炎血のレノクス

雨樹義和

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ACT03:「話は聞きましたっ!」

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□城砦都市カンラ北・傭兵団の砦・厩舎
早朝。乾草の束を厩舎に運ぶレノクス。一頭ずつ飼葉桶に乾草を入れながら、馬たちに声をかけていく。

レノクス「おっ、今日は食欲あるんだ」
馬A「ぶるんっ」
レノクス「ゆっくり食べなよ」
馬B「ひんっ」
レノクス「えっ、撫でていいの? じゃー……」
馬C「ふひひん」
レノクス「あはは、手を舐めないでよ。くすぐったいよ」

歩み寄ってくるマクダフ。

マクダフ「よう、レノ。当番か」
レノクス「おはようございます! 早いんですね」
マクダフ「今日は出かける用事があってな。オマエも頑張ってるんだなァ」
レノクス「ええ、みなさん、良くしてくださいますので」
マクダフ「ラッセルが驚いてたぞ。もう教えることが何もないって」
レノクス「あの先輩には、弓を教わってたんですけど……昨日、稽古場に呼ばれなかったのって、そういうことですか?」
マクダフ「そういうこった。あとは何があるかな……ああ。そういや、馬に乗ったことは?」
レノクス「ないです」
マクダフ「お、そうか。ならちょうどいい。ここで練習してみようか」
レノクス「いいんですか?」
マクダフ「レノならすぐ憶えるだろ。コツさえ掴んじまえばな」
レノクス「お願いします!」

レノクス、ぺこりとお辞儀。


□厩舎脇の広場
マクダフの愛馬・飛電がレノクスの前に立ち、顔を突きつけてくる。

レノクス「わ、わ! なに!」

飛電、顔を引っ込める。

飛電「ぶふん」

マクダフ、軽くうなずく。

マクダフ「悪くない、っていってるな」
レノクス「そうなんですか?」
マクダフ「馬ってのは、案外と個性が強くってな。素直なのもいれば、ワガママなのもいる。この飛電は気性が荒いし、けっこう乗り手を選ぶんだが、とりあえずレノは合格みたいだぞ。ほれ、見ててやるから、乗ってみな」

レノクス「はい!」

レノクス、鐙に足をかけ、おっかなびっくりな様子で飛電の鞍に乗る。

マクダフ「うんうん、初めてにしちゃ上出来だ。手綱をしっかり握ってろよ」
レノクス「はい……って、うわぁ!」

飛電、いきなり走り出す。

レノクス「ああああ、ままっ待って、ちょっ、そんなっ!」

駆け回る飛電、鞍上で翻弄されるレノクス。

マクダフ「はっははは、すぐ慣れるって!」
レクダフ「ひょえええぇー!」


□城砦都市カンラ、市場
昼下がり。都市の中央路に市が立ち、様々な露店が並んでいる。行き交う大勢の人々。時折馬車も通る。
レノクスたち見習い五人、のんびり市場を歩いている。全員、小さな手籠を持っている。

レノクス「わは、にぎやかー」
カラハ「あんまり余所見してちゃダメだよ。俺たち、仕事中なんだから」

通りで、楽しそうに手を繋いで歩くサビネアの親子連れを見かけ、レノクス、ついそちらに顔を向ける。親子連れは身なりは質素だが首輪もなく血色もいい。なにより表情が活き活きしている。
レノクス、小石につまずきかける。

レノクス「わ」
エンギ「いわんこっちゃねー」
メッカ「これで仕事じゃなきゃなあ」
スデルト「でもこのへんで買い物たって、俺らの給金じゃ」
メッカ「服ぐらい買えるだろ。この支給のシャツさ、ゴワゴワしてて」
エンギ「タダで貰ってるんだから文句いわない。正式に傭兵になったら、全部自腹なんだぞ」
レノクス「え、そうなんですか?」
カラハ「そうだよ。服だけじゃなくて、剣、槍、弓矢などの武器も自分で買い揃えないといけないんだ。食事だって自腹だし、厩舎にいる馬も、あれ全部、先輩たち個人の持ち物なんだよ。世話するのは俺たち見習いの仕事だけど」
レノクス「ええ、そうだったんですか!」

五人、市場を抜け、市街地のはずれへ向かう。


□街はずれに向かう坂道

スデルト「だからさ。俺ら見習いは、給金貰っても、無駄遣いしないで、ちゃんと貯めておかなきゃいけないんだよ」
エンギ「先輩から譲って貰える場合もあるそうだけどね」
カラハ「あと、傭兵団から貸与されるのは、戦具だね。あれはさすがに高価で、個人でまかなえるものじゃないから」
レノクス「戦具って、あの腕にはめたら、ぱぁって光って、鎧になるやつですか」
カラハ「そう。あれには三段階の等級があるんだよ。等級が上がるほど防御力が向上し、身体能力にも高い補正がかかるようになる。傭兵なりたての新人はC級、鉄の戦装束。ある程度経験を積んだベテランにはB級、白銀の戦装束が貸与される。A級は特別でね。うちだと、たしかマクダフ副団長しか持ってないよ」
レノクス「特別?」
カラハ「もともと、戦具っていうのは発掘品なんだよ。この大陸のあちこちにある、大昔の遺跡に埋まってたものなんだ。遺跡から掘り出されたものを、いろいろ研究した結果、それが古代の兵器だとわかった。そこからさらに研究を重ねて、実際に使えるようにしたものがA級戦具。そのA級戦具の構造を分析して、今の錬金術の技術で複製したものが、B級以下の戦具なんだ」
レノクス「はぁ……錬金術、ですか」
カラハ「俺も、その方面は詳しくないけどね。とにかく、現代の錬金術では、発掘品のA級に近いものはできても、完全な複製はできなくて、性能もA級には及ばないらしい。それで、A級はオリジナル戦具とも呼ばれてるね。ものすごく高価で、A級戦具ひとつで大きなお屋敷が三軒建つっていわれてるよ」
レノクス「えぇ……! そんなの持ってるマクダフさんって、いったい……」
エンギ「おっ、見えてきたぜー」

坂道の彼方に林が見えてくる。


□街はずれの林の中
レノクスたち、林の木々の下にかがみ込んで、下生えをかきわけている。

メッカ「薬草摘みってさぁ、傭兵の仕事じゃないよな」
スデルト「見習いの雑用ってことだろ。どっちにしろ、必要なものだし」
カラハ「ほら、この草だよ。こうやって、根っこをしっかり引き抜くんだ」
レノクス「この根っこを乾燥させるんでしたっけ」
カラハ「そう。それが生薬になるからね。錬金術師のエランドさんのところに持っていけば、あとの加工なんかはやってくれるから」
レノクス「よーし、抜くぞー!」


□シージュ王国・王都エンシー全景
広大な平地に碁盤状に配置された、きわめて整然とした都市全景。やや南北に長い方形の防壁で四方を囲んでいる。


□王都エンシー・大手門前
朱と金に塗装された柱と巨大な鉄扉を備えた王都の北正門。扉は左右に大きく開かれており、街道と王都は自由往来。多くの馬車が列をなして門の内外を行き交う。徒歩の人影も少なくない。
門の手前にさしかかった馬車の中から、一人の青年が外の様子を眺めている。シージュ王国右宰相、イスタス。三十代前半、長髪白皙の美青年。
イスタスの視線の先にあるのは、門の左右に控える警備兵らの姿。徒歩の通行人に気紛れに声をかけ、難癖をつけては賄賂を要求している様子。通行人も当然のように金品を手渡している。イスタスの馬車が門に入る。


□王都エンシー・中央大路
舗装された大路を粛々と進む馬車。前方に伸びる大路の彼方には白亜の王宮。左右には朱銀紫金に彩られた洗練された華やかな建築物が整然と軒を連ね、行き交う人々の姿も洗練されている。なかにはサビネアの商人風の一行などもちらほら見える。辻には市が立ち、露店には青果が山と積まれ、陶芸の壷や皿、金銀の細工品などを扱う店も見える。賑わっているが雑然とした気配はなく、穏やかな日常風景。

□王都エンシー・王宮門前広場

イスタスの馬車が止まる。円形のロータリー状の広場で、ここにも市が立ち、多くの人出で賑わっている。
イスタス、ひとりで馬車を降りる。周囲には同じように貴族の馬車がいくつも止まっており、白面の男性貴族が従者に身を抱えられながら、よたよたと馬車を降りる姿があちらこちらに見られる。
イスタス、深々と溜息。

イスタス「近頃の流行らしいが、さすがに目に余る。あれが貴族の嗜みなどとは」


□王宮内・廊下
広々とした長い廊下、赤い絨毯を踏みしめ歩くイスタス。丸みを帯びた高い天井は純白の塗装と細やかな黄金の縁取りに彩られ、白亜の壁面にも壮麗な金銀の細工がほどこされている。あちこちに貴族らが佇んで会話しているが、いずれもなよなよと弱々しい仕草で、イスタスが通りかかると、甲高い声で挨拶を投げかけながら、ゆたりと拝礼をほどこす。イスタスは歯牙にもかけない。


□王宮内・黒檀の間
青い天井に黒い床のやや地味な部屋。壁面にはびっしりと風景画や人物画の大小の額がかかっており、室内中央では作業着姿の中年男性が立って、大きなキャンバスに向かって一心不乱に絵筆をふるっている。その脇に、朱服の初老男性が佇む。中年男性はシージュ王国国王フェルディナンド。脇にいるのは王国左宰相ルスポフ。
ドアの外から声が響く。

イスタス「右宰相イスタス、ただいま参りました」

フェルディナンド、絵筆を止めず応える。

フェルディナンド「入れ」

イスタスがドアを開いて黒檀の間へ粛々と歩を運び、フェルディナンドの脇に拝跪する。
フェルディナンド、一瞥すらせず絵を描き続けている。

フェルディナンド「今日は、そちを呼んだ憶えはないのだが」

イスタス、無表情で応える。

イスタス「急ぎ奏上いたしたき儀がございまして」
フェルディナンド「何か?」
イスタス「陛下にはすでにご承知のことと存じますが、近頃、北の国境付近に盗賊が出没し、各辺境領を荒らし回っております」
フェルディナンド「聞いておる。それがどうしたか」
イスタス「その件につきまして、メンティス辺境伯より、看過しえぬ報告が届いております」
フェルディナンド「メンティスか。あの者が、何と?」
イスタス「辺境を荒らす盗賊というのは、我らの目を欺く偽装であり、実情は帝国の偵察隊であるとのこと。メンティス辺境伯は、帝国が大規模な軍事行動を起こす前触れ……すなわち兵変の兆しやもしれぬと、これを警告してまいりました」
フェルディナンド「帝国とは相互不干渉の和約がある。それを破って、向こうから攻めてくると、辺境伯は申すのか」
イスタス「御意」
フェルディナンド「そこまで申すからには、なにか証拠があるのであろう?」
イスタス「現地の傭兵団が、盗賊の一部を討伐した際、帝国製の高級戦具を回収したとのことで」
フェルディナンド「ふむ。いや、それだけではのう。ルスポフ、どう思うな?」

左宰相ルスポフ、一歩前へ進み出て、悠然と一礼する。

ルスポフ「おそれながら……その件が事実であれば、確かに看過しえぬ事態と申せましょう。然れども、王都から遠く離れた辺境のこと、俄かに鵜呑みにするわけには参りませぬ」
フェルディナンド「確かにのう」

フェルディナンド、相変わらず絵筆を止めない。まったく興味も関心もない様子に見える。

フェルディナンド「イスタスよ。そちの考えはどうか。方策があるなら申せ」
イスタス「まず急ぎ動員令を下して、中央の兵を徴募すべきです。王都守備兵団の武官らを新たに将軍に任じて、それらの兵を率いさせ、辺境各方面へ送って防備を強固ならしめれば、帝国の侵攻にも対抗できると存じます。今ならば、編成や調練もなんとか間に合いましょう」
ルスポフ「あいや、待たれよ。右宰相どの、それはあまりに性急に過ぎますな。もしこれが虚報で、帝国にその気がなかったとすれば、兵を集めても無駄になるばかりか、かえって帝国を刺激することにもなりかねません。一片の証拠のみを信じて、軽々しく動くべきではありますまい」
フェルディナンド「余も同感である。むやみに動員令など下せば、諸侯も民もさぞ動揺するであろう。この二百年、一度もそのようなことはなかったのだから」
イスタス「ですが事実であったとすれば……」
ルスポフ「ならば、こうされてはいかがでしょう。まず、信頼できる人物を監察使として一団を組み、メンティス辺境伯領に派遣して、現地の状況をより詳しく検分させるのです。具体的な方策を構じるのは、監察使が戻った後、その報告を聞いてからとしても、遅くはありません」
イスタス内心(いや、遅い。それでは間に合うまい。あまり平和に慣れすぎて、危機感をおぼえぬのであろうな)
フェルディナンド「それがよさそうだ。では、そのように図らえ。人選は」

いきなりドアが大きく開き、白いドレス姿の金髪美少女が踏み込んで来る。第三王女エレオノール、十五歳。

エレオノール「話は聞きましたっ!」

フェルディナンド、ようやく絵筆を止め、エレオノールのほうへ顔を向ける。

フェルディナンド「エレン、何事だ」
エレオノール「たまたま通りがかったら、ドアが少し開いてたんです。楽しそうなお話が洩れてきたので、そのまま立ち聞きしてました」
フェルディナンド「おまえという奴は。いったい誰に似たのだ……」
エレオノール「お父様。その監察使というものに、私も同行させてください」
フェルディナンド「して、どうするというのだ。おまえなどに務まる仕事ではないぞ」
エレオノール「いまのお話で、ネリルのことを思い出しまして。近頃どうしてるかと」
フェルディナンド「メンティスの娘か。昔、おまえとは仲が良かったと聞くが……」
エレオノール「ええ、親友です」
フェルディナンド「しかしの、そんな理由で」
エレオノール「他にも理由があります。カンラの街には、古い遺跡があるそうですね?」
フェルディナンド「そう聞いておる。たしか、古代の神殿か何かの跡地だったかの」
エレオノール「そう、それを是非、この目で見てみたいんです! 大きな女神像とかあるそうじゃないですか!」
フェルディナンド「……仕事なのだぞ? 物見遊山ではないのだから」

イスタス、ふと何か思いついたようにうなずく。

イスタス内心(これは、天の配剤というべきか)

イスタス「陛下。よろしいではございませんか」
フェルディナンド「ほう。諫言屋のそちにしては、珍しいことを言う。理由を聞こうか?」
イスタス「エレオノール殿下も、はや御齢十五歳、そろそろ王族として、ご公務の経験を積まれてもよい頃かと。正式な監察使は別に立てるとして、殿下にはその務めぶりをお見届けいただく、という形を取られてはいかがかと」
ルスポフ「右宰相どののお考えは、よく時宜にかなっております。私めも賛成いたします」
フェルディナンド「ふうむ……」
エレオノール「お父様、ね、お願いです!」
フェルディナンド「むぅ。仕方のない子だ。よかろう。監察使の人選はルスポフに任せる」
ルスポフ「御意」
フェルディナンド「では皆のもの、もう退がれ。余は今日中にこれを仕上げてしまいたいのでな」
フェルディナンド、再びキャンバスに向かう。
全員静かに一礼し、王を残して部屋を出て行く。


□王都・大手門前
夕刻。相変わらず馬車の往来は頻繁。イスタスの乗った馬車が門を出る。
馬車に揺られながら、イスタスが内心に呟く。

イスタス内心(これから忙しくなりそうだ。もし、この国が滅びるとしても……打てるだけの手は、打っておかねば)

イスタスの馬車、街道の彼方へ駆け去り、夕闇へと融けてゆく。


□街はずれの林の中
夕刻。レノクスたち、手を休めて座り込んでいる。籠には薬草がぎっしり詰まっている。

レノクス「ずいぶん採れたましたね」
エンギ「腰いてぇー」
メッカ「手がすっかり青くさいよ」
カラハ「そろそろ帰ろうか?」

レノクス、林の木々の向こうに目をやる。坂道の先の小山にトンネルのようなものが見えている。

レノクス「あれって何ですか?」
スデルト「ああ、発掘現場ね」
レノクス「発掘?」
メッカ「たしか、あの山の下に、古い遺跡が埋まってるんだよ」
カラハ「うん。古代の地下神殿か何かの遺跡らしいね。文献とか彫像とかの他に、A級戦具もいくつか掘り出されたって。最近はあらかた掘りつくして、内部は一般開放されてるらしいけど」
レノクス「ふぅん……」

レノクス、しばらく小山を凝視。

レノクス内心(なんだろう……?)

エンギ「どしたよ、あそこ、そんなに気になる?」
レノクス「ん? いえ、そんなことないですよ。ぼちぼち帰りましょうか」
メッカ「おー、帰ろ帰ろ。腹減ったー」

全員立ち上がって手篭をさげ、歩き出す。
レノクス、振り返って山のほうを見る。


□傭兵団の砦
夜。砦の遠景。出入口や望楼が篝火に赤く照らされている。

□傭兵団の砦・食堂
石造りの広間。高い天井にいくつもランタンが下がっている。カウンターとテーブルの人影はまばら。
カウンターの内側では女たちが粥をつくったり、酒をついだり、忙しく立ち働いている。
カウンターの傭兵たちの会話

傭兵I「エールもいいけどよぉ」
傭兵J「もうちょっと強いのが欲しいよなー」
傭兵K「こんなん、酔えるかっての」

エプロン姿にリボン髪の娘ヤミィが、カウンターの傭兵たちの前に、大きなグラス二つをドン! と置く。胸がぶるんと揺れる。ヤミィは十八歳、勝気なナイスバディ。

ヤミィ「文句あんなら飲むな」
傭兵K「いやぁ、文句なんかねえけどよ」
傭兵I「ヤミィちゃん、今日もでっかいねー」
ヤミィ「おまえら、胸ばっか見んな! もっと褒め方あるだろ!」
傭兵J「そんな怒んなってー。な、今夜どうよ?」
ヤミィ「ざーんねんながら、先約があんの」
傭兵J「マジかよ、くっそ! 誰よ!」
ヤミィ「ナイショに決まってんだろ。ほれ、ツマミ置いとくよ」

ヤミィ、カウンターに豆を盛った皿を置き、盆を持ってカウンターを離れる。
食堂の隅のほうのテーブルでは、レノクスたち見習い五人が食事中。メニューは大麦の粥と豚肉の塩漬け。

スデルト「この肉、塩の味しかしないなぁ」
カラハ「よっぽど長いこと保存してたのかな」
レノクス「でも、お粥、おいしいですよ」
ヤミィ「よう、見習いども。水持ってきてやったよ」
カラハ「ああ、ありがとう」
ヤミィ「レノ、あんたも、そろそろここに慣れたかい?」
レノクス「ええ、おかげさまで」
ヤミィ「妹がいってたよ? あんたのこと気に入ったから、絶対ムコにするってさ。ありゃ惚れたね」
レノクス「えー、メルンちゃんが?」
ヤミィ「ちっこくても女は女だからねえ。毎日あんたのハダカ見ててさ、きゅんっとしちゃったってさ。頑張りなよー」

ヤミィ笑って立ち去る。

レノクス「なんか、想像つきませんけど……というか、何を頑張るんですか」
カラハ「よかったね、レノ。モテモテじゃないか」
レノクス「や、やめてくださいよ」
エンギ「でもさ、メルンだろ? ハダカなら、俺たちのも見てるはずだけどな」
スデルト「眼中にないってことだろなー。女って、そういうとこあるよ」
メッカ「あーやだやだ。子供の頃からそんなんじゃ、成長したらどうなっちまうんだよ」

ヤミィ、カウンターに戻る。

傭兵J「なんだよヤミィ、あんな赤目のガキに興味あんのか?」
ヤミィ「なにいってんの」
傭兵I「まさか今夜の先約って」
ヤミィ「ちがうっての! あんたら、それサッサと飲んじゃないなよ」

ヤミィ、厨房に下がる。

傭兵J「そうだよなぁ。赤目のヒヨコなんぞに、ヤミィは勿体ねぇって」
傭兵I「っていうかよぉ、あのガキ、あんなひょろいナリでよ、よくうちに入ってこれたよな」
傭兵J「赤目なら、森でぴょんぴょん飛び跳ねてろっていうんだよ」
傭兵K「ヒヨコじゃなくてウサギかよ!」
傭兵J「そりゃー赤いからな、目が」
傭兵K「ちげえねえ!」

傭兵たち豪快に笑う。
見習いたち、声をひそめてレノクスにささやく。

エンギ「気にするなよ?」
カラハ「酔っ払いだしね」
レノクス「あはは、気にしてませんよ。ボクがひょろいって本当ですし」
スデルト「というかさ、どっか笑いどころあった? 今の話」
エンギ「酔っ払いって、ツボに入るとああなるんだよ」
メッカ「あーやだやだ」


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