【完結】売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師と期限付き契約を交わす

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)

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6.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師と祝祭に参加する

6-3.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師と祝祭に参加する

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腐敗した魔物の追跡を撒き、表通りに出ると騒々しさで溢れていた。
けれどそれは歓声などではなく、逃げ惑う人々の悲鳴だった。

(もう複数の魔物が、祝祭を荒らしてる。さっきの奴以外にもいたんだ)

出店の商品は散乱し、祝祭の飾りも無残に踏み荒らされている。
だが人々は魔物に取り囲まれて、脱出する事もできやしない。

(威嚇してる従魔もいるから、すぐに惨劇は起きない。でも長くも保たない)

魔物自体に不慣れな外部の人々は、恐慌状態に陥りかけている。
誰かが叫べば、制御不能の事態が引き起こされるのは明白だ。

――だが魔物の扱いに長けた生徒でさえ、有効打を撃てずにいる。

「自我を持たない存在は、躊躇を知らない。故に撤退すら行わないのが厄介だ」
「でも何が原因で、あれが発生したんだろう。さっき魔力汚染って言ってたよね?」

カリタスは遠目から状況を分析しているが、渦中に飛び込もうとはしていない。
一人ならそうしただろうが、今は俺のせいで行動が制限されてしまっていた。

「過度な魔力を浴びると、その兆候が現れる。だがあれは、もっと悍ましいものだ」
「じゃあやっぱり、蘇生系なのかな。授業では、童話みたいな扱いだったのに」

戦えない俺も頭を働かせ、少しでも推測の手助けをしようと試みる。
しかしこの世界出身ではないから、外部の客よりも知識が浅い。

「しかし実在するなら、鎮圧すべきだ。リベラ、一度ディコラルタに預けるぞ」
「それは良いけど、時間が経つほど被害が拡大するでしょ。俺だけで行けるよ」

結局カリタスは立ち向かう選択をしたが、俺はその武器としても扱えない。
それどころか役立たずの人形は、一人で逃げる事すら許されなかった。

「リベラに被害があれば、私が耐えられない。すまないが却下だ」
(人どころか、魔物としての価値すらないんだな。俺って)

カリタスと契約しなければ、俺は搾取され尽くして人生を終えていた。
けれど彼にとって、この約束は守るに値するのだろうか。



何の役にも立てないまま、俺は合流したディコラルタさんに預けられる。
服飾科は魔物除けの布を張り巡らせ、一時的な避難所を作り上げていた。

「分かった、リベラちゃんは任せて頂戴。でもなんで蘇生魔術を使ったのかしら」
「不明だ。だがあの力は、人間では行使することができないだろう」

魔法が溢れる世界の住人でも、死後の存在を操る術に馴染みはないらしい。
けれど墓場から這い出した魔物は、確かに祝祭を荒らしまわっている。

「時計塔の技術を使って、蘇らせたとかは? 時間を操る魔道具なら可能でしょ」
「あり得るけど、目的が分からないわ。悪戯にしては手が込んでるし」

ディコラルタさんが言う通り、魔法があるこの世界でも死者復活は極めて難しい。
だが事態に猶予はなく、カリタスも考えるのをやめて討伐準備を始めていた。

「悪いが鍛冶学科、武器を借りるぞ。あぁ、今回は銀の鎌が良いか」

そして武器の展覧を行っていた学生が次々と集まり、自慢の品を差し出してくる。
戦闘を扱う学科の生徒も集まり、獲物を片手に鎮圧戦へと乗り出していくが。

(これじゃ消耗戦だ、相性が悪すぎる)

四肢を刈り取られようが、魔法で燃やされようが、魔物は逃げる気配がない。
その様子に参戦していた従魔は次第に怯え、徐々に戦線が崩壊していく。

――しかし魔物の独壇場になる前に、白衣を纏った人影が現れた。

「僕、魔物の相手をしてくるよ。客の方は、サボリ魔くんのが向いてるし」
「クピド、頼むわよ! リベラちゃんは、アタシと一緒に避難しましょ!」

治療薬を携えた大勢の生徒と共に、仮面の校医が騒乱の元へと到着した。
そして誘導を終えたディコラルタさんも、俺を抱えて走り出す。
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