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第一章 英雄の序曲
第3話「魔王ユウ誕生3」
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色々なパラメータを確認すると、能力やスキル、所持アイテム、配下たちの情報はゲームの世界とほぼ同じだ。ただ一点、日時の表示が消えていること以外は何も問題が無い。
そして、件のメールも発見した。中身はバグっているためほぼ読めないが、ただ一文はしっかりと読める。
「ようこそ、第二の現実世界へ……か」
夢にしては出来過ぎ。そう思いたいが、どういう訳か不気味なほどに頭は理解できている。この文章は事実で、ここは現実なのだと。俺は生まれ変わったのだと。
「……やっぱり、この世界のことを知るしかないな」
それには配下たちの力を借りる必要がある。いや、むしろ借りるべきだ。仮に夢でも配下たちと活動できてハッピーなんだぞ。
さて、ウロボロスは団長だ。設定的に全員を招集する権限がある。
「あー……その、お願いしてもいいかな?」
「お聞きにならずとも、何なりとご命令下さい。どのようなご要望にもお応えする準備を整えております。特に夜伽ならば今すぐにでも!」
随分とぶっ飛んだ解釈だな。ここまで愛される設定にしただろうか。嫌われるよりはマシだけど。
「全員を集めたい。お願いできるか?」
「はい! 我が君の命令とあれば例えトイレの最中であっても駆け付けるでしょう!」
「いや、それは是非最後まで済ませて欲しい。色々な意味で」
言ってから想像したが、一部、それはそれで中々に見応えがある奴もいるぞ。そんな変態気質は無かったことにしたいが。
「落ち着け、俺!」
ウロボロスがこうして動き、話し、命令を聞いてくれる。それが嬉しくて頭のストッパーが馬鹿になっているんじゃないのか。
「どうかされましたか?」
「……こうして見ると綺麗なんだよな」
ん、待ってくれ。思わず口走ってしまったぞ。やはり頭が沸いているのだろうか。
「我が君……今の言葉、もう一度言って下さい」
マズい。まだ出会って10分程度だけど、今の発言は地雷を踏んだとはっきり理解できる。何とかして切り抜けなければ。
「あー……そうだ、ウロボロス。早く命令を実行してくれると感極まっちゃうんだけどな」
「申し訳ありませんでした。すぐに全配下を招集致します。それでその、今晩は寝床にお邪魔しますね!」
いや、それは早い。俺たち出会って間もないから。きっと出会い系で知り合っても、もう少し互いのことを知ろうとするから。
「とにかく早く集めろ、大至急だ!」
「少々お待ち下さい。夜の方もご期待に添えるよう準備して参ります!」
「そっちの準備はいらないぞ!」
暴走機関車のようにドアを突き破ってウロボロスは出て行ってしまった。大声で叫んでみたが、届いただろうか。きっと届いた、そういうことにしておこう。
「それはそうと……他の配下たちもやっぱりいてくれたか」
本当ならウロボロスに聞いておきたかったけど、聞けないよな。ちょっと言葉を間違えただけで俺の貞操が危なくなるから。治安の悪い街を歩く女の子ってこういう気持ちなのかな。あー、愛って恐い。
それにしてもよく出来た体だ。顔以外は魔王ユウそっくり。手足を動かしてみるも、何ら違和感はない。
「うぉ!?」
どこを触ったのか、魔法やアイテムのストレージ画面が目の前に浮かぶ。こんな便利なショートカット機能があるのか。
「魔王様、どうかなさいましたか!?」
「おぉ……スライディングひざまずき」
破壊された扉を蹴飛ばしながら、凄い勢いで1人の配下がやって来る。奇跡のコラボレーションのオマケ付きで。今後はそんなに畏まらなくても良いと伝えないと。
「よく来てくれた、神無月」
10人いるメイドの長、神無月。赤いパッツンのショートヘアーが特徴的な綺麗な女性だ。メイド服はよくある白いフリルのエプロンに黒を基調としたワンピースタイプにしている。このデザインを考えるのにも時間がかかったんだよな。
「その、嬉しいには嬉しいんだが、そんな強引なひざまずきはよしてくれ。見ているこっちが痛々しい」
「畏まりました。まだ至らぬ己が恥ずかしいです」
既に悪い極地へ至っちゃった気もするが、後はどこへ向かうのか。難儀な性格にしてしまったかもしれない。ま、これはこれで味があるということで。
「魔王様。一体如何されたのでしょうか?」
さっきの奇声のことだろうけど、何をどう言っても恥の上塗りになりそうだ。ショートカット機能を知らないトッププレイヤーってどうなのよって、な。話を切り替えてしまうに限る。
「それよりも睦月、如月、弥生はいるか? この周囲の地形を探らせてくれ」
「わかりました。10分程、失礼致します」
止めるよりも速く神無月が駆けて行ってしまう。10分で周囲の探索なんてできっこ無いだろう。そんなブラックなのか、この業界は。
そして、件のメールも発見した。中身はバグっているためほぼ読めないが、ただ一文はしっかりと読める。
「ようこそ、第二の現実世界へ……か」
夢にしては出来過ぎ。そう思いたいが、どういう訳か不気味なほどに頭は理解できている。この文章は事実で、ここは現実なのだと。俺は生まれ変わったのだと。
「……やっぱり、この世界のことを知るしかないな」
それには配下たちの力を借りる必要がある。いや、むしろ借りるべきだ。仮に夢でも配下たちと活動できてハッピーなんだぞ。
さて、ウロボロスは団長だ。設定的に全員を招集する権限がある。
「あー……その、お願いしてもいいかな?」
「お聞きにならずとも、何なりとご命令下さい。どのようなご要望にもお応えする準備を整えております。特に夜伽ならば今すぐにでも!」
随分とぶっ飛んだ解釈だな。ここまで愛される設定にしただろうか。嫌われるよりはマシだけど。
「全員を集めたい。お願いできるか?」
「はい! 我が君の命令とあれば例えトイレの最中であっても駆け付けるでしょう!」
「いや、それは是非最後まで済ませて欲しい。色々な意味で」
言ってから想像したが、一部、それはそれで中々に見応えがある奴もいるぞ。そんな変態気質は無かったことにしたいが。
「落ち着け、俺!」
ウロボロスがこうして動き、話し、命令を聞いてくれる。それが嬉しくて頭のストッパーが馬鹿になっているんじゃないのか。
「どうかされましたか?」
「……こうして見ると綺麗なんだよな」
ん、待ってくれ。思わず口走ってしまったぞ。やはり頭が沸いているのだろうか。
「我が君……今の言葉、もう一度言って下さい」
マズい。まだ出会って10分程度だけど、今の発言は地雷を踏んだとはっきり理解できる。何とかして切り抜けなければ。
「あー……そうだ、ウロボロス。早く命令を実行してくれると感極まっちゃうんだけどな」
「申し訳ありませんでした。すぐに全配下を招集致します。それでその、今晩は寝床にお邪魔しますね!」
いや、それは早い。俺たち出会って間もないから。きっと出会い系で知り合っても、もう少し互いのことを知ろうとするから。
「とにかく早く集めろ、大至急だ!」
「少々お待ち下さい。夜の方もご期待に添えるよう準備して参ります!」
「そっちの準備はいらないぞ!」
暴走機関車のようにドアを突き破ってウロボロスは出て行ってしまった。大声で叫んでみたが、届いただろうか。きっと届いた、そういうことにしておこう。
「それはそうと……他の配下たちもやっぱりいてくれたか」
本当ならウロボロスに聞いておきたかったけど、聞けないよな。ちょっと言葉を間違えただけで俺の貞操が危なくなるから。治安の悪い街を歩く女の子ってこういう気持ちなのかな。あー、愛って恐い。
それにしてもよく出来た体だ。顔以外は魔王ユウそっくり。手足を動かしてみるも、何ら違和感はない。
「うぉ!?」
どこを触ったのか、魔法やアイテムのストレージ画面が目の前に浮かぶ。こんな便利なショートカット機能があるのか。
「魔王様、どうかなさいましたか!?」
「おぉ……スライディングひざまずき」
破壊された扉を蹴飛ばしながら、凄い勢いで1人の配下がやって来る。奇跡のコラボレーションのオマケ付きで。今後はそんなに畏まらなくても良いと伝えないと。
「よく来てくれた、神無月」
10人いるメイドの長、神無月。赤いパッツンのショートヘアーが特徴的な綺麗な女性だ。メイド服はよくある白いフリルのエプロンに黒を基調としたワンピースタイプにしている。このデザインを考えるのにも時間がかかったんだよな。
「その、嬉しいには嬉しいんだが、そんな強引なひざまずきはよしてくれ。見ているこっちが痛々しい」
「畏まりました。まだ至らぬ己が恥ずかしいです」
既に悪い極地へ至っちゃった気もするが、後はどこへ向かうのか。難儀な性格にしてしまったかもしれない。ま、これはこれで味があるということで。
「魔王様。一体如何されたのでしょうか?」
さっきの奇声のことだろうけど、何をどう言っても恥の上塗りになりそうだ。ショートカット機能を知らないトッププレイヤーってどうなのよって、な。話を切り替えてしまうに限る。
「それよりも睦月、如月、弥生はいるか? この周囲の地形を探らせてくれ」
「わかりました。10分程、失礼致します」
止めるよりも速く神無月が駆けて行ってしまう。10分で周囲の探索なんてできっこ無いだろう。そんなブラックなのか、この業界は。
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