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私のご主人様は本当に悪人なのかしら3
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「乗馬の練習はどうだ、アリス」
やはりラフェルはアリスを一番に気にかけている。まぁね、わからなくはないのよ。明るくてかわいくて、いるだけでぱっとその場が華やぐような……彼女にアプローチされたら、どんな男だってそりゃイチコロでしょうよ。フィオナやシルビアだってかなりの美人だけど、愛嬌のある美少女が結局は最強なのよね。
「うーん。頑張ってはいるんですけど……才能がないのかな? お尻も脚も痛くって」
アリスはかわいらしくぺろっと舌を出して見せた。
「才能がなくても馬には乗れるぞ。ひたすら訓練すればいい」
ルークがなんとも彼らしい役立たないアドバイスをアリスに贈る。まぁ正論と言えなくもないだろうけど。
「あまり無理せず、しばらく休んでもいいぞ。騎馬が必要なときは私が一緒に後ろに乗ってやる」
「ほ、本当ですか? じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらおうかなぁ」
ラフェルの優しい提案にアリスは顔をほころばせた。が、次の瞬間、すぐに彼女の笑顔はしぼんでしまう。フィオナが厳しい指摘をしたからだ。
「それでは、いざという時に殿下の足手まといになります。そんな覚悟しかないなら、今すぐ春風の宮から出て行きなさいな」
春風の宮を出る=妃候補を辞退しろという意味だ。
き、きつい……。アリスの目尻にじわりと涙が浮かぶ。
「フィオナ、あまりキツい物言いをするな。アリスは幼少期から妃候補として教育されてきたそなたとは違う。……ゆっくり頑張ればいいんだ」
蕩けるような甘い笑顔と最後のセリフはアリスに向けたものだ。フィオナは顔を強張らせたまま、謝罪も反論もしなかった。
たしかにきついけど……フィオナの気持ちだって、よくわかる。彼女はそのお尻と脚が死ぬほど痛くなる訓練を幼少期から積み重ねてきたのだろう。その自分と張り合うくらいなら、泣き言いわずに頑張れって、そりゃ言いたくもなるだろう。
まるで私の気持ちを汲み取ってくれたかのように、キースがフィオナをフォローした。
「ですが、彼女の言うことももっともです。殿下の妃になるということは、未来の王妃になるということです。必要な教養は身につけていただかなくては」
そう、そうなのよ! さすがキース様。フィオナも意地悪したかったわけじゃなくて、それが言いたかったんだと思うわ。
「休むと勘が鈍って、習得が遠のくだけだぞ。それに、馬は乗る者の心を敏感に読み取る。熱意は必ず伝わるはずだ」
ルークも、今度はちょっと役立ちそうなことを言った。
「ふむ。ふたりの言うことも一理あるな。では、明日からは私が教えてあげよう。どうだ、アリス?」
「はい! ラフェル王子と一緒なら頑張れそうです」
頬を桃色に染めながらアリスは言う。
一緒なら頑張れるじゃなくて、ひとりでも頑張っておけよ。そう思ってしまうのは、愛されキャラの彼女への嫉妬だろうか……。
やはりラフェルはアリスを一番に気にかけている。まぁね、わからなくはないのよ。明るくてかわいくて、いるだけでぱっとその場が華やぐような……彼女にアプローチされたら、どんな男だってそりゃイチコロでしょうよ。フィオナやシルビアだってかなりの美人だけど、愛嬌のある美少女が結局は最強なのよね。
「うーん。頑張ってはいるんですけど……才能がないのかな? お尻も脚も痛くって」
アリスはかわいらしくぺろっと舌を出して見せた。
「才能がなくても馬には乗れるぞ。ひたすら訓練すればいい」
ルークがなんとも彼らしい役立たないアドバイスをアリスに贈る。まぁ正論と言えなくもないだろうけど。
「あまり無理せず、しばらく休んでもいいぞ。騎馬が必要なときは私が一緒に後ろに乗ってやる」
「ほ、本当ですか? じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらおうかなぁ」
ラフェルの優しい提案にアリスは顔をほころばせた。が、次の瞬間、すぐに彼女の笑顔はしぼんでしまう。フィオナが厳しい指摘をしたからだ。
「それでは、いざという時に殿下の足手まといになります。そんな覚悟しかないなら、今すぐ春風の宮から出て行きなさいな」
春風の宮を出る=妃候補を辞退しろという意味だ。
き、きつい……。アリスの目尻にじわりと涙が浮かぶ。
「フィオナ、あまりキツい物言いをするな。アリスは幼少期から妃候補として教育されてきたそなたとは違う。……ゆっくり頑張ればいいんだ」
蕩けるような甘い笑顔と最後のセリフはアリスに向けたものだ。フィオナは顔を強張らせたまま、謝罪も反論もしなかった。
たしかにきついけど……フィオナの気持ちだって、よくわかる。彼女はそのお尻と脚が死ぬほど痛くなる訓練を幼少期から積み重ねてきたのだろう。その自分と張り合うくらいなら、泣き言いわずに頑張れって、そりゃ言いたくもなるだろう。
まるで私の気持ちを汲み取ってくれたかのように、キースがフィオナをフォローした。
「ですが、彼女の言うことももっともです。殿下の妃になるということは、未来の王妃になるということです。必要な教養は身につけていただかなくては」
そう、そうなのよ! さすがキース様。フィオナも意地悪したかったわけじゃなくて、それが言いたかったんだと思うわ。
「休むと勘が鈍って、習得が遠のくだけだぞ。それに、馬は乗る者の心を敏感に読み取る。熱意は必ず伝わるはずだ」
ルークも、今度はちょっと役立ちそうなことを言った。
「ふむ。ふたりの言うことも一理あるな。では、明日からは私が教えてあげよう。どうだ、アリス?」
「はい! ラフェル王子と一緒なら頑張れそうです」
頬を桃色に染めながらアリスは言う。
一緒なら頑張れるじゃなくて、ひとりでも頑張っておけよ。そう思ってしまうのは、愛されキャラの彼女への嫉妬だろうか……。
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