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Secret 4
⑤
しおりを挟む「あ、そうだっ!Jubileeのショップに久城 礼子がいたんだよっ!!」
七海が、これだけは言っておかなければっ、と意気込む。
「えっ、久城 礼子って、ジュエリーデザイナーとして、Jubileeの広告塔もやってる人でしょ?」
わたしは目を丸くする。
「背が高くて、すっごく綺麗な人でねぇ。田中さんの学生時代のテニスサークルのメンバーだったんだってさ。だから、ショップで接客してくれるように、田中さんが頼んでおいてくれたんだよ」
七海が彼女のことを説明すると、だんだんとおぼろげながら、その「久城 礼子」がどんな女なのか、思い出してきた。
それが——そのまま口に出た。
「あ、そういえば……その子、田中の元カノだったんじゃなかったかなぁ?大学のとき、すっごい美人とつき合ってたから」
咄嗟のことなのに、わたしはいかにも記憶を探るような顔つきをつくって、そう言ってしまった。
七海への嫉妬心から出た、腹いせ以外の何物でもなかった。
すると即座に、
「……七瀬、余計なことは言わないの」
顔をくしゃりと顰めた母から窘められた。
父の頬がぴくり、と引き攣った。
——七海、ごめん。あぁ……また自己嫌悪。
「違うよ」
しかし、七海はきっぱりとそう言い切った。
「久城さんは、中高一貫校時代からの親友の元カノだって、諒くんが言ったもん。元カレはお医者さんになって、今はイギリスに留学してる人なんだって。それで、諒くんにはもう一人親友がいて、その人は弁護士らしいんだけど、そのうちあたしに紹介してくれるって」
——りょ、りょ、『諒くん』……?
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
食後、片付けを手伝ったあと、わたしは『明日も早いから』と早々にお風呂を済ませて、自分の部屋に戻ってベッドに潜り込んだ。
だが——眠れない……
わたしはベッドの上で、何度も何度も寝返りを打っていた。
まさか、あの田中が——出逢ってまだ二度目の七海に、誕生日プレゼントをあげるだけでも考えられないのに……
——『諒くん』って、呼ばせていたなんて。
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