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第一章 英雄の序曲
第4話「魔王ユウ誕生4」
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神無月を見送って色々な機能を試していると、律儀に壁をノックして入って来る奴がいた。ドアはもう破壊されているから、叩ける所はそこしかないんだろう。
「魔王様、此度はどうされたのじゃ」
カルマか。真祖のヴァンパイアの少女。白銀のツインテールと青白い肌、深紅の目、黒いゴスロリ衣装が似合う低身長、スレンダー体形。俺の好みをそのまま再現した配下だ。
設定は毒舌にしたつもりなんだが、俺には棘のある言葉を吐かないらしい。少しだけ残念かもしれない。
「息災か、カルマ」
きっと魔王ならこういう単語を使っちゃうんだろな。いいぞ、俺。凄く中二病臭くて涙が出て来る。
「我が愛しき魔王様、どうしたのじゃ?」
「……ん、ちょっと待て。何だか不適切な表現がなかったか?」
「何のことじゃ、最愛の魔王様」
「それだよ、それ!」
もう威厳とか関係なくなってしまったけど、そんなことを言っている暇はない。面と向かって愛しい、最愛と言われてみろ。顔から火が出るほどに恥ずかしい。
「風邪かのう? 少々お顔が赤いようじゃが」
「近付くな! 顔が近い! 熱が出ちゃうだろ!」
額を当てて熱を測る行為を阻止する。ただのギャルゲーじゃないか。違うぞ、俺は配下たちが動いている姿を見られて感激しているだけだ。決してやましい感情などない。この胸の高鳴りは嬉しいから。それだけだ、うん。
「魔王様、お体を労わることじゃ。もうおひとりの体ではないのじゃぞ?」
なに、その不適切発言。止めてくれ、もう顔の緩みが止められないんだけど。
「カルマ、魔王様を困らせるな」
「ムラクモか! よく来てくれた!」
低く渋い声。振り返ると、鎧を着込んだ剣士、ムラクモが来ていた。まさに救世主。俺の邪な心をぶった切ってくれる英雄だ。
「鉄屑はいくら錬成しても産業廃棄物。どう足掻いてもゴミの落ち武者には空気を読めないようじゃの。良い、ならばお掃除といこうかの」
「待て待て待て! 落ち着け、カルマ。お前たちが争ってどうするんだよ。同じ配下だろうが」
「しかし、甘い蜜のような時に泥をブレンドした無粋者。全くの御咎めなしとはいかぬと思うのじゃが?」
ヴァンパイア特有の凄みが強烈だ。しかもその手に持った剣は神具。最高ランクの武器だ。俺が魔王じゃなかったら、問答無用で頭を縦に振ってしまうだろう。
「カルマ、お前もTPOを弁えた行動をしろ。今はそれどころじゃないんだぞ」
「そんな……悪かったのじゃ、魔王様」
驚くほどしおらしくなったカルマは一礼し、身を引いていく。これが魔王の力か。そして、上司ってこういう気持ちだったんだろうな。こりゃふんぞり返りたくもなるわ。
「お見苦しいところをお見せしました、魔王様。武人ムラクモ、ここに」
「あぁ、よく来てくれた。悪いが少し待っていてくれ。全員が揃ったら始める」
言いながら考える。始めるって言っても、全員の顔を見たいだけなんだよな。でも考えてみれば、魔王ユウが下す初めての命令。もっとマシなものの方が皆にとっては思い出深いものになるんじゃないか。
他の面子が来るまで、俺はうんうんと唸ることにした。
「魔王様、此度はどうされたのじゃ」
カルマか。真祖のヴァンパイアの少女。白銀のツインテールと青白い肌、深紅の目、黒いゴスロリ衣装が似合う低身長、スレンダー体形。俺の好みをそのまま再現した配下だ。
設定は毒舌にしたつもりなんだが、俺には棘のある言葉を吐かないらしい。少しだけ残念かもしれない。
「息災か、カルマ」
きっと魔王ならこういう単語を使っちゃうんだろな。いいぞ、俺。凄く中二病臭くて涙が出て来る。
「我が愛しき魔王様、どうしたのじゃ?」
「……ん、ちょっと待て。何だか不適切な表現がなかったか?」
「何のことじゃ、最愛の魔王様」
「それだよ、それ!」
もう威厳とか関係なくなってしまったけど、そんなことを言っている暇はない。面と向かって愛しい、最愛と言われてみろ。顔から火が出るほどに恥ずかしい。
「風邪かのう? 少々お顔が赤いようじゃが」
「近付くな! 顔が近い! 熱が出ちゃうだろ!」
額を当てて熱を測る行為を阻止する。ただのギャルゲーじゃないか。違うぞ、俺は配下たちが動いている姿を見られて感激しているだけだ。決してやましい感情などない。この胸の高鳴りは嬉しいから。それだけだ、うん。
「魔王様、お体を労わることじゃ。もうおひとりの体ではないのじゃぞ?」
なに、その不適切発言。止めてくれ、もう顔の緩みが止められないんだけど。
「カルマ、魔王様を困らせるな」
「ムラクモか! よく来てくれた!」
低く渋い声。振り返ると、鎧を着込んだ剣士、ムラクモが来ていた。まさに救世主。俺の邪な心をぶった切ってくれる英雄だ。
「鉄屑はいくら錬成しても産業廃棄物。どう足掻いてもゴミの落ち武者には空気を読めないようじゃの。良い、ならばお掃除といこうかの」
「待て待て待て! 落ち着け、カルマ。お前たちが争ってどうするんだよ。同じ配下だろうが」
「しかし、甘い蜜のような時に泥をブレンドした無粋者。全くの御咎めなしとはいかぬと思うのじゃが?」
ヴァンパイア特有の凄みが強烈だ。しかもその手に持った剣は神具。最高ランクの武器だ。俺が魔王じゃなかったら、問答無用で頭を縦に振ってしまうだろう。
「カルマ、お前もTPOを弁えた行動をしろ。今はそれどころじゃないんだぞ」
「そんな……悪かったのじゃ、魔王様」
驚くほどしおらしくなったカルマは一礼し、身を引いていく。これが魔王の力か。そして、上司ってこういう気持ちだったんだろうな。こりゃふんぞり返りたくもなるわ。
「お見苦しいところをお見せしました、魔王様。武人ムラクモ、ここに」
「あぁ、よく来てくれた。悪いが少し待っていてくれ。全員が揃ったら始める」
言いながら考える。始めるって言っても、全員の顔を見たいだけなんだよな。でも考えてみれば、魔王ユウが下す初めての命令。もっとマシなものの方が皆にとっては思い出深いものになるんじゃないか。
他の面子が来るまで、俺はうんうんと唸ることにした。
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