上 下
142 / 505
第9章 そこに『奴』がいた頃

舞奈、チャビー、小夜子

しおりを挟む
 諜報部の少年たちが帰ってしまうと、店は少し静かになった。
 食器を片づける張を何となく眺めながら、舞奈もそろそろ帰ろうと思っていると、

「こんばんは」
 店のドアがガラリと開いた。
 今日の『太賢飯店』は、本当に客が多い。

「雨でも降るんじゃないのか?」
「アイヤー、いらっしゃいアル」
 苦笑する舞奈を礼儀正しく無視し、張は客を出迎える。

 そして入ってきた人物を見やり、舞奈は驚いた。

「あー! マイだ! 安倍さんもいる!」
「お、チャビーじゃないか。ここで晩飯か?」
「うん!」
 ツインドリルを元気に揺らして、ぴょんぴょんはしゃぐ。
 幼女みたいなちっちゃなチャビーは日中と同じくらい夜も元気だ。

 その後から両親も入ってきた。
 線の細い感じの父親と、チャビーと似た面影の可愛らしい母親だ。

「舞奈ちゃんと明日香ちゃん。いつも娘がお世話になってます」
「いえいえ、こちらこそ」
 2人は舞奈と明日香を見つけて頭を下げる。
 舞奈たちも、どうもと揃って会釈する。

 チャビーの両親と会ったのは子猫を届けて以来か。
 それ以前にも、舞奈はチャビーのピンチを救ったことがある。

「小夜子ちゃんもこんばんは。それなら如月さんの家にも声をかければよかったかな」
「いえ、お構いなく。両親は今日も遅いと思うので」
 チャビーの家と小夜子の家は隣同士だ。
 だが小夜子の両親は共働きで、帰りも遅い。
 以前のチャビーの両親と同じだ。

 そんな小夜子を、チャビー父は気づかわしげに見やる。
 彼らは息子を失った原因を、自分たちが留守がちだったからと思っている節がある。
 だが、そんな気まずい雰囲気を、楽しげなチャビーの声がかき消した。

「ねえねえ! ゾマ! マイたちもいるよ!」
「わっ! ほんとだ。こんばんは、マイちゃん、明日香ちゃん」
 園香も入ってきた。

 山の手の友人同士は家族ぐるみで付き合いがある。
 なので、今日は両家族で揃って中華を食べることにしたらしい。

 続けて園香の両親も入ってくる。
 チャビーと園香の父親は、頭頂が寂しいことと美人の奥さんを見つけたこと以外はまるで正反対だ。
 チャビー父が細身でひょろりとしているのに対し、園香の父は恰幅が良い。
 優しく繊細なチャビー父に比べ、園香父は頑固で威厳がある。

 なにより園香父は、舞奈を見ると鬼のような形相で睨む。
 舞奈が園香に、女子小学生同士の付き合いとして相応しくない、いかがわしいことをしていると思っているからだ。
 園香父にとって、舞奈は娘についた悪い虫だ。

 対して舞奈は、柄にもなく縮こまる。
 父親が舞奈に対して想っていることが、紛れもない真実だからだ。

 いちおう以前に、誘拐された園香を救いだしたことがある。
 だが、あり余る余罪がそれを帳消しにしていた。

 怯む舞奈を明日香が珍しそうに見やる。

 一方、園香は楓たちを見つけて会釈する。
 姉妹も優雅に笑みを返す。
 園香が何やら父親に話し、父は深々と会釈する。楓が件の絵の作者だからだ。

 楓が野暮ったい黒ぶち眼鏡をとると、端正な素顔があらわになる。
 その美しさに圧倒されて父はますます畏まる。
 舞奈>楓>園香父>舞奈、という微妙な三すくみが出来上がった。

「パパ! ママ! ここでいいよね!」
 チャビーはテーブルの上に、ペット用のキャリーバックをよいしょと置く。
 するとバックが「みゃー」と鳴く。

 ハート柄のバックの横ののぞき窓から、子猫のネコポチが顔を覗かせた。
 先ほど揺らしたことに対して不平を言っているらしい。

 舞奈と明日香、楓と紅葉、サチに小夜子、皆は思わず子猫を見やる。

「店長さんには事前に了承を得ていたのですが、猫、よろしいですか?」
 几帳面そうなチャビー父が一同に尋ねる。
 客は小学生と高校生だけなのに、丁重な態度を崩さないあたりが彼の人柄を如実にあらわしている。

「ああ、もちろんだ」
「構いませんよ」
「むしろ歓迎するよ」
「可愛らしい友人と一緒に夕食というのも素敵ですね」
 舞奈と明日香、紅葉と楓も笑顔で答える。
 サチと小夜子は答えるまでもなく大歓迎だ。

 チャビーが友人で、父親の態度が気持ちのいいものだったからということもある。
 だが、それ以上に、皆にとってネコポチは特別な存在だ。
 かつてネコポチは魔道具アーティファクトの力で、重力を操る魔獣マンティコアと化した。
 舞奈たちは子猫を救うために仲間と共に魔獣に挑み、そして勝利した。

「じゃあ戸締りを確認するアル。大丈夫だったら猫ちゃん出していいアルよ」
「……ん。大丈夫っぽいけどな」
「そうみたいだね」
 舞奈は空気の流れを読んで、紅葉も呪術的な力で風を読んで戸締りを確認する。
 張は気にせず普段通りに戸締りを確認し、チャビーたちにOKサインを出す。

「わーい、ありがとう! ネコポチちゃん、おまたせ」
「みゃぁー!」
 チャビーがバックを開けると、茶トラの子猫が跳び出して可愛らしく鳴いた。

「皆さんはコースで良かったアルね。ネコポチちゃんの分も一緒にお出しするアルよ」
「よろしくお願いします」
 チャビー父に丁重に頭を下げられながら、張は厨房に戻っていく。

「……料理してると、匂いに釣られて厨房に行っちゃうかもしれませんね」
 ボソリと言った楓に、ネコポチは咎めるように「みゃー」と鳴く。
 図らずも重力操作の大能力を得たネコポチは、いわば猫の魔法使いだ。
 頭もいいし、チャビーたちの前で普通の子猫のふりをするために気を使っている。

 だが、そんなことは知らないチャビーは心配そうに子猫を見やる。

「だいじょうぶ。そうなったときはわたしがなんとかするよ」
 チャビーを安心させるように、紅葉はニッコリ笑いかけ、

「……慣れてるから」
 ボソリと言って苦笑する。

 姉妹が飼っている猫のバーストは、家具の隅で粗相をする以外にもいろいろとやらかしているらしい。
 なのに困った飼い猫のことを話すときの姉妹の表情はやわらかい。
 それは猫につけられた名前が、姉妹が守れなかった弟の二つ名と同じだからだ。
 猫がもたらすトラブルのすべてが、残された姉妹にとっての慰めだ。

 だが、そんなことは知らない園香父は感極まった表情で姉妹を見やる。

「桂木さんたちは2人暮らしをされていて、しかも猫を飼っていらっしゃるとか。流石にしっかりしておりますな」
「ふふ、大したことではありませんよ」
 対して楓がドヤ顔で答える。

 学校でコンタクトをしているときのクセなのだろうか、かき上げようとして、髪をゆるく編んでいることを失念していて、引っかかって困惑する。

 その様子に、見ていた舞奈は苦笑する。
 楓がコンビニの惣菜を皿に盛って「料理をした!」と浮かれていたこと、そして2人の側にある消臭剤の使い道について、園香父には黙っていようと思った。

――――――――――――――――――――

 ケーキ屋の前で屍虫を倒した後。
 舞奈は陽介を連れ、新開発区の方向へとんぼ返りした。

 灰色の軍人街を抜け、廃墟の通りを進む中、

「そういえば、舞奈ってランクはいくつなの?」
 陽介がぽつりと言った。

「ん……Aランク。明日香もな」
「ええっ!?」
「……んな驚くようなことじゃないよ」
 ぶっきらぼうに答えたのは、ランクが変わるかもしれないからだ。
 舞奈はSランクへの打診を受けていた。

 Sランク。
 通常の格付けでは最高位に相当するAランクの、さらに上。

 この最強の称号を手に入れるための試験はない。
 そのための試練を【機関】上層部が準備できないからだ。
 人と人を超えた者を線引きする基準などない。

 だから未曾有の危機に際して人知を超えた偉業を成し、上層部全員が反論の余地なく最強だと認めた場合にSランクとなる。
 即ち、大規模災害を個人の力で防ぐ。
 あるいは、魔獣を討伐する。

 そういった常人レベルでは不可能な偉業により、上層部に実力を思い知らせるのだ。

 なので平時に能動的にSランクになろうとすると、その真逆をすることになる。
 即ち、大規模災害に匹敵する災厄を引き起こす。
 あるいは魔獣と同等な。

 例えば、他県の支部に殴りこんで構成員を全員ぶちのめすことができたのなら間違いなくSランクだ。
 だが同時に怪人として追われることになるので意味がない。
 だいたい、ランクひとつ上げるために、そんな面倒で傍迷惑なことをする気はない。

 だから起きるか起きないかわからない大災厄が訪れるまで、舞奈はAランクだけどAランクじゃない、ある意味で中途半端な扱いだ。

 と、まあ、そんなこんなで2人は目当ての場所についた。

 崩れかけたビルの隣に建っている、派手なネオン看板の店だ。
 看板の『画廊・ケリー』と書かれたネオンは『ケ』の字の横線が消えかけている。

「こんな場所でお店開いても、客が来れないんじゃ?」
「ここいら辺はいちおう人里だから、昼間なら安全だよ」
「人里って巣黒《すぐろ》市のこと……? っていうか、昼間以外は安全じゃないんだ」
「夜道が危ないのは、どんな街でも同じだろ? おーいスミス! いるか!?」
「あら、まあ、志門ちゃん! いらっしゃ~い」
 身をくねらせながら何かが店の奥からあらわれた。

 水色のスーツを着こんだ筋骨隆々のハゲマッチョだ。
 岩のように割れたアゴには青々とした剃り残しが広がっている。

 目のやり場に困るビジュアルに、陽介は困惑する。
 マッチョは満面の笑みを浮かべる。

「志門ちゃんったら男の子なんか連れ歩いちゃって、おませさんなのね」
「そんなんじゃないよ。それより看板直せよ。ノリーになるぞ」
 舞奈の軽口に笑みを返し、

「冷たいレモネードでもどう?」
 マッチョは商談用の丸テーブルの上にグラスを並べる。

「さんきゅ」
「すいません、いただきます」
 2人はレモネードで喉を潤す。
 甘酸っぱくて冷たいレモネードが、肉体労働と戦闘で疲れた2人の全身に染み渡る。
 舞奈が約束した通り、彼には冷たいものがふるまわれた。スミスから。

「そういえばスミス。今晩、酸性雨が来るってさ」
「あら、ここんところ妙に晴れてたし、そろそろだとは思ってたわ。必要なものがあったら奥から適当に持っていって。お代は今度でいいから」
「すまない。ちょっと行ってくるよ」
 舞奈は店の奥へと消える。

 舞奈はスミスの店に、武器弾薬を調達に来たのだ。

 先ほどの屍虫の襲撃は完全に予想外だった。
 原因はわからない。
 わからない原因に対して対処などできない。

 だから、先ほどのような屍虫の襲撃を警戒する必要がある。
 遠くのSランクより、今は近くの危険に備えなければならない。

 そんな舞奈を見送って手持無沙汰にしていた陽介に、マッチョは優しく微笑んだ。

「志門ちゃんのこと、よろしくね。あの子、ああ見えて寂しがり屋なのよ」
 店の奥で非常時の備えを充実させていた舞奈に、その言葉は聞こえていた。

(スミスの奴、余計なこと言いやがって)
 だが文句を言うほどのことでもないと思った。
 だから何食わぬ顔で、

「スマン、待たせたな」
「気にしないでよ、店の物とか見せてもらってたところだし」
 陽介は誤魔化すように手近なアクセサリーを物色する。
 その途端、

「あっ……!?」
 小さなストラップを見つけて声をあげた。

「どうした兄ちゃん?」
「これ、シロネンちゃんのストラップだ」
「そういやぁ同じ面してるな」
 言われてみれば、先ほど閉まっていたケーキ屋のマスコットだ。

「妹がこれ、欲しがってたんだ」
 陽介は笑う。
 舞奈も口元に笑みを浮かべる。
 ケーキは買えなかったけど、代わりに欲しがってたというストラップをプレゼントすれば、妹さんとやらも満足するだろう。

「すいません、これ買います。あと、こっちも」
「……色違いか? また、せっこい商売してるなあ」
「シロネンちゃんの友だちのクロシロネンちゃんだよ」
 そちらのマスコットは、プリンの代わりに黒いコーヒーゼリーが乗っていた。

「白いのか黒いのかハッキリしろよ……」
 苦笑する。
 子供向けのキャラクターグッズを愛用する舞奈だが、美佳の影響で可愛いものを使っているだけだから個々のキャラについてそこまで詳しいわけじゃない。

「そのシロじゃないわよ」
 スミスが苦笑した。

「シロネンっていうのは、元はアステカの神さまの名前なのよ」
「そりゃご高説をどうも」
「そうだったんですか……」
 ツッコまれたのが面白くなくてむくれる舞奈の横で、陽介が素直に感心する。

「そういうのに興味があるんなら、これもどうかしら?」
 そう言って、スミスは小さな銀色のペンダントを手に取る。

 装飾代わりの小ぶりな鈴がシャラリと鳴った。
 表面は黒曜石の鏡になっていて、裏には壁画のような不思議な絵が彫刻されている。

「メキシコで仕入れたペンダントよ。描いてあるのもアステカの神さまで、テスカトリポカっていうんですって」
 商売熱心なスミスが売りこみを始めると、

「これも買います」
 陽介はすっかり買う気になってしまった。
 いつか詐欺に引っかかるんじゃないかと、他人事ながら心配になった。

 その後は特にトラブルもなく、2人は陽介の家に向かった。
 何とはなしに見覚えのある通りを歩く。
 どうやら彼は園香のご近所らしい。

「あ、お兄ちゃん! おかえり!」
 家に帰ると、待ち構えていたようにツインテールの幼女が飛んできた。

(やっぱり、そういうことか……)
 それはチャビーだった。
 なんとなく躊躇して、玄関の外で様子を窺う。
 兄妹の時間に水を差したくなかった。

 3年前の自分を傍から見るとあんな風だったのかなあと、少し思った。

「ねね、彼女さんは?」
「だから、彼女じゃないよ」
 どうやらケーキの約束は忘れたらしい。
 舞奈の位置から陽介の表情は見えないが、チャビーはニコニコしながら兄を見返す。

「そうだ。千佳にプレゼントだよ」
 陽介はポケットから買ったばかりのストラップを取り出し、チャビーに差し出す。

(スミスの奴、ラッピングくらいしてやれよ)
 苦笑する舞奈を尻目に、チャビーは跳び上がらんばかりに驚いた。

「お兄ちゃん、すごーい! シロネンちゃんとクロシロネンちゃんのおそろいだ!」
 ストラップを大事そうに手にしてはしゃぐ。
 喜ぶ妹を見やり、陽介も満面げな仕草をしてみせる。

 そんな兄に、チャビーはストラップの片方を差し出した。

「エヘヘ、お兄ちゃんとおそろいにしよう!」
(そいつは仲むつまじくて何よりだ)
 舞奈が苦笑した途端、

「日比野さん、なに騒いでるの……? あ、お邪魔してます」
 奥から明日香が出てきた。

 そういえば明日香はチャビーに算数を教えると言っていたなと思いだす。
 学校を休みがちなチャビーが授業に取り残され気味だからだ。

「あっ、君は……」
 陽介は驚く。

「あのね、友達に勉強を教えてもらってたの! 同じクラスの安倍明日香さん!」
 チャビーは笑う。

「安倍さんはすっごく頭がよくて、何でも知ってるんだよ!」
「そういうわけなので、今後ともよしなに。日比野さん」
 会うのは2度目のはずだが、チャビーの前でそれを言っても面倒になるだけだろうと判断したのだろう。明日香はそれっぽい挨拶をした。なので、

「あ、ああ、よろしく」
 陽介も適当に返事を返す。

「安倍さんよろしくね!」
「おまえはもう友達なんだろう?」
 なぜか冗談めかして挨拶に混ざろうとしてくる千佳に、苦笑する。

「ちーっす」
 そんな陽介の後ろから、舞奈は何食わぬ顔で家に入った。

「お、チャビーじゃないか。それに明日香まで。こんなところで何やってるんだ?」
 白々しくそんなことを言う。

「日比野さんに勉強を教えてたのよ。休みがちで授業がわからないって言うから」
「え? ……ああ、千佳のことか」
 そのとき、陽介と舞奈を交互に見やっていたチャビーがニヤリと笑った。

「わかった! お兄ちゃんの彼女って、マイだったんだ!!」
「そうじゃないんだ、聞いてくれ千佳」
 陽介は誤解を解こうと弁解を試みる。一方、舞奈と明日香は、

「彼女なの?」
「そう見えたのか?」
 途端に明日香が吹きだす。

「つまり、兄ちゃんとチャビーは兄妹ってことか。なあ、明日香さんよ」
「なによ?」
「兄妹を両方とも日比野さんって呼ぶの、やめてやったほうがいいんじゃないのか? 兄ちゃん、さっき困ってたぞ」
「そりゃ、そうだけど……」
 明日香はひとしきり困った後で、

「…………陽介さん?」
「あ、ああ。なんか面倒をかけたみたいで、ごめん」
「そっかー。マイってば、運動神経バツグンで超強いけど、ケンカっぱやいし家事とか苦手そうだもんね! お兄ちゃんと良いカップルかも!」
「おいおい、お前から見て俺はそんな兄なのか。っていうか、違うから。ほら、舞奈だって困ってるだろ?」
「だいじょうぶ! マイは困らないから! マイは何があっても堂々としてて、どんなトラブルでも力技で解決しちゃうんだよ!」
「チャビー……。おまえから見ると、あたしはそんななのか」
 そんな風にチャビーと漫才をしていると、

「陽介君……」
 玄関の外に、中等部指定のセーラー服を着たセミロングの少女がいた。
 舞奈は彼女を、線が細くて可愛らしい少女だと思った。

 それが舞奈と小夜子との初めての対面だった。

 もちろん、当時の舞奈は彼女が執行人エージェントだなんて知らなかった。

 そして彼女も、目の前の少女が仕事人トラブルシューターだということを知らなかった。
 陽介との関係も、出会った経緯も知らなかった。

 だから小夜子は舞奈と陽介の顔を交互に見やり、そして陽介を睨んだ。
 ジトーッとした、舞奈がちょっと引くくらい嫉妬深い目つきだった。

「ち、違うんだ……違うんだ……」
 顔面蒼白になった陽介は、うわ言のようにそう繰り返していた。

「兄ちゃんも、けっこう大変なんだな……」
 舞奈はボソリとひとりごちた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

命を助けてもらう代わりにダンジョンのラスボスの奴隷になりました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:208

悪役令嬢は双子の淫魔と攻略対象者に溺愛される

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,316pt お気に入り:3,025

人の身にして精霊王

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:366

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:15,644pt お気に入り:3,346

処理中です...