狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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幕間 新春

81話 *かわいい

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「ご褒美っていったじゃんか!」


晴柊は鏡に密着させられ自分の恥部から表情まで露になった羞恥から、鏡越しに琳太郎に訴えかける。琳太郎は晴柊の萎える様子のないモノをやんわりと掴み数回扱いて見せる。まだ今日1度も射精を許されていない晴柊の威勢は早々に崩れるのだった。


「褒美だろ。こういう、人が「イヤ」だと思うようなことを無理やりされるのが好きなんだろ?」


琳太郎はにやりと笑い、晴柊のモノの先端を撫でながら、晴柊のナカに指を沈めた。先ほど自分で触らせていたからか、大分解れてはいる様だ。晴柊が自分じゃできないことをしてやろう。琳太郎は晴柊の前立腺を一瞬掠めてみる。晴柊はわかりやすく甘い声を上げる。晴柊ができるのはせいぜいここまでである。人の弱いところを容赦なく責め立てることができるのは、神経の繋がっている本人ではなく他者なのである。琳太郎は2本の指で前立腺をぐっぐっと押しながら前後に揺らし始めた。


「ぁんっ……あ…!はぁ、きもちぃ…ぁ˝…!」

「だろうな。鏡汚してる。」


晴柊のモノは立ち上がり、琳太郎の言う通り鏡に擦りつけるようにしているため先走りで汚していた。それに恥ずかしくなり顔を上にあげれば自分の顔である。どこを見ても恥ずかしい。晴柊は目を閉じてしまいたかったが、琳太郎がそれを許さないのは知っていた。自分のだらしない顔が、晴柊の理性をゆっくり外していく。


「りん、た…ろっ…もう、いれて…いれてぇ…!」


晴柊は堪らなくなり琳太郎に強請って見せた。琳太郎との距離が近いからか、彼の息遣いが伝わる。


「朝までなんだぞ?早々に入れたらもたないだろうが。」

「いい、頑張る、頑張るからっ……琳太郎の、ちんぽ…ほしぃ…♡」


晴柊は時より羞恥心を忘れたかのように琳太郎を煽ることがある。それは無意識なのか、きっかけが何なのかはわからない。しかし、酒や薬を頼るでもなく、晴柊自身が放つ艶めく様子ほど琳太郎にとってそそるものはなかった。


「セックス大好きになったなぁ、お前は。」


琳太郎はそう嬉しそうに言うと、晴柊の身体を支えながら琳太郎のナカにゆっくり入れた。大事に大事に、晴柊を壊さないようにとでもいわんばかりにねっとり入ってくる感覚に、晴柊はじんわりと高まる体温を感じ取っていた。

「ぁ˝~っ……あ、はぁ、ん………♡」

「舌が出てる。涎まで垂らして…シルバもびっくりの犬ぶりだな。」


琳太郎が晴柊の出すのをしまい忘れたというような舌を親指と人差し指で触る。後ろから挿入していても、今日は鏡のおかげで余すことなく晴柊の表情を見ることができる。琳太郎にとっては嬉しいことであった。


「う、うるひゃい…♡ぁん、あ゛っ、あ゛~~~~っ!!♡」


晴柊のナカで琳太郎がリズミカルに動き始めた。晴柊の目尻が垂れ、たまらないといった表情だ。最初は浅いところを、そして少しずつ奥に自分のモノを入れ込み、晴柊の腰をがっしりと掴んだ。晴柊も少しずつ力が抜けてしまいそうなのか必死に鏡に手を付いているが、心もとないので片方の手は晴柊の手首を抑えつけるようにして、もう片方の手は腰を抑え琳太郎は晴柊を責め立てた。


こうしていると、バッグで突かれている晴柊の顔から目が離せなくなる。晴柊の綺麗で細いすらっとした足が、身長差からつま先立ちになっている。肉付きの良い柔らかそうな内腿に噛みついてしまいたい。琳太郎はそう思うとぎゅっと腰を強めに掴んでしまう。それに気付かないまま、琳太郎は腰を振りながら晴柊の首元に噛みつくようにして痕を残す。晴柊のナカがきゅんっと締まった。


「んっ、ぁ、あっ…!もう、イきそぉ…あ、イッていぃ…?あん、っ♡」

「良いぞ。鏡汚して明日篠ケ谷に怒られるな。」


琳太郎はそう言うと晴柊の奥を容赦なく突いた。腹を突き破るのではないのかというほどの圧迫感とそこから得られる強制的な快楽に晴柊はこみ上げる射精感でいっぱいいっぱいになった。さっきまで寸止めであったのである。晴柊はもう耐えられない、とでも言うように足を震わせながら鏡に射精した。ナカがキツいほど締まる。


「ぁ、お゛っ、あぁ゛、イぐ~~~~っ!!!………ひ、ぅっ……も、むり……べっどぉ……」


晴柊は足腰が限界なようで、琳太郎は今にでも支えがなければ崩れそうな晴柊を抱き上げベッドに乗せた。浅い呼吸を繰り返す晴柊のナカにもう一度自分のモノを入れていく。琳太郎はまだイッていなかった。晴柊の脚を自分の肩に乗せるようにする。


「晴柊、可愛い。」


琳太郎は、晴柊の顔が好きである。普段は「可愛い」などと直接的に褒めることはしないのだったが、今日は甘やかしたい気分だからか、思わず零れていた。


「ぁ、えっ…な、なんだよ……かわいい、って……うれしくなぃ…」


晴柊はその容姿から自分は女性みたいで男らしくない、という自己意識はあっても「可愛い」とは思っていなかった。琳太郎のいつもと違う褒めるような態度にも慣れていないせいで、目が泳いでいる。


「お前は可愛い。目も口も、腰も足も尻も、声も、全部。」

「ん、あ゛っ…!ぁ、や、やめろぉ……ひぁ、あ…!」


晴柊は褒められるのに慣れていないのである。琳太郎の腰使いは止まらない。晴柊の頭はぐしゃぐしゃになっていった。しかしそれは決して心地の悪いものではなかった。じんわりと、心が満たされていく感覚にさせられる。


「そんでもって快感には弱い。少し前まで処女だったとは思えないほどにな。身体も素直すぎる。」


琳太郎の口は止まらなかった。時折最奥に行く琳太郎のモノの抉るような動きに、晴柊ははしたない声をもらしながら気持ちよさを享受していた。琳太郎がこの身体にしたのだ。琳太郎でなければ、こうはならなかった。晴柊はそう思うのだが、最早そう言い返すほどの余裕はなかった。
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