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東雲(しののめ)⑥
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幾分後、一人の剣の切っ先が、相手の首元で止まっていた。
いつしか雨も勢いを増し、土砂降りへと姿を変えていた。
「キミの剣の筋が悪いとは思わない。だが、まだ荒い。キミは彼女の護衛みたいだけど······その腕じゃ、いつかあの子を守れなくなるよ」
ジャックの手には何も握られておらず、握られていたはずの剣は、離れた場所で地面へと突き刺さっていた。
外で見ていた彼女らは勝負が決しても、雨で掻き消される二人の会話を、眺めている事しか出来なかった。
「僕は最後、力づくでキミの剣を弾き飛ばしはしたが、それまでの攻撃、全て受け止められた事には······正直驚いた。もっと早く、決着を着けられると思っていたからね······」
クレスタは、ジャックに向けていた剣を鞘に収める。
「だから、それに免じて、今回彼女の事は諦めることにするよ」
右手を差し出すクレスタ。
だが、握手を求める彼に、ジャックは応えない。
仕方なく彼は手を下ろす。
「まぁいい。キミは良い目を持っている。強くなったら、また手合わせ願うよ」
先に立ち去るクレスタ。
お辞儀をして、後を追いかけるシェリエ。
ジャックは降りしきる雨の中、動けずに、ただ立ち尽くしている事しか出来なかった。
——クレスタは帰る途中、城の角を曲がった所で、一人の兵士に声を掛けられていた。
「あんま、俺の親友をいじめないでくれよ?」
「······すまない。どうも昔の僕に似ていてね。放っておけなかったんだ」
クレスタは、後ろを見ては、兵士の方に顔を戻し、目を伏せる。そして
「······彼を頼むよ」
それだけ言って、城の外へと歩いて行った。
二人が立ち去ってからしばらくして、ジャックは地面に座り込み、下を向いていた。
銀髪を伝う水滴が、ズボンの上へポタッ、ポタッと落ちていく。
ミーナは彼の近くで片肘を抱え、黙って立っていた。
「······なんか······言えよ」
変わらぬ態勢のまま、ジャックは言う。
だが彼女は、何も返さない。
「······なんで何も言わねぇんだよ」
彼女は言葉が見つからず、彼から目を逸らす。
ジャックは俯いたまま立ち上がると、剣を取りに行く。そして、抜いた剣を鞘にしまうと、そのまま目を合わせる事なく、彼女の横を通り過ぎる。
その様子を見ていたスライは、城へと戻る。
彼の居た場所まで歩いてくるジャック。
「くそっ······!」
彼女から見えない所で、ジャックはその右手を何度も、何度も城の壁へと叩きつけていた。
いつしか雨も勢いを増し、土砂降りへと姿を変えていた。
「キミの剣の筋が悪いとは思わない。だが、まだ荒い。キミは彼女の護衛みたいだけど······その腕じゃ、いつかあの子を守れなくなるよ」
ジャックの手には何も握られておらず、握られていたはずの剣は、離れた場所で地面へと突き刺さっていた。
外で見ていた彼女らは勝負が決しても、雨で掻き消される二人の会話を、眺めている事しか出来なかった。
「僕は最後、力づくでキミの剣を弾き飛ばしはしたが、それまでの攻撃、全て受け止められた事には······正直驚いた。もっと早く、決着を着けられると思っていたからね······」
クレスタは、ジャックに向けていた剣を鞘に収める。
「だから、それに免じて、今回彼女の事は諦めることにするよ」
右手を差し出すクレスタ。
だが、握手を求める彼に、ジャックは応えない。
仕方なく彼は手を下ろす。
「まぁいい。キミは良い目を持っている。強くなったら、また手合わせ願うよ」
先に立ち去るクレスタ。
お辞儀をして、後を追いかけるシェリエ。
ジャックは降りしきる雨の中、動けずに、ただ立ち尽くしている事しか出来なかった。
——クレスタは帰る途中、城の角を曲がった所で、一人の兵士に声を掛けられていた。
「あんま、俺の親友をいじめないでくれよ?」
「······すまない。どうも昔の僕に似ていてね。放っておけなかったんだ」
クレスタは、後ろを見ては、兵士の方に顔を戻し、目を伏せる。そして
「······彼を頼むよ」
それだけ言って、城の外へと歩いて行った。
二人が立ち去ってからしばらくして、ジャックは地面に座り込み、下を向いていた。
銀髪を伝う水滴が、ズボンの上へポタッ、ポタッと落ちていく。
ミーナは彼の近くで片肘を抱え、黙って立っていた。
「······なんか······言えよ」
変わらぬ態勢のまま、ジャックは言う。
だが彼女は、何も返さない。
「······なんで何も言わねぇんだよ」
彼女は言葉が見つからず、彼から目を逸らす。
ジャックは俯いたまま立ち上がると、剣を取りに行く。そして、抜いた剣を鞘にしまうと、そのまま目を合わせる事なく、彼女の横を通り過ぎる。
その様子を見ていたスライは、城へと戻る。
彼の居た場所まで歩いてくるジャック。
「くそっ······!」
彼女から見えない所で、ジャックはその右手を何度も、何度も城の壁へと叩きつけていた。
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