狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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1章 はじまり

15話 *視線

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晴柊の負けでオセロが終わるなり、琳太郎は立ち上がり晴柊の腕を掴んで寝室に連れて行った。ジャラジャラと足枷から伸びる鎖が音を立てる。


オセロを片付けないと篠ケ谷にどやされそうだ、とも思ったが、明日篠ケ谷がいつものようにいる確率は低そうだし、なにより今目の前のことを心配すべきだ。


数日ぶりに琳太郎と二人の寝室に、晴柊は僅かながら震えていた。さっきまで篠ケ谷と楽しそうにオセロに興じている姿を携帯越しに確認していたので、無性に腹が立った。琳太郎がベットの端に腰を掛けて、立ちすくむ晴柊を見た。


「久々だからな。まずは具合を確認するか。脱いでそこで慣らしてみせろ。篠ケ谷から聞いてるぞ、自分で処理するようになったってな。その時みたいに、自分で指突っ込んで見せてみろ。」


晴柊はそんなこと人前でできない、と着ているシャツの裾をぎゅっと握った。琳太郎が立ち上がり晴柊に近づいた。まずい、と身体が逃げようとしたときには遅く、晴柊は腹のあたりを殴られる。鈍い音と晴柊の嗚咽が漏れる。晴柊はその場に蹲るようにして座り込んだ。すかさず琳太郎が晴柊の背中に足を乗せグリグリと押す。晴柊は床に這いつくばるよな姿になった。


「少し目を離したらすぐ調子に乗る。そればかりか、他の男に尻尾を振って、主人には牙を向こうとするなど、一度本当に痛い目を見ないとわからないなら、今から日下部や「シノちゃん」を呼んでその前でやるか?」

「し、ますっ……やります、ごめんなさいっ……。」


晴柊は必死になって謝った。琳太郎は晴柊の背中から足をどかす。晴柊は座り込んだままシャツと下着を下ろし、身体は起こしたまま、尻をつく形で、足をおずおずと広げて見せた。


まだ晴柊のモノは縮こまっている。琳太郎が手助けをするかのように、ローションを上から晴柊に向かって垂らした。その冷たさに肌をビクつかせる。琳太郎はまたベットの端に腰掛けると、床に座り込んだ晴柊の様子を上から眺めた。晴柊はローションを指ですくい、それを自分の秘所に指と共にゆっくりと入れていった。くちゅ、くちゅ、とゆっくり粘着質な音が響く。次第に晴柊の上ずった声が漏れ始めた。


「ぁ、っ…………ぅ、うっ……。」


琳太郎の刺さるような視線を意識すればするほど、ナカが指をキュンっと締めることが恥ずかしかった。琳太郎にはバレていないと思っていた晴柊だったが、その度入口もパクパクと動いているのを琳太郎は気付いていた。ゆるゆると、晴柊のモノも熱を持ち立ち上がってくる。


「ぅ、うんっ……ひゃんっ!」


子犬のような鳴き声をあげ、晴柊は突然の鋭い快感に背筋をピンと伸ばした。琳太郎の足が、晴柊のものを陰嚢から先端にかけて蹴り上げていた。そして、そのまま小突くようにして責め立てる。


「指は止めるな。顔はこっちに。」


琳太郎は顔を見たがる。晴柊は羞恥から顔を逸らしがちだが、それを見抜いているように顔をいつも向けさせる。フェラの時も、挿入のときもそれは変わらなかった。


一度正常位で犯されているときに、晴柊は腕で執拗に顔を隠したことがあった。琳太郎は晴柊の腕を拘束具で固定し、晴柊の顔を殴ったのだった。晴柊は鼻血を流しながら、突かれ続け、止まらない血と、痛む鼻と、与えられる快感におかしくなりそうになったことがあったその時から、顔は言われた通りに琳太郎に見せるようにしていた。


しかし、やはり琳太郎のあの冷たい視線が晴柊は苦手だった。拘束されていないのに身体が動かなくなるのに、快感だけは豊かに感受してくるあの感覚にはどうも慣れることができなかった。


「ひ、ぅうっ……あ、あっ……ぁ”っ~!」


晴柊の亀頭を琳太郎の足が滑らすように擦ってくる。晴柊は指を2本から3本に増やした。晴柊のナカは、初夜の時よりも着実に解れていっていた。1週間以上毎日玩具や琳太郎の狂気的なモノを咥えこんでいたのだから、数日抱かれていないくらいでは最早元に戻る気配はなかった。


「随分慣れてきたな、ココは。そろそろ指が疲れてきたか?これやるよ。」


琳太郎が晴柊の前にディルドを投げた。赤黒く、琳太郎のものと同じくらい大きなものだった。晴柊は指を抜き、そのプラスチックの梁型を手に取って、ゆっくりと自分のほぐれ始めたナカに埋め込んでいく。自分の指とは比べ物にならない太さに息が絶え絶えとなる。息を大きく吐いたのに合わせてぐっと奥に押し込んだ。
久々にこのサイズのものを咥えこむと、入れ終えただけで一苦労だった。


「ぁ、んっ……んぅっ……っ……!」

「汚れた。舐めろ。」


晴柊の亀頭をしきりに弄っていた琳太郎の靴下をはいた足が、晴柊の我慢汁で糸を引いていた。それを見せつけるようにして晴柊の顔の前に足を差し出してくる。晴柊はおそるおそる舌を伸ばし、自分ので汚したものを綺麗に舐め取っていく。


晴柊の吐息が琳太郎の足をくすぐった。足を舐める屈辱に、晴柊のモノはピクンと跳ね興奮していた。それを認めたくない晴柊は、舐めているからじゃない、と主張するようにディルドを動かし始めた。


「もうナカだけでイけるんじゃないのか?」


そんなの無理だ、と晴柊は思いながら、ゆっくりとディルドを動かしていく。まだバイブのように中で動かないだけましだった。しかしディルドの側面にある突起が晴柊の肉壁をえぐっていた。琳太郎が舐めさせていた足を下ろしたと思うと、ベットから降りてしゃがみ込むようにして晴柊と視線の高さを合わせる。琳太郎の手が、晴柊のディルドを自分で動かしている小さな手の上に重なった。


「お前のイイとこはココだよ。」

「ひぃっ!?……く、ぅっ……ぁ、あっ!!」

「ほら、喘いでばかりいないで覚えろ。」

琳太郎の手が晴柊の手を主導し、晴柊の膨れた前立腺をディルドでごしごしと擦った。電撃のような快感が晴柊の身体を貫く。M字に開き床に着けていた足の先が、ピンっと伸びる。快感の波に耐えられず晴柊の身体から力が抜け、自らの体重を一本で支えていた片腕ががくがくと震えはじめる。執拗に前立腺を刺激され続け、目の前に火花が散った。


「ぁ、ぁあ゛んっ!!……ふ、ぅっ……!」


大きな波が来る、と思ったときには、晴柊の腕が耐えられずガクンと折れる。体勢を崩し晴柊は思わず両腕で琳太郎にしがみついた。その衝撃で琳太郎も体勢を崩し、晴柊を床に押し倒すような形になる。晴柊の臍から顎までの直線状に、白いものが散っていた。晴柊の蕩けた視線と琳太郎の猛獣のように興奮した視線が交差した。晴柊の華奢な両腕が琳太郎の首後ろに絡められ、指で琳太郎の項をなぞった。
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