ジャック&ミーナ ―魔法科学部研究科―

浅山いちる

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勇者パーティ現る⑤

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 彼らは桟橋の側に立って、別れの挨拶をしていた。

「僕らはここに数日滞在したら、次はキミ達の国に行くつもりだ。だから近いうち、また会えるかもしれないね」
「会っても何ももてなさないわよ?」
「結構だよ。用事はその先の海にあるから。その前の息抜きに立ち寄るだけだよ」
「そっ。せいぜい楽しんでって頂戴」
「そうさせてもらうよ」

 そうして、話が一段落したと思った彼は、ミーナに向けこんな事を口走った。

「ところでキミ、僕らと一緒に来る気ないかい?」

 彼の予想外の言動に仲間の四人も驚いていた。

「ちょっとクレスタ本気?」

 あまりにも突拍子のない事に、ユーイが割って入る。

「ユーイだって見ただろう? あの炎。彼女が僕たちの仲間になってくれたらかなり心強いと思うんだ」
「確かにアレは凄いと思ったけど、だからって——」
「悪いけどお断りするわ」

 口論をする二人に、ミーナが声を発すると、虚をつかれた彼らは目を丸くしていた。

「私にはまだ彼らとやる事があるもの。ゴメンなさいね」
「あら、振られたわね」
「はやかったですね」
「最速じゃない?」

 だが、特に落胆するでもなく、クレスタは彼女に返事をした。

「そうか、残念だ。でも、キミならいつでも歓迎するよ。気が変わった時はよろしく頼むよ」
「しつこいのは嫌われるわよ?」
「構わないさ」

 ミーナは、馬車と船の方を見るとクレスタに言う。

「あまり待たせちゃ悪いわ。ここら辺にしておきましょ」
「そうだね」

 そう言って、クレスタは三人と握手をする。

「また会いに行くよ」

 だが、ジャックと握手をする時、彼は耳元に顔を寄せ、こう呟いた。

「キミにもね」

 ジャックは特に何も返さなかった。
 挨拶を終えた彼らは、馬車に乗り、三人より先に村へと戻って行く。それを見たミーナ達も、水馬の引く木船へ乗り込む。

 ——君は何故、魔物が絶えないか考えたことあるかい?

 その言葉を思い出したジャックは、出発し始めた船の上で、小さくなる馬車の方をじっと見つめていた。




 船の上で、ミーナとフィリカは今日の成果について話をしていた。

「今回は魔物を倒しても、何も無しなんですね」

 船の上には袋に入った薬草と、四人の人間以外には特に何もなかった。あの陽の射し込む穏やかな森の中、フィリカは、行きと同じ姿勢で座るミーナに尋ねた。

「そんな事ないわよ?。グリフォンの羽根は服や矢に、肉は食料に、爪やクチバシは薬になるのよ」
「えっ、でも道中に亡きがら置いてきちゃいましたよ?」
「あぁ、ムスリカ村にあの一行が一度運んでおいてくれるみたいよ。だから今日帰ったら軍に手配して、明日、腐らないうちに取りに行く事になってるわ」
「あの人達はそこまでしてくれるんですか······」
「その代わりにしては釣り合わないけど、村の食料と、矢を作る分だけの量は分けて欲しいって言われてるわ。馬車に乗り直す前にね」
「そうでしたかぁ」
「だから、後は好きにしていいそうよ」
「へぇー······なんか変わった人達でしたね」
「······そうね」

 森の奥から温かな風が吹いて、そっと微笑むミーナの髪を揺らす。ポチャン、と小さな音が川から聞こえると、フィリカが、船の上から顔を出し、水中で泳ぐ小魚を眺める。
 悠々と泳いでいた魚だったが、一回り大きな魚がやって来て食べられてしまう。

「あぁー······」
「あんま顔出してると危ないわよ?」

 変な声を上げたフィリカに、ミーナが声を掛ける。

「えへへ、大丈夫ですよ。だって、ほら——」

 と言って、彼女達に背を向けて横になっているジャックの方を見る。

「モンスターも、きっと寝てますよ」
「······ふふっ、そうかもね」

 そんな二人の会話を、ジャックは、ギシギシと鳴る船の上で、ただ目を瞑りながら聞いていた。

 ――つづく。
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