11 / 48
2.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師と同居生活を始める
2-7.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師と同居生活を始める
しおりを挟む
そう言うと俺は目の前の服に手を掛け、震える指でボタンを外そうと試みる。
すると我に返ったカリタスが、慌てて俺の両手を掴んできた。
「早まるなリベラ! そういうことをしたくないから、悩んでいたのだろう!?」
「そうだけど、仕方ないじゃん! そうじゃなきゃ、もう死にたい……!」
何をするにも誰かの助けが必要で、対価には体を差し出す事しか思いつかない。
でも俺自身に魅力はなくても、淫魔の体は万人が欲する物だろうから。
「頼むから、私の服から手を離してくれ! じゃないと服従魔法が暴発する!」
「俺、おれ、ちゃんとできるよ! だから、……うあっ」
しかしカリタスが俺を引き剥がす前に、首筋に魔力が集まって締め上げてくる。
呼吸を阻害された俺は崩れ落ちるが、完全に倒れ切る前に抱き止められた。
そして俺の腰に片腕をまわし、彼は逃げられないよう拘束してくる。
「私は、淫魔の体を求めている訳じゃない。それに、君にはまだできることがある」
もう片方の手は手繰るように動かされ、何かを掴んでから戻ってきた。
明らかに動きにくい体勢だが、彼は決して俺から離れようとはしない。
「なに「花束を受け取ってくれ、リベラ。それが今の、私が望んでいることだ」」
引き寄せられたのは放置されていた花束で、少しだけ水分を失って萎れていた。
それでも香りは未だ色褪せず、むしろ熟したような甘さを湛えている。
(そう、だ。カリタスはずっとそう言っていた。無視してたのは俺の方だ)
怯えた俺は自己中心的過ぎて、カリタスの話を少しも聞いていなかった。
ずっと言葉にしなかった俺とは違い、彼は最初から声にしてくれていたのに。
その事実に気づいた瞬間、俺の中で荒れ狂っていた何かが収まっていく。
「……今更だけど、花束をくれてありがとう。すぐ枯らしちゃうと思うけど」
「その為に買ってきたんだ。そうでなければ、むしろ困る」
ようやく受け取った花束に口づけると、花々が持つ魔力が流れ込んできた。
すると抱えていた飢餓感は解消され、果物を齧った時のように満たされていく。
(体に魔力が循環して、満ち足りる。けど俺のせいで花束が枯れていく)
生命力に等しい魔力が奪われた花は、無残な姿になって散っていく。
しかし様子を窺っていたカリタスは、複雑な表情で微笑んでいた。
「やはり魔力を求める体になっていたか。なら私は異食を強要してしまったんだな」
「落ち込まないでよ。食べれなくても、用意してくれたのが嬉しかったんだ」
隠していた本音を俺が晒したように、今度はカリタスが後悔を見せる番だった。
けど彼は悪いことなんかしてないし、自分を責める必要は少しもない。
(だってその勘違いをさせている原因は、俺自身だった)
そして気づいたのなら、もう呪いは解かなければならない。
既に手遅れだとしても、俺に出来る最後の誠意なのだから。
「ずっと言えなかったけど、俺の為に色々考えてくれたのは伝わってる。だからね」
変わるべきは俺だと理解したから、今更でも感謝を伝えようと声を上げる。
性行為を含めない、今の俺が捧げられる最大限の対価と共に。
「俺でいいなら、一緒にいれるように頑張るよ。約束できないのは、本当にごめん」
「! 今はそれで充分だ。君が安心できるよう、私も最大限の努力を行おう」
不確実で情けない言葉だけど、カリタスは大きく頷いて応えてくれた。
同時に綺麗な顔を綻ばせ、冷たいと思っていた印象を一変させる。
「互いに立場が違い過ぎて、対等にはなれないだろう。でも、手は尽くしたい」
(不愛想な人が笑うと、こんなに魅力的なんだ。淫魔より危ないでしょ、こんなの)
同性だというのに、口説くような口調も相まって酷い勘違いを起こしそうになる。
思わず視線を逸らそうとするが、頬に手を添えられて引き戻されてしまった。
「ちゃんと私を見て、せめてそれから嫌いになってくれ」
獲物が逃げないよう囲われてるだけなのに、どんどん顔が熱くなっていく。
俺は何度も頷きながら、早くも距離を取ろうと身動ぎし続けていた。
すると我に返ったカリタスが、慌てて俺の両手を掴んできた。
「早まるなリベラ! そういうことをしたくないから、悩んでいたのだろう!?」
「そうだけど、仕方ないじゃん! そうじゃなきゃ、もう死にたい……!」
何をするにも誰かの助けが必要で、対価には体を差し出す事しか思いつかない。
でも俺自身に魅力はなくても、淫魔の体は万人が欲する物だろうから。
「頼むから、私の服から手を離してくれ! じゃないと服従魔法が暴発する!」
「俺、おれ、ちゃんとできるよ! だから、……うあっ」
しかしカリタスが俺を引き剥がす前に、首筋に魔力が集まって締め上げてくる。
呼吸を阻害された俺は崩れ落ちるが、完全に倒れ切る前に抱き止められた。
そして俺の腰に片腕をまわし、彼は逃げられないよう拘束してくる。
「私は、淫魔の体を求めている訳じゃない。それに、君にはまだできることがある」
もう片方の手は手繰るように動かされ、何かを掴んでから戻ってきた。
明らかに動きにくい体勢だが、彼は決して俺から離れようとはしない。
「なに「花束を受け取ってくれ、リベラ。それが今の、私が望んでいることだ」」
引き寄せられたのは放置されていた花束で、少しだけ水分を失って萎れていた。
それでも香りは未だ色褪せず、むしろ熟したような甘さを湛えている。
(そう、だ。カリタスはずっとそう言っていた。無視してたのは俺の方だ)
怯えた俺は自己中心的過ぎて、カリタスの話を少しも聞いていなかった。
ずっと言葉にしなかった俺とは違い、彼は最初から声にしてくれていたのに。
その事実に気づいた瞬間、俺の中で荒れ狂っていた何かが収まっていく。
「……今更だけど、花束をくれてありがとう。すぐ枯らしちゃうと思うけど」
「その為に買ってきたんだ。そうでなければ、むしろ困る」
ようやく受け取った花束に口づけると、花々が持つ魔力が流れ込んできた。
すると抱えていた飢餓感は解消され、果物を齧った時のように満たされていく。
(体に魔力が循環して、満ち足りる。けど俺のせいで花束が枯れていく)
生命力に等しい魔力が奪われた花は、無残な姿になって散っていく。
しかし様子を窺っていたカリタスは、複雑な表情で微笑んでいた。
「やはり魔力を求める体になっていたか。なら私は異食を強要してしまったんだな」
「落ち込まないでよ。食べれなくても、用意してくれたのが嬉しかったんだ」
隠していた本音を俺が晒したように、今度はカリタスが後悔を見せる番だった。
けど彼は悪いことなんかしてないし、自分を責める必要は少しもない。
(だってその勘違いをさせている原因は、俺自身だった)
そして気づいたのなら、もう呪いは解かなければならない。
既に手遅れだとしても、俺に出来る最後の誠意なのだから。
「ずっと言えなかったけど、俺の為に色々考えてくれたのは伝わってる。だからね」
変わるべきは俺だと理解したから、今更でも感謝を伝えようと声を上げる。
性行為を含めない、今の俺が捧げられる最大限の対価と共に。
「俺でいいなら、一緒にいれるように頑張るよ。約束できないのは、本当にごめん」
「! 今はそれで充分だ。君が安心できるよう、私も最大限の努力を行おう」
不確実で情けない言葉だけど、カリタスは大きく頷いて応えてくれた。
同時に綺麗な顔を綻ばせ、冷たいと思っていた印象を一変させる。
「互いに立場が違い過ぎて、対等にはなれないだろう。でも、手は尽くしたい」
(不愛想な人が笑うと、こんなに魅力的なんだ。淫魔より危ないでしょ、こんなの)
同性だというのに、口説くような口調も相まって酷い勘違いを起こしそうになる。
思わず視線を逸らそうとするが、頬に手を添えられて引き戻されてしまった。
「ちゃんと私を見て、せめてそれから嫌いになってくれ」
獲物が逃げないよう囲われてるだけなのに、どんどん顔が熱くなっていく。
俺は何度も頷きながら、早くも距離を取ろうと身動ぎし続けていた。
10
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
短編版【けもみみ番外編】卒業の朝〜政略結婚するつもりで別れを告げた宰相子息ユリウスは黒豹エドワードの策略に嵌る〜
降魔 鬼灯
BL
銀の髪が美しい銀狼獣人ユリウスは宰相家の一人息子だ。
留学中、同室になった黒豹獣人のエドワードと深い仲になる。
子供の頃からエドワードに想いを寄せていたが、自国では同性の婚姻は認められていない。しかも、文官トップの宰相家と武官トップの騎士団長家の仲は険悪だ。
エドワードとは身体だけの関係。そう言い聞かせて、一人息子のユリウスは、帰国を期にエドワードと別れ政略結婚をする決心をする。
一方、エドワードは……。
けもみみ番外編
クロードとアンドレアに振り回される学友2人のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる