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第3話 ~Heaven's Gate~
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「なぁ、お前ら、天国の門って名前、聞いたことない?」
深夜。歓楽街から少し入った細い路地でたむろする男たちに、ライヨウは問いかける。
「はぁ? ……幻覚剤 でも欲しいのか?」
胡散臭げに見下ろしてくる男に、大袈裟に腕を組んで、ライヨウは仰々しく言った。
「……そうかー。うーん……知らないかー」
ライヨウの言葉と同時、突然、強い風が吹いた……と思ったとたん、男たちの腹部や首に衝撃が走り、バタバタと一斉に路上に倒れる。
「よし、次」
「おいコラ。何度繰り返すつもりだ。コレ」
物陰に隠れては、ライヨウの合図とともに飛び出し、男たちの腹を蹴りを入れ、手刀を振り下ろしたジュッドが、不満そうにライヨウに声を上げた。
先ほどからもう、4~5回は同じことを繰り返しているような気がする。
「この行為に意図があるものかどうか、じっくり聞かせてもらいたいところだな」
「んー、説明してもいケド、理解できるかなぁ……」
そんな二人に、突然、声がかかった。
「待ちな」
鋭い男の言葉に、ライヨウとジュッドが動きを止めた。
短い言葉には、怒りと、殺気が込められている。
「そんな、若い下っ端に聞いて回ったって、解るわけないだろ」
「……もしかして、お兄さんの舎弟、殴っちゃってた?」
それはゴメンね。と、ライヨウは振り返った。
黒いスーツに、黒縁眼鏡の男。年のころは四十代半ばと言ったところか……。やや白髪が混ざる頭を、オールバックにまとめている。
色白で中性的な、線の細い顔立ち。体つきは華奢ではあるが、身長はジュッドと同じくらい……180センチは軽くあり、一見するとモデルのようにも見える。
が、その左右には確かに、少々見覚えのある連中が、怒りの形相で男の左右に控えており、暴力団構成員……それも、幹部クラスではないかとうかがえた。
「天国の門は、5年前に解散したぞ」
「……へぇ。そいつは知らなかった」
そうは言うものの、魔術を使える進化型のパソコン……その存在から、「天国の門」……世間から保護することを名目に、ありとあらゆる異能力者や超技術を隠し、所有 してきた……かつてライヨウが所属していた組織は、2015年には、既に存在していないのではないか……という仮説は、ライヨウの頭の隅にはあった。
意外と結構、最近まで活動してたんだな……という言葉を飲み込む。
「何の用だ? あんな時代遅れのバケモノの集団に」
バケモノ、の言葉に、一瞬ライヨウの視線が鋭くなる。
が、ここはつとめて冷静に、ライヨウは答えた。
「アイツら自体には、用は無い。むしろ、こちらとしては遭遇したら困る」
「ほー、そいつは残念だ」
男は、スーツの中……ホルスターにびっしりと納められたナイフを数本取り出し、ライヨウに構える。
「何故なら、元天国の門が、此処に居るからな」
「ジュッド!」
ライヨウの声より早く、ジュッドが舎弟の一人の顔を蹴り上げた。
それを合図に、乱闘が始まる。
「雑魚は任せた! 全員よろしく!」
「おいッ!」
苦情にも似たジュッドの声を背に、ライヨウは男に対峙した。
天国の門の名前を出して、隠されたその組織の名を知る『情報力』を持った裏組織との接触が、ライヨウの目的だった。
そういう組織なら、『魔法の使えるパソコン』の存在を知っている可能性も高いだろうし、情報収集を行っているこの場は、裏路地の奥とはいえ、少し歩けば繁華街にたどり着く。乱闘する羽目になっても、こんなところで銃は使わないだろう……というのがライヨウの見解ではあったが、おおむね、その予感は的中していた。
……もちろん、裏組織ではなく、正規ルートから調べることも考えたのだが、警察関係者には(大部分は年齢的に定年退職してるだろうが)、これでもかというほど知り合いがいるから身元がバレる可能性が高いし、探偵関係も右に同じ。やむをえない選択だった。
「やーだねぇ……いつから天国の門は、品のないヤクザ者の集まりになったのさ」
男の投げる、メスや針のような細身のナイフを避けながら、ライヨウが軽口をたたく。そして、男の様子を見ながら、ライヨウは目を細め、口を開いた。
「ナイフの腕は確かに的確だけど……この程度なら訓練次第でどうとでもなる。身体能力的な話に限り、お前は普通の人間だ」
もっとも、『身体的な能力』だけが、天国の門の求めた異能力者ではないのだが……と、ライヨウは思ったが、その言葉を飲み込む。
「おまえは、本家本元じゃねぇ。騙りか、あわよくば本物の天国の門のメンバーだとしても、予備隊ってトコだろ?」
ライヨウの言葉に、図星だったか、男の表情が変わった。
「……随分と、組織に詳しいじゃないか」
「あーまあ、そりゃぁ……」
昔、所属してました……とは少し言いづらく、ライヨウは言葉を濁す。
が、その様子をいぶかしんだ男が、改めてじぃっとライヨウを睨んだ。
そして、その顔が、徐々に驚愕に、変わってゆく。
「まさか……江藤の……?」
「え?」
ギク……ライヨウが硬直する。アレ? オレ、まさか裏組織でも有名人?
確かに、いくつか小さな組を、ノリと勢いでうっかりぶっ潰した覚えはあるけど……。
「テメェらやめねぇかッ!」
おろおろと慌てるライヨウとは逆に、男は舎弟を制止する。
「ストーップ! ジュッドストップ!」
男の声の様子から、ライヨウも相棒に、制止をかけた。
「大変なご無礼、申し訳ございません」
言うが早いが、男はライヨウに平伏した。
舎弟たちも、ジュッドが殴り倒して気絶させた者以外は、慌てて兄貴分に倣って地に伏せたので、一種異様な状況になり、このあたりの文化に不慣れなジュッドはもちろん、ライヨウも思わず目が点になった。
「ご無沙汰しております。石井です。石井 薫です。江藤さんには、ウチの親父ともども、お世話になりまして……」
「え……?」
石井……? ライヨウが首をひねる。
そして、ポンッと手を打った。
「あー! 思い出した!」
そーか、石井んトコの……ライヨウが、感慨深くうなずきかけた。が。
「……やだ。なんか随分と、でかくなったな」
嫉妬と羨望……複雑な表情で、ライヨウは男……薫を見上げた。
ライヨウの中で、石井 薫という人物像は、女の子のようであった……と、記憶している。
というか、ライヨウが昔懇意にしていた情報屋の息子で、それこそ、乳飲み子だった頃から知っているのだが、会うたびに、ふんだんにレースやリボンが施された小物やスカート、ピンクの衣服を好んで身に纏っており、名前のせいもあって、最初は息子ではなく、「娘」だと思っていた時期が、長くあったほどだ。
石井の妻は早くに亡くなり、石井は男手一つで薫を育ててきた。石井も石井で、「そのうち治るだろう。似合うしいいや」と、半ば黙認、悪く言えば放任していたところがあった。
だもんで、……ライヨウ自身も2~3着、女物の服を、うっかりあげてしまったような気がする。ついでに言うと、「江藤のおじちゃま! ありがとう!」と、本人にはめちゃくちゃ喜ばれてたような気もする。
何か言いたげなライヨウに、ゴホンッ……と、薫は咳ばらいをした。ちらちらと視線を舎弟たちに向けて、訴えている。
……本人の名誉のために、言わないでおこう。うん。
「……そんなことより、なんでお前がヤクザやってるんだよ!」
「実は、十五年ほど前に、親父が再婚しまして……そこの家業を継いだといいますか……」
親父……の言葉に、ライヨウが「そうだ!」と、叫ぶ。
「あいつなら何か知ってるかも! おい、薫。お前の親父、今どこにいる?」
石井は、情報屋であると同時に、腕の良いハッカーだった。当時まだそこまで普及していなかったインターネットにも精通し、その分野の知識なら、ジュランよりも深かった記憶がある。
しかし、舎弟の一人が、あっさり一言。
「石井のおやっさんなら、去年から御勤めの真っ最中で……」
「何やってんだよあのタコ助ーッ!」
肝心なところで役にたたねーなちくしょう! と、悪態をつくライヨウに、薫の舎弟が、組長を馬鹿にされたとくらいかかろうとする。
「やめねぇか」
そこを、薫が怒鳴り、なんとかなだめた。
「すまないが、この人たちと、しばらく話をさせてくれ。プライベートな内容だ。ついてこなくていい」
薫の言葉に、男たちはためらったが、すぐに戻る……と言い、ライヨウとジュッドを連れ、場所を移動した。
しばらく薫について歩くと、公園に出た。公園と言っても遊具はなく、ちょっとしたの休憩スペース……といったような感じだ。
深夜の人の気配のない場所で、ライヨウは、件の機械を取り出して、かくかくしかじかと説明する。
ついでに自分たちの現状も説明したが、薫はライヨウが逆に驚くほど、あっさりと状況を受け入れた。
「魔法のタブレット……ですか?」
聴いたことがないですね……と、薫は首を横に振る。ライヨウから手渡されたタブレットを操作し、中身を起動、確認する。
「解散前の天国の門内でも、そのテの話が好きそうな連中は何人か居ましたが、あそこ で、そういった研究がされていたという記憶はないです」
タブレットをライヨウに返し、薫は「少し……2時間ほど、お時間をいただいてもよろしいですか?」と、立ち上がる。
「江藤さんの言ったことは、概ね正解です。元、天国の門の予備隊、コードネーム『聖杯のⅨ』。確かに「異能」ではありませんが、親父譲りのハッキングの腕は、錆びつかせてはいません」
お求めの情報、集めてきますよ。ライヨウに恭しく跪き、薫は微笑んだ。
年齢を重ねてはいるが、確かに、ライヨウの記憶にある、「少女」の微笑みだった。
深夜。歓楽街から少し入った細い路地でたむろする男たちに、ライヨウは問いかける。
「はぁ? ……幻覚剤 でも欲しいのか?」
胡散臭げに見下ろしてくる男に、大袈裟に腕を組んで、ライヨウは仰々しく言った。
「……そうかー。うーん……知らないかー」
ライヨウの言葉と同時、突然、強い風が吹いた……と思ったとたん、男たちの腹部や首に衝撃が走り、バタバタと一斉に路上に倒れる。
「よし、次」
「おいコラ。何度繰り返すつもりだ。コレ」
物陰に隠れては、ライヨウの合図とともに飛び出し、男たちの腹を蹴りを入れ、手刀を振り下ろしたジュッドが、不満そうにライヨウに声を上げた。
先ほどからもう、4~5回は同じことを繰り返しているような気がする。
「この行為に意図があるものかどうか、じっくり聞かせてもらいたいところだな」
「んー、説明してもいケド、理解できるかなぁ……」
そんな二人に、突然、声がかかった。
「待ちな」
鋭い男の言葉に、ライヨウとジュッドが動きを止めた。
短い言葉には、怒りと、殺気が込められている。
「そんな、若い下っ端に聞いて回ったって、解るわけないだろ」
「……もしかして、お兄さんの舎弟、殴っちゃってた?」
それはゴメンね。と、ライヨウは振り返った。
黒いスーツに、黒縁眼鏡の男。年のころは四十代半ばと言ったところか……。やや白髪が混ざる頭を、オールバックにまとめている。
色白で中性的な、線の細い顔立ち。体つきは華奢ではあるが、身長はジュッドと同じくらい……180センチは軽くあり、一見するとモデルのようにも見える。
が、その左右には確かに、少々見覚えのある連中が、怒りの形相で男の左右に控えており、暴力団構成員……それも、幹部クラスではないかとうかがえた。
「天国の門は、5年前に解散したぞ」
「……へぇ。そいつは知らなかった」
そうは言うものの、魔術を使える進化型のパソコン……その存在から、「天国の門」……世間から保護することを名目に、ありとあらゆる異能力者や超技術を隠し、所有 してきた……かつてライヨウが所属していた組織は、2015年には、既に存在していないのではないか……という仮説は、ライヨウの頭の隅にはあった。
意外と結構、最近まで活動してたんだな……という言葉を飲み込む。
「何の用だ? あんな時代遅れのバケモノの集団に」
バケモノ、の言葉に、一瞬ライヨウの視線が鋭くなる。
が、ここはつとめて冷静に、ライヨウは答えた。
「アイツら自体には、用は無い。むしろ、こちらとしては遭遇したら困る」
「ほー、そいつは残念だ」
男は、スーツの中……ホルスターにびっしりと納められたナイフを数本取り出し、ライヨウに構える。
「何故なら、元天国の門が、此処に居るからな」
「ジュッド!」
ライヨウの声より早く、ジュッドが舎弟の一人の顔を蹴り上げた。
それを合図に、乱闘が始まる。
「雑魚は任せた! 全員よろしく!」
「おいッ!」
苦情にも似たジュッドの声を背に、ライヨウは男に対峙した。
天国の門の名前を出して、隠されたその組織の名を知る『情報力』を持った裏組織との接触が、ライヨウの目的だった。
そういう組織なら、『魔法の使えるパソコン』の存在を知っている可能性も高いだろうし、情報収集を行っているこの場は、裏路地の奥とはいえ、少し歩けば繁華街にたどり着く。乱闘する羽目になっても、こんなところで銃は使わないだろう……というのがライヨウの見解ではあったが、おおむね、その予感は的中していた。
……もちろん、裏組織ではなく、正規ルートから調べることも考えたのだが、警察関係者には(大部分は年齢的に定年退職してるだろうが)、これでもかというほど知り合いがいるから身元がバレる可能性が高いし、探偵関係も右に同じ。やむをえない選択だった。
「やーだねぇ……いつから天国の門は、品のないヤクザ者の集まりになったのさ」
男の投げる、メスや針のような細身のナイフを避けながら、ライヨウが軽口をたたく。そして、男の様子を見ながら、ライヨウは目を細め、口を開いた。
「ナイフの腕は確かに的確だけど……この程度なら訓練次第でどうとでもなる。身体能力的な話に限り、お前は普通の人間だ」
もっとも、『身体的な能力』だけが、天国の門の求めた異能力者ではないのだが……と、ライヨウは思ったが、その言葉を飲み込む。
「おまえは、本家本元じゃねぇ。騙りか、あわよくば本物の天国の門のメンバーだとしても、予備隊ってトコだろ?」
ライヨウの言葉に、図星だったか、男の表情が変わった。
「……随分と、組織に詳しいじゃないか」
「あーまあ、そりゃぁ……」
昔、所属してました……とは少し言いづらく、ライヨウは言葉を濁す。
が、その様子をいぶかしんだ男が、改めてじぃっとライヨウを睨んだ。
そして、その顔が、徐々に驚愕に、変わってゆく。
「まさか……江藤の……?」
「え?」
ギク……ライヨウが硬直する。アレ? オレ、まさか裏組織でも有名人?
確かに、いくつか小さな組を、ノリと勢いでうっかりぶっ潰した覚えはあるけど……。
「テメェらやめねぇかッ!」
おろおろと慌てるライヨウとは逆に、男は舎弟を制止する。
「ストーップ! ジュッドストップ!」
男の声の様子から、ライヨウも相棒に、制止をかけた。
「大変なご無礼、申し訳ございません」
言うが早いが、男はライヨウに平伏した。
舎弟たちも、ジュッドが殴り倒して気絶させた者以外は、慌てて兄貴分に倣って地に伏せたので、一種異様な状況になり、このあたりの文化に不慣れなジュッドはもちろん、ライヨウも思わず目が点になった。
「ご無沙汰しております。石井です。石井 薫です。江藤さんには、ウチの親父ともども、お世話になりまして……」
「え……?」
石井……? ライヨウが首をひねる。
そして、ポンッと手を打った。
「あー! 思い出した!」
そーか、石井んトコの……ライヨウが、感慨深くうなずきかけた。が。
「……やだ。なんか随分と、でかくなったな」
嫉妬と羨望……複雑な表情で、ライヨウは男……薫を見上げた。
ライヨウの中で、石井 薫という人物像は、女の子のようであった……と、記憶している。
というか、ライヨウが昔懇意にしていた情報屋の息子で、それこそ、乳飲み子だった頃から知っているのだが、会うたびに、ふんだんにレースやリボンが施された小物やスカート、ピンクの衣服を好んで身に纏っており、名前のせいもあって、最初は息子ではなく、「娘」だと思っていた時期が、長くあったほどだ。
石井の妻は早くに亡くなり、石井は男手一つで薫を育ててきた。石井も石井で、「そのうち治るだろう。似合うしいいや」と、半ば黙認、悪く言えば放任していたところがあった。
だもんで、……ライヨウ自身も2~3着、女物の服を、うっかりあげてしまったような気がする。ついでに言うと、「江藤のおじちゃま! ありがとう!」と、本人にはめちゃくちゃ喜ばれてたような気もする。
何か言いたげなライヨウに、ゴホンッ……と、薫は咳ばらいをした。ちらちらと視線を舎弟たちに向けて、訴えている。
……本人の名誉のために、言わないでおこう。うん。
「……そんなことより、なんでお前がヤクザやってるんだよ!」
「実は、十五年ほど前に、親父が再婚しまして……そこの家業を継いだといいますか……」
親父……の言葉に、ライヨウが「そうだ!」と、叫ぶ。
「あいつなら何か知ってるかも! おい、薫。お前の親父、今どこにいる?」
石井は、情報屋であると同時に、腕の良いハッカーだった。当時まだそこまで普及していなかったインターネットにも精通し、その分野の知識なら、ジュランよりも深かった記憶がある。
しかし、舎弟の一人が、あっさり一言。
「石井のおやっさんなら、去年から御勤めの真っ最中で……」
「何やってんだよあのタコ助ーッ!」
肝心なところで役にたたねーなちくしょう! と、悪態をつくライヨウに、薫の舎弟が、組長を馬鹿にされたとくらいかかろうとする。
「やめねぇか」
そこを、薫が怒鳴り、なんとかなだめた。
「すまないが、この人たちと、しばらく話をさせてくれ。プライベートな内容だ。ついてこなくていい」
薫の言葉に、男たちはためらったが、すぐに戻る……と言い、ライヨウとジュッドを連れ、場所を移動した。
しばらく薫について歩くと、公園に出た。公園と言っても遊具はなく、ちょっとしたの休憩スペース……といったような感じだ。
深夜の人の気配のない場所で、ライヨウは、件の機械を取り出して、かくかくしかじかと説明する。
ついでに自分たちの現状も説明したが、薫はライヨウが逆に驚くほど、あっさりと状況を受け入れた。
「魔法のタブレット……ですか?」
聴いたことがないですね……と、薫は首を横に振る。ライヨウから手渡されたタブレットを操作し、中身を起動、確認する。
「解散前の天国の門内でも、そのテの話が好きそうな連中は何人か居ましたが、あそこ で、そういった研究がされていたという記憶はないです」
タブレットをライヨウに返し、薫は「少し……2時間ほど、お時間をいただいてもよろしいですか?」と、立ち上がる。
「江藤さんの言ったことは、概ね正解です。元、天国の門の予備隊、コードネーム『聖杯のⅨ』。確かに「異能」ではありませんが、親父譲りのハッキングの腕は、錆びつかせてはいません」
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