光のもとで2

葉野りるは

文字の大きさ
251 / 271
March

未来の約束 Side 司 03話

しおりを挟む
 温室に入ると、翠は屋内の人間に視線を走らせる。つられて視線をめぐらせると、二十代から三十代と思われるカップルが四組と老夫婦が二組。老夫婦以外の男女の不自然な距離感を鑑みるに、見合い中を彷彿とさせた。
 翠を中央近くのテーブルへ案内すると、俺は上着の内ポケットに入れていたものを取り出す。
 それは、昨日市役所で手に入れた婚姻届。
 翠は不思議そうな顔で、「それ、なあに?」としげしげと封筒を見つめていた。
 封筒から用紙を取り出して数秒後、
「婚姻届っ!?」
 あまりの声の大きさに驚いたが、つまりは翠もそのくらい驚いた、ということなのだろう。
 三つ折のそれを丁寧に広げ、翠の前に差し出すと、
「入籍は六年後でしょう? どうして婚姻届なんて――」
 まじまじと婚姻届を見る翠は、俺の記入欄がすでに埋まっていることに気づいたようだ。
「本当は婚約指輪を贈りたかったけど、それは六年後の結納のときにって話になっただろ? だから、その代わりになるものが欲しくて」
 俺は追加でペンを取り出し、翠の右手に握らせた。
 翠はペンと婚姻届を何度か視線を往復させ、婚姻届を注視し始めた。けれども、ペンのキャップをはずすには至らない。
「安心していい。俺と翠が記入したところでまだこれは完成じゃないから」
「どういうこと……?」
「ここ」
 向かって左側の証人欄を指差し、
「ここに成人ふたりの名前が必要。俺が大学を卒業したら、うちの父さんと零樹さんに記入してもらう予定。それまでは未完成の婚姻届」
 翠は証人欄を見たまま動きが止まってしまった。
「書くの、抵抗ある?」
 翠ははじかれたように顔を上げ、
「ううん、そういうことじゃないの。ただ、ちょっと緊張してしまっただけ……」
「書き損じても問題はない。予備であと二枚もらってきてるから」
 茶封筒からその二枚を取り出して見せると、翠は「クスリ」と笑みを零した。
 俺は決まり悪く視線を逸らし、市役所でのやり取りを思い出していた。
 婚姻届はほかの申請書とは違い窓口でもらう必要があった。そこで、婚姻届を所望したところ、受付の女性に「え?」という顔をされた。
 たぶん、未成年で婚姻届をもらいに来る人間は少ないのだろう。そのうえ、「三枚」と言ったのが驚かせた要因かもしれない。「書き損じ用に」と付け足すと、慌てた様子で用紙を三枚用意してくれた。
 翠は一文字一文字丁寧に書き連ねていく。じっとその様子を見ていると、
「あ……でも、今日は印鑑持ってないよ?」
「後日捺印すればいい」
 すべての欄が埋まっていることを確認すると、俺は封筒に婚姻届を戻した。
「これ、俺が持っていても?」
「もちろん」
 実際の重量とは異なる重みを感じる用紙をもとの封筒へ戻し、一番安全な胸元へとしまった。
 翠に視線を戻すと、
「結納のとき、ツカサは婚約指輪をくれるのでしょう? 私は何を返せばいい? 何か欲しいもの、ある?」
 期待に満ちた目で訊いてくる様がかわいい。その目の輝きは、まだ幼い煌に通じるものがあった。
 でも、欲しいもの、か……。
 男である自分が常に身につけていられるものは限られている。
 結納の返礼品に多いのは時計だと聞くが、自分も例外ではない。
「秒針つきの時計、かな……。医者になってからも使えるし」
「じゃ、そのときになったら時計探しに行こうね?」
 未だ翠と買い物を主体としたデートに出かけたことがないだけに、その日がちょっと楽しみになる。でもその前に、翠と買い物へ出かけるのもいいかもしれない。
 そんなことを考えているところへ園田さんがメニューを持ってやってきた。
「司様、翠葉お嬢様、本日はご婚約おめでとうございます」
 深々と頭を下げる園田さんに、今度は翠が礼を言った。
 どうやら、だいぶ緊張は解れたらしい。
「翠葉お嬢様はお料理をあまり召し上がられなかったとうかがったのですが、お身体の調子が優れないなどございますか?」
「あ、いえ、そういうことではなくて、なんだか緊張して食べられなかっただけなんです」
 翠はとても決まり悪そうに答える。すると、
「それは緊張もなさいますよね」
 園田さんは翠の意見を掬い上げると、広げたメニューをテーブルへ載せた。そして、左側のページの大半を占めるメニューを手で指し示し、
「こちらのアフタヌーンティーセットが当ホテルのお勧めなのですが、いかがでしょう。サンドイッチにスコーン、一口サイズのケーキが八種、上段にはフルーツの盛り合わせ。こちらにハーブティー、紅茶、コーヒー、またはソフトドリンクがつきます。司様とご一緒に召し上がられてはいかがですか?」
 翠はメニューを覗き込み、「わぁ」と目を輝かせた。そして、ほかのものには目もくれず、
「じゃ、これでお願いします」
「かしこまりました。司様はコーヒー、翠葉お嬢様はハーブティーでよろしいですか?」
「はい!」
「ハーブティーは何になさいますか?」
「カモミールティーでお願いします」
「それではすぐにご用意いたします」
 そう言うと、園田さんは温室のフロアカウンターへ向かい、厨房へオーダーを入れ始めた。

 翠は周りを見回しながら、
「老夫婦以外はお見合いっぽいね?」
「そんな感じだな」
「お見合いって、本当にホテルでするものなのね?」
「ま、食事して歓談するにはちょうどいい場所なんじゃないの? ホテルによってはこうして花を見ながら歩く場所もあるし」
「でも、お花を見ながらお花のお話しかできなかったら本末転倒よね?」
 何がどうしてそういう発想……?
 疑問に思いつつ、
「そこは当人しだいなんじゃない? 互いが乗り気なら、わざわざ花の話なんかしないだろうし」
「そっか……」
 でも相手が翠だったら――
 そこに存在する花を無視することができず、律儀に目の前に咲く花の話をしそうだな。そしたら相手の男は脈なしと思って諦める羽目になるのだろうか。それとも、少しでも気に入られようと花の話に興じるのだろうか。
 くっ……根っからの難攻不落姫だな。
 そう思うと、なんだかすごくおかしかった。

 アフタヌーンティーセットが運ばれてくると、よくある三段のプレートセットに翠は目を輝かせた。
 しかし一段目のサンドイッチには目もくれず、二段目に載るスコーンしか見ていない。
「これ、サンドイッチから食べなくちゃいけないのよね……?」
 そわそわしながら訊いてくるのがかわいすぎた。
 俺はこみ上げる笑いを殺しながら、
「スコーンが食べたいならスコーンを食べればいい。サンドイッチは俺が食べる」
 翠のプレートにスコーンを載せてやると、翠はことさら嬉しそうに「ありがとう」と口にした。
 ナイフでスコーンをふたつに割り、さらに一口サイズに切り分けた翠は、クロテッドクリームと苺ジャムをたっぷりとつけて口へ運ぶ。そして、苺タルトを食べたときのように顔を綻ばせた。
「そんなにおいしい?」
 翠はコクコクと頷いて、口に入っていたものを飲み下すとカモミールティーを口に含み、幸せそうに笑った。
 その顔を見ただけで幸せな気分になれるのだから、翠と一緒に暮らし始めたら、いったいどれほどの幸せが待ち受けているだろうか、と考える。
 単純に考えて、朝起きたとき、一番に翠の顔が見られるというそれだけで、十分もとが取れる気がする。
 そんなことを考えていると、
「ツカサも一口食べてみる?」
 首を傾げてたずねられた。
 甘いものは苦手だが、翠がこんなにもおいしそうに食べるものの味が気になってコクリと頷くと、「はい」とフォークで運ばれたスコーンが目の前にやってきた。
 初めての状況にたじろぎつつ口にすると、バターが香るスコーンと濃厚なクリーム、ジャムの甘酸っぱさが絶妙なハーモニーを奏で、口いっぱいに広がる。
「おいしい?」
「おいしい……」
「もっと食べる?」
「いや、あとは翠が食べていい」
「じゃ、お言葉に甘えて……」
 翠は一口食べるたびににこにこと笑い、ペロリとスコーンを平らげた。そして、小さくカットされたケーキに手を伸ばしながら、大学の入学式はいつか、とたずねられる。
「四月六日」
「わぁ……またツカサの誕生日なのね?」
「あぁ、そう言われてみれば……」
 スケジュールの話になってふと思い出し、自分の携帯から翠の携帯にひとつのアドレスを送る。
 翠は受信したメールを見ながら、
「どうしてメール……?」
 首を傾げながらメールを開き、
「これ、なんのアドレス?」
 とさらに首を傾ける。
「いいからアクセスして」
「うん……」
「ネット上にある俺のスケジュール帳を共有した。俺の予定は青で表示される。翠はほかの色で予定を書き込んで。そしたら、互いの予定をその都度伝えたり確認する必要はなくなるだろ? ミュージックルームの使用時間も入れておいてもらえると助かる。そしたら、時間合わせて会いに行けるし」
 何もおかしなことを言ったつもりはない。けれど、翠はまじまじと俺の顔を見ていた。
「何……」
「なんか……」
 何を言おうとしているのかわからずにいると、
「卒業式の日からものすごく優しい気がして……」
「あぁ……翠が意外と泣き虫だってことが発覚したから?」
 翠は恥ずかしそうに顔を逸らす。でも――
「何、俺が優しいと困るわけ?」
 翠は顔を逸らしたまま悩みこんでしまう。
 そんな悩ませるようなこと言った覚えはないんだけど……。
 ようやくこちらを見たかと思えば、
「嬉しくなっちゃって顔が緩みっぱなしでも笑わない?」
 思ってもみない返答に虚をつかれた。しかも、言ってるそばから顔がふにゃりと緩んでいる。
 喉の奥からこみ上げる笑いを堪えていると、
「もうっ、笑わないでってお願いだったのにっ!」
 服装上、足をバタつかせることができないからか、テーブルの上で小さく手をパタパタさせている。その様がかわいくて、思わず口元が緩みそうになる。
「いや、相変わらず単純だなと思っただけ」 
「単純じゃないものっ! 好きな人に優しくされたら誰だって嬉しいでしょうっ!?」
 今度はむきになった翠に反撃された。
 コロコロと表情を変える翠を見ながら、他愛のない話で言い合える関係だとか、時間がなんとも愛おしく感じる。
「愛おしい」なんて感情、翠と出逢うまでは意識したこともなかった。似たような感情はハナにも感じるけれど、ハナに対する想いとは明らかに違う。
 そんな想いを抱きながら、
「翠がそうしてくれたように、これからは、翠の不安は俺が取り除く。ま、できることとできないことはあると思うけど……。基本的には善処する意向」
 翠は眉をハの字型にして、
「だから、どうしてそんなに優しいの?」
 どこか不安げな声でたずねられた。
「翠だって、今まで俺の不安を取り除こうとしてくれてただろ?」
 それがとても嬉しかったから、救われたから、だから同じことをしたいと思ったまで。
 なのに、どうして翠は困った顔をしているのか。
「俺が優しいと何か問題でも?」
 翠は右に左に頭を傾げながら、妙に難しい顔をしている。
「その顔、おかしすぎるから」
 今度は自分の表情が崩れるのを防ぐことはできなかった。
 表情筋が動くのを感じていると、
「ツカサ、ひどいっ!」
 立ち上がりそうな勢いで翠に抗議された。そのとき――
「涼さん、司が笑ってます……」
「本当ですね。どうやらうちの息子は、翠葉さんの前では笑うようですよ」
 もう少し翠とふたりきりでいたかった、と残念に思いながら声のする方へ視線を向けると、声の主のほか、先ほどの個室にいた全員が揃っていた。
 驚きに声を失っている翠に碧さんが近づき、
「翠葉たちが部屋を出てから一時間が経ってるのよ? なかなか戻ってこないから、澤村さんに居場所を聞いて迎えに来たの」
 翠は懐中時計を取り出し時間を確認すると、
「わぁ……ごめんなさい」
「何、謝ることはないさ。私たちも楽しく歓談させてもらっていたからね」
 静さんがフォローするものの、翠は申し訳なさ全開の顔で唯さん見ている。すると御園生さんが翠の近くまでやってきて、
「これから記念撮影をしようって」
「記念撮影……?」
「そう。翠葉ちゃんがかわいい振袖を着ているし、両家の家族が全員揃うことはそうそうないだろうからね」
 静さんの言葉に、翠は自分の振袖に視線を落とした。でも、その表情はどこか硬い。
 おそらく、写真を撮られることに抵抗があるのだ。
 ただ疑問なのは、どうしてここまで苦手意識を持っているのか、ということ。
 自身は写真を撮るのが何よりも好きなくせに。
 浮かない表情の翠を見守っていると静さんが、
「翠葉ちゃん、カメラマンは久遠だ」
 翠は顔を上げ目を輝かせた。
 どうやら、自分の大好きな写真家に撮られるのは何か違うようだ。
「途端に目が輝いたわね」
 姉さんの突っ込みに、翠は恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
 この日、翠だけが微妙な顔をした写真を撮り、婚約を取り交わすための会食は終わりを告げた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

居酒屋で記憶をなくしてから、大学の美少女からやたらと飲みに誘われるようになった件について

古野ジョン
青春
記憶をなくすほど飲み過ぎた翌日、俺は二日酔いで慌てて駅を駆けていた。 すると、たまたまコンコースでぶつかった相手が――大学でも有名な美少女!? 「また飲みに誘ってくれれば」って……何の話だ? 俺、君と話したことも無いんだけど……? カクヨム・小説家になろう・ハーメルンにも投稿しています。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~

root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。 そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。 すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。 それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。 やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」 美人生徒会長の頼み、断れるわけがない! でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。 ※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。 ※他のサイトにも投稿しています。 イラスト:siroma様

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活

まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳 様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。 子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開? 第二巻は、ホラー風味です。 【ご注意ください】 ※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます ※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります ※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます 第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。 この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。 表紙イラストはAI作成です。 (セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ) 題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

処理中です...