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الفصل ٨「砂漠へGO!」
⑤
しおりを挟む「Don't look at me!…My Lulu」
〈こっちを見るな!…私のルールゥ〉
マーリク氏があたしを慮って制した。
——そ、そんなぁ……っ!
このままでは、彼はとこかへ拉致されてしまう。
「ラ…ラジュリー……ッ!」
あたしは声を限りに彼の名を呼んだ。
「Ma'am!」
〈奥様!〉
運転手のワファーさんが飛んできて、あたしの目の前に立ちはだかった。
「You'd better listen to our sayyid. I'll take you the way. Could you please follow me?」
〈御主人様のおっしゃることをお聞きになった方がいいです。わたしが奥様をお連れします。どうぞこちらへ〉
「で、でも……っ!」
あたしは後ろ髪を引かれるように、ワファーさんを避けて身を乗り出そうとする。
「Ma'am,you mustn’t see over there!」
〈奥様、向こうを見てはいけません!〉
彼女は身を挺して、匿うようにあたしを引き止めた。
ファティマさんも駆け寄ってきた。そして、自分の黒装束であたしの身を隠すようにしながら、ワファーさんとは反対側に回る。
それから、二人がかりであたしをこの場から連れ出そうとする。
「ま、待って!ラ、ラジュリーが……っ!」
あたしはなおも叫ぶが、抵抗しようにもワファーさんがものすごい力であたしを抱えるようにして、反対側に建つテントの方へと足早に向かっていく。
なぜか、あたしの方へは追手は来なかった。
——彼らの「目的」は、ラジュリーだけなの⁉︎
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
連れてこられて入った天幕の中は、外から見た印象よりもずっと広かった。
そして、灼熱の陽射しが完全に遮られたそこは、エアコンのようなものは見当たらないのに、とても涼しかった。
テントの壁際に沿ってソファが弧を描くように連なって配置されていて、ファティマさんからそこに座るように促される。
西洋式のソファと違って脚がなく、地面の砂地の上に敷きつめられた絨毯に直置きするタイプだ。腰を下ろすと目線がぐんと下がり、まるで日本の座椅子のような感じである。
——背もたれと座面は、さすがにもっとふかふかしているけれども……
がっちりとして引き締まってはいるけれども、あたしよりもずっと背が高くて大柄なワファーさんが、あたしの隣に立て膝をついて腰を下ろす。
「Ma'am, I apologize for my rudeness earlier.」
〈奥様、先ほどの御無礼をお詫びいたします〉
続いて、あたしよりも背が低くて小柄なファティマさんがワファーさんとは反対側のあたしの隣に、同じように腰を下ろした。
「I’ve been rude as well. I apologize deeply to you, Ma'am.」
〈わたしも同じことをしてしまいました。深くお詫びいたします、奥様〉
「Well, that's not important…where's Lazuli?」
〈そ、そんなことよりも…ラジュリーは⁉︎〉
たぶん、二人ともあたしを手荒く扱ったことをお詫びしてくれているんだろうけど、そんなことどうだっていい。
「You have nothing to worry about. Your ritual has already begun.」
〈ご心配なく。あなたがたの儀式はすでに始まりました〉
ファティマさんは平然と言い切った。
——えっ、ラジュリーは大丈夫なのっ⁉︎
銃を持った男たちに、まるで御神輿のように担がれてどこかへ連れて行かれたのに?
それに……『your ritual』って?
「From now on, your wedding will be held for three days and three nights.」
〈これから、三日三晩に渡って、あなたがたの結婚式が催されます〉
——ええええぇーっ⁉︎ 『your wedding』っ⁉︎
しかも、『for three days and three nights』——「三日三晩」って……⁉︎
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