幸太郎はあそこの蕎麦屋は美味い、安くてうまい定食屋には今度連れて行ってやると、矢継ぎ早に町の案内をするものだから、ついつい言いそびれてしまったまま、目的地に着いてしまった・
「ここだ。名を『東風亭』という。店構えは地味だが、それは前の主人の趣味だな。二軒隣にレコード屋があるが、そこの主人もなかなかの人で、初枝さん……ああ、つまり夫人とは幼馴染だそうだ」
ステンドグラスをあしらった飾り窓から灯りが少し漏れている。屋根から鎖でつりさげられた木製の看板に『喫茶 東風亭』と白い文字で書いてある。外から中の様子は見えず、木製の扉には丸い窓があるがそこには色つきの曇りガラスがはめてある。ドアノブには『準備中』の札がぶら下げられている。
殺風景とは言わないまでも、本当に飾りのない質素な店構えは亡くなられたご主人の人柄そのものであったのだろうかと剛は故人に思いを馳せ、会ってみたかったと素直に思うのだった。
「お前さんが来るということで、店を少しだけ早仕舞いしてもらっている。きちんと挨拶をしないといけないからな」
「それは申し訳ないことを……」
「いや、気にすることはないさ。客も夕飯時には店を出ていくものだ。ここはコーヒー以外のメニューはほとんどないからな」
そう言い終わるかどうかのタイミングで幸太郎は扉を開けた。
「こんばんは、入りますよ」
「どうぞ、お入りくださいな」
夫人の声は落ち着いた、人を安心させるような響きを持っている。美しい声とは言えないが、人間味のある温かい声である。
「いらっしゃい、幸太郎さん」
娘の声だろうか。先ほどの声とは違い、闊達ではきはきとしたどちらかというと少年っぽさを感じる声。例えるなら小鳥のさえずりだろうか。或いは――。いずれにしても幸太郎の大きな背中に遮られて、剛はまだ挨拶することもできないでいる。
「あら? お連れの方はご一緒じゃないのかしら」
「やだぁ、お母さん、幸太郎さんの後ろにいらっしゃいますわ。どうぞ、中にお入り下さいな」
幸太郎はまるで誕生日プレゼントを隠し持っていたかのようにすっと扉の前から飛びのき、剛を店の中に引きずり込んだ。剛は意表を突かれて前のめりにバランスを崩しながら店に入り、幸太郎の太い腕に支えられて体勢を整えるとかけていたメガネが床に落ちるのではないかという勢いで頭を下げて挨拶をした。
「羽佐間剛と申します。これよりしばし、お世話になります」
剛がそんなことだから、鈴音はびっくりして剛の袖から飛び出した。
チュン、チュン、チュン、チュン
「もう、何よ! びっくりさせないで、剛ったら」
鈴音は剛のすぐに剛の右の肩に止まり、見知らぬ声の主の顔を確認して、再び剛の袖の中に潜り込んだ。
「えぇ、何今の……スズメ……かしら」
「鳩には見えなかったわよね。新しい手品か何かかしら」
東風亭は大きな笑いに包まれた。
羽佐間剛は、同郷の級友、長谷川幸太郎の紹介で神保町にある喫茶店『東風亭』に下宿することが決まっていた。
「いいや、女給はいないし、静かな店だ。神田辺りは美人の女給の店が主流だが、神田にはただ純粋にコーヒーが好きで、本が好きな奴が集まる店が多い」
幸太郎は、スーツのポケットから煙草を取り出し、マッチを擦って火をつける。剛は歩きながら器用にやるものだと感心しながら東京という街のせわしなさが、このようなことを可能にするのだと、妙に納得をしていた・
「なるほど、最近いうところの『純喫茶』というやつか」
「ほう、良く知っているな」
二人は酔ってはいたが、足取りはしっかりとしていたし、どうにもまだ話したりないということもあり、下宿先まで神田から神保町まで歩くことにした。
陽はすっかり暮れているが、街の灯りはまだついたばかりである。程よい夜風が、剛には心地良く感じられた。田舎とは違う、街の夜風である。
「田舎暮らしでも新聞で得られる知識はある。しかし、実際この目で見てみない事にはわからないものさ。だいたいこっちじゃコーヒーを飲む人だって少ない」
"こっち"と言ってしまうあたり、自分はまだ田舎の人間だと剛は自分を哂ったが、それを聴いた幸太郎は、更に大きな声で笑った。
「そりゃ、俺たちの故郷、静岡はお茶どころだからな。なんといっても鎌倉時代か続く歴史がある。それにコーヒーは日本では作れないし、輸入に頼っていては、なかなか普及もしないというものだ。まぁ、日本でもコーヒノキは育つそうだが、豆はいかんそうだからなぁ」
剛は感心した。
「幸太郎は随分と詳しいのだな。コーヒーには」
「なぁに、受け売りだ。このコーヒーのブームに乗って、俺も一儲けできないかと、人に相談したのだが……」
煙草を一ふかしして、ため息をついた。
「静岡でお茶ができるのであれば、コーヒーもできるのではないかと思ったのだが、霜は豆の大敵らしくてな。それでその相談をした人と言うのが、お前がこれからお世話になる下宿先の亡くなったご主人というわけさ」
つまり、剛がこれから世話になる人と言うのは、幸太郎が世話になった主人の未亡人ということになる。知っていたこととはいえ、どうにも剛にはそれが心苦しかった。それを悟ってか、幸太郎は剛の背中を大きな手で叩きながら語気を強めて言う。
「俺が思うに、剛が下宿するのにこれほど優良な物件は他にないと思うがな。別に未亡人と一つ屋根の下で暮らすというわけではないのだから、何も気にすることはないだろう」
剛は確認のための、もう一度詳しく、下宿先のことを聞くことにした。本人を目の前にして話せないということもある。
「ご主人は確か、一年前に亡くなられたのだったな」
「ああ、流行病でな。亡くなったのは2月だったから、一周忌はもう済んでいる」
「一人娘がいると聞いたが」
「ああ、器量のいい娘だ。店を手伝いながら、役者の勉強をしている。俺たちの二つ下になるな」
「店は二階建てで、二階に住まわせてもらうと聞いている。それでその二人は店から少し離れたところに住んでいるとか」
「ああ、だからお前さんはふたりが帰った後、コーヒー泥棒が来ないように住み込みで店を守るのが言わば仕事となる」
剛は頭をかいた。
「どうも若い娘は苦手でね。特に妹くらいの年下の娘はどうもいかん」
「相変わらずだな。しかしここは東京だ。妹のことは気にするな」
剛は意を決して一番確認したいことを聞いた。
「そういう問題じゃないのだがな。まぁ、それもよしとして、幸太郎、まさかとは思うが、お前、どちらかに入れ込んだりはしていないのだろうな」
「ないな。俺は世話になった恩を返したいだけだ。そして友人の力になりたいだけだ。そのために一番いい方法を思いついた。こんな便利な時代になっても、女だけというのは物騒だからな。お前さんみたいな優男でも、いるといないでは大違いだ」
幸太郎の言っていることは全て事実なのだろう。しかしそれが剛には問題だった。
「だから、そこなのだが、正直に言う。俺が勇ましいのは名前だけであって、優男のほうがまだ役に立つほど、その手のことにはまるで期待に応えられる気がしないのだが、それでいいのか」
幸太郎はさらに大きな声で笑う。
「心配はない。腕っ節なら夫人も娘さんも大したものだ。ついでに肝っ玉の据わり方もモダンな男子に比べたら、それこそ幽霊坂を怖がるところか、面白がるようなふたりだからな」
剛はそこで、どうやら合点がいった。
「なるほど、だからこそ引き止め役が必用と言うことか」
「まぁ、そういうことだ。好奇心旺盛なのは良い事なのだが、危なっかしくて見ておれんのだ」
「それはお前がその二人に、さっきの話を吹き込んだからだろう? 幸太郎よ」
「それを言うな。俺も反省している。だからお前に来てもらったのだ。いけないか」
言い返す言葉を探す間に、幸太郎はあそこの蕎麦屋は美味い、安くてうまい定食屋には今度連れて行ってやると、矢継ぎ早に町の案内をするものだから、ついつい言いそびれてしまったまま、目的地に着いてしまった・
「ここだ。名を『東風亭』という。店構えは地味だが、それは前の主人の趣味だな。二軒隣にレコード屋があるが、そこの主人もなかなかの人で、初枝さん……ああ、つまり夫人とは幼馴染だそうだ」
ステンドグラスをあしらった飾り窓から灯りが少し漏れている。屋根から鎖でつりさげられた木製の看板に『喫茶 東風亭』と白い文字で書いてある。外から中の様子は見えず、木製の扉には丸い窓があるがそこには色つきの曇りガラスがはめてある。ドアノブには『準備中』の札がぶら下げられている。
殺風景とは言わないまでも、本当に飾りのない質素な店構えは亡くなられたご主人の人柄そのものであったのだろうかと剛は故人に思いを馳せ、会ってみたかったと素直に思うのだった。
「お前さんが来るということで、店を少しだけ早仕舞いしてもらっている。きちんと挨拶をしないといけないからな」
「それは申し訳ないことを……」
「いや、気にすることはないさ。客も夕飯時には店を出ていくものだ。ここはコーヒー以外のメニューはほとんどないからな」
そう言い終わるかどうかのタイミングで幸太郎は扉を開けた。
「こんばんは、入りますよ」
「どうぞ、お入りくださいな」
夫人の声は落ち着いた、人を安心させるような響きを持っている。美しい声とは言えないが、人間味のある温かい声である。
「いらっしゃい、幸太郎さん」
娘の声だろうか。先ほどの声とは違い、闊達ではきはきとしたどちらかというと少年っぽさを感じる声。例えるなら小鳥のさえずりだろうか。或いは――。いずれにしても幸太郎の大きな背中に遮られて、剛はまだ挨拶することもできないでいる。
「あら? お連れの方はご一緒じゃないのかしら」
「やだぁ、お母さん、幸太郎さんの後ろにいらっしゃいますわ。どうぞ、中にお入り下さいな」
幸太郎はまるで誕生日プレゼントを隠し持っていたかのようにすっと扉の前から飛びのき、剛を店の中に引きずり込んだ。剛は意表を突かれて前のめりにバランスを崩しながら店に入り、幸太郎の太い腕に支えられて体勢を整えるとかけていたメガネが床に落ちるのではないかという勢いで頭を下げて挨拶をした。
「羽佐間剛と申します。これよりしばし、お世話になります」
剛がそんなことだから、鈴音はびっくりして剛の袖から飛び出した。
チュン、チュン、チュン、チュン
「もう、何よ! びっくりさせないで、剛ったら」
鈴音は剛のすぐに剛の右の肩に止まり、見知らぬ声の主の顔を確認して、再び剛の袖の中に潜り込んだ。
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