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第9話 鮫島希色 その2
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『鮫島財閥』は戦前に製造業で名を成し、その分野に関しては三菱、三井といった財閥をも凌駕する規模を築き上げたものの金融・商事面が弱かったが戦後に経営不振で解体寸前に追い込まれるものの、当時の鮫島の代表の前に現れた『錬金術師』の異名を持った謎の多き男『男気雄大(オトコギ ユウダイ)』の支援で大復活を遂げ、経営が傾く前より巨大に成長していった。
鮫島希色は現在の鮫島財閥の代表『鮫島雄介』の一人娘である。
ーーーーーーーーーーーーーーー
鮫島希色は欲しがる事を知らない。
だって自身の周りには既に物があふれている。父親が希色の好みと『勝手に思い込んで』大量に買い与えていたからだ。
鮫島希色の周りにはいつも大勢の人に囲まれている。
身の回りを世話をする専属メイド。身の回り警護をする専属の護衛。希色を安全に目的地に運ぶ専用車に専属の運転手。希色の専属家庭教師。希色の・・・
しかし同年代の者はおらず全員が大人で父親に与えられたもの。
そして・・・将来の相手も。
鮫島希色の14歳の誕生日パーティーの時に発表された。希色はその時初めて知った。父親はサプライズのつもりだったのだろう。
その男の名前は『九曽八郎』。鮫島財閥には及ばないものの大企業で夜郎の父親と希色の父親は幼馴染の仲。互いの利益の為の政略結婚ではない。九曽八郎はこの件は承知済みとのこと。ただ希色は見てしまった。九曽八郎はパーティーの招待客の女性に手を出している現場を。先ほどまで他の女性の体をベタベタ触っていた手で今度は希色の身体を物色し始めた。
手を握ってきたり腰に手を回したり引き寄せ身体を密着させてくる。
『・・・気持ち悪い』
抵抗しない希色を自分を受け入れたと勘違いした八朗は希色の唇を奪う。
『うっ!!!』
希色と八朗がいるのはパーティー会場、鮫島財閥の長女の誕生パーティーともなれば大勢の人が訪れているのは当たり前でキスした瞬間に数百人以上の視線が自分達に集まる。
その視線に『興奮』したのか八朗は舌を希色の口内に侵入させてきた。
『・・・いやっ!!!』
希色は気付くと人気のない路地裏にいた。息切れを起こし、父親が一千万円以上かけて作らせたオーダーメイドのドレスが無惨な状態になっており裸足だった。
「ウエエエエエイ!何コレコレ?何?AV撮影か何か?俺達も手伝ってやろうか?ウエエエエエイwww」
「ギャハハハハハハハ!マジウケる!パンツ丸出し女発見www」
「レイプされた後じゃね?なら二回目イってみる?」
いかにも頭の悪そうな連中が希色の前に現れた。
『選択肢』
・攻撃 ←素手
・防御 ←ズタボロのドレス
・道具 ←所持なし
・逃げる←裸足
相手は三人。ガタイもよく筋肉を見せつけるためか三人ともタンクトップに短パンで正直ダサい。
「何やってんの?」
頭の悪そうな連中の後ろから更に三人の男が現れた。新たに現れた三人は学生服を着ていた。その中で希色よりも背が低い男が前に出る。
その男は改造された真っ赤な学生服を着て腰の辺りまである真っ赤な髪を三つ編みにしており首にかけているヘッドホンから洋楽が垂れ流しにしている。
頭の悪そうな連中はその姿を見た瞬間に脱兎の如く逃げ出した。捨て台詞も何も残さず財布だけを投げ出して。
「ちっ、失礼な奴等だな。カツアゲかと思ったのか?ん?・・・・何事?」
ここで初めて赤の男が希色に気付いた。
「さっきの奴等にヤられたのか?」
赤の男が額に青筋を浮き立たせまるで般若のような顔立ちになる。
『気が付いたらこの姿になっていたなんて恥ずかし過ぎて言えませんわ!』
「・・・そこの野犬、ちょうどいいわ。何か着るものを買ってきなさい。お金は後で支払うわ」
・・・私は今何て言ったかしら。
「・・・お、おお、わ、わかった。覇鷹、拓海はこれでテキトーに服買ってこい」
赤の男が後ろポケットからこれまた赤い財布を取り出し二人にいくらか渡したのか。覇鷹と拓海と呼ばれていた二人は駆け足で服を買いに向かった。
「野犬、ついでに何か飲み物を買ってきなさい」
・・・私、何て言ったかしら。お礼を言うつもりが何故かパシりに行かせるかのような言葉が出てきた。
しかも超上からの物言い。
・・・私、初めて『欲しい』って言ったかも。
十分後、二人が買ってきたものを渡される。
「俺達が壁になってやるからさっさと着替えろ」
三人が背を向け壁を形成。私は大人しく着替える事に、すると覇鷹と拓海と呼ばれていた二人がモジモジし始めた。
「やべっ!見えないのが逆に興奮を掻き立てるんですけど!」
「ああ、しかも俺達が選んだ服や下着に着替えてると思うと・・・くっ!立ってらんね!」
そして鮫島希色が着替え終わり三人が振り向く。
「・・・なんでジャージ!!!」
中身を知らなかった赤の男が盛大にツッコミをいれてきた。
「しかも下着が何でトランクス!三万円渡したんだから他にも買えたろ!えらくお釣りが多いと思った!」
「いや、けど、一本・・・男だけで女性物、ましてや下着を買うのは、しかも俺等学生服だし・・・」
「・・・悪かった、お前等は頑張ったよ」
「へへ、ありがとよ。一応セール品だから安く手に入ったぜ」
すると赤い男、一本と呼ばれていた男が私を上から下までじっくりと見てきた。希色は生まれて初めて着たジャージ姿をマジマジと見られて照れ隠しに恥ずかしげに感想を聞いた。
「私の格好、変じゃないかしら・・・」
「顔面偏差値が高過ぎるお前に安物ジャージって・・・ぷふっ!違和感しかねえwww」
指を指して大笑いされたのでとりあえず顔面に拳を叩き込んであげました。
鮫島希色は現在の鮫島財閥の代表『鮫島雄介』の一人娘である。
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鮫島希色は欲しがる事を知らない。
だって自身の周りには既に物があふれている。父親が希色の好みと『勝手に思い込んで』大量に買い与えていたからだ。
鮫島希色の周りにはいつも大勢の人に囲まれている。
身の回りを世話をする専属メイド。身の回り警護をする専属の護衛。希色を安全に目的地に運ぶ専用車に専属の運転手。希色の専属家庭教師。希色の・・・
しかし同年代の者はおらず全員が大人で父親に与えられたもの。
そして・・・将来の相手も。
鮫島希色の14歳の誕生日パーティーの時に発表された。希色はその時初めて知った。父親はサプライズのつもりだったのだろう。
その男の名前は『九曽八郎』。鮫島財閥には及ばないものの大企業で夜郎の父親と希色の父親は幼馴染の仲。互いの利益の為の政略結婚ではない。九曽八郎はこの件は承知済みとのこと。ただ希色は見てしまった。九曽八郎はパーティーの招待客の女性に手を出している現場を。先ほどまで他の女性の体をベタベタ触っていた手で今度は希色の身体を物色し始めた。
手を握ってきたり腰に手を回したり引き寄せ身体を密着させてくる。
『・・・気持ち悪い』
抵抗しない希色を自分を受け入れたと勘違いした八朗は希色の唇を奪う。
『うっ!!!』
希色と八朗がいるのはパーティー会場、鮫島財閥の長女の誕生パーティーともなれば大勢の人が訪れているのは当たり前でキスした瞬間に数百人以上の視線が自分達に集まる。
その視線に『興奮』したのか八朗は舌を希色の口内に侵入させてきた。
『・・・いやっ!!!』
希色は気付くと人気のない路地裏にいた。息切れを起こし、父親が一千万円以上かけて作らせたオーダーメイドのドレスが無惨な状態になっており裸足だった。
「ウエエエエエイ!何コレコレ?何?AV撮影か何か?俺達も手伝ってやろうか?ウエエエエエイwww」
「ギャハハハハハハハ!マジウケる!パンツ丸出し女発見www」
「レイプされた後じゃね?なら二回目イってみる?」
いかにも頭の悪そうな連中が希色の前に現れた。
『選択肢』
・攻撃 ←素手
・防御 ←ズタボロのドレス
・道具 ←所持なし
・逃げる←裸足
相手は三人。ガタイもよく筋肉を見せつけるためか三人ともタンクトップに短パンで正直ダサい。
「何やってんの?」
頭の悪そうな連中の後ろから更に三人の男が現れた。新たに現れた三人は学生服を着ていた。その中で希色よりも背が低い男が前に出る。
その男は改造された真っ赤な学生服を着て腰の辺りまである真っ赤な髪を三つ編みにしており首にかけているヘッドホンから洋楽が垂れ流しにしている。
頭の悪そうな連中はその姿を見た瞬間に脱兎の如く逃げ出した。捨て台詞も何も残さず財布だけを投げ出して。
「ちっ、失礼な奴等だな。カツアゲかと思ったのか?ん?・・・・何事?」
ここで初めて赤の男が希色に気付いた。
「さっきの奴等にヤられたのか?」
赤の男が額に青筋を浮き立たせまるで般若のような顔立ちになる。
『気が付いたらこの姿になっていたなんて恥ずかし過ぎて言えませんわ!』
「・・・そこの野犬、ちょうどいいわ。何か着るものを買ってきなさい。お金は後で支払うわ」
・・・私は今何て言ったかしら。
「・・・お、おお、わ、わかった。覇鷹、拓海はこれでテキトーに服買ってこい」
赤の男が後ろポケットからこれまた赤い財布を取り出し二人にいくらか渡したのか。覇鷹と拓海と呼ばれていた二人は駆け足で服を買いに向かった。
「野犬、ついでに何か飲み物を買ってきなさい」
・・・私、何て言ったかしら。お礼を言うつもりが何故かパシりに行かせるかのような言葉が出てきた。
しかも超上からの物言い。
・・・私、初めて『欲しい』って言ったかも。
十分後、二人が買ってきたものを渡される。
「俺達が壁になってやるからさっさと着替えろ」
三人が背を向け壁を形成。私は大人しく着替える事に、すると覇鷹と拓海と呼ばれていた二人がモジモジし始めた。
「やべっ!見えないのが逆に興奮を掻き立てるんですけど!」
「ああ、しかも俺達が選んだ服や下着に着替えてると思うと・・・くっ!立ってらんね!」
そして鮫島希色が着替え終わり三人が振り向く。
「・・・なんでジャージ!!!」
中身を知らなかった赤の男が盛大にツッコミをいれてきた。
「しかも下着が何でトランクス!三万円渡したんだから他にも買えたろ!えらくお釣りが多いと思った!」
「いや、けど、一本・・・男だけで女性物、ましてや下着を買うのは、しかも俺等学生服だし・・・」
「・・・悪かった、お前等は頑張ったよ」
「へへ、ありがとよ。一応セール品だから安く手に入ったぜ」
すると赤い男、一本と呼ばれていた男が私を上から下までじっくりと見てきた。希色は生まれて初めて着たジャージ姿をマジマジと見られて照れ隠しに恥ずかしげに感想を聞いた。
「私の格好、変じゃないかしら・・・」
「顔面偏差値が高過ぎるお前に安物ジャージって・・・ぷふっ!違和感しかねえwww」
指を指して大笑いされたのでとりあえず顔面に拳を叩き込んであげました。
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