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悪女の手下
1 悪女の手下
しおりを挟む「はぁ~~~~♡今日も騎士団長殿はかっこいいわぁ…」
そう言って人前ではまず出さないような惚けた顔をしているのは、私の友達のレディアーネ。公爵家のご令嬢だ。
友達ではあるが、伯爵の私との身分差は大きい為どちらかというと、取り巻き又は手下のようなものだ。
実際、社交界での私あだ名は“悪魔の手下”になのだ。
◇◆◇◆◇◆
私の父は、レディの父の部下だ。私がまだ6歳の頃、父の職場の交流パーティーに参加した時にレディと友達になったのだ。レディは高位貴族である為、下手に話しかけて不敬でも買われようものならたまったもんじゃないと避けられていた所を可哀想に思った父達が私をレディに当てがった。結果こうして今でも仲がいいので成功した訳だが…
チラッと横を見る。一生懸命騎士団長を目で追いかけるレディは、誰が見ても恋する乙女だった。
しかし、そんな彼女にもつい半年前まで、別の婚約者がいた。
というのも、彼女に婚約破棄を突きつけた為に消えてしまったが。
丁度半年前まで、私達は学校に通っていた。貴族の子供が通う国の学校だ。
そこでの生活はとても酷かったのを覚えている。
1,2年生の時はレディの事を嫌っている王女とその取り巻き達の対応に追われ、3年生からは、3年生の時に入学して来たレディの妹とのいざこざが勃発した為に、噂管理や毎日のー身の置き所を徹底するハメになった。
レディの産みの母はレディを産んで直ぐに病気によって死んでしまった為、レディが1歳の時に後妻が公爵家迎えられたそう。そうして産まれたのが妹のシンシア。姉妹共々、母の美貌をしっかり受け継いだ為かシンシアはレディの美しさとは異なった可愛らしい美貌を持っている。
シンシアが入学した時、そのシンシアをレディの婚約者が気にかけ始めた。最初は良かった。婚約者はシンシアを義妹として接しているように見えたから。しかし、いつの間にかシンシアに恋のアプローチを始めた。
そんなある日、私はレディとお茶をしていた。
「あのクズ、私、元から嫌いだったんだけど(社交界から)消していいかしら?」
レディにされた相談はこれである。
「そんなに嫌いだったんだ…。確かにあんまり婚約者の話しなかったもんね、レディ…」
知らなかったのは本当だ。レディの婚約者は社交会でも、紳士で有名だったしてっきり良い関係なのだと誤解していた。
「そうなのよぉ、あいつ上っ面だけは良いのよ」
「うーん、それならいいんじゃない?でも、貴方の婚約者、辺境伯のご子息よね」
レディの婚約者はこの国の端っこの領地を担う辺境伯で、遅い来るモンスターや他国の牽制と国の守護を担当しており、何せ、重要な任務である為に地位はレディよりも上と言っても過言ではない。
「相手の責任になるようにするわ。しかも、こっちではいい顔しているけど辺境伯ではかなりの落ちこぼれらしいから、意外と上手く行くかもね~」
その後、レディは私を連れてシンシアの元を訪れた。もし、シンシアがレディの(社交会から消える予定の)婚約者の事が好きだった場合、話が少し変わって来るからである。
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