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April
キスのその先 Side 翠葉 03話
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再度手を掴まれ連れて行かれたのは、さっき入ったベッドのある部屋だった。
「座って」
ツカサの視線からすると、ベッドへ座れということなのだろうけれど、
「や、やだっ。だって、ショーツは濡れたままだものっ」
「なんだったら下着も洗うけど?」
どうしてこんなに恥ずかしいことを口にしなくてはいけないのだろう。
どうしてツカサはこんなにも冷静なのだろう。
好きとか嫌いを通り越して、ツカサを恨めしく思う。
「翠に触れたい……」
「……何言って――」
次の瞬間には抱きしめられ、首筋にキスをされていた。
「キスだけじゃ足りない。もっと翠に触れたい」
「さっきたくさんキスしたし、胸だった触ったでしょうっ!?」
あまりの混乱に、自分が何を口にしているのかすら定かではない。
「服の上からじゃなくて、直接翠に触れたい」
「やだ、恥ずかしいっ」
「それでも――」
ベッドに押し倒され、荒っぽい手つきでシャツのボタンをいくつか外された。
胸元にキスをされると同時、ツカサの手がシャツの裾から進入してくる。
身体のラインに沿って滑らされた指先に、ぞくぞくと鳥肌が立った。さらにツカサは、胸のふくらみへと手を滑らせる。
「やっ――ツカサ、怖いっ」
ツカサの動作が一瞬にして止まった。
「……悪い。でも、先に進みたい」
「私の気持ちは……? 無視……?」
涙目でたずねると、
「そうじゃない」
ツカサは首を緩く振り、私の横に身を横たわる。
「翠……クリスマスの約束覚えてる?」
ツカサが言っているのは、ツカサの誕生日までに覚悟を決める、という約束だろう。
私は小さく頷く。
「俺の誕生日まであと三日なんだけど……それでもだめ?」
年が明けてからずっと、ツカサの誕生日までのカウントダウンはしていたし、ツカサに三日と言われなくてもきちんと把握していた。でも――
そこまで考えて情けなく思う。
この件において往生際が悪いのは私のほうなのだ。
なら、どうしたらあと一歩を踏み出せる……?
考えに考えて、
「クリスマスのときみたいに……」
ツカサはさも不思議そうな顔で私を見つめていた。
「段階、踏んでもらえる……?」
往生際が悪くてごめんなさい。でも、このお願いだけは聞き届けてほしい。
そんな思いでツカサを見つめると、
「どこなら触れていいの?」
「……腕とかなら」
「抱きしめたいから腰と背中も希望」
「腰と背中なら……」
マッサージで散々触れられた箇所だし……。
「……胸にも触れたいんだけど」
熱を帯びた目で見つめられ、少し戸惑う。
胸に触れられるのは初めてじゃないし、触られたときはいつだってマッサージを受けているみたいで気持ちが良かった。
ただ、いつも以上に身体が火照るそれが少し怖いのだ。
でも、ツカサの切実そうな目を見ていたら、だめとは言えなくて……。
「翠……?」
私は恥ずかしさのあまりに声が出ず、俯くように小さく頷いた。
「それはいいってこと?」
もう一度コクリと頷くと、ツカサの手はすぐに私の肌を這い始めた。
触れるか触れないか――そんな指先のタッチに身震いをせずにはいられなかった。
「くすぐったいっ。触るならちゃんと触ってっ」
抗議すると、指先で触れていたものが手のひら全体で、と変わる。
「キス、しても?」
「……訊かないで」
「訊かなかったら抗議されそうなんだけど」
「……キスなら抗議なんてしないもの」
恥ずかしさを隠すように少しむくれてみせる。と、ツカサはクスリと笑って唇を寄せてくる。
唇を優しく食まれ、耳たぶを食まれ、首筋へと移動した唇はしだいに胸元へと落ちていく。
私の首下を通る左手はうなじをなぞり、右手はやわやわと胸を揉みしだく。
「んっ……ぁ……ゃ……」
吐息を含む自分の声が恥ずかしい。
ツカサは胸元に顔を埋め舌を這わせ始めた。
その舌先が胸のふくらみに触れてビク、と身体が震える。
今までは「胸元」までであり、胸そのものにキスをされたことも、舌を這わされたこともなかったのだ。
お布団の上でもがいていたこともあり、シャツは胸下までずり上がり、右肩はすっかり露になっている。
恥ずかしくて身を縮こめると、
「本当にいや……?」
気づけば、ツカサの不安そうな双眸に見下ろされていた。
「お願い……少し、待って……心臓、苦しい……」
「わかった。何もしないから、抱きしめさせて」
私はコクリと頷き、自分からツカサの胸に身を寄せた。
ツカサの胸に顔を埋め、ツカサの心拍に集中する。と、今まで聞いたことのないような速さでツカサの鼓動が脈打っていた。
ふと、ツカサの顔を見上げる。
「……心臓がフル稼働なのは翠だけじゃない」
ツカサはとても複雑そうな表情をしていた。
恥ずかしそうに赤面しているの半分、ばつの悪い顔をしているの半分。そんな感じ。
「ツカサもドキドキしているの……?」
愚問だったと思う。「聞けばわかるだろっ!?」と言われてしまういくらいには。
それでも、「……本当に?」と再度確認のために耳を寄せてしまう程度には信じられない気持ちだった。
「好きな女に初めて触れるのに、平静いられるほど強靭な神経は持ち合わせてない」
どこか悔しそうに、けれど素直に話してくれることがとても嬉しい。
こうやって抱きしめられるのは好き。ドキドキするけれど、ほっとする。
ツカサのぬくもりはいつだってほんのりと香るメンソールとセット。
「翠、おりものが増えるのはキスをした日だけって本当?」
「……恥ずかしいから何度も言わせないでっ。こんなことで嘘つかないものっ」
「……それ、性的興奮に組するものだと思う」
なっ――せ、性的興奮っ!?
その言葉に私は絶句した。
何も返事できずにいると、すぐにツカサが口を開く。
「でもそれ、おかしいことじゃないし……。俺にだってそういう事象は少なからずとも起こってる」
「え……?」
「……キスしたあとはシャワーを浴びに行くだろ? それに今だって――」
ツカサは顔を赤らめ、そっと私を抱き寄せる。と、私の腹部に硬いものが当たった。
「あ……」
自分でもわかるくらいに赤面した自信がある。
「……だから、関係を少し先に進めたかった」
どう答えたらいいのかわからなくて、ぎゅ、とツカサの着ているシャツにしがみつく。
「翠に触れたい。……翠の全部に触れたい。俺にだけ、許してほしい」
ストレートな要求に、これ以上ないほど鼓動が加速する。
「触れるって、どこに……?」
「全部。つま先から頭の天辺までくまなく」
「触れる、だけ?」
「……許されるなら身体を重ねたい」
「っ……」
「無理なら触れることだけは許してほしい」
ツカサの目はひどく切なげで、見ているこっちが胸を締め付けられる思いだった。
「座って」
ツカサの視線からすると、ベッドへ座れということなのだろうけれど、
「や、やだっ。だって、ショーツは濡れたままだものっ」
「なんだったら下着も洗うけど?」
どうしてこんなに恥ずかしいことを口にしなくてはいけないのだろう。
どうしてツカサはこんなにも冷静なのだろう。
好きとか嫌いを通り越して、ツカサを恨めしく思う。
「翠に触れたい……」
「……何言って――」
次の瞬間には抱きしめられ、首筋にキスをされていた。
「キスだけじゃ足りない。もっと翠に触れたい」
「さっきたくさんキスしたし、胸だった触ったでしょうっ!?」
あまりの混乱に、自分が何を口にしているのかすら定かではない。
「服の上からじゃなくて、直接翠に触れたい」
「やだ、恥ずかしいっ」
「それでも――」
ベッドに押し倒され、荒っぽい手つきでシャツのボタンをいくつか外された。
胸元にキスをされると同時、ツカサの手がシャツの裾から進入してくる。
身体のラインに沿って滑らされた指先に、ぞくぞくと鳥肌が立った。さらにツカサは、胸のふくらみへと手を滑らせる。
「やっ――ツカサ、怖いっ」
ツカサの動作が一瞬にして止まった。
「……悪い。でも、先に進みたい」
「私の気持ちは……? 無視……?」
涙目でたずねると、
「そうじゃない」
ツカサは首を緩く振り、私の横に身を横たわる。
「翠……クリスマスの約束覚えてる?」
ツカサが言っているのは、ツカサの誕生日までに覚悟を決める、という約束だろう。
私は小さく頷く。
「俺の誕生日まであと三日なんだけど……それでもだめ?」
年が明けてからずっと、ツカサの誕生日までのカウントダウンはしていたし、ツカサに三日と言われなくてもきちんと把握していた。でも――
そこまで考えて情けなく思う。
この件において往生際が悪いのは私のほうなのだ。
なら、どうしたらあと一歩を踏み出せる……?
考えに考えて、
「クリスマスのときみたいに……」
ツカサはさも不思議そうな顔で私を見つめていた。
「段階、踏んでもらえる……?」
往生際が悪くてごめんなさい。でも、このお願いだけは聞き届けてほしい。
そんな思いでツカサを見つめると、
「どこなら触れていいの?」
「……腕とかなら」
「抱きしめたいから腰と背中も希望」
「腰と背中なら……」
マッサージで散々触れられた箇所だし……。
「……胸にも触れたいんだけど」
熱を帯びた目で見つめられ、少し戸惑う。
胸に触れられるのは初めてじゃないし、触られたときはいつだってマッサージを受けているみたいで気持ちが良かった。
ただ、いつも以上に身体が火照るそれが少し怖いのだ。
でも、ツカサの切実そうな目を見ていたら、だめとは言えなくて……。
「翠……?」
私は恥ずかしさのあまりに声が出ず、俯くように小さく頷いた。
「それはいいってこと?」
もう一度コクリと頷くと、ツカサの手はすぐに私の肌を這い始めた。
触れるか触れないか――そんな指先のタッチに身震いをせずにはいられなかった。
「くすぐったいっ。触るならちゃんと触ってっ」
抗議すると、指先で触れていたものが手のひら全体で、と変わる。
「キス、しても?」
「……訊かないで」
「訊かなかったら抗議されそうなんだけど」
「……キスなら抗議なんてしないもの」
恥ずかしさを隠すように少しむくれてみせる。と、ツカサはクスリと笑って唇を寄せてくる。
唇を優しく食まれ、耳たぶを食まれ、首筋へと移動した唇はしだいに胸元へと落ちていく。
私の首下を通る左手はうなじをなぞり、右手はやわやわと胸を揉みしだく。
「んっ……ぁ……ゃ……」
吐息を含む自分の声が恥ずかしい。
ツカサは胸元に顔を埋め舌を這わせ始めた。
その舌先が胸のふくらみに触れてビク、と身体が震える。
今までは「胸元」までであり、胸そのものにキスをされたことも、舌を這わされたこともなかったのだ。
お布団の上でもがいていたこともあり、シャツは胸下までずり上がり、右肩はすっかり露になっている。
恥ずかしくて身を縮こめると、
「本当にいや……?」
気づけば、ツカサの不安そうな双眸に見下ろされていた。
「お願い……少し、待って……心臓、苦しい……」
「わかった。何もしないから、抱きしめさせて」
私はコクリと頷き、自分からツカサの胸に身を寄せた。
ツカサの胸に顔を埋め、ツカサの心拍に集中する。と、今まで聞いたことのないような速さでツカサの鼓動が脈打っていた。
ふと、ツカサの顔を見上げる。
「……心臓がフル稼働なのは翠だけじゃない」
ツカサはとても複雑そうな表情をしていた。
恥ずかしそうに赤面しているの半分、ばつの悪い顔をしているの半分。そんな感じ。
「ツカサもドキドキしているの……?」
愚問だったと思う。「聞けばわかるだろっ!?」と言われてしまういくらいには。
それでも、「……本当に?」と再度確認のために耳を寄せてしまう程度には信じられない気持ちだった。
「好きな女に初めて触れるのに、平静いられるほど強靭な神経は持ち合わせてない」
どこか悔しそうに、けれど素直に話してくれることがとても嬉しい。
こうやって抱きしめられるのは好き。ドキドキするけれど、ほっとする。
ツカサのぬくもりはいつだってほんのりと香るメンソールとセット。
「翠、おりものが増えるのはキスをした日だけって本当?」
「……恥ずかしいから何度も言わせないでっ。こんなことで嘘つかないものっ」
「……それ、性的興奮に組するものだと思う」
なっ――せ、性的興奮っ!?
その言葉に私は絶句した。
何も返事できずにいると、すぐにツカサが口を開く。
「でもそれ、おかしいことじゃないし……。俺にだってそういう事象は少なからずとも起こってる」
「え……?」
「……キスしたあとはシャワーを浴びに行くだろ? それに今だって――」
ツカサは顔を赤らめ、そっと私を抱き寄せる。と、私の腹部に硬いものが当たった。
「あ……」
自分でもわかるくらいに赤面した自信がある。
「……だから、関係を少し先に進めたかった」
どう答えたらいいのかわからなくて、ぎゅ、とツカサの着ているシャツにしがみつく。
「翠に触れたい。……翠の全部に触れたい。俺にだけ、許してほしい」
ストレートな要求に、これ以上ないほど鼓動が加速する。
「触れるって、どこに……?」
「全部。つま先から頭の天辺までくまなく」
「触れる、だけ?」
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「っ……」
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