狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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5章 洗礼

77話 *俺を挟んで喧嘩するな!

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晴柊は果てたと同時に力尽きたように肩で息をしていた。自分が前の様にイけたのは嬉しかったが、同時に篠ケ谷の手で果ててしまったことに羞恥で顔を赤くさせた。


「良かったな。沢山出せて偉い偉い。」

「う、うぅっ……もう、っ…おしまいにしよぉっ…」

「良いのか?」


琳太郎は晴柊の顔を上げさせる。後ろから抱きしめるようにしていた琳太郎と、晴柊の視線が合わさった。晴柊はドキドキと胸を高鳴らせる。


「いや、だけどっ……も、もう2人でっ…」

「お前、俺のおかげってこと忘れてんのか?そんなに仲間外れにしようとすんのもムカつくな。」


篠ケ谷はまるで自分を拒否する晴柊にムッとした。そう言うのも無理はない、と、少し前の篠ケ谷なら晴柊に同情して思うのだろうが、少なくとも自分が手を貸してよがったくせに、それでも嫌と言われたことは篠ケ谷の癪に触った。


「シノちゃん拗ねてんの…?」

「うるせぇな。見られて興奮するドMなんだから付き合ってやるって言ってんだよ。」


篠ケ谷はまるで「珍しい」「意外だ」とでも言いたげな晴柊の視線に照れ隠しの様に睨み返すと、晴柊を無理やりうつ伏せにし、尻だけ上げさせた。


「見てるだけだぞ。」

「わかってますって。」


琳太郎が篠ケ谷に念を押す。最初は乗り気だったくせに、変なスイッチが入ったらしい。琳太郎は牽制しつつ、今度は琳太郎が晴柊の尻の方へと向かい、篠ケ谷に晴柊の顔元へ移動し、再び位置をチェンジした。晴柊のアナはヒク付いている。先ほどまで二人の指で十分にほぐされたこともあり、早く琳太郎のモノが欲しいと言わんばかりだった。


琳太郎は悪戯に晴柊の入り口の皺を、軽く爪を立ててなぞる。晴柊のナカがきゅぅっと閉まる様子が見て取れた。その挙動でナカに入っていたローションが垂れる様子が妙にいやらしい。琳太郎はベルトを緩め、自らの勃起したモノをそこに当てがった。久々である。琳太郎の我慢も興奮も最大に達していた。


「入れるぞ。ちゃんと意識するんだ。誰に何されてるか。いいな?」


琳太郎の声が、背後から降りかかる。晴柊はゆっくり頷いた。少しずつ、琳太郎の熱くて太いものが埋め込まれていく。いつぶりだろうか。


「すっげえトロけた顔。組長のはそんなに美味しいか?」

「ぁあ、んっ……ひっ……み、ない…でっ…」


晴柊が一心にシーツを見つめている。篠ケ谷はその顔を上げさせて、自分と視線を無理やり合わさせた。晴柊のモノは琳太郎のモノが入っていっても、萎える様子はなかった。今さっきまで不能だったとは思えないな、と篠ケ谷は笑って見せた。少しばかりの、優越感である。琳太郎にもできなかったこと。対晴柊で琳太郎に敵うものは何一つないのだから、これくらいの優越感に浸ることぐらい許してほしいと篠ケ谷は思うのだった。


琳太郎のモノが、晴柊のナカをゆっくり出入りする。いつもの琳太郎とのセックスだ。気持ちが良い。でも、ただ篠ケ谷に見られているこの状況だけは晴柊にとって落ち着かないのだった。しかし篠ケ谷の言う通り、篠ケ谷の視線は晴柊にとって恥ずかしいという快楽へと変わっているのだった。それがまた恥ずかしく、羞恥の連鎖が始まっていた。


「あんっ…あ、ぁ………ゃ、……ひゃっ…!!」


可愛い鳴き声が寝室に響く。琳太郎の手が晴柊の腰を捉え、逃さないように固定すると、ぱちゅんと一突き、前立腺を擦った。


晴柊の目尻が下がり、荒い呼吸が唾液と共に口から溢れた。上気した頬も、じんわり汗ばんだ肌も、半年前のあどけない少年の面影も見せない様子である。


しかし、そこら辺の風俗嬢や男娼とは違う。こんなに乱れ狂っても、晴柊の清廉さは消えるどころか増すばかりだ。


「……いいな、お前は。」


ボソリと、篠ケ谷が聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。距離の離れた琳太郎には届いていないが、目と鼻の先の晴柊には僅かながら聞こえた。篠ケ谷の寂しそうな本音が。


何に対していいなと言ったのか。琳太郎とセックスしてることか?琳太郎に愛されてることか?――いいや、多分違う。晴柊には、篠ケ谷の言葉の真意はハッキリとはわからなかったが、なんとなく、どこか寂しそうな顔をする彼から目が離せなかった。


晴柊は四つん這いになって琳太郎のモノを咥え込んでいたが、何とか力を振り絞り自分の体を片腕で支えると、浮いた腕で篠ケ谷のシャツをぐしゃっと掴み、すぐに限界がきて倒れ込んでしまいそうなる体を目の前の篠ケ谷に預ける。思わず篠ケ谷は晴柊を抱き止める形になった。琳太郎のモノは抜けそうになったが、なんとか晴柊のナカにとどまる。


抱き合うくらいなら許してやろうと、琳太郎は構わず晴柊のナカでまた動いた。晴柊の熱いナカでスライドさせる度、嫌らしい音が寝室に響いた。


「ぁ、あ、んっ……あ、˝っ…!」

「もう萎える気配もないな。」

「ひゃぁ˝っ…!!あんっ、あ゛~~~!!」


琳太郎が晴柊の良いところを突きながら、前のモノを握った。ぐちゅりという音が前からなのかナカなのかわからないほど響いている。晴柊の惚けた顔を見た篠ケ谷は、思わずその頬を撫でた。晴柊は自分の身体を支えるためなのか、それとも篠ケ谷を見て何かを思ったのか、抱きしめた腕を離さないまま篠ケ谷を見た。


慰める気なのか、同情なのか、よくわからなかったが、目の前でぐずぐずにされながらもまるで自分を守らんばかりの晴柊が急に愛おしくなり、篠ケ谷は殺される覚悟で晴柊にキスをした。舌を入れ込み、濃厚なキスだった。晴柊は驚きはしたが、今度は篠ケ谷を拒否しようとはしなかった。それが余計に篠ケ谷を心地よくさせる。


晴柊のナカがいきなりキツく締まった。琳太郎はふと前に視線をやると、篠ケ谷と晴柊がキスしていることに気付く。


「おいこら。それはダメだ。」


晴柊の首元を掴み篠ケ谷から離れさせる。晴柊は一瞬息が吸えなくなったことに苦しそうに顔を歪めたが、すぐに解放され首元を撫でるような琳太郎の指先に踊らされた。


「ナカすんごい締まったんでしょう。いいじゃないっすかキスくらい。そんくらい許してもらえるほどには、貢献したと思うんすけどねぇ。」

「うるせえ。大体お前ノリ気じゃなかったじゃねぇか。」


晴柊を挟んで喧嘩をし始める2人に、晴柊はいたたまれなくなる。しかし琳太郎のモノは動きが止まらず、篠ケ谷も篠ケ谷で晴柊のモノを扱いたり指でくすぐったりして手癖を発揮していた。晴柊の頭は最早ぐちゃぐちゃで2人の喧嘩を止めようにも止められないのであった。


「ぁんっ、ぁ…も、うっ…!あ、あっ、2人とも、とめ…ぁん、いぐっ……んぁあ˝~~っ!!♡」


篠ケ谷の手が晴柊の亀頭を掠め、琳太郎のモノが晴柊の奥へと捻じ込まれたとき、晴柊は一段と気持ちよさそうな声を上げイッた。喉を逸らし無防備に曝け出した状態で篠ケ谷の手の中で果てた晴柊を見て、篠ケ谷はその喉元に歯を立て噛みついた。晴柊の気道が僅かに塞がれ、目の前がチカチカする。琳太郎は晴柊の気持ちよさそうにしなる腰を掴み、一段と熱を持つ肉壁を感じていた。
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