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エリクルside
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王様は僕に、ロールちゃんを探し出して殺すことを命令してきた。
従うわけないよね。でもあからさまに裏切ったらまあもう王宮に戻れなくなる。
そうなったらマルドゥアの作戦に協力できなくなるからね、都合が悪い。
だから上手いとこ従ってるふりをして、ナジクに拠点を落ち着けて、過ごしてた。
だけど、そこでラティアンカ嬢とロールちゃんが現れた。
最初はどうしていいか、本当にわからなかった。
僕はね、ロールちゃんに幸せになってほしいんだ。
記憶を失ってるとわかって、なら失ったまま、何も知らずに生きた方が幸せだと、そう思ってたんだ。
だけど、嫌なことに気づいた。
ロールちゃん。君、アストロについてから力が増してないかい?
……ああ、うん。そうだよね。
僕が気づいた嫌なことは、ロールちゃんの力が弱っていること。
女神の魂が近くにないと、ロールちゃんは生きていけない体だったんだ。
その証拠に、アストロに近づくたびに、ロールちゃんの力はどんどん増していった。
アストロに戻らなきゃロールちゃんは死んじゃうけど、王様はロールちゃんが戻ればすぐに気づく。
散々悩んで、決めた。
マルドゥアに事情を説明して、革命の計画を早めてもらったんだ。
王様が王様じゃなくなればいい話だったんだ。
ロールちゃんがアストロに戻って穏やかに暮らすには、そうするしかない。
ーーそう思ってたんだけどね。
アストロにロールちゃんが戻ったことを気づいた王様は、なんて言ったと思う?
ロールちゃんを殺すなって言ってきたんだよ。
意味わからないよね。
とりあえず陽動を起こすから、戻ってこいって言われた。
女王様にはそのことを伝えて、アストロを離れた。
途中でロールちゃんが記憶を取り戻して、暗殺部隊に組み込まれてた僕のことを思い出した時は焦ったよ。
全てを説明しても、信じてもらえるわけないと思ってたし、何より僕はスパイだ。
どこかでボロが出たら全てが崩れる。
だから僕は完璧に裏切り者を演じることにしたんだ。
狡猾に、全てを進めようとした。
魔道具を使って、僕に疑いを向けられないように仕組んだこともあった。
そうして戻って、王様の意図を聞いたんだ。
そしたら王様は、女神の魂からロールちゃんを離して、女神が降臨できないようにするって言い出したんだ。
女神どころか、ロールちゃん自体を危惧してたのに、どんな変わり身の早さだよって驚いたね。
ロールちゃんを利用して、神様を従えるとか言い出したから、頭痛いよ。
ん? 2人はロールちゃんを殺してこいって命令された?
当たり前だろ。君ら、能力の細かい操作苦手じゃないか。
ロールちゃんだけ殺すなとか言ったら判断鈍るだろ。
だから僕が一緒に来たんだ。
ロールちゃんを攫ってくるよう命令されてね。
ちょうどマルドゥアの計画がすぐ実行される時だったから、もういいかなって。
裏切り者として、役目終わろうかなって。
そう思ってたのにな。
「酷いよ、女王様。僕にカッコつけさせてくれないなんてさ」
従うわけないよね。でもあからさまに裏切ったらまあもう王宮に戻れなくなる。
そうなったらマルドゥアの作戦に協力できなくなるからね、都合が悪い。
だから上手いとこ従ってるふりをして、ナジクに拠点を落ち着けて、過ごしてた。
だけど、そこでラティアンカ嬢とロールちゃんが現れた。
最初はどうしていいか、本当にわからなかった。
僕はね、ロールちゃんに幸せになってほしいんだ。
記憶を失ってるとわかって、なら失ったまま、何も知らずに生きた方が幸せだと、そう思ってたんだ。
だけど、嫌なことに気づいた。
ロールちゃん。君、アストロについてから力が増してないかい?
……ああ、うん。そうだよね。
僕が気づいた嫌なことは、ロールちゃんの力が弱っていること。
女神の魂が近くにないと、ロールちゃんは生きていけない体だったんだ。
その証拠に、アストロに近づくたびに、ロールちゃんの力はどんどん増していった。
アストロに戻らなきゃロールちゃんは死んじゃうけど、王様はロールちゃんが戻ればすぐに気づく。
散々悩んで、決めた。
マルドゥアに事情を説明して、革命の計画を早めてもらったんだ。
王様が王様じゃなくなればいい話だったんだ。
ロールちゃんがアストロに戻って穏やかに暮らすには、そうするしかない。
ーーそう思ってたんだけどね。
アストロにロールちゃんが戻ったことを気づいた王様は、なんて言ったと思う?
ロールちゃんを殺すなって言ってきたんだよ。
意味わからないよね。
とりあえず陽動を起こすから、戻ってこいって言われた。
女王様にはそのことを伝えて、アストロを離れた。
途中でロールちゃんが記憶を取り戻して、暗殺部隊に組み込まれてた僕のことを思い出した時は焦ったよ。
全てを説明しても、信じてもらえるわけないと思ってたし、何より僕はスパイだ。
どこかでボロが出たら全てが崩れる。
だから僕は完璧に裏切り者を演じることにしたんだ。
狡猾に、全てを進めようとした。
魔道具を使って、僕に疑いを向けられないように仕組んだこともあった。
そうして戻って、王様の意図を聞いたんだ。
そしたら王様は、女神の魂からロールちゃんを離して、女神が降臨できないようにするって言い出したんだ。
女神どころか、ロールちゃん自体を危惧してたのに、どんな変わり身の早さだよって驚いたね。
ロールちゃんを利用して、神様を従えるとか言い出したから、頭痛いよ。
ん? 2人はロールちゃんを殺してこいって命令された?
当たり前だろ。君ら、能力の細かい操作苦手じゃないか。
ロールちゃんだけ殺すなとか言ったら判断鈍るだろ。
だから僕が一緒に来たんだ。
ロールちゃんを攫ってくるよう命令されてね。
ちょうどマルドゥアの計画がすぐ実行される時だったから、もういいかなって。
裏切り者として、役目終わろうかなって。
そう思ってたのにな。
「酷いよ、女王様。僕にカッコつけさせてくれないなんてさ」
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