上 下
24 / 32

第22話 王族会議のお見送りを楽しむ

しおりを挟む
 翌日。私は目覚めるとすぐに着替え、朝食の席へと移動した。
 朝食の時間は今日一日のそれぞれの行動を確認し合う時間だ。

 私は午前中にミランダと勉強し、午後からはミシェルさんと共に魔法の訓練だ。
 ヴァルレットは朝食後すぐに王族会議なので私達は城の門までお見送りをしないといけないらしい。
 アリシティアは自室で執務。
 そしてアルフレッドはなにかやることがあるようで自室へ戻るようだ。

 アルフレッドが何をするのかは少し気になるところだが私はそんな事を考えている余裕はない。
 私は今日初めて魔法を使うのだ。

 私は弾む気持ちを抑えつつ朝食を終え、一度自室へ戻り身なりを整えてから王族会議へと向かうヴァルレットを見送るために門へと向かう。

 「では、行ってくる。」

 ヴァルレットはいつもと違い一国の王としての顔で見送りに来ている私達を見回す。
 そして、私に目を留めたと思えば口を開く。

 「レン。会議へ向かう前に伝えていかねばいけないことがある…」

 そう言うとヴァルレットは私に近づき、2人にしか聞こえないような声でささやく。

 「レンちゃんの適正魔法の話じゃが、全属性に適正があることを口外してほしくないんじゃ。
 外ではレンちゃんは風属性の適性しか無いようにふるまってほしいんじゃ。」

 口調はいつも道理だが顔は至って真面目だ。
 これは…理由を聞かないで了承するのが正解か…?

 「は、はい。わかりました…」

 ヴァルレットは私の答えに満足したようにうむと頷くと馬車のある方向へと向かい、アリシティアやアルフレッドと挨拶を交わし出かけていった。

 ………

 見送りが終わったら勉強の時間だ。
 私は自室へ戻り既に準備を終えていたミランダと勉強を始める。

 「そう言えば今、アルフレッド坊っちゃまが学園へ行く準備中ですわね。」

 ふと思い出したかのようにミランダが口を開く。

 「学園?」

 私はその中でも気になった言葉に焦点を当てる。
 ミランダは私の疑問を聞き取り答えてくれる。

 「あら?聞いていらっしゃらないのですか?
 この世界では貴族の子は15歳になると学園へ入学し、3年間の間国や種族を超えて学びを深めるのです。
 そう言えば姫様は学園へ入学をするのでしょうか?」

 「さぁ?どうでしょうね。
 今国王様が王族会議に向かってるようですが、その時に決まるかもしれません。」

 でも、15歳から入学なら16歳の私はもう1年過ぎてしまっている。

 今日の私は午後の予定のことに気を取られすぎていて、あまり勉強に集中できていなく、ほとんどがミランダとの雑談だけで終わってしまった。
 午後に魔法の練習があるなら少し位勉強をサボってもいいだろうと教師らしくないことをつぶやきミランダは帰っていった。
 帰ると言ってもアリシティアの執務を手伝いに行くらしい。

 私はこれから魔法の練習だ。
 リジにはしたないと怒られながら、るんるるんっと歌いながら長い廊下をスキップで進んでいく。
しおりを挟む

処理中です...