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番外編 アクアマリン編集部

第11話

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 滴舟さんが好き?
 まさか、そんなこと、あるわけない。
 男同士だって、わかってるじゃないか。

 だけど、滴舟さんを意識してしまって。
 滴舟さんのことばかり、思い描くようになっていった。
 滴舟さんは、特別な人で、オレが今まで会ったことのないような人。

 だから、次第と惹かれていく。
 オレには、滴舟さんしかいないように感じた。

 オレが滴舟さんを、恋愛として好きになるのに、そんなに時間はかからなかった。
 オレは、まともな恋愛しないな。

 オレには、老婆の彼女がいる。
 オレの気持ちは滴舟さんにあるから、別れようかなと考えていた。

「別れよ」
 何の罪悪感も迷いもなく、その言葉が出てきた。

「どうして?」
「好きな人ができたから」
「好きな人?私の気持ちはどうなるの?」

 知ったこったない。
 何で、別れた後のことも考える?
 別れたなら、お互いに自由ではないか。
 そんなことも自分で決められないのか。

「そこまで責任はとれない」
「自分から告白したくせに」

 告白するのもオレから、
 振るのもオレから、
 それのどこが悪い?
 オレは滴舟さんと付き合いたい。ただ、それだけだ。

「付き合うことに責任はおうけれど、別れたことまでは責任おえない」
 最低とか思うなら、思えばいい。
 冷たいって言いたいなら、言えばいい。
 別れた人間に同情したいやつがいるか?
 オレならしない。
 オレは、自分のい歩みたい道ができて、滴舟さん一択で生きていたいとう意志ができたから。

「ひどい、裏切ったのね」

 ここで終わりと安堵したのは一瞬で、
「あんたなら、こうしてやる」
 オレは、殴られた。

 殴られた?
 オレが元カノとなった老婆に?

「今まで信じていたのに」
 オレは、殴られ続けていた。
 突然のことに思考停止していた。
 自分の状況が理解できなかった。
 気がつけば、オレは気絶していた。

 気がつくと、病院にいた。
 オレは全身あざだらけで、ベットに横たわっていた。
 近くには、オレの両親がいた。

「よかった、気がついたのね」
「オレは・・・・・」
「たまたま、通りかかった人が警察に通報してくれたんだ」

 そうか、オレは振っていたんだ。
 体中が痛い。

 オレは、老婆を甘く見ていた。
 簡単に付き合えて、簡単に別れられると見下していた。

「ごめんなさい。結婚まで認めていた彼女さんを、あんな暴力を振る女と見抜けなくて」
「医者の話を聞いて知ったんだが、あいつは医者である元カレにも、DVをしていたそうだ」

 元カノは、老元《おいもと》と言うんだが、バツニで、二回とも親権を旦那にとられていると聞いていた。
 離婚理由だ、旦那の裏切りとだそうだ。
 両親の話によると、元旦那にもDVをしたいたんじゃないかと不信感を抱くようになった。
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