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本編
45.恥ずかしくて、気持ちいい
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「触りますね。少し冷たいかも」
「はい……っ、んっ」
ぴと、と指先が東の小さな窄まりに当たる。ぬるりとした感触は穴のまわりをくるくると擽り、ローションの滑りを馴染ませていく。蓜島が言った通りそれは冷たく感じたけれど、熱を持った体に触れてすぐに体温に近くなった。
生温いぬめりを帯びた蓜島の指が、くにくにと穴の入り口を開こうと少しずつ押し込む力を入れていく。
「ん、ふっ……う、う……は、あ」
指が侵入しようと立てられる度に体がぴくりと反応し、僅かな声が漏れる。きっと早々人に触れられはしなかったであろうところを、蓜島の手で念入りに濡らされて解されている。くちくちと湿った音が恥ずかしい。ドキドキと心臓がうるさくて、荒い息と漏れ出す声を抑えられない。
「……っ、あっ!」
東が思わずはっきりとした声をあげてしまったのは、ついに蓜島の指がつぷりと中に入ってきたからだ。
「痛いですか?」
「痛くない、です……っ、ん、う」
「よかった、痛かったらすぐに言ってくださいね」
「わかりまし、あっ、んん…っ」
指はごくごく浅いところを出入りしたり、穴のまわりと同じようにくにくにと少しずつローションを馴染ませていきながら、決して東が痛い思いはしないようにと進んでいった。
「は、う……すご、へんな、かんじ…っ」
「動かして平気ですか?」
「ん、うん、平気……っ、てか、そんなゆっくり、しなくても…」
「ですが」
「…おれ、ちょっとだけ、…っ、れんしゅう、してきたから……ぁ、う」
「……練習?」
蓜島が思わずぴくりと反応した。
「……今日、できなかったらやだなって…思って」
「ひとりでしてたんですか?」
「………うん。ゆび、いれたりとか……なんか、アナル用の、ちっちゃいやつだけど」
「……初耳なんですが」
「言ってない、ですもん」
その話を聞いた蓜島の心境は複雑だったけれど、この短い沈黙の中で色々と考えた結果、東も今日そのつもりでいて、ちゃんとできるように頑張ってくれていたのだということが嬉しい気持ちが勝った。
「おれだけ、するつもりだったら恥ずかしいし…」
「同じ気持ちで良かったです」
「ふふ、おれも……んっ、は、あぁっ…」
蓜島が指を動かすのを再開したなら、東はまた控えめな声をあげる。さっきよりも少しだけ大胆に、けれどやっぱり傷つけたりはしないように丁寧に。
「…指、何本入れられました?」
「んっ、……っにほん、だけ」
蓜島よりも細い東の指で二本。自分で動かすのとは感覚が違うけれど、いま人差し指だけでくにくにと弄られているのは平気だった。
「指以外は?」
「……ぅう…初心者用の、全然指より、ほそい……ぜんりつ、せん、刺激する…ぅ、やつ……っ」
蓜島にそんな意図はないだろうが、自分のオナニーの内容を話すようなものだから当然東は恥ずかしくて顔が熱くなる。
「感じましたか?」
「んん、あんまり……っ、きもちよくは、なくって……」
「そうですよね、大丈夫、ゆっくりします」
蓜島も色々と調べてみていたようだった。東はまた少し安堵する。
いわゆるアナル開発用のアダルトグッズを試してみたものの、東はあまり快楽は得られなかった。ただ何度か繰り返すうちに、後ろの力を抜いて挿入しやすくするのには慣れた。
恥ずかしかったけれど、話すのに少し意識が向いていたから、気づけば指一本で苦しくないくらいに慣れてきていた。
「んうっ! あ、ふ……っ」
「…そう、力を抜いて」
「ふ、ふう、うっ……ん…!」
中に入った指が増やされて、息を詰める。二本に増えると指とアナルのふちに僅かな隙間ができて、それがちゅぷちゅぷと空気を孕んだ音を立てる。質量が増えた圧迫感も恥ずかしい音も全部誤魔化すように、東は力を抜いて受け入れることだけに集中する。
「……っあ、あっ! あ、そこ……っ」
「…! ここですか?」
「あっ、んん……っ、そこ、ちょっと、へんです」
「きもちいい?」
「わかん、なっ……あ、だめ….っ、なんか、ぞわって、する…っ」
もう少しで快感に変わりそうな何か。なんだか怖くて、背筋がぞくぞくして、東の口からは息を詰める声と、だめと嫌がるような言葉が漏れてしまう。それは行為としては良い兆しだ。蓜島はそれを待っていたように中に入れていないほうの手で東の陰茎に触れて、わかりやすく快感を得られるように扱いた。
「あっ、あぁうっ…! は、ぁ……っ、や、はいしま、さ……っ」
「気持ちいいですね、東さん」
「は、うっ、….っ、はい、きもちいっです…蓜島さんに、さわられるの」
中の不思議な感覚の場所をいじられながら性器に直接明確な快感を与えられると、だんだんとどちらが気持ち良いのか曖昧になってくる。ぞくぞくした感覚と気持ち良さを交互に感じて、徐々にその境目がわからなくなっていく。
ぐちゅぐちゅとひどく濡れた音が自分の股の間からひっきりなしに聞こえてくる。好きな男に一番恥ずかしいところを曝け出し触られて、こんな音を立てられているのだという事実で東はどうにかなりそうだった。濡れているのはローションだけじゃない。そんなのは自分自身のことだから嫌になるほどわかる。恥ずかしくて喘ぐ声が止められない口元を枕にうずめたけれど、それによって尻だけを高く持ち上げている格好になり、まるでもっとしてくれとねだっているみたいだ。
きもちいい。恥ずかしい。聞いてられない。でも耳を塞ぐ余裕なんてない。きもちいい。声だって聞かれたくない。恥ずかしい。きもちいい。
「はい……っ、んっ」
ぴと、と指先が東の小さな窄まりに当たる。ぬるりとした感触は穴のまわりをくるくると擽り、ローションの滑りを馴染ませていく。蓜島が言った通りそれは冷たく感じたけれど、熱を持った体に触れてすぐに体温に近くなった。
生温いぬめりを帯びた蓜島の指が、くにくにと穴の入り口を開こうと少しずつ押し込む力を入れていく。
「ん、ふっ……う、う……は、あ」
指が侵入しようと立てられる度に体がぴくりと反応し、僅かな声が漏れる。きっと早々人に触れられはしなかったであろうところを、蓜島の手で念入りに濡らされて解されている。くちくちと湿った音が恥ずかしい。ドキドキと心臓がうるさくて、荒い息と漏れ出す声を抑えられない。
「……っ、あっ!」
東が思わずはっきりとした声をあげてしまったのは、ついに蓜島の指がつぷりと中に入ってきたからだ。
「痛いですか?」
「痛くない、です……っ、ん、う」
「よかった、痛かったらすぐに言ってくださいね」
「わかりまし、あっ、んん…っ」
指はごくごく浅いところを出入りしたり、穴のまわりと同じようにくにくにと少しずつローションを馴染ませていきながら、決して東が痛い思いはしないようにと進んでいった。
「は、う……すご、へんな、かんじ…っ」
「動かして平気ですか?」
「ん、うん、平気……っ、てか、そんなゆっくり、しなくても…」
「ですが」
「…おれ、ちょっとだけ、…っ、れんしゅう、してきたから……ぁ、う」
「……練習?」
蓜島が思わずぴくりと反応した。
「……今日、できなかったらやだなって…思って」
「ひとりでしてたんですか?」
「………うん。ゆび、いれたりとか……なんか、アナル用の、ちっちゃいやつだけど」
「……初耳なんですが」
「言ってない、ですもん」
その話を聞いた蓜島の心境は複雑だったけれど、この短い沈黙の中で色々と考えた結果、東も今日そのつもりでいて、ちゃんとできるように頑張ってくれていたのだということが嬉しい気持ちが勝った。
「おれだけ、するつもりだったら恥ずかしいし…」
「同じ気持ちで良かったです」
「ふふ、おれも……んっ、は、あぁっ…」
蓜島が指を動かすのを再開したなら、東はまた控えめな声をあげる。さっきよりも少しだけ大胆に、けれどやっぱり傷つけたりはしないように丁寧に。
「…指、何本入れられました?」
「んっ、……っにほん、だけ」
蓜島よりも細い東の指で二本。自分で動かすのとは感覚が違うけれど、いま人差し指だけでくにくにと弄られているのは平気だった。
「指以外は?」
「……ぅう…初心者用の、全然指より、ほそい……ぜんりつ、せん、刺激する…ぅ、やつ……っ」
蓜島にそんな意図はないだろうが、自分のオナニーの内容を話すようなものだから当然東は恥ずかしくて顔が熱くなる。
「感じましたか?」
「んん、あんまり……っ、きもちよくは、なくって……」
「そうですよね、大丈夫、ゆっくりします」
蓜島も色々と調べてみていたようだった。東はまた少し安堵する。
いわゆるアナル開発用のアダルトグッズを試してみたものの、東はあまり快楽は得られなかった。ただ何度か繰り返すうちに、後ろの力を抜いて挿入しやすくするのには慣れた。
恥ずかしかったけれど、話すのに少し意識が向いていたから、気づけば指一本で苦しくないくらいに慣れてきていた。
「んうっ! あ、ふ……っ」
「…そう、力を抜いて」
「ふ、ふう、うっ……ん…!」
中に入った指が増やされて、息を詰める。二本に増えると指とアナルのふちに僅かな隙間ができて、それがちゅぷちゅぷと空気を孕んだ音を立てる。質量が増えた圧迫感も恥ずかしい音も全部誤魔化すように、東は力を抜いて受け入れることだけに集中する。
「……っあ、あっ! あ、そこ……っ」
「…! ここですか?」
「あっ、んん……っ、そこ、ちょっと、へんです」
「きもちいい?」
「わかん、なっ……あ、だめ….っ、なんか、ぞわって、する…っ」
もう少しで快感に変わりそうな何か。なんだか怖くて、背筋がぞくぞくして、東の口からは息を詰める声と、だめと嫌がるような言葉が漏れてしまう。それは行為としては良い兆しだ。蓜島はそれを待っていたように中に入れていないほうの手で東の陰茎に触れて、わかりやすく快感を得られるように扱いた。
「あっ、あぁうっ…! は、ぁ……っ、や、はいしま、さ……っ」
「気持ちいいですね、東さん」
「は、うっ、….っ、はい、きもちいっです…蓜島さんに、さわられるの」
中の不思議な感覚の場所をいじられながら性器に直接明確な快感を与えられると、だんだんとどちらが気持ち良いのか曖昧になってくる。ぞくぞくした感覚と気持ち良さを交互に感じて、徐々にその境目がわからなくなっていく。
ぐちゅぐちゅとひどく濡れた音が自分の股の間からひっきりなしに聞こえてくる。好きな男に一番恥ずかしいところを曝け出し触られて、こんな音を立てられているのだという事実で東はどうにかなりそうだった。濡れているのはローションだけじゃない。そんなのは自分自身のことだから嫌になるほどわかる。恥ずかしくて喘ぐ声が止められない口元を枕にうずめたけれど、それによって尻だけを高く持ち上げている格好になり、まるでもっとしてくれとねだっているみたいだ。
きもちいい。恥ずかしい。聞いてられない。でも耳を塞ぐ余裕なんてない。きもちいい。声だって聞かれたくない。恥ずかしい。きもちいい。
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