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Aルート月島

第3話 月島竜一の抱える悩み

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「それで詳細が書いてないがこれは何だ?」

「テレポーステーションは簡単に言ったら瞬間移動出来る装置なんだけど、少人数だけ跳ばすんじゃなくて連結させた複数の電車のような乗り物に乗せて大勢の人間を瞬間移動させたりできるの」  

「ドミニオン共和国の嵐船は悪天候でも進めるけど進むだけなんだよ。日時も予定通りにいかず早かったり遅かったり、しかも乗船料は高くて一般人には乗れない。だからこそ格安で一般人にも利用できる、しかも嵐船より速い、安心・安全なこっちを浸透させてドミニオン共和国の物流を完全におさえて支配下に置こうというわけ」

「テレポーステーション設置場所についてはかなりの広さが必要だったため事前に候補地は押さえてます。あとテレポーステーションの運営と維持管理には浅田組と三日月組から派遣します。 許可さえ出してもらえれば3日以内に開業できますけど?」

「・・・わかった、なら三日月、浅田、碧海の3人に任せる。好きにしろ」

月島の反応は微妙だった。結局この後、会議は粛々と進められ終了。

「俺は夕方まで出てくる。緊急の時は連絡入れろ」

会議が終了すると早々にどこかへ行こうとする竜一を源氏が引き留める。

「竜一、今晩飲まないか?俺と竜一と羅漢と正満の男4人で?」

月島はわかったとだけ言って会議室から出て行った。

その後、皆それぞれの仕事をこなし夜になった。

月島、浅田、釈迦峰、秋月は月光会事務所の近くにある小さい酒場にやって来た。

「で?源氏、何か言いたいことでもあるのか?わざわざ男だけ集めて?」

「いやいや、こっちのセリフだよ。竜一こそ何かあるんじゃないのか?」

「は?俺がか?」

「最近、というか1ヶ月前からお前変だぞ?そのせいで女性陣がちょっとピリピリしてるというか、」

「・・・・・」

「そうそう!ドミニオン共和国に来たのだってお前がユステリカの王女が欲しいって言うから来たのに興味が薄れてねえか?、前のお前なら相手を全滅させて奪うくらいはしたろ?それか夜這いに行ったりとか?」

月島はグイッと酒を一気に飲み干すと口を開いた。

「・・・・ならお前等に聞くけど?」

ゴクリッ、3人は静かに月島の次の言葉を待つ。

「おっぱいってなんだっけ?」

「「「はあ?」」」

月島の予想外の言葉に3人が固まる。

「1ヶ月前から変なんだ!膨らみかけこそ至高だと思ってた!幼女こそ理想の女だと思ってた!だが!大きく揺れる双丘!すくすくと成長していく姿!それもまた良しと思っている自分がいるんだ!」

「「はあ?」」

秋月と釈迦峰は意味が分からず困惑するが、

「な、なんだってええええ!大丈夫か同志竜一!!!熱は!頭でも打ったのか!それとも精神攻撃でも受けたのかあああああ!」

だが浅田は本気で月島の事を心配し始めた。

「完全回復薬や精神異常に効く薬とやらも飲んで見たんだが治らなかった」

「それってそんな深刻になる問題なの?」

「ロリコンにとってもはや今の状態は死んでしまって蘇生待ちで制限時間残り3秒前くらいだな」

「死んでんの!死にかけとかじゃなく今、死んだ状態なの!」

「ああ、ロリコンにとってはな・・・」

「いや、そんな騒ぐほどのもんじゃねーだろ!あーほら、おっぱいに貴賤なしって言うだろ、な!」

「女の胸を揉んだ事がない童貞野郎がテキトーぬかしてんじゃねえ!ぶっ殺すぞ!」

「お前俺に対して恨みでもあんの!キツすぎだよ!言葉だけでも人は簡単に傷付けられるんだぞ!」

「確かに・・・そうだ!羅漢、あれあれ!」

浅田は釈迦峰にお金を渡して2人、酒場の女性の給仕さんを指差す。

この店一番胸が大きい女性と胸が一番小さい女性。

「今の問いに答えを出すべく、あの2人のおっぱいを交互に揉んでどっちがいいか素直な感想を聞かせてよ」

スパーン!!!バチコーン!!!

釈迦峰は両方の頬に紅葉を作って戻って来た。

「・・・2人とも俺に言う事あるだろ?」

「「・・・とりあえずお前が馬鹿だという事はわかった」」

「酷くね!言われるがままにやったのに酷くね!」

「お前もノリに任せたらもしかして女のおっぱい揉めるかもとか内心思ってたろ?なら責任はお前にある!」

「あれ?これ完全に俺が悪い事になってる!!!多少は邪な下心があったから言い訳できないけども!!!」

「他に心当たりはないの?」

・・・1ヶ月前から変な幻を見るようになった茶髪で日本人女性や金髪の白人青年の夢、内容はいまいち思い出せないが結末は似てる。

茶髪の日本人女性の場合、黒い満月が見える夜空、透き通る赤い海に1人沈んでいく幻。

金髪の白人の青年の場合、隣には同年代の白人の女性がいて、手を繋ぎ何もない無限の闇が広がる世界へと歩き出し、2人が一歩一歩進んで行く度に2人の足跡から光が広がっていき闇を払っていく幻。

「・・・そんな幻でなんで胸が気になるんだよ!!!もっと気にする事あるだろ!!!」

「何故だろうか?揺れる胸に心踊る自分がいながらも、巨乳を見ると殺意が、憎悪が沸き上がるこの気持ちはいったい何なのか?」

「精神が汚染されてんじゃね?脳がやられたんじゃね?そしてもう手遅れじゃね?なんで憎悪?胸にそれだけ恨みがあんの?」

ピリリリリリリ、

ぐだぐだになりかけている4人の会話、そこに月島の懐から携帯の着信が聞こえてきたので、月島は携帯を取り出し通話ボタンを押す。

「何だ?」

『すみません月島会長、釘宮です』

この釘宮は、同じクラスの釘宮慈乃美だ。三日月友が回収した遺体を教会の聖女から手に入れた蘇生魔法の実験に使用して無事に生き返らせることが出来たが問題が発生した。
生き返ってすぐ目を覚ますと錯乱状態で泣き叫ぶは暴れるはで、もう面倒なので殺して結界の能力だけ頂こうとしたが、釘宮に同情したのか殺すのを止められたので生かしたが、『男に触れる事が出来なくなった』のと肝心な『能力が使えなくなっていた』。

使えない女なぞ外に放り出そうかとも思ったが結局、仕方がないので釘宮は下働きとして置いとく事にしたのだ。

『冒険者ギルドの職員が秋月様と釈迦峰様に緊急で依頼を、拒否は出来ず強制依頼だそうです。至急ギルドに来るように、依頼内容はギルドで説明するとのことです』
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