魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

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第一章 英雄の序曲

第5話「魔王ユウ誕生5」

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 次に現れたのは真っ白のウェーブのかかった髪を襟まで伸ばし、金銀パールで彩った赤いスーツを着ている青年だ。俺に頬ずりしているカルマを見るや否や、溜め息を吐いて咎める。

「カルマ。魔王様は崇高なる我らが王。独り占めは許しませんよ?」

 そしてどういう訳か、上着を脱ぐと俺の方へにじり寄って来た。

「アザレア、お前はそこで待機だ。これは厳命だぞ」
「おぉ……私如きに厳命を頂けるとは。このアザレア、恐悦至極に御座います」

 近寄られると嫌なだけなんだが、そんなに喜ばれるのもまた癪だな。こいつも俺を愛するような設定にしてしまっただろうか。細かいところまでは覚えていないのだが。

「おや、アザレア。魔王様の命令の意図を理解しているのかのう?」
「魔王様の言動、一挙一動には海よりも深い御考えがある。そもそも理解しようなど神への冒涜にも等しい行為ですよ? もっとも魔王様こそ我らが唯一神なのですが」
「雑草ホモ野郎にしては魔王様のことを多少なりとも理解しているようじゃの」
「勘違いしないでくれるかい? 私はバイだ。魔王様、いつでも準備は整っていますよ?」

 思わず目を逸らす。自分が設定した配下なだけに、その、こういうのを人生の汚点というのかもしれない。

「あ、後はフェンリスか」

 必死に話をそらしてみる。できることなら早く来て欲しい。設定的に明るく、元気で、良い意味で空気を読まないでくれそうだ。

「あ、魔王様! お久し振りです!」

 ナイスタイミング。この元気な声は間違いない。フェンリスだ。
 金色のストレートの長髪、赤い目、白い肌。犬の耳、肘と膝から下は犬の手足だが、それ以外は人型の少女だ。
 主要メンバーを集め終えたウロボロスは、疲れた顔も見せずに後からやって来る。

「お待たせ致しまし……おや、神無月はどこへ? いの一番に声をかけたのですが。不敬な。殺しておくべきですね」
「神無月には別の命令を出した。もうじき終わるから、どうか穏便にお願いします」

 そう言って神具を取り出すウロボロスを制止する。危ない。少しでも遅れれば、こいつは確実に殺ってしまう。

「魔王様、報告の準備が整いました」

 話していると神無月が現れる。その後ろには神無月と髪の色が違うだけのメイドが3人。睦月、如月、弥生。いずれも隠密として育てたメイドだ。

「その報告から聞こう」

さて、この周りは雷雲がひしめき合う海上のはずだ。このダンジョンがグレードアップして飛行能力を得たから、どうせなら凄そうな所に置いてみたいと思って移動させたんだが。

「周囲は長閑な牧草地が広がっており、動物たちが駆け回っています」
「……え?」

海と雷雲はどこに行った。日照りか。

「間違いありません。こちらが映像です」

 ホログラムで映し出された光景は、確かに長閑な牧草地。可愛い猫のような動物が野原を駆けている。

「……どういうことだ?」

 ダンジョンごと俺たちを移動させたのか。あり得ない。色々な魔法を見聞きして勉強もしたけど、そんなものは知らない。第一、そんなチートが存在して良いはずがない。

「謎は尽きないな」

 俺たちがいたゲームの世界とは違う魔法が存在しているのだろう。とにかく情報が欲しい。この世界のことなら何でも良い。そのためには人手がいる。
 配下たちを見る。これ以上の人材はいないだろう。

「……皆、答えてくれ」

 俺に忠誠を尽くしてくれるように見える。だけど、一応確かめておかないと。俺が、いや、全員が生き残るために。こうして息をして、笑って、ふざけ合ってくれる。大切な配下たちを守るために。

「俺は魔王ユウ。皆は配下として忠誠を誓ってくれている。依存はないか?」

 全員がひざまずき、頭を垂れる。先頭に立つウロボロスが代表して言葉を発した。

「我らオラクル・ナイツ。我が君に、この身この命尽きようとも最期まで、いえ、輪廻の果てまでお仕えすることを……永久の忠誠をここに誓います」

 誰一人として異を唱えていない。良かった。敵がどれほど強大でも皆となら何とでもなる。オラクル・ナイツに敗北はない。

「ありがとう。大切な配下たち。これから頼むぞ」

 この世界のことはわからないけど、皆となら何も恐くない。早速、情報収集に乗り出すとしよう。
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