1 / 5
悪女の手下
1 悪女の手下
しおりを挟む「はぁ~~~~♡今日も騎士団長殿はかっこいいわぁ…」
そう言って人前ではまず出さないような惚けた顔をしているのは、私の友達のレディアーネ。公爵家のご令嬢だ。
友達ではあるが、伯爵の私との身分差は大きい為どちらかというと、取り巻き又は手下のようなものだ。
実際、社交界での私あだ名は“悪魔の手下”になのだ。
◇◆◇◆◇◆
私の父は、レディの父の部下だ。私がまだ6歳の頃、父の職場の交流パーティーに参加した時にレディと友達になったのだ。レディは高位貴族である為、下手に話しかけて不敬でも買われようものならたまったもんじゃないと避けられていた所を可哀想に思った父達が私をレディに当てがった。結果こうして今でも仲がいいので成功した訳だが…
チラッと横を見る。一生懸命騎士団長を目で追いかけるレディは、誰が見ても恋する乙女だった。
しかし、そんな彼女にもつい半年前まで、別の婚約者がいた。
というのも、彼女に婚約破棄を突きつけた為に消えてしまったが。
丁度半年前まで、私達は学校に通っていた。貴族の子供が通う国の学校だ。
そこでの生活はとても酷かったのを覚えている。
1,2年生の時はレディの事を嫌っている王女とその取り巻き達の対応に追われ、3年生からは、3年生の時に入学して来たレディの妹とのいざこざが勃発した為に、噂管理や毎日のー身の置き所を徹底するハメになった。
レディの産みの母はレディを産んで直ぐに病気によって死んでしまった為、レディが1歳の時に後妻が公爵家迎えられたそう。そうして産まれたのが妹のシンシア。姉妹共々、母の美貌をしっかり受け継いだ為かシンシアはレディの美しさとは異なった可愛らしい美貌を持っている。
シンシアが入学した時、そのシンシアをレディの婚約者が気にかけ始めた。最初は良かった。婚約者はシンシアを義妹として接しているように見えたから。しかし、いつの間にかシンシアに恋のアプローチを始めた。
そんなある日、私はレディとお茶をしていた。
「あのクズ、私、元から嫌いだったんだけど(社交界から)消していいかしら?」
レディにされた相談はこれである。
「そんなに嫌いだったんだ…。確かにあんまり婚約者の話しなかったもんね、レディ…」
知らなかったのは本当だ。レディの婚約者は社交会でも、紳士で有名だったしてっきり良い関係なのだと誤解していた。
「そうなのよぉ、あいつ上っ面だけは良いのよ」
「うーん、それならいいんじゃない?でも、貴方の婚約者、辺境伯のご子息よね」
レディの婚約者はこの国の端っこの領地を担う辺境伯で、遅い来るモンスターや他国の牽制と国の守護を担当しており、何せ、重要な任務である為に地位はレディよりも上と言っても過言ではない。
「相手の責任になるようにするわ。しかも、こっちではいい顔しているけど辺境伯ではかなりの落ちこぼれらしいから、意外と上手く行くかもね~」
その後、レディは私を連れてシンシアの元を訪れた。もし、シンシアがレディの(社交会から消える予定の)婚約者の事が好きだった場合、話が少し変わって来るからである。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
何でもするって言うと思いました?
糸雨つむぎ
恋愛
ここ(牢屋)を出たければ、何でもするって言うと思いました?
王立学園の卒業式で、第1王子クリストフに婚約破棄を告げられた、'完璧な淑女’と謳われる公爵令嬢レティシア。王子の愛する男爵令嬢ミシェルを虐げたという身に覚えのない罪を突き付けられ、当然否定するも平民用の牢屋に押し込められる。突然起きた断罪の夜から3日後、随分ぼろぼろになった様子の殿下がやってきて…?
※他サイトにも掲載しています。
婚約破棄ですか....相手が悪かったですね?
神々廻
恋愛
婚約者から婚約破棄を言われてしまいました。私は婚約者の事が好きでは無かったので良いのですが.....
少し遊んで下さいませ♪相手が悪かったですね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる