あまいの、いくつほしい?

白湯すい

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本編

27.東と和山

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「……引いてる?」
「引くわけないだろ。男もイケたのかって多少びっくりはしてるけど、今更お前のことでなんか変な風に考えたりしないって」
 たった一言聞いただけで東が何に対して不安に思っているのかさえ和山にはわかるし、それは和山にとって何ら特別なことですらない。東はそんな関係性に甘えているな、と少し自覚していた。

「…男もイケるって、そういう感じなわけでもないんだけど。なんか、好きになっちゃったんだ」
 東は和山に蓜島のことをリサーチしてほしいと言われていたのに、それを無視して和山に何も話してこなかったことを引け目に感じていた。和山自身そんなことは気にしてはいないだろうというのは東もわかってはいたが、なんでも隠し事をしてこなかった間柄で、割と私生活においても仕事においても大きなことが起きていたのに話さなかったことを、東のほうが気になっていたのだ。

「蓜島さん……良い人なんだ、ほんとに」
「……まあ、お前が懐くんだからそうなんだろうな。そこんとこ別に心配してないし、お前らしいなって思うし、いいんじゃない?」

 東は昔からろくな恋愛をしてこなかった。それは和山も知っている。けれどそれは東が悪いというわけでもなく、いつも理不尽な理由で悲しい思いをしていることも和山は知っていたし、東が自分から好きになった相手はそう変な女でもなかったというのもちゃんと知っている。
 この無駄に綺麗な顔のせいで、色々大変な思いをしてるんだよな、こいつは。そう思いながら和山は東を眺める。
 勝手に完璧人間だと思い込まれてイメージと違うと失望されたり、やたらと人が寄ってきたり不躾な目で見られることに彼女のほうが疲れて別れられたり、どれも東自身ではどうしようもないことだ。

「俺はお前が何したって、今更離れてなんかいかないから。変な気使うなよ」
「……なんか和山が優しくてキモい」
「俺もキモいなって思いながら言ってんだよ」
「………ありがと」
「はいはい」
 東にとって和山のその優しさは得難いものだったけれど、和山にとって東にそうすることは特別なことなどではない。そのことが、東にはすごく嬉しかった。
 素直に感謝を口にすると、和山は大したことないというように手をひらひらとさせ、ケーキの残りを平らげたのだった。
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