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エリクルside
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全てを語り終え、ゆっくりと前を向けば、放心しているロールちゃんの顔が見えた。
「私のため……だったんですか?」
「まぁね。でもこれは僕が勝手に判断して立ち回ったこと。君に何の責任もない」
「っ、だって、え?」
「ロールちゃん。君は忘れてるだろうけど、僕は君が大事なんだ。他の誰よりも」
僕はさっき、女神と勇者の恋物語を滑稽だと笑ったけど。
はたから見れば、僕のほうこそ滑稽なのだろう。
友愛か、親愛か、それとも恋慕か。
この感情に名前をつけられないまま、ロールちゃんを守る道化になることを選んだ。
そして1人で勝手に満足して、裏切り者として消えていこうと思った。
アルが前に出て、僕の前に立つ。
不思議に思ってアルを見れば、ペチン、と力なく頬を叩かれた。
「魔術使ってなかったら、もっと全力で殴ってた」
「……うん、ごめん」
「俺に謝るな。ロールに謝れ」
「ごめんね、ロールちゃん」
「………怖かったです。もう、二度と、エリクル様とは話せないんじゃないかって。ずっと」
ひぐ、と喉を鳴らしたかと思うと、ロールちゃんの目から大粒の涙が溢れた。
「よかったですぅう……!」
わんわんと大泣きしながら僕に抱きつくロールちゃん。
その力の強さに骨が軋みそうだったけど、そんなこと言ってられない。
根性見せて、ロールちゃんを抱きしめ返した。
「エリクル様」
「ラティアンカ嬢」
アルの隣に並び立つラティアンカ嬢。
彼女はこの曇った世界で、光り輝く僕の希望の1つだと言える。
今だって、僕に助言をくれる。
「ロールと向き合ってあげてください。裏切り者として振る舞っていたとしても、その子はあなたを嫌いになれなかった」
「わかったよ」
「それと。……気づけなくて、ごめんなさい」
その謝罪に、自然と目が見開かれた。
どうして? 騙していたのは僕だ。
演技にはそれなりの自信があったし、魔道具も使った。見抜けるはずがないのに。
何でそんなに悲しそうな顔をするのか。
「でも、戻ってきてくれて嬉しいです」
フワリ、と花が広がるように笑う。
きっとロールちゃんがいなかったら、僕は本気でラティアンカ嬢に恋していたんだろうと思う。
だってそうだ。
今だって、僕に笑いかけてくる瞳は何者も魅了してやまない、空の青さだ。
「………」
無言でこちらを睨むアルと目が合った。
まあでも、アルと殺し合うのはゴメンかな。
あいにく、そこまで熱心になる予定もない。
「大丈夫ですか、旦那様」
「平気だ。ネックレス、壊れたんだな」
「はい。でも、旦那様が守ってくれていたことがとても嬉しかったです」
「……そうか」
人目を憚ることなくイチャイチャし出す2人。
最初の頃なら想像もできない光景だ。
アルがラティアンカ嬢にキスを強請り、ラティアンカ嬢は恥ずかしげにそれを拒否している。
ラティアンカ嬢がアルの耳元で、ボソリと何かを呟いた。
それだけでボフンとアルが赤くなったから、きっと誰も見てないところでとか言ったのだろう。
まあ、バカップルと呼んで差し支えないのだろうか。
何だっけ? こういうの。むず痒い?
「………ぐす」
ロールちゃんが鼻を鳴らして、僕に擦り寄る。
それだけで、張り詰めていた心が解かれた気がした。
やっぱり、僕にはロールちゃんだけかな。
「……女王。それにエリクル。言っておかなければいけないことがある」
ふと、アルが真剣な眼差しで、告げられた言葉は。
「マルドゥアの革命が王に漏れた。マルドゥアは今、拘束されている」
僕の弟の、実質の死刑の宣告だった。
「私のため……だったんですか?」
「まぁね。でもこれは僕が勝手に判断して立ち回ったこと。君に何の責任もない」
「っ、だって、え?」
「ロールちゃん。君は忘れてるだろうけど、僕は君が大事なんだ。他の誰よりも」
僕はさっき、女神と勇者の恋物語を滑稽だと笑ったけど。
はたから見れば、僕のほうこそ滑稽なのだろう。
友愛か、親愛か、それとも恋慕か。
この感情に名前をつけられないまま、ロールちゃんを守る道化になることを選んだ。
そして1人で勝手に満足して、裏切り者として消えていこうと思った。
アルが前に出て、僕の前に立つ。
不思議に思ってアルを見れば、ペチン、と力なく頬を叩かれた。
「魔術使ってなかったら、もっと全力で殴ってた」
「……うん、ごめん」
「俺に謝るな。ロールに謝れ」
「ごめんね、ロールちゃん」
「………怖かったです。もう、二度と、エリクル様とは話せないんじゃないかって。ずっと」
ひぐ、と喉を鳴らしたかと思うと、ロールちゃんの目から大粒の涙が溢れた。
「よかったですぅう……!」
わんわんと大泣きしながら僕に抱きつくロールちゃん。
その力の強さに骨が軋みそうだったけど、そんなこと言ってられない。
根性見せて、ロールちゃんを抱きしめ返した。
「エリクル様」
「ラティアンカ嬢」
アルの隣に並び立つラティアンカ嬢。
彼女はこの曇った世界で、光り輝く僕の希望の1つだと言える。
今だって、僕に助言をくれる。
「ロールと向き合ってあげてください。裏切り者として振る舞っていたとしても、その子はあなたを嫌いになれなかった」
「わかったよ」
「それと。……気づけなくて、ごめんなさい」
その謝罪に、自然と目が見開かれた。
どうして? 騙していたのは僕だ。
演技にはそれなりの自信があったし、魔道具も使った。見抜けるはずがないのに。
何でそんなに悲しそうな顔をするのか。
「でも、戻ってきてくれて嬉しいです」
フワリ、と花が広がるように笑う。
きっとロールちゃんがいなかったら、僕は本気でラティアンカ嬢に恋していたんだろうと思う。
だってそうだ。
今だって、僕に笑いかけてくる瞳は何者も魅了してやまない、空の青さだ。
「………」
無言でこちらを睨むアルと目が合った。
まあでも、アルと殺し合うのはゴメンかな。
あいにく、そこまで熱心になる予定もない。
「大丈夫ですか、旦那様」
「平気だ。ネックレス、壊れたんだな」
「はい。でも、旦那様が守ってくれていたことがとても嬉しかったです」
「……そうか」
人目を憚ることなくイチャイチャし出す2人。
最初の頃なら想像もできない光景だ。
アルがラティアンカ嬢にキスを強請り、ラティアンカ嬢は恥ずかしげにそれを拒否している。
ラティアンカ嬢がアルの耳元で、ボソリと何かを呟いた。
それだけでボフンとアルが赤くなったから、きっと誰も見てないところでとか言ったのだろう。
まあ、バカップルと呼んで差し支えないのだろうか。
何だっけ? こういうの。むず痒い?
「………ぐす」
ロールちゃんが鼻を鳴らして、僕に擦り寄る。
それだけで、張り詰めていた心が解かれた気がした。
やっぱり、僕にはロールちゃんだけかな。
「……女王。それにエリクル。言っておかなければいけないことがある」
ふと、アルが真剣な眼差しで、告げられた言葉は。
「マルドゥアの革命が王に漏れた。マルドゥアは今、拘束されている」
僕の弟の、実質の死刑の宣告だった。
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