狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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7章

123話 *おかえり

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「ぁん、ん゛、は、ぁ……ぅ゛……!」

「久々のご主人様のちんこはどうだ?ちゃんと言え。」

「あ゛~~っ、ん、ぃ、い…っ、き、もぢ、ぁあんっ!!♡♡」


琳太郎は拘束具を外した晴柊を後ろから犯していた。晴柊は抵抗することもなく、ただ尻を上げて受け取っていた。上半身を支える力は残っておらず、いやらしく尻を高々上げている姿は琳太郎を更に欲情させた。


「かお、みた、っ、ぁ、ん……ひぁ、ああんっ!!!」


晴柊が切なくなった時。琳太郎は晴柊に身体を重ねるようにして全体重を乗せると、晴柊の顔の傍に自分の顔をもっていく。自然と奥深くまで刺さり、晴柊の身体が震えた。



琳太郎の吐息が晴柊にかかり、べっと舌を出して見せると、晴柊は子猫の様にその舌にちゅうちゅうと吸い付いた。


「ん、ぅ……ふぅっ、ぅ……♡♡」


ちゅっちゅっと必死になる晴柊が可愛く、琳太郎はそのままストロークした。気持ちよさから顔を話そうとした晴柊の顎を掴み、それを許さない。晴柊のナカがきゅんきゅんと締まり、悦んでいるのが分かると琳太郎はわざと前立腺をごりごりと擦った。


「またイきそうか?もう出せるもんも残ってないのにな。」

「ぁ、ぅ、も、また、いっちゃ、ぁん、ん゛っ~~~~!!♡♡」


晴柊がギュっと身体を力ませ、何度目かの絶頂を迎える。少量の精液が漏れ出るだけで、晴柊の身体は全身が性感帯になったかのように敏感になっていた。


その晩、琳太郎は久しぶりに晴柊を何度も何度も抱いた。まるで、離れていた時間を満たすように。



監禁生活1週間。晴柊は皆の元へと戻ることになった。琳太郎はこの1週間ほとんど仕事にいかず、晴柊の傍で仕事をこなし、四六時中べったりしていた。琳太郎にとっては休暇みたいなものだったのだろう。


「どうだった?俺に久々に監禁されて。」

「んー?幸せだった。」


2人はソファで日下部の迎えが来るまでっくり過ごしていた。側近たちもいないで1週間、2人きりの生活は初めてだった。晴柊は琳太郎にぎゅぅっとしがみつく。1週間外に出ていないというのに、いつになくバカップルを発揮する晴柊。そんな日常が戻ったことが晴柊にとっては嬉しくて仕方が無いのである。


「早くお前を返せとうるさいからな。そもそもあいつ等のもんじゃねえんだけど。」

「ふふ。琳太郎はなんだかんだ皆にも甘いよね。」

「馬鹿言え。そんなわけあるか。」


くすくすと晴柊が楽しそうに笑う。この笑顔が見たかったのだと、琳太郎は思わず晴柊にキスをした。父親が死に、血縁の弟が現れ、目まぐるしい日々が続いていた。しかし、晴柊が隣にいるだけでこんなに落ち着くのだと、再確認する。


2人で帰ろう、あの家に。



マンションの部屋を後にし、ロビーを抜けると、日下部が迎えに来ていた。晴柊の顔をみるなり一目散に頭を下げる日下部。晴柊は慌てて駆け寄った。通りすがりの人達がなんだなんだと視線を浴びせても、日下部はぴたりとも動かない。


「すみません、晴柊さん。私が余計なことを言ったせいで、巻き込んでしまいました。今回の件は全部、私のせいです。」

「待って待って。日下部さんが責任感じる必要なんて1ミリもないですよ!頭上げてください!」

「いいえ、私が押し付けてしまったようなもので――」


日下部は今回の一件に自分のせいだと責任を感じていた。晴柊は勿論そんなことは思っていない。晴柊はため息をつくと日下部の頬をぎゅむっと両掴みし持ち上げる。


「俺が!俺の意志で!決めたの!!……結局皆に助けてもらっちゃったけどさ、最後くらいカッコつけさせてよ。俺が琳太郎を守りたくて行動したんだ。ね?」


晴柊が困ったように眉を下げ笑った。日下部は琳太郎や篠ケ谷達が彼に依存する理由がやっとわかった気がした。晴柊のことは好いていたが、いつもどこか一歩引いていた日下部。しかし、晴柊の陽の光のような温かさとその美しさに、取り込まれそうになる。これは一度知ってしまえば心地が良くて抜け出せない。


「さ、この話は終わり!帰ろ帰ろ~。」


琳太郎と晴柊の後を追うように、日下部は2人の背中についていった。晴柊の腰に手を添えエスコートするようにして歩く琳太郎。2人のこの光景を守るのが自分の使命だと、日下部は心に誓うのだった。



「何か言うことは。」

「この度は、大変お騒がせして申し訳ありませんでした。」

「本当にお前は、ばっっっっっか!!アホ!!低脳!!」


晴柊は屋敷につくなり門を抜けた先の玄関前で仁王立ちしていた篠ケ谷に早速詰められていた。この一件、誰よりも表立った感情でわかりやすく苛立ちを見せていたのは篠ケ谷であった。いつも機嫌の悪そうな顔をしているがその比にはならない不機嫌オーラを醸し出し続けていた。そして今、晴柊目の前に鬼の形相である。


「なんでお前はいつも後先考えないで突っ走るんだよ!!」

「す、すみません……」

「ったく、手間かけさせやがって、大体お前は――」

「ハルちゃーーーん!!!おかえり!!!やっと組長のイカれた絶倫セックスライフから解放されたんだね~!!!」


篠ケ谷の後ろからダダダっと足音を立てて駆け寄ってきた榊だった。後ろで琳太郎の怪訝なオーラが感じ取られるが、そんなのも気にしないと言うように晴柊に飛びつくようにして抱きしめた。篠ケ谷は邪魔するなと一人怒っている。


「と、トラくん。ただいま。」

「晴柊、おかえり。……本当に帰ってきてくれて良かった。早く中入ろう。一緒に観たい映画があるんだ。」

「おーやっと帰ってきたか。おかえり、晴柊。今回は大分漢気見せたなぁ。でも、もうヒヤヒヤするのはもうこりごりだ。」

「ワン!ワン!」

続いて遊馬と天童もやってくる。抱きしめすり寄る榊、晴柊の手をグイグイ引く遊馬、頭をわしゃわしゃと撫でる天童にもみくちゃにされる晴柊の足元にはぐるぐると回りながら尻尾を振るシルバ、そして邪魔するなと怒る篠ケ谷。


相変わらずの騒がしさに、琳太郎は思わずふっと笑って見せた。琳太郎のあまりにも自然な笑顔に日下部は驚き、そしてつられる様に静かな笑顔を浮かべた。


「おいお前ら仕事しろ。こちとらこれからお楽しみタイムなんだよ。」


琳太郎が側近たちを払い晴柊を担ぎ上げると、まるで逃げるように中へと入っていく。


「えー!また組長の独り占めー!?」

「はは、残念だったな。俺の特権だ。」


賑やかで騒がしい日常が再び戻り、晴柊はこの上なく楽しそうな笑顔を浮かべていた。
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