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私のご主人様は本当に悪人なのかしら5
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「本当に素敵。ねぇ、今度私にもしてくれない?」
「サラばっかりずるい。私もしてほしいわ」
サラがそう言えば、シルビアも話に乗る。私はフィオナに視線を送って、ふたりへの返事を彼女に任せた。
「もう。私の侍女にあまり負担をかけないでよね」
言葉とは裏腹に、フィオナはちょっと嬉しそうだ。侍女である私が褒められるのは、満更でもないんだろう。
「アリスはいいのか?」
ラフェルがアリスの顔をのぞきこむ。
「はい。私はお化粧とかはあんまり…自分を取り繕う必要なんてないと思うんです」
「そうなのか。アリスらしいな」
アリスはラフェルを見つめ、きっぱりとそう言い切った。そんな彼女に、ラフェルはふっと頬をゆるめる。
で、出たわね。少女漫画の王道、お前面白い女だな……ってやつ!
ドレスに宝石。着飾ることに夢中な他の令嬢達と違い、アリスはオシャレに無頓着。でもそんなアリスをラフェルは面白いと認めてくれるのだ。自分がアリス役でプレイしているときは、承認欲求満たされまくりで最高の展開なんだけど……。第三者として見ていると、全然違う感想を抱くんだから人間って勝手なものよね。
天然美人マウント! 感じわる~としか思えない。おまけに私の天職を全否定してくれちゃって。
アリスが地味っ子ならいいのよ、それなら許す。けど、彼女はものすごい美少女。メイクなんてしなくてもキラキラ笑顔だし、だっさいドレスもなんなく着こなしちゃうし。
つまりは嫉妬よ嫉妬。わかってますとも。でもさぁ……メイクで変身して喜んでいるシシィ王女を前に言うことじゃなくない?
案の定、シシィ王女は少し傷ついたような顔をしていた。う~、メイクは取り繕ってるわけじゃないんだよー。メイクを嫌いにならないで~。
そんな私の心の叫びをフィオナが代弁してくれた。
「お化粧は自身の魅力を引き出すだけですわ。シシィ王女が元々持っていた美しさが表に出ただけのこと」
フィオナはちらりとアリスを横目で見ながら、こう付け足した。
「それに、王妃は国民の憧れと尊敬の対象であるべきです。ですので、美しくあるのも義務ですわ。その努力を放棄するのは、どうなのかしら」
フィオナとアリスの間にバチバチと見えない火花が散っている。
フィオナを春風の宮に送り届けた後で、私はひとり王宮の美しい中庭を散歩しながら考えていた。
とはいえ、フィオナは流刑になる運命なんだよね。自分の未来を考えるならば……脳裏に浮かぶのはアリスの愛くるしい笑顔だ。
「アリスに取り入っとくべき?」
気に入られてアリスの侍女にでもなれれば、私の未来は明るいだろう。
「でもなぁ……」
「エマさん」
頭を抱えている私を誰かが呼んだ。振り返るとそこにいたのは、なんとキース様! 後ろに余計なものがくっついてきているのがアレだけども。
「キース様!? と、ルークさん」
愛着の差が敬称にあらわれてしまっているのは勘弁してもらおう。
「サラばっかりずるい。私もしてほしいわ」
サラがそう言えば、シルビアも話に乗る。私はフィオナに視線を送って、ふたりへの返事を彼女に任せた。
「もう。私の侍女にあまり負担をかけないでよね」
言葉とは裏腹に、フィオナはちょっと嬉しそうだ。侍女である私が褒められるのは、満更でもないんだろう。
「アリスはいいのか?」
ラフェルがアリスの顔をのぞきこむ。
「はい。私はお化粧とかはあんまり…自分を取り繕う必要なんてないと思うんです」
「そうなのか。アリスらしいな」
アリスはラフェルを見つめ、きっぱりとそう言い切った。そんな彼女に、ラフェルはふっと頬をゆるめる。
で、出たわね。少女漫画の王道、お前面白い女だな……ってやつ!
ドレスに宝石。着飾ることに夢中な他の令嬢達と違い、アリスはオシャレに無頓着。でもそんなアリスをラフェルは面白いと認めてくれるのだ。自分がアリス役でプレイしているときは、承認欲求満たされまくりで最高の展開なんだけど……。第三者として見ていると、全然違う感想を抱くんだから人間って勝手なものよね。
天然美人マウント! 感じわる~としか思えない。おまけに私の天職を全否定してくれちゃって。
アリスが地味っ子ならいいのよ、それなら許す。けど、彼女はものすごい美少女。メイクなんてしなくてもキラキラ笑顔だし、だっさいドレスもなんなく着こなしちゃうし。
つまりは嫉妬よ嫉妬。わかってますとも。でもさぁ……メイクで変身して喜んでいるシシィ王女を前に言うことじゃなくない?
案の定、シシィ王女は少し傷ついたような顔をしていた。う~、メイクは取り繕ってるわけじゃないんだよー。メイクを嫌いにならないで~。
そんな私の心の叫びをフィオナが代弁してくれた。
「お化粧は自身の魅力を引き出すだけですわ。シシィ王女が元々持っていた美しさが表に出ただけのこと」
フィオナはちらりとアリスを横目で見ながら、こう付け足した。
「それに、王妃は国民の憧れと尊敬の対象であるべきです。ですので、美しくあるのも義務ですわ。その努力を放棄するのは、どうなのかしら」
フィオナとアリスの間にバチバチと見えない火花が散っている。
フィオナを春風の宮に送り届けた後で、私はひとり王宮の美しい中庭を散歩しながら考えていた。
とはいえ、フィオナは流刑になる運命なんだよね。自分の未来を考えるならば……脳裏に浮かぶのはアリスの愛くるしい笑顔だ。
「アリスに取り入っとくべき?」
気に入られてアリスの侍女にでもなれれば、私の未来は明るいだろう。
「でもなぁ……」
「エマさん」
頭を抱えている私を誰かが呼んだ。振り返るとそこにいたのは、なんとキース様! 後ろに余計なものがくっついてきているのがアレだけども。
「キース様!? と、ルークさん」
愛着の差が敬称にあらわれてしまっているのは勘弁してもらおう。
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