魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

文字の大きさ
3 / 44
第一章 英雄の序曲

第3話「魔王ユウ誕生3」

しおりを挟む
 色々なパラメータを確認すると、能力やスキル、所持アイテム、配下たちの情報はゲームの世界とほぼ同じだ。ただ一点、日時の表示が消えていること以外は何も問題が無い。
 そして、件のメールも発見した。中身はバグっているためほぼ読めないが、ただ一文はしっかりと読める。

「ようこそ、第二の現実世界へ……か」

 夢にしては出来過ぎ。そう思いたいが、どういう訳か不気味なほどに頭は理解できている。この文章は事実で、ここは現実なのだと。俺は生まれ変わったのだと。

「……やっぱり、この世界のことを知るしかないな」

 それには配下たちの力を借りる必要がある。いや、むしろ借りるべきだ。仮に夢でも配下たちと活動できてハッピーなんだぞ。
さて、ウロボロスは団長だ。設定的に全員を招集する権限がある。

「あー……その、お願いしてもいいかな?」
「お聞きにならずとも、何なりとご命令下さい。どのようなご要望にもお応えする準備を整えております。特に夜伽ならば今すぐにでも!」

 随分とぶっ飛んだ解釈だな。ここまで愛される設定にしただろうか。嫌われるよりはマシだけど。

「全員を集めたい。お願いできるか?」
「はい! 我が君の命令とあれば例えトイレの最中であっても駆け付けるでしょう!」
「いや、それは是非最後まで済ませて欲しい。色々な意味で」

 言ってから想像したが、一部、それはそれで中々に見応えがある奴もいるぞ。そんな変態気質は無かったことにしたいが。

「落ち着け、俺!」

 ウロボロスがこうして動き、話し、命令を聞いてくれる。それが嬉しくて頭のストッパーが馬鹿になっているんじゃないのか。

「どうかされましたか?」
「……こうして見ると綺麗なんだよな」

 ん、待ってくれ。思わず口走ってしまったぞ。やはり頭が沸いているのだろうか。

「我が君……今の言葉、もう一度言って下さい」

 マズい。まだ出会って10分程度だけど、今の発言は地雷を踏んだとはっきり理解できる。何とかして切り抜けなければ。

「あー……そうだ、ウロボロス。早く命令を実行してくれると感極まっちゃうんだけどな」
「申し訳ありませんでした。すぐに全配下を招集致します。それでその、今晩は寝床にお邪魔しますね!」

 いや、それは早い。俺たち出会って間もないから。きっと出会い系で知り合っても、もう少し互いのことを知ろうとするから。

「とにかく早く集めろ、大至急だ!」
「少々お待ち下さい。夜の方もご期待に添えるよう準備して参ります!」
「そっちの準備はいらないぞ!」

 暴走機関車のようにドアを突き破ってウロボロスは出て行ってしまった。大声で叫んでみたが、届いただろうか。きっと届いた、そういうことにしておこう。

「それはそうと……他の配下たちもやっぱりいてくれたか」

 本当ならウロボロスに聞いておきたかったけど、聞けないよな。ちょっと言葉を間違えただけで俺の貞操が危なくなるから。治安の悪い街を歩く女の子ってこういう気持ちなのかな。あー、愛って恐い。
 それにしてもよく出来た体だ。顔以外は魔王ユウそっくり。手足を動かしてみるも、何ら違和感はない。

「うぉ!?」

 どこを触ったのか、魔法やアイテムのストレージ画面が目の前に浮かぶ。こんな便利なショートカット機能があるのか。

「魔王様、どうかなさいましたか!?」
「おぉ……スライディングひざまずき」

 破壊された扉を蹴飛ばしながら、凄い勢いで1人の配下がやって来る。奇跡のコラボレーションのオマケ付きで。今後はそんなに畏まらなくても良いと伝えないと。

「よく来てくれた、神無月」

 10人いるメイドの長、神無月。赤いパッツンのショートヘアーが特徴的な綺麗な女性だ。メイド服はよくある白いフリルのエプロンに黒を基調としたワンピースタイプにしている。このデザインを考えるのにも時間がかかったんだよな。

「その、嬉しいには嬉しいんだが、そんな強引なひざまずきはよしてくれ。見ているこっちが痛々しい」
「畏まりました。まだ至らぬ己が恥ずかしいです」

 既に悪い極地へ至っちゃった気もするが、後はどこへ向かうのか。難儀な性格にしてしまったかもしれない。ま、これはこれで味があるということで。

「魔王様。一体如何されたのでしょうか?」

 さっきの奇声のことだろうけど、何をどう言っても恥の上塗りになりそうだ。ショートカット機能を知らないトッププレイヤーってどうなのよって、な。話を切り替えてしまうに限る。

「それよりも睦月、如月、弥生はいるか? この周囲の地形を探らせてくれ」
「わかりました。10分程、失礼致します」

 止めるよりも速く神無月が駆けて行ってしまう。10分で周囲の探索なんてできっこ無いだろう。そんなブラックなのか、この業界は。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...