異世界勇者~左目に隠された不思議な力は~

野うさぎ

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第0章

第12話

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 俺は、弱いってことが自分でもわかっていた。
 だれかに支えてもらわないと、簡単に崩れてしまうくらい。プリンのような心だった。

 だけど、リーベはそんな俺を抱きしめてくれた。
 愛してくれた。
 恋人のままでいられる・・・。

「大人になったら、何がしたいのでござるか?」

 俺とリーベは、リコルドやその王様から離れるために、電車に乗っていた。

「どうなるんだろう・・・?
俺は、これから、どうしたいんだろう?

このまま異世界にいるのかわからないし、人間世界に帰れるかもしれないし・・・」

「なら、僕はどの世界にいても、必ずできることをするのでござる」


「するって、何を?」

「結婚と、子供なのでござるよ」

「え?」

「結婚したい人を、決めたのでござるよ。

テュー君と、結婚したいのでござる。

子供は、男の子と女の子、両方ほしいのでござる」

「俺は、自分の子供を愛せるのだろうか?」

「愛せるでござるよ。

自分の子供は、いつでもかわいいのでござる」

 だって、俺は子供にトラウマを抱えてしまったから、子供を愛せるかどうか・・・。

「テュー君は、まずは自分を信じることから始めるのでござる。

僕も、テュー君を信じているから・・・・」


 電車を降りて、俺とリーベは歩いて行った。
 どこまで歩いていくのかわからない。

 だけど、リーベとなら、どこまでも歩いていけそうだった。

 しばらくしたら、リーベは妊娠した。
 男の子か、女の子かは、まだわからない。

 リーベが妊娠したということは、戦えないということになる。

 追いかけてくるはずのない人たちから逃げるのは、また追われるかもという恐怖から。

 だけど、リーベはどうして、こんな俺にいつまでもついて行ってくれるのだろう?
 俺を愛してくれているという証拠なのかもしれないけど、その割には何か違和感がある。

 ここで、頭の中で映像みたいなものがでてきた。

「君は、この世界で、僕に依存するのでござるよ」

 この言葉が、頭の中で響いてきた。
 なんだ、この声・・・?

 初めて聞いた言葉じゃない。
 これは、リーベと同じ声だ。

 何か、身に覚えがある。
 思い出せ、どうしてこの世界にやってきて、どうやって来たのかを。

「君は、僕を選んだ・・・・のでござる・・・・」

 大丈夫。
 少しずつ思い出せ・・・・。

 思い出すんだ・・・・。

 緑の髪の聖女、紫の髪の聖女、ピンクの髪の聖女、赤髪の聖女と、次々と頭の中に映像が出てきた。
 最後の映像は、青髪の聖女のリーベだった。

「リーベ、君は何者なんだ?」

 リーベは、その場でにやりと笑った。
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