題名すら忘れたエロゲに転生した俺～神様！何でコレを選んだんですか！

第７話

私の名前は吉山入夏。

私には好きな男の子がいた。

幼なじみの幸村一。

過去形なのは彼の側にあの女がいるからだ。

西蓮寺優香里・・・幸村一の初恋の女。

私がこの町に来る前にいなくなった女。幸村一と結婚の約束をしたらしい。子供同士の約束とはいえ・・・忌々しい女。

渡会流高校入学式に二人は再会してしまった。ただ西蓮寺優香里は幸村一の事は覚えていたが、結婚の約束は覚えていないようだ。

幸村一は私に相談してくる。どうしたら西蓮寺優香里と昔のように仲良くなれるかなあ・・・と。

私は相談にはのるが、内心では『ふざけるな』と叫んでいた。

私の好意に気付いていないの？あんな女のどこがいいの？見た目だけじゃない！

高飛車で性格がキツ過ぎて友達が全くいないボッチ女。お金持ちで勉強ができるくらいしか取り柄がない女。ねえ知ってる？あの女は幸村の事なんて全く見てないのよ？

あの女が自分から話掛ける異性は『ゴドウィン・オースチン』という男子だけ。どうやらあの女は運動できる男子が格好いいと思っているらしい。

その事を幸村に教えてあげると、翌日の体育でやらかしてしまう。幸村はゴドウィン・オースチンに勝負を挑んだのだ。クラスの誰もが勝負にならないと思っていた。その日の体育授業はバスケ・・・結果は惨敗。それどころかダンクシュートしようとしているゴドウィンの上着を幸村が掴んでしまい、ゴドウィンの方は体勢を崩れるわけもなく、逆に幸村の方が引っ張られ床に転がり着地してきたゴドウィンの足に踏まれ腕を骨折してしまった。

しかも西蓮寺優香里の方は、幸村を心配するよりゴドウィンの方へ行き『君は悪くない。悪いのは卑怯者の幸村だ』と言われていた。

しかし、幸村が腕を骨折した翌日からあの女が幸村の世話をし始めたのだ。『勘違いしないでくれ、君が早く治れば怪我をさせてしまった彼が気に病む必要がなくなるのだから』と。正直ゴドウィンの方は怪我をさせた事を全く気にしてないように見える。それどころか、金神が怪我をさせたゴドウィンの事を褒めてお金を渡しているのを偶々見てしまった。

西蓮寺優香里に世話をしてもらう幸村一はもの凄く喜んでいた。腕を折ったゴドウィンに感謝するほどに。

私は、もうこの頃には幸村への恋心はすっかり冷めていたので好きにすればいいと思っていた。あの女は家事能力の０だからせいぜい怪我を悪化させないように気をつければ。

夏休みに入ってウチの弟が馬鹿をしでかしていた。受験勉強のストレスか悪い友達に唆されて一緒に万引きしたのを見られてしまい、それをネタに脅されているらしい。何でもっと早く相談しなかったのだろう？もう10万円くらいは払ってしまったらしい。

弟を脅している奴を知ってビックリした。同じクラスの金神丈一郎だったのだ。彼の家は超がつくお金持ちだったはず。お金に困っているようにはとても見えない。おそらくは遊び感覚でやっているだけかもしれない。現に弟が支払いが遅れても金額が足りなくても軽く叩かれるだけですんでいるのだから。