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本編
53.弟と
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和やかに挨拶が済み簡単に昼食を済ませた後、蓜島と東は弟の誠生と一緒に家の近くを歩いたりイチゴのハウスを見に行った。
「この前聡くんに色々聞いてから、ちょっと改装したんだよ」
「ほんとだ、前こんなのなかったね」
旅行のときに東が熱心にメモしていた情報を今後に活かすべく、誠生は色々と努力をしているみたいだった。東はそんな弟の様子と頑張りを微笑ましく眺めている。
「いいなあ、聡くんは蓜島さんと旅行いってきたんでしょ?」
「うん、まあ取材旅行も兼ねてね。誠生も行ってきたらいいじゃん、嫁さん連れてさ」
「繁忙期終わったらそうしようかな」
兄弟の話を黙って聞いていた蓜島だったが、ずいぶん若く見える弟の誠生に「嫁さん」という言葉がなんだかしっくり来ず、ほんの少しだけ反応してしまった。
「あ、誠生ね、結婚しててかわいいお嫁さんが居るんですよ。紗帆さんっていう」
「そうなんです、こう見えて! 今出かけてるんですけど、夜には帰ってきますよ」
「そうだったんですね。お会い出来るのが楽しみです」
初めて会う人たちばかりで緊張もしていたが、東の家族はみんな穏やかで朗らかだったから、もう何も身構える必要は無いのだと蓜島は安心していた。
「父さんも母さんも賑やかだから、騒がしくなかったですか?」
「大丈夫ですよ。私はこんなですが、賑やかなのは好きです」
東がそう尋ねると、蓜島は小さく微笑んでくれた。蓜島は自身が物静かで表情が堅いだけで、わいわいと活気のある雰囲気は好きなほうだった。
蓜島の言葉を聞いて、弟の誠生も安心したようだった。
「本当ですか? 良かったあ、実は僕もちょっと緊張してたんですよね」
人懐っこい笑みはやわらかくて、やはりどこか東に似ている。見て回ったイチゴ農園はよく整えられていて、朗らかな彼の努力家な面が垣間見えた。
「私はそんな、緊張されるような人間ではないですよ。こんなに素敵なご家族で、人に誇れることばかりじゃないですか?」
「あはは、そう直球で褒められると照れますね。でも確かに、聡くんも両親も、僕の自慢です」
「ふふ、聡介さんも、誠生さんのことをとても褒めてらっしゃいましたよ」
「わ、蓜島さん、ばらさないでくださいよ」
あたたかい家族仲に触れて、緊張していた蓜島の心はすっかりと解れていった。本当に、会いに来てよかった、そんな風に思った。
夕方には東の弟・誠生の妻である紗帆も外出から戻り、さらに東家は賑やかになった。
「今日の用事がずらせたら、わたしもすぐ会いたかったな、蓜島さん」
「そんな、明日まで居るんだから」
「わたしの居ない間にみんなもう仲良くなってるんだもの。ちょっと悔しいじゃない」
「そんな風に言っていただけて、光栄です」
少し話しただけの彼女も、蓜島のことをいたく気に入ったようだった。そんな彼女の様子に、蓜島は照れくさそうにしている。
以前東が少し話していたように、蓜島と紗帆はどこか似ていた。蓜島ほど感情が表に出ないわけではないが、穏やかながら正直でさっぱりとした性格は確かに近しいものを感じた。
兄弟で好みが似る、なんて話は、もしかしたら本当なのかもしれないと東と蓜島は揃って考えていた。
「この前聡くんに色々聞いてから、ちょっと改装したんだよ」
「ほんとだ、前こんなのなかったね」
旅行のときに東が熱心にメモしていた情報を今後に活かすべく、誠生は色々と努力をしているみたいだった。東はそんな弟の様子と頑張りを微笑ましく眺めている。
「いいなあ、聡くんは蓜島さんと旅行いってきたんでしょ?」
「うん、まあ取材旅行も兼ねてね。誠生も行ってきたらいいじゃん、嫁さん連れてさ」
「繁忙期終わったらそうしようかな」
兄弟の話を黙って聞いていた蓜島だったが、ずいぶん若く見える弟の誠生に「嫁さん」という言葉がなんだかしっくり来ず、ほんの少しだけ反応してしまった。
「あ、誠生ね、結婚しててかわいいお嫁さんが居るんですよ。紗帆さんっていう」
「そうなんです、こう見えて! 今出かけてるんですけど、夜には帰ってきますよ」
「そうだったんですね。お会い出来るのが楽しみです」
初めて会う人たちばかりで緊張もしていたが、東の家族はみんな穏やかで朗らかだったから、もう何も身構える必要は無いのだと蓜島は安心していた。
「父さんも母さんも賑やかだから、騒がしくなかったですか?」
「大丈夫ですよ。私はこんなですが、賑やかなのは好きです」
東がそう尋ねると、蓜島は小さく微笑んでくれた。蓜島は自身が物静かで表情が堅いだけで、わいわいと活気のある雰囲気は好きなほうだった。
蓜島の言葉を聞いて、弟の誠生も安心したようだった。
「本当ですか? 良かったあ、実は僕もちょっと緊張してたんですよね」
人懐っこい笑みはやわらかくて、やはりどこか東に似ている。見て回ったイチゴ農園はよく整えられていて、朗らかな彼の努力家な面が垣間見えた。
「私はそんな、緊張されるような人間ではないですよ。こんなに素敵なご家族で、人に誇れることばかりじゃないですか?」
「あはは、そう直球で褒められると照れますね。でも確かに、聡くんも両親も、僕の自慢です」
「ふふ、聡介さんも、誠生さんのことをとても褒めてらっしゃいましたよ」
「わ、蓜島さん、ばらさないでくださいよ」
あたたかい家族仲に触れて、緊張していた蓜島の心はすっかりと解れていった。本当に、会いに来てよかった、そんな風に思った。
夕方には東の弟・誠生の妻である紗帆も外出から戻り、さらに東家は賑やかになった。
「今日の用事がずらせたら、わたしもすぐ会いたかったな、蓜島さん」
「そんな、明日まで居るんだから」
「わたしの居ない間にみんなもう仲良くなってるんだもの。ちょっと悔しいじゃない」
「そんな風に言っていただけて、光栄です」
少し話しただけの彼女も、蓜島のことをいたく気に入ったようだった。そんな彼女の様子に、蓜島は照れくさそうにしている。
以前東が少し話していたように、蓜島と紗帆はどこか似ていた。蓜島ほど感情が表に出ないわけではないが、穏やかながら正直でさっぱりとした性格は確かに近しいものを感じた。
兄弟で好みが似る、なんて話は、もしかしたら本当なのかもしれないと東と蓜島は揃って考えていた。
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