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8.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師への姿を選択する
8-3.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師への姿を選択する
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魔物の中心に君臨するヴァントスは、身に着けていた拘束具を全て手放していた。
代わりに魔物に近い姿へと変貌し、異質な存在感で場を支配している。
(魔物が、心酔するようにヴァントスに付き従ってる。魔道具も使わずに)
服従魔法すら行使せず、彼は存在するだけで魔物に隷属を誓わせていた。
だが変異による拒絶反応もなく、それが当然のように振舞っている。
しかし異形となったヴァントスの過去に、カリタスは思い当たりがあるらしい。
「魔王とは貴族の館に囚われていた、とある上位種の魔物に付与された名称だった」
カリタスが生まれ育った魔物を売買する館の話は、以前から耳にしていた。
そこで幼い彼が支配を強要され、徐々に精神を病んでいった事も。
「だが間違いなくお前は、貴族に嬲り殺されていた。何故今になって復活している」
「人間の死体に、魂を移植したんだよ。テメェの家門は闇魔道具も扱ってたからな」
ここに来てヴァントスが、カリタスへ異常な敵意を向けていた理由が判明する。
彼は邪悪な家門に囚われた被害者であり、蘇生した復讐者でもあった。
(でも種族が変わったせいで、今まで誰にも認識されなかった)
そして学生として潜伏している間に、仇討ちの準備を進めていたのだろう。
思えば祝祭の騒ぎも、彼が力を取り戻す過程の一つだったのかもしれない。
「魔族は服従魔法が使えねぇから、人間に転生した。だがこの体も適性がなかった」
「成程。そして魔法の習得の為に、学校へ潜り込んでいたということか」
しかし俺が過去の力を取り戻させ、終幕を台無しにしてしまった。
下手な抵抗などしなければ、彼は朽ちていくだけだったのに。
「人の身に、魔王の力を失う価値はなかった。ソイツのおかげで、取り戻せたがな」
(やっぱりさっきの傷が原因で、潜在能力が引きずり出されたのか)
人間という檻の中に閉じ込められていた獣が、鍵となった俺を嘲笑っている。
彼の首には赤黒い傷が残っているが、まるで首飾りのように誇示されていた。
「首への致命傷で、魔王の本能が覚醒した。これで本領を取り戻せる」
背丈より大きな黒い翼で浮き上がった彼は、俺をカリタスから奪い取る。
片腕で俺を捕獲し、もう片腕で伸ばされた腕を払い退けた。
そして。
(気づいたら、ヴァントスに捕まってた。そして街灯の上で、掴み上げられてる)
大窓からヴァントスが屋外へ飛び立ち、辺りを照らす柱の先端に着地する。
そして追従してきた魔物とカリタスに見せつけるように、俺を持ち上げていた。
「手始めに、カリタスをぶっ殺せ! 褒美に後天性サキュバスをくれてやる!」
「リベラを餌にする気か。ならば、全て返り討ちにしてやる!」
ヴァントスの宣言に色めき立った魔物が、一斉にカリタスへ襲いかかっていく。
けれど彼は怯むことなく、魔物を迎撃する構えを取っていた。
(武器もないのに、カリタスが優勢で戦ってる。けど俺の傷が、動きに響いてる)
ずば抜けた戦闘力を持つカリタスは、強化魔法を併用して魔物を圧倒していた。
けれど彼自身の傷が癒えてないから、徐々に劣勢へと追いやられている。
「しっかし、いつまで保つかねぇ。弱くとも数は暴力だ、倒しきれねぇだろ」
(同意したくないけど、その通りだ。……けれど、俺にできることもある)
倒れる魔物の背後から、それ以上の新たな魔物が押し寄せてくる。
終わりのない戦いに、いずれ押し切られることは明白だった。
だから俺は少しでも力になりたくて、掴まれながらも身を前に乗り出させる。
「っリベラ、私は大丈夫だ! 囮になんてならないでくれ!」
(失敗したら、確実に蹂躙される。でもカリタスが死ぬのは、もっと嫌だ!)
俺は翼を羽ばたかせ、誘惑フェロモンを空気に混ぜて落としていく。
本能を揺さぶる香りは、魔物の意識を逸らすのに最適だった。
(初めて自分の意思で、フェロモンを発散した。飢えた目が、俺に注がれる)
命を懸けた戦いの中ですら、俺の存在に魔物が引き寄せられていく。
――だが不意に視界が揺らいで、体が支えを失った。
「どうせなら、目の前で媚びて来いよ。テメェは淫魔なんだから」
茶番に飽きたヴァントスが俺を放り投げて、魔物の群れに突き落としていた。
必死に翼を動かすが、体に馴染んでいないから落下速度を殺せない。
(街灯から叩き落された。魔物が迫ってくる、カリタスの叫び声が聞こえる)
きっと地面に叩きつけられはしないが、このままでは魔物の餌食になってしまう。
カリタスも既に走り出しているが、魔法強化された足でも絶対に間に合わない。
(……でも怖くない。不思議と、あれらは下僕なんだと感じる)
借り物の翼が剥がれ落ち、代わりに背中から黒い羽毛が舞い散った。
頭部の角も大きく枝分かれし、髪も艶やかに流れ落ちていく。
「クソ、極限状態で体質変化したのか! なんだ、この異常な強さのフェロモンは」
「原種サキュバスに先祖返りしてしまったのか。勝てないなら、従わせるまでだと」
俺は魔物の群れに降り立つが、一匹たりとも襲ってはこない。
それどころか俺を囲うように、恭しく跪いて頭を垂れた。
(全部、俺の思い通りになる。そう淫魔の本能が告げている)
魔物達の主導権は色欲で塗り替えられ、快楽を刺激する魔力に屈服する。
その持ち主である俺は、場を従える支配者に変貌していた。
代わりに魔物に近い姿へと変貌し、異質な存在感で場を支配している。
(魔物が、心酔するようにヴァントスに付き従ってる。魔道具も使わずに)
服従魔法すら行使せず、彼は存在するだけで魔物に隷属を誓わせていた。
だが変異による拒絶反応もなく、それが当然のように振舞っている。
しかし異形となったヴァントスの過去に、カリタスは思い当たりがあるらしい。
「魔王とは貴族の館に囚われていた、とある上位種の魔物に付与された名称だった」
カリタスが生まれ育った魔物を売買する館の話は、以前から耳にしていた。
そこで幼い彼が支配を強要され、徐々に精神を病んでいった事も。
「だが間違いなくお前は、貴族に嬲り殺されていた。何故今になって復活している」
「人間の死体に、魂を移植したんだよ。テメェの家門は闇魔道具も扱ってたからな」
ここに来てヴァントスが、カリタスへ異常な敵意を向けていた理由が判明する。
彼は邪悪な家門に囚われた被害者であり、蘇生した復讐者でもあった。
(でも種族が変わったせいで、今まで誰にも認識されなかった)
そして学生として潜伏している間に、仇討ちの準備を進めていたのだろう。
思えば祝祭の騒ぎも、彼が力を取り戻す過程の一つだったのかもしれない。
「魔族は服従魔法が使えねぇから、人間に転生した。だがこの体も適性がなかった」
「成程。そして魔法の習得の為に、学校へ潜り込んでいたということか」
しかし俺が過去の力を取り戻させ、終幕を台無しにしてしまった。
下手な抵抗などしなければ、彼は朽ちていくだけだったのに。
「人の身に、魔王の力を失う価値はなかった。ソイツのおかげで、取り戻せたがな」
(やっぱりさっきの傷が原因で、潜在能力が引きずり出されたのか)
人間という檻の中に閉じ込められていた獣が、鍵となった俺を嘲笑っている。
彼の首には赤黒い傷が残っているが、まるで首飾りのように誇示されていた。
「首への致命傷で、魔王の本能が覚醒した。これで本領を取り戻せる」
背丈より大きな黒い翼で浮き上がった彼は、俺をカリタスから奪い取る。
片腕で俺を捕獲し、もう片腕で伸ばされた腕を払い退けた。
そして。
(気づいたら、ヴァントスに捕まってた。そして街灯の上で、掴み上げられてる)
大窓からヴァントスが屋外へ飛び立ち、辺りを照らす柱の先端に着地する。
そして追従してきた魔物とカリタスに見せつけるように、俺を持ち上げていた。
「手始めに、カリタスをぶっ殺せ! 褒美に後天性サキュバスをくれてやる!」
「リベラを餌にする気か。ならば、全て返り討ちにしてやる!」
ヴァントスの宣言に色めき立った魔物が、一斉にカリタスへ襲いかかっていく。
けれど彼は怯むことなく、魔物を迎撃する構えを取っていた。
(武器もないのに、カリタスが優勢で戦ってる。けど俺の傷が、動きに響いてる)
ずば抜けた戦闘力を持つカリタスは、強化魔法を併用して魔物を圧倒していた。
けれど彼自身の傷が癒えてないから、徐々に劣勢へと追いやられている。
「しっかし、いつまで保つかねぇ。弱くとも数は暴力だ、倒しきれねぇだろ」
(同意したくないけど、その通りだ。……けれど、俺にできることもある)
倒れる魔物の背後から、それ以上の新たな魔物が押し寄せてくる。
終わりのない戦いに、いずれ押し切られることは明白だった。
だから俺は少しでも力になりたくて、掴まれながらも身を前に乗り出させる。
「っリベラ、私は大丈夫だ! 囮になんてならないでくれ!」
(失敗したら、確実に蹂躙される。でもカリタスが死ぬのは、もっと嫌だ!)
俺は翼を羽ばたかせ、誘惑フェロモンを空気に混ぜて落としていく。
本能を揺さぶる香りは、魔物の意識を逸らすのに最適だった。
(初めて自分の意思で、フェロモンを発散した。飢えた目が、俺に注がれる)
命を懸けた戦いの中ですら、俺の存在に魔物が引き寄せられていく。
――だが不意に視界が揺らいで、体が支えを失った。
「どうせなら、目の前で媚びて来いよ。テメェは淫魔なんだから」
茶番に飽きたヴァントスが俺を放り投げて、魔物の群れに突き落としていた。
必死に翼を動かすが、体に馴染んでいないから落下速度を殺せない。
(街灯から叩き落された。魔物が迫ってくる、カリタスの叫び声が聞こえる)
きっと地面に叩きつけられはしないが、このままでは魔物の餌食になってしまう。
カリタスも既に走り出しているが、魔法強化された足でも絶対に間に合わない。
(……でも怖くない。不思議と、あれらは下僕なんだと感じる)
借り物の翼が剥がれ落ち、代わりに背中から黒い羽毛が舞い散った。
頭部の角も大きく枝分かれし、髪も艶やかに流れ落ちていく。
「クソ、極限状態で体質変化したのか! なんだ、この異常な強さのフェロモンは」
「原種サキュバスに先祖返りしてしまったのか。勝てないなら、従わせるまでだと」
俺は魔物の群れに降り立つが、一匹たりとも襲ってはこない。
それどころか俺を囲うように、恭しく跪いて頭を垂れた。
(全部、俺の思い通りになる。そう淫魔の本能が告げている)
魔物達の主導権は色欲で塗り替えられ、快楽を刺激する魔力に屈服する。
その持ち主である俺は、場を従える支配者に変貌していた。
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