狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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1章 はじまり

4話 *初夜(2)

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「ぁ、っ……やめ、てっ……。」


晴柊の熱を帯びた声と、粘着質な音が寝室に響く。琳太郎は晴柊の胸を執拗に弄っていた。男の自分にとっては無意味だと思っていた乳首を、今こうして目の前の男、琳太郎に凌辱されている。片方は彼の舌が的を得たように転がし、もう片方は細長い指できゅっきゅっと摘ままれる。最初は痛かったはずのその動きが、次第にジンジンと奥から何かが迫る感覚に変わっていった。


「はぁ…………んっ……」

「初めてにしてはイイ反応だな。それとも、一人でするときもこうして弄っていたか?」

「そ、んなのっ……してる、わけっ……ぁっ!」


晴柊にとって自慰行為は単なる作業であった。だから、勿論こんなところを触るのも触られるのも当たり前に初めてだった。また意地の悪い言い方をする琳太郎に歯向かおうとしたとき、彼の歯が晴柊の勃起し始めていた乳首を掠める。体が僅かに跳ねた。ビリビリとしたさっきとは違う感覚が晴柊を襲い、初めてのことに思わず身をよじらせて琳太郎から逃れようとする。


「はは、体だけは素直だ。わかるか?お前のココ、もうぐしょぐしょだぞ。」

「ひっ…………!?や、やめっ…!」


琳太郎が晴柊の陰部に触れた。下着の一部が黒く湿っている。乳首を弄られて気持ちよくなっていたことが信じられなかった。濡れた箇所を更に拡げるように、琳太郎の指先がくすぐるようにして動いた。指一本も触れられていなかったのにも関わらず、自分のモノが反応してだらしなく涎を垂らしている姿に、恥ずかしさで目が潤む。勿論そこを他人に触れられるのも初めてで、多少の違和感と自分とは全く違う触り方に、晴柊の自尊心はもう耐えられそうになかった。


下着を脱がされ、琳太郎がどこからかローションを取り出す。晴柊の尻に無遠慮に足らすと、火照った身体と相反する冷たさに晴柊は思わず体をビクつかせた。ピクッとモノが反応する。その様子を琳太郎は面白いものをみるかのような目で見ながら、指を一本、晴柊の秘所に沈めた。晴柊は思わず大きな声を出す。


「えっ……!?な、なんで、そんなとこっ……気持ち悪いっ……!!」


抵抗しようと唯一解放されている足を動かそうとしたとき、それを想定したかのように足首を掴まれる。晴柊の細い足首は、琳太郎の大きな手でいとも容易く捕らえられた。


「なんでって、お前のこの狭いココに入れるからだよ。男はココで気持ちよくなれるの、知らなかったか?……ほら、2本目入れるぞ。こんなんじゃ俺の入れたときに裂けるからな。嫌なら力抜け。」

「ぁ、っ……う、そ……んっ……!」


あっという間に2本目が捻じ込まれる。排泄器官でしかなかったソコが、見る見るうちに指を加えていく。異物感と圧迫感に違和感しかなく、気持ち悪さに耐えながら必死で堪えた。片方の足首は掴まれたままで、もう片方の太ももは琳太郎の膝で押し付けられている。最早成すすべなく、早く終わってと意識を逸らすことに集中した。


「処女だとやっぱきちぃな。でも……ここだろ?」

「ぁんっ!?…………ぇ、なに、そこ……や、ぁっ、あ゛!」

「はは、可愛い声出るじゃねえか。ここ、やばいんだろ?ほら。」


琳太郎の2本の指が、ある一点を擦り上げた。その瞬間、晴柊の口から反射的に声が漏れ出る。目の前に火花が散った。そこを何度か擦り上げられると、恥ずかしい声が止まらず、晴柊の陰茎は喜んでいるように先走りを垂らしていた。動かせない足に自然と力が入る。拘束された手を、自分の爪が食い込むほどぎゅっと握った。そうでもしないと、自分の意識が自分の手に負えないところに飛んでいきそうだった。


「初めてとは思えない反応だな。素質あるんじゃないのか?風俗に行ってたら、さぞ人気が出ただろうな。一回イっとくか。」

「んぁっ……そこ、いまっ、…だめっ…で、るぅっ…………っ……!!!!!」


琳太郎が晴柊のモノを握る。そして、ものの数回扱かれただけで、尻に指を突っ込まれたまま晴柊は果てた。何が起こったのか一瞬わからなかったが、荒い呼吸を整えようと肩で息をしながら、自分がどうなったのかを理解して恥ずかしさのあまり涙が零れる。指が抜かれても、ナカの違和感は未だ残ったままだった。琳太郎はそんなのお構いなし、というように力が抜け動けなくなった晴柊の足から体をどかし、ベルトを外してズボンと下着を下げた。晴柊が果てた後の脱力感からボーっとしていると、何か硬い熱を持ったものが、晴柊の秘所に当てがわれる。ぎょっとして視線をそこに向けると、自分のものとは形も色も大きさも、何もかも違う琳太郎の陰茎が、今まさにめり込もうとしていた。


「む、むりっ……ぬ、いてぇっ……!!」


晴柊は絶叫に近い声をあげる。入らない、入らない、と子供の様に泣きじゃくるが、両手で足を拡げられ、ただ自分のなかに捻じ込まれようとしてくるそれを待つことしかできなかった。指2本でもギチギチで限界だった晴柊のナカは、琳太郎の狂気的な大きさのモノに耐えられるはずもなく、一番大きなカリが通過すると同時にぷつっと血が垂れた。晴柊本人が裂けたことには気づかなかったが、指と比べ物にならない異物感と圧迫感に襲われ、苦痛で泣き叫んだ。


「おら、まだ半分も入ってないぞ。」


腹が裂ける。痛い。苦しい。壊れる。早く終われ。晴柊は必死に目を閉じ耐えた。琳太郎のモノが中で腹に向かって動くたびに、連動したかのように涙が零れる。琳太郎は非情に、労わることも止めることもなく、晴柊のナカの肉壁をえぐるようにして、モノを無理やり押し込んだ。


琳太郎はまるで相手が処女だとは思えないほど、自分のものを晴柊のナカで動かし続けた。先ほどの甘美な声とは一転、苦痛の声を漏らしながら涙を流して組み敷かれる晴柊に、加虐心が煽られた。昼間は事務所でヤクザ相手に吠えてたカタギの子犬が、今処女を奪われ泣き叫んでいる。それだけで、琳太郎自身の陰茎の大きさを維持するのには十分だった。


晴柊は苦痛に耐えながら、寝室の大きな窓の外を見た。もう既に外は真っ暗で、東京のネオンが輝いていた。しかし晴柊にとって、それが街の電気なのか、それとも自分の眼から流れる涙と容赦なく与えられる衝撃による眩暈からなのか、もう冷静な判断はつかなくなっていた。
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