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第十三章 紅葉祭
02話
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「おはよう」
キッチンにいるお母さんに声をかけると、張りのある元気のいい声が返ってきた。
「お父さんは午前中に帰ってくるの?」
昨夜は定時連絡に加わることなく寝てしまったので、そのあたりのことを聞いていない。
「ううん。夜中にはマンションに着いていて、上で休んでいたの。さっき電話で起こしたから、あと少ししたら下りてくるんじゃないかしら」
「……上?」
「そう、静のところ」
「……どうして?」
「だって、ゲストルームは定員オーバーだもの」
そう言われてみれば、部屋もベッドもすべて埋まっている。ゲストルームに帰ってきても寝られる場所はソファだけだっただろう。
「っていうのは本当だけど、冗談よ」
本当だけど冗談って、どっちかな……?
「昨日、定時連絡で向こうを零時には出るって言っていたから、夜中の二時過ぎには帰ってきたんじゃないかしら。でも、こっちに帰ってくるとポーチを開ける音で翠葉が起きちゃうかもしれないでしょ? だから、最初から静の家に直行するって決まっていたのよ」
「でも、それじゃ静さんに迷惑をかけちゃったんじゃ……」
慌てる私を見てお母さんはふふ、と笑った。
「大丈夫よ。静なら夜中の三時でも仕事していたりするし、今日は静も休暇を取ってるって言ってたから」
そういえば、相馬先生が一日目には静さんも来るようなことを言っていた。
「翠葉の歌、楽しみにしてるみたいよ?」
「えっ!?」
動揺する私をお母さんは笑う。
「ステージで歌うんだから、聴いている人がひとり増えようと十人増えようと、何も変わらないわよ」
「それはそうなんだけど……」
届けたい想いがある。そして、届けたい人もいる。
でも、観覧席にはそれ以外の人たちもたくさんいるのだ。
本番当日になっても、まだそのことを直視できない自分がいた。
人前で何かをするのが苦手なことに変わりはない。ただ、そればかりを気にしていたら、本当に何もできない人になってしまうから――
私は「ありがとう」を伝えたい。「大好き」を伝えたい。
だから、がんばろう――
「がんばるのも結構。でも、あまり力みすぎないようにね」
キッチンから出てきたお母さんに肩をポン、と叩かれた。
視線の先にあるテーブルにはいつもよりふたり分多く食器が並んでいた。
静さんも一緒に朝ご飯なのかな?
そんなことを考えていると、「翠葉、おはよう」と後ろから蒼兄に声をかけられた。「おはよ」と挨拶を返すと、お母さんに唯兄を起こしてくるように頼まれる。
唯兄は珍しくお寝坊さん。
一緒に暮らし始めた最初のころは昼夜逆転の生活が普通だったけれど、私が退院してきてからというものの、唯兄はとても規則正しい生活をしていて、ほぼ毎朝キッチンに立っていた。なのに、今朝はキッチンにお母さんの姿しかない。
「どうしたのかな?」
「さぁ、いつもなら俺が帰ってくるころには起きてるんだけどな。着替え取りに行ったときもまだぐっすり寝てたよ」
唯兄はちょっとやそっとのことでは起きないタイプ。でも、寝坊をするタイプでもない。
寝坊をするときはたいていが確信犯。そんなときは前夜に寝坊を予告してくれるのだ。
「俺が行こうか?」
「ううん、起こしてくる」
蒼兄と唯兄がふたりで使っている部屋へ入ると、背を丸め、蹲るようにして寝ている唯兄がいた。
「唯兄、朝だよ。起きて朝ご飯食べよう?」
声をかけるも反応なし。
「せ、り……」
「っ……!?」
唯兄の少し掠れた声にも驚いたけれど、不意に口にされたお姉さんの名前にはもっとびっくりした。
お姉さんの名前を口にした唯兄は、何かを求めるように手を伸ばす。宙を彷徨う手をそのままにしておくことができなくて、私はその手を両手で包み込んだ。
次の瞬間、びっくりするくらいの力で握り返され、手首を掴みなおした唯兄に引き寄せられる。
「ゆ、唯にっ――!?」
咄嗟に声をかけたけれど、唯兄は起きない。
唯兄は半ば身体を起こした状態で私の背に両腕を回す。
私は右手をベッドマットにつくことでなんとかバランスを保っているものの、このつっかえ棒がなくなったら唯兄の上へ落ちてしまう。
唯兄は華奢だけれど、私より目に見えて身長は高い。それなのに、どうしてか小さい子に抱きつかれている感覚に陥った。
嫌な夢でも見てるのかな……。それとも幸せな思い出を夢に見ているのだろうか。
判断はしかねたけれど、起こすことにした。
何せ身動きが取れないし、つっかえ棒を担っている右腕の限界も近い。
「唯兄、私、翠葉だよ。朝だから起きよう?」
左手で唯兄の肩を揺すってみるものの、起きる気配はない。
その行動を何度か繰り返したあと、自分の顔の近くにあった唯兄の頬をつついたらようやく起きた。
「……すい、は……? え? ……あ、わっ、リィっっっ!?」
順を追って覚醒しては身を引き、羽毛布団を抱えたまま壁まで後ずさる。
ガツ――と、背中が壁にあたる音がした。
痛そう……。
「ごめんっ。俺、何か変なことしなかったっ!?」
「えぇと……お姉さんの名前を口にしていたのと、唯兄の手を取ったら、こぉ……ぐわっと引き寄せられてちょっとびっくりした。……でも、それだけだよ?」
「そう……なら、よかった……。いや、よくないか!?」
唯兄は頭を抱えて唸っている。
「……なんか、嫌な夢見た……?」
「いや、そういうんじゃない……かな」
どうしてか苦笑が返ってくる。
「心配しなくていいよ。ほら、リィは今日家出るの早いんでしょ? 急がなくちゃ――って俺が早く起きろって話か……」
今度は、ゴツ――と頭が壁に当たる音がした。
「だ、大丈夫っ!? すごい音したよっ?」
唯兄は後頭部を壁に預けたまま天井に視線をやり、深くため息をついては目を瞑る。
「五分……いや、七分ちょうだい。シャワー浴びたらすぐ行く」
「うん、わかった。じゃ、先に食べてるかもしれないけど、お母さんにも伝えておくね」
「ん、お願い」
そう言ってから目を開けた唯兄は、私と視線を合わせてにこりと笑った。
その笑顔は作られたものだとわかるけど――
どうしてかな……? 私はその笑顔を見てほっとしてしまった。
ダイニングへ戻ると、背の高い人が増えていた。
みんなが立っていたから余計にそう感じたのだろう。
十階からお父さんと静さんが下りてきて、平均身長がぐんと上がっていたのだ。
静さんと会うのは久しぶり。けれども、あまりにも唐突な再会に、言葉が詰まるどころか緊張する間も何も与えられなかった。
「おはよう」
「おはようございます……」
静さんと挨拶したのち、お父さんとも挨拶を交わす。と、静さんは窓際へ向かい、室内を振り返っては私に「おいでおいで」と手招きをしてみせる。
私はお父さんに背を押され、ゆっくりと歩いて静さんの隣に並んだ。
「秋晴れとは、こんな日のためにある言葉だと思わないかい?」
「はい、そう思います」
屋内にいても必然と空が見える階ではあるけれど、窓際からは何にも邪魔されることのない空を見ることができる。
空は真っ青で、雲ひとつ浮かんではいなかった。
窓を開けずとも、空気が澄んでいることが見て取れる。
「明日もいい天気だそうだよ」
「はい。天気予報、外れないといいな……。外で模擬店をやる団体もあるので、天候がとても気になっていたんです」
「そうみたいだね」
静さんは物干し竿に吊るしてあるてるてる坊主を指差して笑った。
実のところ、一週間ほど前からずっと週間天気予報が気になっていた。
気にするたびに、「天気予報は予報でしかない」「そんな短時間で予報は変わらない」とツカサに言われていた。
わかっていても気になるものは気になる、と繰り返し天気予報を見る私に、ツカサは降水確率の説明を始め、挙句の果てには「遠足を目前にした園児? 児童?」とまで言う始末だった。
「てるてる坊主っていつ作ったら効力あるのかな? いつから吊るすって決まりがあるのかな?」
真面目に尋ねた私に返ってきた言葉はひとつ。「知るか」だ。
もちろん呆れ顔がセットだったのは言うまでもない。
私は瞬時に訊く相手を間違えたと思った。
「風も強くはなさそうですね」
吊るされているてるてる坊主はひっくり返ることもなく、時々白い裾をひらひらとそよがせていた。
「あぁ、風も穏やかだね」
静さんはブライトネスパレスでの件や仕事の話をすることはなかったし、私も自分からその話を持ち出すことはしなかった。ただ、今目の前に広がる空を見て、天気の話をしただけ――
キッチンにいるお母さんに声をかけると、張りのある元気のいい声が返ってきた。
「お父さんは午前中に帰ってくるの?」
昨夜は定時連絡に加わることなく寝てしまったので、そのあたりのことを聞いていない。
「ううん。夜中にはマンションに着いていて、上で休んでいたの。さっき電話で起こしたから、あと少ししたら下りてくるんじゃないかしら」
「……上?」
「そう、静のところ」
「……どうして?」
「だって、ゲストルームは定員オーバーだもの」
そう言われてみれば、部屋もベッドもすべて埋まっている。ゲストルームに帰ってきても寝られる場所はソファだけだっただろう。
「っていうのは本当だけど、冗談よ」
本当だけど冗談って、どっちかな……?
「昨日、定時連絡で向こうを零時には出るって言っていたから、夜中の二時過ぎには帰ってきたんじゃないかしら。でも、こっちに帰ってくるとポーチを開ける音で翠葉が起きちゃうかもしれないでしょ? だから、最初から静の家に直行するって決まっていたのよ」
「でも、それじゃ静さんに迷惑をかけちゃったんじゃ……」
慌てる私を見てお母さんはふふ、と笑った。
「大丈夫よ。静なら夜中の三時でも仕事していたりするし、今日は静も休暇を取ってるって言ってたから」
そういえば、相馬先生が一日目には静さんも来るようなことを言っていた。
「翠葉の歌、楽しみにしてるみたいよ?」
「えっ!?」
動揺する私をお母さんは笑う。
「ステージで歌うんだから、聴いている人がひとり増えようと十人増えようと、何も変わらないわよ」
「それはそうなんだけど……」
届けたい想いがある。そして、届けたい人もいる。
でも、観覧席にはそれ以外の人たちもたくさんいるのだ。
本番当日になっても、まだそのことを直視できない自分がいた。
人前で何かをするのが苦手なことに変わりはない。ただ、そればかりを気にしていたら、本当に何もできない人になってしまうから――
私は「ありがとう」を伝えたい。「大好き」を伝えたい。
だから、がんばろう――
「がんばるのも結構。でも、あまり力みすぎないようにね」
キッチンから出てきたお母さんに肩をポン、と叩かれた。
視線の先にあるテーブルにはいつもよりふたり分多く食器が並んでいた。
静さんも一緒に朝ご飯なのかな?
そんなことを考えていると、「翠葉、おはよう」と後ろから蒼兄に声をかけられた。「おはよ」と挨拶を返すと、お母さんに唯兄を起こしてくるように頼まれる。
唯兄は珍しくお寝坊さん。
一緒に暮らし始めた最初のころは昼夜逆転の生活が普通だったけれど、私が退院してきてからというものの、唯兄はとても規則正しい生活をしていて、ほぼ毎朝キッチンに立っていた。なのに、今朝はキッチンにお母さんの姿しかない。
「どうしたのかな?」
「さぁ、いつもなら俺が帰ってくるころには起きてるんだけどな。着替え取りに行ったときもまだぐっすり寝てたよ」
唯兄はちょっとやそっとのことでは起きないタイプ。でも、寝坊をするタイプでもない。
寝坊をするときはたいていが確信犯。そんなときは前夜に寝坊を予告してくれるのだ。
「俺が行こうか?」
「ううん、起こしてくる」
蒼兄と唯兄がふたりで使っている部屋へ入ると、背を丸め、蹲るようにして寝ている唯兄がいた。
「唯兄、朝だよ。起きて朝ご飯食べよう?」
声をかけるも反応なし。
「せ、り……」
「っ……!?」
唯兄の少し掠れた声にも驚いたけれど、不意に口にされたお姉さんの名前にはもっとびっくりした。
お姉さんの名前を口にした唯兄は、何かを求めるように手を伸ばす。宙を彷徨う手をそのままにしておくことができなくて、私はその手を両手で包み込んだ。
次の瞬間、びっくりするくらいの力で握り返され、手首を掴みなおした唯兄に引き寄せられる。
「ゆ、唯にっ――!?」
咄嗟に声をかけたけれど、唯兄は起きない。
唯兄は半ば身体を起こした状態で私の背に両腕を回す。
私は右手をベッドマットにつくことでなんとかバランスを保っているものの、このつっかえ棒がなくなったら唯兄の上へ落ちてしまう。
唯兄は華奢だけれど、私より目に見えて身長は高い。それなのに、どうしてか小さい子に抱きつかれている感覚に陥った。
嫌な夢でも見てるのかな……。それとも幸せな思い出を夢に見ているのだろうか。
判断はしかねたけれど、起こすことにした。
何せ身動きが取れないし、つっかえ棒を担っている右腕の限界も近い。
「唯兄、私、翠葉だよ。朝だから起きよう?」
左手で唯兄の肩を揺すってみるものの、起きる気配はない。
その行動を何度か繰り返したあと、自分の顔の近くにあった唯兄の頬をつついたらようやく起きた。
「……すい、は……? え? ……あ、わっ、リィっっっ!?」
順を追って覚醒しては身を引き、羽毛布団を抱えたまま壁まで後ずさる。
ガツ――と、背中が壁にあたる音がした。
痛そう……。
「ごめんっ。俺、何か変なことしなかったっ!?」
「えぇと……お姉さんの名前を口にしていたのと、唯兄の手を取ったら、こぉ……ぐわっと引き寄せられてちょっとびっくりした。……でも、それだけだよ?」
「そう……なら、よかった……。いや、よくないか!?」
唯兄は頭を抱えて唸っている。
「……なんか、嫌な夢見た……?」
「いや、そういうんじゃない……かな」
どうしてか苦笑が返ってくる。
「心配しなくていいよ。ほら、リィは今日家出るの早いんでしょ? 急がなくちゃ――って俺が早く起きろって話か……」
今度は、ゴツ――と頭が壁に当たる音がした。
「だ、大丈夫っ!? すごい音したよっ?」
唯兄は後頭部を壁に預けたまま天井に視線をやり、深くため息をついては目を瞑る。
「五分……いや、七分ちょうだい。シャワー浴びたらすぐ行く」
「うん、わかった。じゃ、先に食べてるかもしれないけど、お母さんにも伝えておくね」
「ん、お願い」
そう言ってから目を開けた唯兄は、私と視線を合わせてにこりと笑った。
その笑顔は作られたものだとわかるけど――
どうしてかな……? 私はその笑顔を見てほっとしてしまった。
ダイニングへ戻ると、背の高い人が増えていた。
みんなが立っていたから余計にそう感じたのだろう。
十階からお父さんと静さんが下りてきて、平均身長がぐんと上がっていたのだ。
静さんと会うのは久しぶり。けれども、あまりにも唐突な再会に、言葉が詰まるどころか緊張する間も何も与えられなかった。
「おはよう」
「おはようございます……」
静さんと挨拶したのち、お父さんとも挨拶を交わす。と、静さんは窓際へ向かい、室内を振り返っては私に「おいでおいで」と手招きをしてみせる。
私はお父さんに背を押され、ゆっくりと歩いて静さんの隣に並んだ。
「秋晴れとは、こんな日のためにある言葉だと思わないかい?」
「はい、そう思います」
屋内にいても必然と空が見える階ではあるけれど、窓際からは何にも邪魔されることのない空を見ることができる。
空は真っ青で、雲ひとつ浮かんではいなかった。
窓を開けずとも、空気が澄んでいることが見て取れる。
「明日もいい天気だそうだよ」
「はい。天気予報、外れないといいな……。外で模擬店をやる団体もあるので、天候がとても気になっていたんです」
「そうみたいだね」
静さんは物干し竿に吊るしてあるてるてる坊主を指差して笑った。
実のところ、一週間ほど前からずっと週間天気予報が気になっていた。
気にするたびに、「天気予報は予報でしかない」「そんな短時間で予報は変わらない」とツカサに言われていた。
わかっていても気になるものは気になる、と繰り返し天気予報を見る私に、ツカサは降水確率の説明を始め、挙句の果てには「遠足を目前にした園児? 児童?」とまで言う始末だった。
「てるてる坊主っていつ作ったら効力あるのかな? いつから吊るすって決まりがあるのかな?」
真面目に尋ねた私に返ってきた言葉はひとつ。「知るか」だ。
もちろん呆れ顔がセットだったのは言うまでもない。
私は瞬時に訊く相手を間違えたと思った。
「風も強くはなさそうですね」
吊るされているてるてる坊主はひっくり返ることもなく、時々白い裾をひらひらとそよがせていた。
「あぁ、風も穏やかだね」
静さんはブライトネスパレスでの件や仕事の話をすることはなかったし、私も自分からその話を持ち出すことはしなかった。ただ、今目の前に広がる空を見て、天気の話をしただけ――
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